当記事は「江部康二」医師が癌治療における「糖質制限食(ケトン食)」の有効性を示す臨床データをご紹介している内容で、これは、大阪大学 大学院 医学系研究科 漢方医学寄附講座「萩原圭祐」准教授らによる発表です。
 タイトルは『肺がん患者におけるケトン食の有用性と安全性についての検討』です。

 この臨床の参加人数が少なすぎるのが難点ではありますが、4期の癌患者さんで、「糖質制限食(ケトン食)」を行なっている癌患者さんは みな生存しており、「糖質制限食(ケトン食)」を当初行ないつつも 途中から放棄した(途中から行なわなくなった)癌患者さんは みな死亡している、という報告内容です。
 この臨床報告は、癌治療における「糖質制限食(ケトン食)」の有効性を示しているのではないかと思います。

 癌治療として「糖質制限食(ケトン食)」を考えられている癌患者さんは、ぜひ、ご参考にされてください。
 よろしくお願いします m(__)m

.





 糖質制限食にがん治療効果はあるか?
 【「毎日新聞 医療プレミア」
より 】


究極の 糖質制限食ケトン食 に、がん治療効果はあるか?

 究極の糖質制限食とも言える「ケトン食(糖質制限高脂肪食)」に、果たして、がん治療効果はあるのか。

 前回は「米国のアイオワ大学」と「米国国立衛生研究所NIH)」が取り組んでいる臨床研究を紹介しましたが、
 実は、日本での事例が昨年10月、京都市で開かれた「第53回日本癌治療学会学術集会」で発表されました。

 大阪大学 大学院 医学系研究科 漢方医学寄附講座「萩原圭祐」准教授らによる発表です。
 タイトルは『肺がん患者におけるケトン食の有用性と安全性についての検討』。
 私も、この研究が始められる際に、アドバイザーとして協力したので、研究結果には大変興味がありました。

 「ケトン食」について改めて簡単に説明すると、難治性てんかんの子供に用いられている治療食で、
 米やパンなど炭水化物はできるだけ食べないようにして、砂糖の代わりに人工甘味料を使用し、
 卵豆腐魚 主体の食事に食用油を添加します。

 そして「脂肪:非脂肪(たんぱく質糖質)」の値を、3:1 ~ 4:1 に保つことを目標とします。
 言わば、糖質制限食をさらに徹底させたものです。

 嘔吐(おうと)、下痢、便秘など副作用も報告されているので、安全に行なうには医師や栄養士の指導が必要です。
 一般の方が独自に取り組むものではないことをあらかじめ理解してください。



日本での臨床研究の結果は

 研究内容は、末期肺がん(ステージ4)の患者さんに「ケトン食」を取って頂き、その治療効果を検証する、
 というものでした。

 発表された5症例は、いずれも、研究に参加することを同意された時、肺腺がんのステージ4でした。
 以下は、癌学会での発表時点でのデータです。


   症例1
   化学療法放射線治療手術を実施。
   「ケトン食」を3ヵ月継続。「ケトン食」開始1年後に寛解(がんは見かけ上消滅して、正常な機能に戻った)。
   開始後974日生存、現在も、夕食は糖質を控え、油を取ることを心がけている。

   症例2
   治療なし。「ケトン食」開始に同意するも、その後、撤回。
   当初同意日602日後に死亡。

   症例3
   化学療法を実施。がんが胸膜にばらまかれ、胸水が溜まる「がん胸膜播種(はしゅ)」を発症。
   その後、胸膜に病変はあるが、開始後792日生存、「ケトン食」継続中。

   症例4
   化学療法放射線治療手術を実施。「ケトン食」開始1年後に寛解。
   開始後617日生存、「ケトン食」継続中。

   症例5
   化学療法放射線治療手術を実施。
   「ケトン食」開始に同意するも、その後、不参加。当初同意日172日後に死亡。


 「全国がん(成人病)センター協議会」によると、
 肺がんステージ4の2年生存率は20%弱、3年生存率は10%弱です。

 症例が少ないですし、化学療法なども実施しているので断定的なことは言えませんが、
 「ケトン食」を経験した3例は、それぞれ、▽ 2年8ヵ月、▽ 2年2ヵ月、▽ 1年8ヵ月 −− 生存され、
 うち2例(▽ ケトン食継続中、▽ ケトン食3ヵ月経験の後に糖質控えめの食事を継続中)は、がんが寛解しています。
 また、心配された一時的な低血糖嘔吐便秘けん怠感などの副作用は認められませんでした。

 「ケトン食」は肺がんステージ4の患者さんに対して、
 一定の治療効果延命効果がある「可能性」が示されたと言ってもよいのではないか、と私は期待を感じています。



私が、もしも、がんになったら

 私自身は、糖尿病を発症したことをきっかけに治療食として、2002年から「スーパー糖質制限食」を続けています。
 「スーパー糖質制限食」では、食後の血糖値の上昇幅が小さく、
 がんの危険因子と指摘されている「高血糖」と「高インスリン血症」のリスクを小さくでき、ダイエット効果もあります。

 がんには様々な危険因子がありますが、「世界がん研究基金」が、
 肥満によって確実にリスクが上がると指摘している 食道がん大腸がん乳がん腎臓がん膵臓がん子宮体がん と、
 恐らく関連する可能性が高いと指摘している 胆のうがん に関しては「予防効果」があるのではと思っています。

 一方、がん細胞が発生してから、画像診断的に発見可能な大きさになるまでには、
 約10~15年かかると言われています。
 つまり、私が「スーパー糖質制限食」を始める前に、すでに、がん細胞が発生していた場合など、
 これから、がんを発症する恐れは当然あります。

 私は、もしも、がんになったら、科学的根拠のある標準的治療を受けることはもちろんですが、
 「ケトン食」にも同時に取り組もうと考えています。




 肺癌患者における「ケトン食」の有用性と安全性についての検討
 【「ドクター江部の糖尿病徒然日記」
より 】


 お早うございます。

 2015年10月29日から31日に、
 京都(国立京都国際会館)で行なわれた「第53回日本癌治療学会学術州会」において、
 29日木曜日に、

   『肺癌患者におけるケトン食の有用性と安全性についての検討

 と題して、大阪大学 大学院 医学系研究科 漢方医学寄附講座「萩原圭祐」教授らの発表がありました。

 本ブログにおいても、2013年に何回か、

   『非小細胞肺がんⅣ期の患者さんとケトン食、臨床研究のお知らせ』

 と題して、大阪大学 漢方医学寄附講座における研究開始のことを記事にしました。


 研究に参加された5症例、いずれも「ケトン食」同意のインフォームド・コンセント時は、肺腺癌Ⅳ期でした。
 以下は2015年10月29日の癌学会での発表時点でのデータです。
 2013年2月から研究開始です。


   症例1
   化学療法放射線治療手術あり。
   「ケトン食」開始1年後寛解。開始後974日生存で、「ケトン食」継続中。

   症例2
   「ケトン食」への同意をその後、撤回、治療なし。
   当初同意日602日後、死亡。

   症例3
   化学療法あり。「ケトン食」開始3ヵ月後、がん胸膜播種(はしゅ)あり。
   その後、がん胸膜病変はあるが、792日後も生存で、「ケトン食」継続中。

   症例4
   化学療法放射線治療手術あり。
   「ケトン食」開始1年後寛解。開始後617日生存で、「ケトン食」継続中。

   症例5
   化学療法放射線治療手術あり。
   「ケトン食」開始を同意するも、その後、不参加。当初同意日172日後に死亡。


 肺がんⅣ期の症例で、「ケトン食」を導入して【症例1】と【症例4】は、1年後に寛解して、
 その後も経過良好で、それぞれ974日間生存中、617日間生存中で、「ケトン食」を継続中です。
 【症例3】は、がん胸膜播種(はしゅ)がありますが、792日後も生存で、「ケトン食」継続中です。
 【症例2】と【症例5】は「ケトン食」を継続せずに、いずれも死亡されています。

 症例が少ないので、断定的なことは言えませんが、
 2例は寛解(がんが消えること)して、Ⅳ期と診断後974日間、617日間の比較的長期の生存ですから、
 「ケトン食」には、肺癌Ⅳ期の患者さんに対して、一定の延命効果がある可能性が示されたと思います。

 Ⅳ期肺癌の生存中央値が、8~10ヵ月ですので、
 「ケトン食」継続中の3名の、32ヵ月、26ヵ月、20ヵ月というのは、なかなかの数字と思います。


  江部康二