当記事は「シリーズ記事」になります。
   この『癌と炎症』シリーズは『癌と炎症の関係』についてご理解して頂くために作成したものです。


    癌と炎症 ①
     【 癌は「炎症」と深く関係しており、『慢性炎症』は 癌化 の原因となる!
       『慢性炎症』から 癌に至る過程、『慢性炎症』が 癌化 を引き起こす機序!:Nature 】


    癌と炎症 ②
     【 炎症性サイトカイン「IL-6」は 癌細胞を活性化し、
       増殖・浸潤・転移・血管新生・癌幹細胞・悪液質などを促進する!:
       自治医科大学 医学部 西野宏 教授 】


    癌と炎症 ③ (本記事
     【 癌細胞は「炎症性サイトカイン」を大量に放出して自身の「炎症」を促進し、
       増殖するのに「有利な環境」をつくり出す:京都大学名誉教授 和田洋巳 医学博士 】


    癌と炎症 ④
     【 癌細胞は「炎症」しており、癌は『炎症の塊』である!
       癌の「炎症」の悪化は、癌の増殖・悪性化・転移を促進する!:
       京都大学名誉教授 和田洋巳 医学博士 】


    癌と炎症 ⑤ 癌の炎症を促進して悪化させる食事
     【 糖質 と ω6系不飽和脂肪酸 の摂取は 癌の炎症を促進する作用があるため、
       癌の増殖・悪性化・浸潤・転移を進行させる 】


    癌と炎症 ⑥ 酸化ストレス・炎症体質
     【 活性酸素は炎症をつくり、炎症を促進して悪化させる:
       炎症から活性酸素が産生され、さらに炎症をつくり、炎症を悪化させていく 】


    癌と炎症 ⑦ ブドウ糖は「酸化ストレス」を高める - 福田一典 医師
     【 高血糖は「酸化ストレス」と「炎症反応」を亢進する!:
       炎症では「活性酸素の産生量」が増える! 】



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 当記事は『癌と炎症』シリーズの「癌と炎症 ③」です。
 この『癌と炎症』シリーズの記事は『癌と炎症の関係』についてご理解して頂くためのものです。

 「癌と炎症 ③
では、京都大学名誉教授の「和田洋巳」医学博士が院長を務める『からすま和田クリニック』から「がんの知識」記事をご紹介させて頂きます

user[1]
京都大学名誉教授 和田洋巳 医学博士


 「癌と炎症 ②」では、癌と「炎症性サイトカイン」の関係という重要な内容、つまり「炎症性サイトカイン」が 癌の増殖悪性化浸潤転移を促進している、ということについて触れて頂きました。
 この「癌と炎症 ③」では「和田洋巳」医学博士の説明から、次のことを知って頂きたいと思います。


    癌細胞は「炎症性サイトカイン」を大量に放出して、体中から血液を集め、
     自らが増殖するための栄養にしている。



 癌細胞自体が「炎症」しており、癌は『炎症の塊』になっています。
 癌は「炎症性サイトカイン」を大量に放出し、自身の「炎症」を促進して、自らの増殖に「有利な環境」をつくり出しています。癌の「炎症」が促進すると「癌と炎症 ②」で説明されていることがすべて促進します。

 以上、当記事と「癌と炎症 ②」の内容と重ねてまとめますと、次のようになります。


    癌細胞は「炎症性サイトカイン」を大量に放出し、自身の「炎症」を促進して、
     血管新生を促し、増殖悪性化浸潤転移を進行させ、細胞死抵抗性 を高めて、
     自身の生存に「有利な環境」を築いている。



 癌細胞自体が「炎症」しており、癌は『炎症の塊』になっている。
 「炎症性サイトカイン」は「炎症」を促進する。
 そして「炎症性サイトカイン」は 癌の増殖悪性化浸潤転移を促進し、癌を進行させる。

 癌細胞は「炎症性サイトカイン」を大量に放出し、自身の「炎症」を促進する。
 癌の「炎症」が促進することによって、癌の増殖悪性化浸潤転移が促進し、癌が進行していく。

 癌には、以上のような「炎症性サイトカイン」との深い関係があります。
 癌の「炎症」が促進して悪化すれば、癌の増殖悪性化浸潤転移が促進し、癌はますます進行していきます。
 逆に、癌の「炎症」を抑制して改善すれば、癌の増殖悪性化浸潤転移進行が抑制され、「抗腫瘍効果」を発揮します。癌の「炎症」を抑える治療が、非常に重要な「抗がん療法」となるのです。
 したがって、癌治療において、癌の「炎症」を抑えて改善することが重要な治療となることが分かります。


 「和田洋巳」医学博士は、次の「癌と炎症 ④」にて『癌と炎症の関係』に関する内容をさらに説明しています。
 この「癌と炎症 ③」は「癌と炎症 ④」に続く重要な内容ですので、ご参考にされてください。
 よろしくお願いします m(__)m

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 がんの知識
 【「からすま和田クリニック」(京都大学名誉教授和田洋巳 医学博士)より 】



がんが生命を脅かす理由

 がんが恐ろしい理由は、生命を維持するためのシステムを破壊するためです。
 私たちは、食べ物を食べ、食べたものからエネルギーを取り出し、
 不要となった老廃物を排泄するということを繰り返して生きています。
 がんは、この流れを止めてしまうのです。

 例えば、がんが肝臓に転移すれば肝臓、腎臓に転移すれば腎臓の機能が落ちてしまいます。
 肺に転移すれば、呼吸ができなくなってしまいます。
 このように、重要な機能を持つ臓器にがんが転移してしまうと、その臓器が機能不全に陥ってしまうのです。

 がん細胞は無限に成長します。
 無限に成長を続けるためには、大量の栄養が必要となります。
 そこで、がん細胞は巧妙な手段を使います。

 がんは、成長のために必要になる大量の栄養をまかなうために、
 「炎症性サイトカイン」という物質を出して栄養豊富な血液を呼び込もうとするのです。
 「サイトカイン」とは「炎症が体内で起こっている」ということを知らせるシグナルで、
 体の中に何か異物が侵入したときに戦うための大切な仕組みです。
 問題は、がんがこの「炎症性サイトカイン」を大量に放出して、体中から血液を集め、
 自らが増殖するための栄養にするということです。

 がんが「炎症性サイトカイン」を大量に出すと、体の様々なバランスが狂ってきます。
 「サイトカイン」は「体内に緊急事態が起こっている」ということを示すアラームなので、
 緊急事態に対応するために、優先的に血液が呼び集められます。
 体内の様々なシステムが優先的に「炎症の発生している箇所」に対応するのです。

 がんがこの「炎症性サイトカイン」を大量に放出するということは、
 体を「がん細胞の成長に適した体」にしてしまうということです。

 がん細胞は極めて自分勝手な細胞であり、宿主である患者さんの都合などは考えません。
 がんにかかると、がん細胞がどんどん大きくなり、逆に、患者さんは痩せ衰えていくというのは、
 このような理由によるのです。