この記事は、『銀座東京クリニック』院長の「福田一典」医師が公開されています「『漢方がん治療』を考える」から「517)「ワールブルグ効果」を是正すると、がん細胞は自滅する」記事のご紹介です。


 癌細胞が増殖するための “二大栄養素” は「ブドウ糖」と「グルタミンアミノ酸の一種)」です。
 癌細胞では「ブドウ糖」と「グルタミン」の取り込みが増えています。

 癌細胞は「酸素を使ったエネルギー産生を行ないたくない」ため、酸素を使わない解糖系を亢進しています。
 ミトコンドリアでのエネルギー産生は酸素を使わなければならないため、癌細胞はミトコンドリアの「酸素呼吸(酸化的リン酸化)」をできるだけ抑制し、解糖系を亢進しているのです。

 「ブドウ糖」は 癌細胞の解糖系で代謝され、「グルタミン」は 癌細胞のミトコンドリアで代謝されます。
 癌細胞は「酸素を使ったエネルギー産生を行ないたくない」ために、通常は解糖系を亢進し、ミトコンドリアでのエネルギー産生を抑制しているので、ミトコンドリアでしか代謝できない「ケトン体」や「脂肪酸」をエネルギー源として利用し難い(利用したくない)状態にあるのです。

 しかし、癌細胞も必要に応じて、ミトコンドリアのエネルギー産生を高めて「ケトン体」や「脂肪酸」を代謝してエネルギー産生を行なうことはできます。しかし、癌細胞は酸素が苦手なため、ミトコンドリアでの「酸素を使ったエネルギー産生」を、ただ「行ないたくない」だけだそうです。


 『ケトン食糖質制限食)』によって「ブドウ糖」の摂取に制限をかけ、解糖系のエネルギー産生を阻害すると、癌細胞はミトコンドリアでのエネルギー産生を高めるしかなくなるため、「ケトン体」や「脂肪酸」をエネルギー源として利用するようになるそうです。

 このように『ケトン食糖質制限食)』により解糖系を阻害して、癌細胞にミトコンドリアでのエネルギー産生を行なうように仕向け、ミトコンドリアの「酸素呼吸(酸化的リン酸化)」を亢進すると、癌細胞での「活性酸素」の産生を増やし「酸化ストレス」を高めて「抗腫瘍効果」を発揮し、癌細胞を自滅(死滅)させることができます。

 しかし、癌細胞は「グルタミン」の取り込みを増やして物質代謝(脂肪酸合成など)を維持して、「ケトン体」や「脂肪酸」をエネルギー源として利用し、エネルギー産生を行ないます。
 ここで、もし癌細胞の「酸化ストレス」が致死量に至るまで高まらなければ、中途半端に終わり、「逆効果になる癌細胞の増殖を促進させてしまう)」ので、注意が必要だそうです。
 つまり『ケトン食糖質制限食)』によって解糖系を阻害しても、癌細胞の「酸化ストレス」が致死量に至るまで高まらなければ、癌細胞が行なうエネルギー産生を、癌細胞が得意な「解糖系が優位な状態」から、癌細胞が苦手な「酸素を使ったミトコンドリアでのエネルギー産生」へと、癌細胞にエネルギー産生を「適応させて」しまうことになり、かえって癌細胞を生き延びさせる(癌細胞の増殖を促進させる)ことになる、ということです。
 よって、『ケトン食糖質制限食)』単独だと「抗腫瘍効果」に限界があり、場合によっては「癌細胞を助ける」ことになってしまうわけです。

 癌細胞におけるミトコンドリアでの「酸素呼吸(酸化的リン酸化)」を亢進し、癌細胞の「酸化ストレス」が致死量に至るまで高めるためには『ケトン食糖質制限食)』単独では難しく、当記事で紹介されている「他の治療」をいろいろと「併用」する必要があるようです。
 こうして『ケトン食(糖質制限食)プラスアルファ』の組み合わせにより、癌細胞の「酸化ストレス」を徹底的に高めることが重要であり、そうしないと、癌細胞を自滅(死滅)させることは難しく、『ケトン食糖質制限食)』を単独で行なっても「抗腫瘍効果」が低いのです。



 以上の内容を「福田一典」医師は、当記事で、このように説明されています。


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  断食は「ワールブルグ効果」を是正して、がん細胞を自滅させる

   がん細胞が増殖するための “二大栄養素” は「グルコースブドウ糖)」と「グルタミン」です。
   がん細胞では、「グルコースブドウ糖)」と「グルタミン」の取込みが増えています。

   がん細胞の「解糖系」と「グルタミン代謝」を阻害し、
   (がん細胞の)ミトコンドリアの「酸化的リン酸化」を亢進すると、
   「がん細胞の増殖を抑制できる」ことが明らかになっています。

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増殖活性の高い がん細胞は「グルコースブドウ糖)」と「グルタミン」の取込みと代謝が亢進している



 「ケトン体」は、がん細胞のミトコンドリアの「酸化的リン酸化」を活性化する

   がん細胞は「ケトン体」や「脂肪酸」をエネルギー源として利用し難い状態にあります
   それは、がん細胞は「酸素を使ったエネルギー産生を行ないたくない」理由があるからです。
   したがって、酸素を使わない解糖系を亢進し、
   ミトコンドリアの「酸素呼吸(酸化的リン酸化)」をできるだけ抑制します。

   「脂肪酸」も「ケトン体」もミトコンドリアでしか代謝できないので、
   ミトコンドリアの代謝が抑制されている がん細胞では、
   「脂肪酸」も「ケトン体」も利用できない(利用したくない)状況にあります
   しかし、がん細胞でも、ミトコンドリアの機能は維持されています

   したがって(がん細胞の)解糖系を阻害すると、
   (がん細胞はミトコンドリアでのエネルギー産生を高めるしかありません
   実際、がん細胞も「ケトン体」や「脂肪酸」を分解して(代謝して)エネルギー産生はできます
   ただ、したくないだけです。


    そこで、「ケトン体」や「脂肪酸」をエネルギー源として がん細胞に使用させるように仕向けると、
    がん細胞の「酸化ストレス」を高めて(がん細胞を)死滅できます。
    つまり、がん細胞に、エネルギー産生のために「ケトン体」や「脂肪酸」を使用させて自滅させる
    ように仕掛けるのです。

    「ケトン体」は「モノカルボン酸トランスポーター」の「MCT1」と「MCT2」を使って、
    細胞質とミトコンドリアに入ることができます。

    『ケトン食』は がん細胞の解糖系を阻害し、(ミトコンドリアの)「酸化的リン酸化」を亢進する結果、
    「ワールブルグ効果」を是正して「抗腫瘍効果」を発揮します。

    しかし、がん細胞は「グルタミン」の取込みを増やして TCA での物質代謝(脂肪酸合成など)を維持し、
    「ケトン体」もエネルギー源として利用しようとします。

    したがって『ケトン食』単独では「抗腫瘍効果」に限界があり、
    場合によっては、がん細胞を助けることにもなります

    がん細胞におけるミトコンドリアでの「酸化的リン酸化」を亢進するときには、
    「活性酸素」の産生を高める「メトホルミン」や「レスベラトロール」、
    「抗酸化システム」を阻害する「ジスルフィラム」や「オーラノフィン」、
    解糖系を阻害する「2-デオキシ-D-グルコース2-DG)」などの「併用」が重要になります。
    つまり、がん細胞の「酸化ストレス」を徹底的に高めることが重要です

    中途半端では「逆効果になるがん細胞の増殖を促進する)」ので、注意が必要です。


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 以上、この内容をまとめますと、次の通りになるでしょう。


    癌細胞の “二大栄養素” は「ブドウ糖(グルコース)」と「グルタミン(アミノ酸の一種)」である。
     「ブドウ糖」は 癌細胞の「解糖系のエネルギー源」となり、
     「グルタミン」は 癌細胞の「ミトコンドリアのエネルギー源」となる。

     『ケトン食(糖質制限食)』は「ブドウ糖の摂取量」を抑制して 癌細胞の「解糖系」を阻害し、
     癌細胞に「ケトン体」や「脂肪酸」をミトコンドリアでエネルギー源として利用させ、
     ミトコンドリアの「酸素呼吸(酸化的リン酸化)」を亢進させる結果、
     癌細胞での「活性酸素」の産生を増やして「酸化ストレス」を高め、
     「ワールブルグ効果」を是正(改善)して「抗腫瘍効果」を発揮し、
     癌細胞を自滅(死滅)させることができる。

     しかし、癌細胞は「グルタミン」の取り込みを増やして物質代謝を維持し、
     「ケトン体」や「脂肪酸」をエネルギー源として利用するため、
     『ケトン食(糖質制限食)』によって「ブドウ糖の摂取量」を抑制することで、
     癌細胞の「解糖系」を阻害して癌細胞を「ブドウ糖」に飢えさせても(枯渇させても)、
     癌細胞は抑制している「ミトコンドリアでのエネルギー産生」を高め、
     「ケトン体」や「脂肪酸」をエネルギー源にしてエネルギー産生を行なうようになる。

     こうなると、かえって癌細胞のエネルギー産生を、
     癌細胞が得意とする「解糖系が優位な状態」から、
     癌細胞が苦手とする「酸素を使ったミトコンドリアでのエネルギー産生」へと、
     癌細胞に「適応させて」生き延びさせる(癌細胞の増殖を促進させる)ことになる。
     ゆえに『ケトン食(糖質制限食)』だけで「癌の栄養」を完全に断つことは難しい。

     したがって『ケトン食(糖質制限食)』単独では「抗腫瘍効果」に限界があり、
     場合によっては、がん細胞を助けることにもなる。



 このような理由で、『ケトン食糖質制限食)』だけの治療だと「抗腫瘍効果」が低く、以上のように、癌細胞のエネルギー産生を「解糖系 優位」から「ミトコンドリア 優位」へと「適応させて」変化させてしまうことにより、癌細胞のエネルギー産生を逆に進化させることにもなります。

 ですから、『ケトン食糖質制限食)』の治療を中途半端に終わらせないためにも、『ケトン食糖質制限食)』に「他の治療」をいろいろと組み合わせて「併用」して行なうことによって、癌細胞の「酸化ストレス」が致死量に至るまで高める工夫をすることが必要だそうです。
 そのため、『ケトン食(糖質制限食)プラスアルファ』の治療が重要だということです。


 私も癌治療における『ケトン食糖質制限食)』の重要性を強く感じてきたものの、実地的には『ケトン食糖質制限食)』だけで癌を改善するのは難しいのだろう‥ と感じていました。
 現に、癌医療の実地で、『ケトン食糖質制限食)』の治療で癌から助からなかった‥、というネガティブな報告もあるからです。

 それで、次の記事を作成しました。


   「糖質制限食(ケトン食)」や「断糖食」によって「ブドウ糖」を絶って体内の癌が死滅しても、
     それだけで癌が治るわけではない!【 癌治療は「総合医療」で対処すること 】



 世間の実地では『ケトン食糖質制限食)』+『高濃度ビタミンC点滴』などの「組み合わせ併用)」によって治療効果を上げている医師がいます。

 なぜ『ケトン食糖質制限食)』に「他の治療」を組み合わせて「併用」して行なう必要があるのか‥。
 なぜ『ケトン食(糖質制限食)プラスアルファ』の治療で行なわなければならないのか‥。

 それは、上記の「福田一典」医師の説明の如く、癌細胞が「ブドウ糖」に飢えた(枯渇した)ときには、癌細胞が「解糖系が優位のエネルギー産生」から「ミトコンドリアでのエネルギー産生」へと切り替わる、という「変化」が癌細胞に起こる(癌細胞が適応して「進化」する)からではないでしょうか‥。

 私は当記事を読み、以上のように理解をしました。
 そして、どうして『ケトン食糖質制限食)』だけの治療では「抗腫瘍効果」が低いのか‥、どうして『ケトン食(糖質制限食)プラスアルファ』の治療でなければ「治療効果」が低いのか‥、ここについて、よく納得することができました。

 基本的に『ケトン食糖質制限食)』を実行して癌細胞に「ブドウ糖」に飢えさせる(枯渇させる)、その上で、それに加えて『プラスアルファ』で「他の治療」を組み合わせなければならない、ということなのです。


 世の中には『ケトン食糖質制限食)』だけの治療で癌が改善した癌患者さんも実際におられることでしょう。
 しかし『ケトン食糖質制限食)』だけの治療で「すべての癌患者の癌が改善する」と思うのは危険なことです。
 「癌の生還率」を上げるためにも、必ず『ケトン食(糖質制限食)プラスアルファ』の治療を行なうべきだと思います。より安全性のある、より確実性のある道を選択していきましょう!

 当記事を通して、癌治療には『ケトン食糖質制限食)』が重要であること、しかし『ケトン食糖質制限食)』だけに頼っては決してならないこと、ここについてのご理解を深めて頂けたらと思います m(__)m



 なお、世間では今も、このようなことを言われている方々がいます。


   ケトン食(糖質制限食)で、癌が治る!


 そして、


   癌細胞は ミトコンドリアが ATP を産生できない細胞である!


 これは「間違い」であり、正確性に欠けた問題のある「言葉表現」です。

 確かに『ケトン食糖質制限食)』は癌治療に有効し、癌の改善に貢献します。
 しかし『ケトン食糖質制限食)』だけでは、上記の理由から「抗腫瘍効果」が低いため、「抗腫瘍効果」をより高めるためには『ケトン食糖質制限食)』に「他の治療」を『プラスアルファ』で組み合わせなければならない、つまり『ケトン食(糖質制限食)プラスアルファ』でなければ確実とは言えない実情があります。
 ですから、まるで『ケトン食糖質制限食)』だけで「すべての癌患者の癌が治ってしまう」かのような誇張した発言は控えるべきです。

 また、癌細胞は『ミトコンドリアがエネルギー(ATP)を産生できない細胞なのではありません。
 癌細胞は、酸素が苦手なので「酸素を使ったエネルギー(ATP)産生を行ないたくない」という事情があるため、酸素を使わなければならない ミトコンドリアでのエネルギー(ATP)産生を、ただ「抑制しているだけ」です。
 こうした処置を取った上で、癌細胞は 酸素を使わないでエネルギー(ATP)を産生することができる解糖系を亢進させているのです。
 ですから、癌細胞は『ケトン食糖質制限食)』によって「ブドウ糖の摂取量」を抑制されて解糖系を阻害されると、自身のエネルギー(ATP)産生を「酸素を使ったミトコンドリアでのエネルギー(ATP)産生に切り替えるしか生き残る術が無くなる」ため、癌細胞は「ブドウ糖」に飢えた(枯渇した)ときに『ミトコンドリアで「ケトン体」や「脂肪酸」をエネルギー源として利用し、エネルギー(ATP)産生をミトコンドリアで行なうようになる』というわけです。
 よって、癌細胞は『ミトコンドリアがエネルギー(ATP)を産生できない細胞というわけではないのですね。

 ここは、当記事の「福田一典」医師による説明からご理解して頂けると思います m(__)m



 ただ、私にも、次のような疑問が残ります。


    癌細胞が『ケトン食(糖質制限食)』によって解糖系が阻害されたときに、
     ( 癌細胞が『ケトン食(糖質制限食)』によって「ブドウ糖」に枯渇して飢えたときに、
     すべての癌患者の癌が「ミトコンドリアでのエネルギー産生」へと移行して適応できるのか?



 これは、おそらく、癌の悪性度などの「癌の程度」によると思われます。
 実際に『ケトン食糖質制限食)』だけで癌が消失した癌患者さんもおられますから‥。

 しかし『ケトン食糖質制限食)』を用いて癌患者を改善させている医師たちが、みな現実的に採用している方法は、いずれも『ケトン食糖質制限食)』に『高濃度ビタミンC点滴』などの「他の治療」を組み合わせて「併用」して行なう、というものです。これで「治療効果」を上げています。

 医師は、すべての癌患者の癌に対応しなくてはなりません。
 この癌患者さんは『ケトン食糖質制限食)』だけで治ったが‥、この癌患者さんは『ケトン食糖質制限食)』だけではダメだった‥、そんなことは許されないことです。
 医師は、すべての癌患者さんを「平等に治してあげなければならない」立場にあります(当たり前ですけど‥)。
 ですから、医師は「より確実な方法治療効果がより高く得られる方法)」のほうを採用します。

 『ケトン食糖質制限食)』を用いた癌治療を行なっている医師たちが、共通して『ケトン食糖質制限食)』に「他の治療」を組み合わせて「併用」して行なう方法を採用している、ということを考慮すれば、独自に『ケトン食糖質制限食)』を採用する癌患者さんは、より確実性を求めて「癌の生還率」をしっかりと上げるためにも、必ず『ケトン食(糖質制限食)プラスアルファ』の方法を採用するべきである、と言えるでしょう。

 『ケトン食糖質制限食)』に関しましては、以上の点などをご確認して頂けますと幸いです。
 ぜひ、当記事をご参考にされてみてください。よろしくお願いします m(__)m




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 【お詫びと訂正】

 私は当ブログにて『癌細胞とブドウ糖の関係』の内容で、次の「言葉表現」を使っていたことがありました。


    癌細胞はミトコンドリアに不具合が生じ、ミトコンドリアが正常に機能していない細胞で、
     ミトコンドリアでのエネルギー産生ができないため、
     癌細胞はブドウ糖「のみ」がエネルギー源になっています。


    ブドウ糖は、癌細胞の「唯一にして」最大の餌です。


 上記の「のみ」「唯一にして」という「言葉表現」は完全に誤りでした。
 私も『癌細胞はミトコンドリアが ATP を産生できない細胞である』と思っていたところがありましたが、当記事の「福田一典」医師の説明で目が覚めました。癌細胞のエネルギー源は「ブドウ糖」だけではありません。
 ここで訂正させて頂くと共に、深くお詫び申し上げます m(__)m


 「日本の 糖質制限食(ケトン食)の第一人者」として知られる、京都の『高雄病院』理事長の「江部康二」医師も、次の記事にて、このように言われています。

    癌と糖質制限食(ケトン食)【 アメリカでは2011年に「糖質制限食(ケトン食)」の
     “癌に対する治療効果” の本格的な研究が開始されている:江部康二 医師 】


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  それから癌細胞が、基本「ブドウ糖しかエネルギー源にできない」のは事実です
   この事実に基づき、米国で【 肺癌に対するケトン食療法 with「放射線・化学療法」】という臨床試験が、
   2011年8月から開始されました。非小細胞肺癌4期の患者さんにターゲットをしぼった研究です。

  ケトン体は、人体における「最も効率の良いエネルギー源」であり、
   動物実験では「癌細胞抑制作用」が確認されています。
   そして、癌細胞は「ブドウ糖」しかエネルギー源にできません
   正常細胞のように「ケトン体」や「脂肪酸」をエネルギー源にすることができないのです


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 ご覧のように「江部康二」医師でさえ、

    癌細胞が、基本「ブドウ糖しかエネルギー源にできない」のは事実です。
    癌細胞は「ブドウ糖」しかエネルギー源にできません
     正常細胞のように「ケトン体」や「脂肪酸」をエネルギー源にすることができないのです。


 と言われています。

 このように、以前は、医師自体が『癌細胞は「ブドウ糖」しかエネルギー源にすることができず、ミトコンドリアが正常に機能していないので「ケトン体」や「脂肪酸」をエネルギー源にすることができない』と考えていました。
 癌細胞は通常「ブドウ糖が最大の餌である」ことは事実ですが、しかし、癌細胞が「ブドウ糖」に枯渇して飢えると、ミトコンドリアでのエネルギー産生を向上させて「ケトン体」や「脂肪酸」をエネルギー源にし始めるのです。


 世間にある情報で『癌細胞が利用するエネルギー源は「ブドウ糖」ではなく、実は「グルタミン」だった』などと言われていたりしているのを私も知ってはいました。
 しかし「ブドウ糖」が癌の「最大の餌」であることには間違いないということから、癌の餌として「ブドウ糖」に最大の意識を向けていました。

 そして『癌の食事療法』の「選択ミス」によって癌が改善せずに亡くなっていった癌患者さんは「糖質の摂取量」に対して「制限を設けていない」ことが大きな原因となり、「ブドウ糖」の過剰摂取によって癌を育てて進行させ、癌治療に失敗しているケースが非常に多かったことから、私は「ブドウ糖が癌を育てて進行させてしまうこと」また「糖質の摂取量に制限を設けることの重要性」について、世の癌患者さんに「最大限の意識を持ってほしい」という思いが強くあり、癌細胞を育てる「グルタミン」に対する意識が不足していました。

 それで、上記のような、正確性に欠ける「言葉表現」をしていました。
 本当に申し訳ありません m(__)m


 癌患者が通常通りに「ブドウ糖」を摂取していますと、癌細胞はこの「ブドウ糖」を「解糖系が優位のエネルギー産生」にて主なエネルギー源として利用します。
 癌細胞は「ミトコンドリアでのエネルギー産生」を「行ないたくない」ため、「ブドウ糖」にありつけるうちは、解糖系を亢進させて「ブドウ糖」を主なエネルギー源としてエネルギー産生をしているのです。

 しかし、上記の「福田一典」医師の説明の通り、癌細胞は「ブドウ糖」に飢える(枯渇する)と「ミトコンドリアでのエネルギー産生」を高め、ミトコンドリアで「ケトン体」や「脂肪酸」をエネルギー源にしてエネルギー産生を行なうようになるのだそうです。
 ですから、『ケトン食糖質制限食)』単独では「抗腫瘍効果」に限界があり、場合によっては「癌細胞を助けることにもなる逆効果になり、癌細胞の増殖を促進する)」と「福田一典」医師は注意を促しています。


 上述しました通り、癌細胞は「ブドウ糖」に飢えた(枯渇した)とき、通常は抑制している「ミトコンドリアでのエネルギー産生」を使用して「ケトン体」や「脂肪酸」をエネルギー源にするようになるそうです。

 世間の実地でも『ケトン食糖質制限食)』+『高濃度ビタミンC点滴』などの「組み合わせ併用)」によって治療効果を上げている医師がおりますが、なぜ『ケトン食(糖質制限食)プラスアルファ』の治療で行なわなければならないのか‥、当記事の「福田一典」医師による説明でよく理解することができました。

 世間にはまだ『糖質(ブドウ糖)を断てば、癌は治る!』と思い込んでいる方々が多いかと思いますが、そうではないということを当記事からつかまれてみてください m(__)m


 ただ、「ブドウ糖」が癌細胞の「最大の餌」であることは事実です。

 もし、癌患者さんが「糖質制限」をまったく実行せずして、日々、糖質を無制限に摂取していれば、毎日、癌細胞に大量の「ブドウ糖」が取り込まれ、癌細胞は「解糖系だけのエネルギー産生」で悠々自適に成長して進行していくのみです。やはり『ケトン食糖質制限食)』は「必須」と見なさなければなりません。
 癌患者さんは「もし、本当に癌を改善したいのであれば」ここを深く理解し、必ず「悟る」べきです。

 ですから『ケトン食糖質制限食)』の実行に加えて、必ず『プラスアルファ』で「他の治療」を組み合わせないとなりません。必ず、必ず、必ず『ケトン食(糖質制限食)プラスアルファ』の癌治療を強く意識されてください。よろしくお願いします m(__)m



上記の「もし、本当に癌を改善したいのであれば」というところを見て、中には「不愉快に感じる」癌患者さんもおられることでしょう。しかし、私が世の癌患者さんを見るに、癌治療に対して真剣さが欠如している癌患者さんのほうが多いのではないかと感じざるを得ないことが多々あります。

 若造がまた生意気を承知で言いますが、癌患者さんは「本当に癌を改善したいのか?」という重要な意識認識について、もう一度、深く深く考えてみてください。この思いが欠如していると『本当に癌を改善するための癌治療』に対して盲目になってしまいますよ‥。
 『自分で癌を治す』という意識認識の重要性について、真剣になって見つめ直してみてください‥。

 上記で「お詫び」しておきながら「あれまッ、若造がまた生意気なことを言っているゾ!」と思われてもまったく構いません。今回、つい、こう言いたくなってしまうのには、このような理由があります。


 先日、旧い友人(横浜出身)と久しぶりに会いまして、ジョナサンのドリンクバーで語り合いました。
 その友人の奥さんのお父さんが亡くなられたのですが、死因は「肝臓癌」だったそうです。
 そのお父さんは「抗がん剤治療」を少し受けていたそうですが、もはや諦めて「癌で死ぬ前に好きなことをやってから死ぬんだ!」と吹っ切れてしまったらしく、「抗がん剤治療」を止め、好きなことをやって暮らし、自分が癌であることを「娘夫婦」に何も話さなかった(伝えなかった)そうです。
 ですから、友人も、その友人の奥さんも「亡くなる直前」に知らせを受けて、その時に初めて知ったそうです‥。

 癌が発見されたときには「ステージⅣ」の「末期癌」だったそうです。
 そのお父さんは「末期癌」でありながら「甘いもの」が大好きでバクバク食べていたようで、しかも「コーラ」もガブガブ飲んでいたようです。そして、癌が発見されてから短期間で亡くなられた、ということでした‥。

 私はその話を友人から聞き、世の癌患者さんのこうした『癌に対する「無知」から起こる、痛ましき姿(現実』に対し、何だか、またやるせなくなり、その友人に対して思わず、


    癌は糖質で一番育つんだから、そんなに「甘いもの」や「コーラ」を好きなだけ摂っていたら、
     短期間で癌が進行して亡くなることになっても、そんなの当たり前だよ‥。



 と、つい、こぼしてしまいました‥。

 ここに観るべきことは、癌の専門家等が癌患者に対して『癌と食事の関係』に関する「正しい指導」が何もできていない実態と、癌患者の不勉強(癌について真剣に調べない)という実態、そして、癌患者が『癌を治す!』という意識に欠如している実態が、まだまだ世間に色濃く見受けられるという点です。

 特に、癌は「糖質を無制限で好きなだけ摂取する」ような「愚行」を犯せば、癌があっという間に進行し、帰らぬ人となってしまうのです。こんなことをしていたら、まず、どんな癌治療を行なっていても「癌を治す」ことなど、とても無理だということを、世の癌患者さんは悟らなければなりません。
 「糖質を無制限で好きなだけ摂取する」行為‥、これが如何に「愚行」であるかを、癌患者であれば、真っ先に、真剣になって理解せねばならないのです‥。


 このような癌患者さんの話を実際に聞く度に『癌と食事の関係』に関する記事を作成する必要性を強く感じます。
 特に『癌細胞とブドウ糖の関係』に関する内容については、癌患者さんに真っ先に理解して頂かなければならない大事です。「ブドウ糖」が「癌を育てて進行させる大きな原因」となっている事実(現実)を、癌患者のみなさんによくよく理解して頂かなければなりません。

 癌細胞はミトコンドリアでのエネルギー産生を抑制し、解糖系を亢進して、正常細胞の数倍から数十倍もの大量の「ブドウ糖」を取り込んでいます(癌が悪性化しているほど多くの「ブドウ糖」を取り込んでいます)。
 癌細胞が大量に取り込んだ「ブドウ糖」の多く(凡そ「9割」程度)が解糖系だけで代謝されるため、癌細胞での最終代謝産物は「乳酸」だらけになるのです。
 癌細胞は大量の「ブドウ糖」を貪欲に取り込んでは「乳酸」を大量につくり出し、その大量に発生した「乳酸」によって「酸性化」しています。この「乳酸」及び「酸性化」による「酸毒」は “癌の重要な成長因子” となり、癌の増殖悪性化転移進行を促進しているのです。
 癌細胞の代謝における「この流れ」が、世界の「癌の常識」となっている「ワールブルグ効果」です。

 ですから、癌細胞に「ブドウ糖」を取り込ませれば取り込ませるほど、癌が増殖悪性化転移進行へと進んで当然です。癌細胞での「ブドウ糖の取り込み」を阻止することは、癌の増殖悪性化転移進行を阻害するための基本であり、癌治療において非常に重要な要素なのです。
 ゆえに、癌患者さんにとって「ブドウ糖の摂取量に制限を設ける糖質制限)」のは、癌の増殖悪性化転移進行を阻害して防ぐための「一番重要な基本」となるのです。
 癌を改善させたいのであれば、この『癌細胞とブドウ糖の関係』を決して甘く見てはなりません。

 しかし‥、通常療法の多くの医師看護師が(つまり、通常療法の医療機関の病院職員が)、また、多くの癌患者さんが、この『癌細胞とブドウ糖の関係』に対して「甘く見る」どころか、完全に「無視」しています。もしくは、この事実を知らないために「無知」になっているのです。


 上記のような癌患者さんの「糖質無制限の食生活」は、癌を育てて進行させる “命を縮める行為” です。
 そして、通常療法の医療機関に入院したときに出される『入院食病院食)』による “命を縮める行為” もあり、また「糖質の摂取量」をまったく考慮していない『間違った食事療法』による “命を縮める行為” もあります。

 こういった、癌治療における「間違った行為」が、私はどうしても痛ましく感じられます。
 そうした思いが強くあり、次のような記事を作成しました‥。

    入院での食事(管理栄養士が献立を考えた入院食・病院食)に絶望する毎日
     【 入院した癌患者に対して、病院は「癌を育てる食事」を出して、癌を急速に進行させている!】


    癌治療で『にんじんジュース』を多用・多飲するのは、癌治療として適切なのだろうか?
     【「糖質の摂取量」を無視した『癌の食事療法』は、かえって癌を育てて進行させる!】


 上記の2つの記事にある「切実なる問題」に対し、世の医療の専門家のみなさん、及び、世の癌患者のみなさんの深いご理解をお願いしたいです。よろしくお願いします m(__)m


 以上の観点から癌を見つめ、癌の増殖悪性化転移進行を阻害して防ぐための『食事療法』をアプローチするならば、まずもって、癌を育てて進行させてしまう大きな原因となる「糖質」の摂取に対して一番重点を置いている『ケトン食糖質制限食)』こそが「癌治療の基本」と見なすべきです。

 まず、癌は最低限『ケトン食糖質制限食)』が絶対に「必須」であること、そして『ケトン食糖質制限食)』だけでなく、必ず『ケトン食糖質制限食)』に加えて「他の治療」を組み合わせる必要があること、つまり、癌は『ケトン食(糖質制限食)プラスアルファ』の治療を実行しなければならないこと、ここを「悟れる強い緊張感と共に、その事実を深く感じて受け止める)」までよくご理解してください。
 もし、癌患者さんが『癌を治したい!』という気持ちを「本当に」お持ちであるならば‥ m(__)m

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 517)「ワールブルグ効果」を是正すると、がん細胞は自滅する
 【「『漢方がん治療』を考える(福田一典 医師)」
より 】

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【図】
◆◆

(1)がん細胞は「解糖系」が亢進して「乳酸」の産生が増えている。
(2)「乳酸」は、肝臓や腎臓や がん間質細胞で「糖新生」によってグルコース(ブドウ糖)に変換され再利用される。
(3)「2-デオキシ-D-グルコース2-DG)」は、がん細胞の「解糖系」を阻害し、
(4)「ジクロロ酢酸ナトリウムDCA)」は「ピルビン酸脱水素酵素」を活性化して、
    ピルビン酸から アセチルCoA への変換を促進する。
(5)「メトホルミン」は「糖新生」を阻害する。
(6)「メトホルミン」は「呼吸鎖(電子伝達系)」を阻害して、
(7)ATP産生を低下させ、
(8)さらに、ミトコンドリアでの「活性酸素」の産生を増やして「酸化ストレス」を亢進する。
(9)「ケトン食」は、グルコース(ブドウ糖)の利用を阻害し、
(10)「脂肪酸」と「ケトン体」は、ミトコンドリアでの代謝を亢進して「酸素呼吸(酸化的リン酸化)」を亢進する。
(11)これらの組み合せは、「酸化ストレス」を高め、ATP産生を低下させて、
    がん細胞の増殖を抑制し、細胞死を誘導する。
 「2-デオキシ-D-グルコース2-DG)」と「ジクロロ酢酸ナトリウムDCA)」は「メトホルミン」による『乳酸アシドーシス』を防ぐので、副作用も少なくなり、「抗腫瘍活性」を高めることができる。◆◆



断食は「ワールブルグ効果」を是正して、がん細胞を自滅させる

 がん細胞では、酸素が充分に利用できる状況でもミトコンドリアでの「酸素呼吸(酸化的リン酸化)」が抑制され、「グルコース(ブドウ糖)の取込み」と「解糖系」が亢進し、「乳酸」の生成が増えている、という物質代謝の特徴を持っています(下図)。

 これを「好気性解糖Aerobic glycolysis)」あるいは「ワールブルグ効果Warburg effect)」と言います。


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【図】
◆◆ がん細胞では「グルコース(ブドウ糖)の取り込み」と「解糖系」が亢進し、ミトコンドリアでの「酸素呼吸(酸化的リン酸化)」は抑制されている。そのレベルは がん細胞によって異なるが、一つの平均的な数値として、正常細胞のグルコース(ブドウ糖)の取込み量を「1」とした相対値を記載している。
 正常細胞では取り込まれたグルコース(ブドウ糖)の「8割」くらいがミトコンドリアでの代謝に使われている(上図)。
 がん細胞でもミトコンドリアでの代謝は正常細胞と同程度に起こっているが、グルコース(ブドウ糖)の取込みは「10倍」程度に亢進し、その多く(「9割」程度 )は「解糖系」で代謝され、「乳酸」の産生が顕著に増えている(下図)。
 (参考Free Radic Biol Med 2015 Feb; 0: 253-263
◆◆


 「解糖系」を阻害して(ミトコンドリアでの)「酸素呼吸(酸化的リン酸化)」を亢進すると、がん細胞は自滅します。
 その一つの方法として『断食』があります。

 以下のような報告があります。


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   Fasting induces anti-Warburg effect that increases respiration but reduces ATP-synthesis
      to promote apoptosis in colon cancer models.

    (大腸がんの実験モデルにおいて、断食は「酸素呼吸」を亢進し、
     ATP合成は低下させることによって「ワールブルグ効果」を是正し、アポトーシスを亢進する

    〔Oncotarget. 2015 May 20; 6(14): 11806–11819.


【要旨】

 がん細胞における「抗がん剤耐性」は、「好気性解糖」の亢進と「酸化的リン酸化ミトコンドリアでの酸素呼吸)」の低下という「がん細胞の代謝」の特徴(ワールブルグ効果)と関連が深く、この「ワールブルグ効果」を是正すると、多くのがん細胞において「抗がん剤耐性」が低下できることが知られている。

 以前の研究において、『短期間の絶食断食)』が、「抗がん剤」によるダメージから正常細胞を保護し、がん細胞に対しては「ダメージを高める効果」があることを報告したが、そのメカニズムに関しては充分に解明されていない。

 今回の研究では、「抗がん剤」の「オキサリプラチン」と『48時間の絶食2日間の短期間断食)』の併用が、大腸がん細胞「CT26 細胞株」の増殖にどのような影響を及ぼすかを検討した。

 細胞培養による「in vitro(試験管内)」の実験と、動物を使った「in vivo(生体内)」の実験系の両方において、『48時間の絶食』は「オキサリプラチン」の「抗腫瘍効果」を増強した。

 「CT26 大腸がん細胞」において、『48時間の絶食』は「好気性解糖系」と「グルタミン代謝glutaminolysis)」を低下させ、ミトコンドリアでの「酸化的リン酸化」を亢進した。

 『絶食』は、ミトコンドリアの「呼吸酵素複合体-I(Complex I)」と「呼吸酵素複合体II(Complex II)」における酸素消費を増やし、「活性酸素」の産生を高めて「酸化ストレス」を高めたが、ATP産生は減少した。

 「抗がん剤治療」は「コハク酸/複合体II」による酸素消費を増やし、「酸化ストレス」を亢進してアポトーシスを誘導することによって、さらに「細胞毒性」を高める。

 これらの結果は、『短期間(48時間)の絶食』による「グルコース(ブドウ糖)」と「アミノ酸」の欠乏は「ワールブルグ効果」を是正し、ミトコンドリアでの酸素消費を増やすが ATP産生は増やせず、その結果、「酸化ストレス」による酸化傷害を引き起こしてアポトーシスが誘導されることを示している。


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 がんの食事療法において『断食』があります。

 『断食』はグルコース(ブドウ糖)の利用を低下させ、「ケトン体」産生や「オートファジー」の亢進などによって「抗腫瘍効果」を発揮します。ただし、『断食』の「長期間」の実施は、体重や体力や栄養状態を低下させるデメリットがあります。
 しかし、2~3日程度の『短期間の断食』が「抗がん剤治療」や「放射線治療」の副作用を軽減し、「抗腫瘍効果」を高めることは人間でも証明されています(391話」参照 )。


 がん細胞が増殖するための “二大栄養素” は「グルコース(ブドウ糖)」と「グルタミン」です。
 がん細胞では、「グルコース(ブドウ糖)」と「グルタミン」の取込みが増えています。

 がん細胞の「解糖系」と「グルタミン代謝」を阻害し、ミトコンドリアの「酸化的リン酸化」を亢進すると「がん細胞の増殖を抑制できる」ことが明らかになっています。


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【図】
◆◆
増殖活性の高い がん細胞は「グルコース(ブドウ糖)」と「グルタミン」の取込みと代謝が亢進している。◆◆


 この論文では、2日間の水だけの『短期間の絶食断食)』を行なうと、「グルコース(ブドウ糖)」と「アミノ酸」の利用が低下し、「抗がん剤治療」に対して、正常細胞へのダメージは軽減し、がん細胞へのダメージは増強することを示しています。臨床試験でも、『絶食断食』自体には副作用はなく、「抗がん剤」の副作用を軽減することが報告されています。

 『絶食断食』すると、日頃、細胞分裂を行なっている正常細胞も一時的に増殖を止めるか分裂速度を低下させます。
 「抗がん剤」は「細胞分裂をしている細胞を死滅させる」ので、正常細胞の分裂が低下すれば、それだけダメージを受け難くなります。
 しかし、がん細胞は「体の制御から外れた状態での自律増殖を行なっている」ので、『短期間の絶食断食』では増殖速度は変わらないので「抗がん剤」や「放射線」に対する感受性は変化しません。

 また、正常細胞は『絶食断食』や『カロリー制限』によって様々なストレスや毒物に対する「抵抗性」が高まります。
 これも「抗がん剤」や「放射線」による正常細胞のダメージの軽減にも関連しています。

   『絶食(断食)』は、正常細胞の「ストレス抵抗性」を高め、細胞分裂を一時的に低下させて、
    「抗がん剤」や「放射線」によるダメージを軽減する。


 ということです。


 この論文では、『絶食断食』は、がん細胞の「解糖系」と「グルタミン代謝」を抑制し、ミトコンドリアでの「酸素呼吸(酸化的リン酸化)」を亢進し、「活性酸素」の産生を増やして「酸化ストレス」を高め、ATP産生を低下させる効果によって がん細胞にアポトーシスを誘導することを明らかにしています。

 がん細胞の「ワールブルグ効果」を是正すると、がん細胞は「酸化ストレス亢進」と「ATP 枯渇」によって死滅する、ということを示しています。

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【図】
◆◆
絶食断食)』は、がん細胞における「グルコース(ブドウ糖)の取込み」と「解糖系」と「ペントースリン酸経路」と「グルタミン代謝グルタミノリシス)」を抑制し、ミトコンドリアでの「酸素呼吸(酸化的リン酸化)」を亢進し、「活性酸素」の産生を増やして「酸化ストレス」を高め、ATP産生を抑制して細胞増殖を抑制し、アポトーシスを誘導する。◆◆



「ワールブルグ効果」を是正すると「がん性悪液質」が改善する

 前述のように、がん細胞の “二大栄養素” は「グルコース(ブドウ糖)」と「グルタミン」です。

 グルコース(ブドウ糖)は「解糖系」が亢進して「乳酸」の産生が増えています。
 「グルタミン」も「グルタミン酸」から「α-ケトグルタル酸」に変換されて「TCA回路」に入り、その「50%」くらいが「乳酸」に変換される、と報告されています。

 このようにして、がん細胞内では「乳酸」の産生が増え、(乳酸が)「モノカルボン酸トランスポーター(MCT)」を通って細胞外に移行し、周囲の「がん間質細胞(線維芽細胞や炎症細胞)」や血流に乗って、肝臓や腎臓を使って「糖新生」でグルコース(ブドウ糖)に変換されて、がん細胞に再利用されます。

上記を簡潔に言いますと、次のようになります。
 癌細胞に大量の「グルコース(ブドウ糖)」と「グルタミン」が取り込まれる  両者は共に、癌細胞内に大量の「乳酸」を産生する  この「乳酸」は血流に乗り、肝臓や腎臓で「糖新生」によって「グルコース(ブドウ糖)」に変換される 糖新生」によって「乳酸」から変換されてつくられた「グルコース(ブドウ糖)」が血流に乗り、また癌細胞に取り込まれて再利用される‥、この繰り返しが続きます。下記の如く、宿主〔正常細胞〕はエネルギー〔ATP〕を消費しながら「糖新生」を行ない、癌細胞のために「グルコース(ブドウ糖)」を再生し続けることになるのです。
 癌細胞で産生された大量の「乳酸」  その「乳酸」を血流を通して回収し、肝臓や腎臓で「糖新生」により「グルコース(ブドウ糖)」に変換  こうして「糖新生」によって再生された「グルコース(ブドウ糖)」は血流を通して、また癌細胞に取り込まれて再利用され、「癌を育てる餌」となる‥、これが繰り返されます。がん細胞は「宿主の代謝系」をハイジャックして、自分の増殖に利用しているのです。

 癌細胞における「乳酸の産生」を阻止することは、癌治療において非常に重要な要素です。下記されていますが、この一つの手段として『ケトン食(糖質制限食)』が効果します。
 癌細胞で「乳酸」が大量につくられる大きな原因は、癌細胞に「グルコース(ブドウ糖)」が大量に取り込まれるからです。癌細胞は解糖系が亢進しているため、取り込んだ「グルコース(ブドウ糖)」の最終代謝産物の多くが「乳酸」になってしまうのです。癌細胞の「乳酸の産生」と、その「乳酸」による「酸性化」を阻止するには、癌細胞に「グルコース(ブドウ糖)」を取り込ませないようにすることです。ここで効力を発揮するのが『ケトン食(糖質制限食)』なのです。

 しかし〔下記されていますように〕がん細胞は「グルコース(ブドウ糖)」に枯渇しても「グルタミン」の取込みを増やして「TCA」での物質代謝〔脂肪酸合成など〕を維持し、「ケトン体」もエネルギー源として利用しようとしますので、『ケトン食(糖質制限食)』単独で行なっても「抗腫瘍効果」に限界があり、場合によっては「かえって癌細胞を助ける逆効果となり、かえって癌を育てて進行させてしまう)」ことにもなるようです。

 また、癌細胞に「乳酸」が蓄積しますと、癌細胞が「酸性化」し、この「癌細胞の酸性化」は癌の増殖悪性化転移進行を促進します。ここは、次の記事を参照してください。

   『重曹』の 経口摂取 は、癌細胞の「酸性化」を改善して「アルカリ化」し、癌の発生の阻止、
     癌の浸潤・転移を 有意に 抑制する「抗腫瘍効果」を発揮する! - 福田一典 医師


 上記の記事の通り、『重曹療法重炭酸ナトリウム)』によって「癌細胞の酸性化」を改善して「アルカリ化」すると、癌の増殖悪性化転移進行を抑制する「抗腫瘍効果」を発揮します。

 つまり『ケトン食(糖質制限食)』単独では「抗腫瘍効果」に限界があるため、上記の『重曹療法重炭酸ナトリウム)』や下記されている方法などの「抗がん療法」を組み合わせて「併用」することにより「抗腫瘍効果」を高めることが重要となるのです。癌治療は「1点絞りたった「1つの療法」しか行なわない)」では絶対にダメです。癌治療に有効することが研究報告によって科学的医学的に正式に解明されている方法〔できる限り、副作用の無い自然療法が理想です〕をいろいろと複合的に組み合わせて「併用」して行ない、積極的に「抗腫瘍効果」を高めていきましょう!
ブログ管理人


 この「糖新生」では、宿主(正常細胞)は、エネルギー(ATP)を使って「がん細胞のためにグルコース(ブドウ糖)を再生する」ことになります。
 「2分子の乳酸」から「1分子のグルコース(ブドウ糖)」をつくるのに「6分子の ATP」を消費します。
 つまり、がん細胞は「宿主の代謝系」をハイジャックし、自分の増殖に利用しているのです。

 この「がん細胞の代謝」を阻止しないと、宿主は「がん細胞によって無駄にエネルギー(ATP)を消費して、体力と栄養を消耗する」ことになります。

 進行がんにおける倦怠感や体重減少などの「がん性悪液質」の症状の改善には、がん細胞における「解糖系亢進」と「乳酸産生」を阻止することが重要であることが理解できます。


 「メトホルミン」が「グルタミン代謝」を阻害することが知られています。
 『ケトン食』や「ジクロロ酢酸ナトリウムDCA)」や「2-デオキシ-D-グルコース2-DG)」も「ワールブルグ効果」を是正することによって「がん性悪液質」を改善する効果があります。

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【図】
◆◆
 がん細胞では「グルコース(ブドウ糖)」と「グルタミン」の取込みが増え、「乳酸」の産生が増えている。「乳酸」は肝臓や腎臓や「がん組織の間質細胞」などで「糖新生」によってグルコース(ブドウ糖)へ変換され、再度、がん細胞に利用される。がん細胞は「宿主の代謝系」をハイジャックして、自分の生存と増殖に利用している。
 この状況を阻止するためには、がん細胞からの「乳酸の産生」を抑制することが重要である。◆◆


 『ケトン食』は「がん性悪液質」を改善する効果があることが報告されています。
  以下のような論文があります。


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   Metabolic reprogramming induced by ketone bodies diminishes pancreatic cancer cachexia.
    (ケトン体によって誘導される「代謝の再プログラム化は膵臓がんの「悪液質」を軽減する
    〔Cancer & Metabolism. 2014;2:18. doi:10.1186/2049-3002-2-18.


【要旨】

〔背景〕
 「エネルギー代謝の異常(ワールブルグ効果)」は、がん細胞の最大の特徴である。
 がん細胞は増大するエネルギー要求を満たすために、「サイトカイン」や様々な因子を分泌し、筋肉や脂肪の分解を促進し、これが「がん性悪液質」と言われる状況である。がん関連死の20%程度が「悪液質」によると考えられている。
 しかし「がん性悪液質」のメカニズムや、その治療法に関しては、充分に解明されていない。

 高脂肪低糖質食の『ケトン食』では「ケトン体(アセト酢酸βヒドロキシ酪酸アセトン)」の血中濃度が増加し、代替エネルギー源となる。さらに『ケトン食』は、全身的な「代謝の変化」を引き起こす。
 がんでは「代謝の異常」が重要な役割を果たしている点を踏まえ、『ケトン食』は がん細胞における「グルコース(ブドウ糖)取り込み」を減らし、「悪液質」状態を軽減し、有効な治療法になる可能性がある。

〔結果〕
 複数の膵臓がん細胞を用いた実験で、培養がん細胞に「ケトン体」を投与すると、がん細胞の「グルコース(ブドウ糖)」と「グルタミン」の取込みと「総ATP量(ATP の総産生量)」を減少させ、細胞死を誘導した。
 「代謝の制御」に重要な働きをしている がん遺伝子の c-Myc の細胞内量と、解糖系酵素の遺伝子のプロモーター領域への c-Myc の結合が減少し、これが、がん細胞における「代謝の変化」と関連していることが示唆された。

 このような「ケトン体」によって誘導された膵臓がん細胞内の「代謝の再構成」は、がん細胞を用いた実験モデルで「がん性悪液質」を顕著に軽減することが示された。
 すなわち、マウスに膵臓がん細胞を移植した実験モデルにおいて、『ケトン食』が腫瘍の増殖と「悪液質」を抑制する効果があることが確認された。

〔結論〕
 以上の結果から、「がん性悪液質」は がん細胞における「特有の代謝異常」によって引き起こされ、この がん細胞における「代謝異常」は『ケトン食』によって是正でき、その結果、がん細胞の増殖を抑制し、筋肉と体重の減少を阻止した


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 膵臓がん患者の83%が「がん性悪液質」の状態になり、膵臓がん関連の死亡の「主要な原因」となっている、と報告されています。

 「がん性悪液質」では、脂肪だけでなく、筋肉も減少します。
 膵臓がんの治療では、がん細胞の増殖と「悪液質」の進展を阻止する有効な治療手段が必要です。
 この目的に『ケトン食』は有効だ、という報告です。



絶食(断食)と同じ「抗がん作用」を示す
  『ケトン食』+「2-デオキシグルコース」+「メトホルミン」+「ジクロロ酢酸」


 がん細胞における「ワールブルグ効果」を抑制し、エネルギー代謝を正常に是正すれば、がん細胞の増殖を抑制し、細胞死を誘導できます。

 前述のように『絶食断食』は がん細胞の「ワールブルグ効果」を是正して がん細胞を死滅させる効果が期待できます。
 しかし『長期間の絶食断食)』は、体力や栄養状態を低下させる欠点があります。

 体力や栄養状態を低下させないで『絶食断食』と同じような効果が期待できる方法として『ケトン食』があります。

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【図】
◆◆
糖質の摂取を極力減らし、脂肪の摂取を増やして「ケトン体」の産生を増やす『ケトン食』は、グルコース(ブドウ糖)の取込みや解糖系を抑制(=正常化)し、NADPH の産生を低下させ、がん細胞内の「活性酸素消去能」を低下させる。
 さらに『ケトン食』の主要なエネルギー源となる「脂肪酸」と「ケトン体」はミトコンドリアで「アセチルCoA」に変換されて代謝されるため、これらをエネルギー源として利用すると「活性酸素」の産生が亢進してダメージを受けることになる。
 つまり『ケトン食』は、がん細胞に対してエネルギー産生を抑制し、(がん細胞の)「活性酸素」の産生を高めて「酸化ストレス」を亢進する2つの機序によって、がん細胞を自滅させることができる。(参考Redox Biology 2: 963-970, 2014年◆◆


 「2-デオキシ-D-グルコース2-DG)」は解糖系を阻害することによって(がん細胞での)「乳酸」と「ATP」の産生を阻害します。

 経口糖尿病薬の「メトホルミン」はミトコンドリアの呼吸酵素を阻害して「ATP」の産生を阻害する作用があります。
 最近の研究では、「メトホルミン」が「2-デオキシ-D-グルコース2-DG)」と同様に解糖系酵素の「ヘキソキナーゼ」の活性を阻害する作用も明らかになっています。

 したがって、「2-デオキシ-D-グルコース2-DG)」と「メトホルミン」を併用すると、がん細胞のエネルギー産生を阻害する効果を高めることができます。

 マウスの移植腫瘍の実験モデルで、「2-デオキシ-D-グルコース2-DG)」と「メトホルミン」を併用すると、相乗的な「抗腫瘍効果」が得られることが報告されています(Mol Cancer Ther. 10(12): 2350-2362, 2011年)。
 培養がん細胞を用いた実験では、「2-デオキシ-D-グルコース2-DG)」で解糖系を阻害しても、がん細胞を死滅させるだけの効果は得られませんが、「メトホルミン」を同時に投与すると、がん細胞は死滅しました。
 様々な種類のがん細胞をマウスに移植した動物実験において、「2-デオキシ-D-グルコース2-DG)」と「メトホルミン」はそれぞれ単独では「抗腫瘍効果」は弱いのですが、この2つを併用すると強い「腫瘍縮小効果」が認められています。


 がん細胞が増殖するためには「増殖のシグナル」と「エネルギー産生」と「物質合成」のための材料が必要です。
 増殖シグナル伝達系は「インスリン/インスリン様成長因子-1(IGF-1)」とそれらの受容体の結合によって刺激される「PI3K/Akt/mTORC1伝達系」が重要です。

 「メトホルミン」はミトコンドリアの「呼吸鎖(電子伝達系)」と解糖系の「ヘキソキナーゼ」を阻害して「ATP」の産生を阻害する作用がありますが、さらに「AMP活性化プロテインキナーゼAMPK)」を活性化して「mTORC1哺乳類ラパマイシン標的蛋白質複合体-1)」の活性を阻害することによって、がん細胞の増殖を抑制します。

 一方、「2-デオキシ-D-グルコース2-DG)」はグルコース(ブドウ糖)の解糖系と「ペントースリン酸経路」での代謝を阻害することによって「エネルギー産生」と「物質合成」を抑制し、その結果、がん細胞の増殖が抑えられます。

 すなわち、「2-デオキシ-D-グルコース2-DG)」と「メトホルミン」の同時投与は、がん細胞の「エネルギー産生」と「物質合成」と「増殖シグナル伝達」を効率的に阻害することによって、がん細胞の増殖を阻害することができるのです。


 「メトホルミン」には『乳酸アシドーシス』を引き起こす副作用があります。
 「乳酸」が増えて、血液が「酸性になる」状態です。

上記で『メトホルミンはミトコンドリアの「呼吸鎖(電子伝達系)」を阻害して「ATP」の産生を阻害する作用があります』とありますが、「メトホルミン」はミトコンドリア膜に結合して「呼吸鎖(電子伝達系)」を抑制することで『ミトコンドリアの ATP産生を阻害する作用』があります。つまり、「メトホルミン」には『ミトコンドリアの ATP産生を麻痺させる作用』があるわけです。
 解糖系でグルコース〔ブドウ糖〕が分解されて「ピルビン酸」になり、〔ミトコンドリアが正常に ATP を産生できる状態にあれば〕この「ピルビン酸」がミトコンドリアに入り「アセチルCoA」へと変換され、ミトコンドリアで ATP を産生します。
 しかし「メトホルミン」によってミトコンドリアの ATP産生が阻害されると「ピルビン酸」は「乳酸」になり、「乳酸」がどんどん増えていきます。「酸性物質」である「乳酸」が増えていくと、血液が「乳酸(酸性物質)」で溢れ返ることになり「酸性に傾いた状態」になってしまうのです。
 「酸性物質」である「乳酸」が増えすぎて血液が「酸性に傾いた状態」になる‥、これを『乳酸アシドーシス』と言います。『乳酸アシドーシス』の症状が進行し、数時間も放置すると昏睡状態に陥り、その死亡率は約50%とされている非常に危険なものです。ここは「ビグアナイド薬(メトホルミン)の乳酸アシドーシスの機序は?」記事で分かりやすく説明されています。
 「福田一典」医師は下記で「メトホルミン」による『乳酸アシドーシス』を回避する方法を示されています
ブログ管理人


 大きな がん組織があると「乳酸」の産生が増えています。
 『乳酸アシドーシス』を防ぐために、肝臓では「乳酸」をグルコース(ブドウ糖)に変換する「糖新生」が亢進します。
 「メトホルミン」は「糖新生」を阻害する効果があるので、「乳酸」の産生が増加した状態で「メトホルミン」を服用すると『乳酸アシドーシス』を起こしやすくなります。

 この場合、がん細胞の解糖系を抑制し、ミトコンドリアでの「酸素呼吸(酸化的リン酸化)」を増やす「2-デオキシ-D-グルコース2-DG)」や「ジクロロ酢酸ナトリウムDCA)」や『ケトン食』を併用すると「メトホルミン」による『乳酸アシドーシス』の発生を防ぐことができます。

 特に「ジクロロ酢酸ナトリウムDCA)」は『乳酸アシドーシス』の治療に古くから使用されています。


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【図】
◆◆

(1)がん細胞は解糖系が亢進して「乳酸」の産生が増えている。
(2)「乳酸」による「アシドーシス酸性血症)」を防ぐため、肝臓で「乳酸」をグルコース(ブドウ糖)に変換する。
    これを「コリ回路」と言う。
(3)「メトホルミン」は「糖新生」を阻害するので、『乳酸アシドーシス』の副作用を起こしやすい。
(4)『ケトン食』はグルコース(ブドウ糖)の利用を阻害し、
   「脂肪酸」と「ケトン体」はミトコンドリアの「酸素呼吸(酸化的リン酸化)」を亢進する。
(5)「2-デオキシ-D-グルコース2-DG)」は、がん細胞の解糖系を阻害し、
(6)「ジクロロ酢酸ナトリウムDCA)」は「ピルビン酸脱水素酵素」を活性化して、
    ピルビン酸 から アセチルCoA への変換を促進する。
(7)その結果、「2-デオキシ-D-グルコース2-DG)」と「ジクロロ酢酸ナトリウムDCA)」は、
   「メトホルミン」による『乳酸アシドーシス』を防ぎ、「活性酸素」の産生を高めて「酸化ストレス」を亢進する。
 これらは「相乗効果」で、がん細胞の増殖を抑制できる◆◆


 『ケトン食』だけでは「抗腫瘍効果」は弱いのですが、「2-デオキシ-D-グルコース2-DG)」と「メトホルミン」と「ジクロロ酢酸ナトリウムDCA)」を併用すると、がん細胞の増殖を抑制できます。

 さらに「抗酸化システム」を阻害する「ジスルフィラム」や「オーラノフィン」を併用すると、がん細胞を「酸化ストレス」で自滅できます(510話」参照 )。



ケトン体」は、がん細胞のミトコンドリアの「酸化的リン酸化」を活性化する

 がん細胞は「ケトン体」や「脂肪酸」をエネルギー源として利用し難い状態にあります
 それは、がん細胞は「酸素を使ったエネルギー産生を行ないたくない」理由があるからです。
 したがって、酸素を使わない解糖系を亢進し、ミトコンドリアの「酸素呼吸(酸化的リン酸化)」をできるだけ抑制します。

 「脂肪酸」も「ケトン体」もミトコンドリアでしか代謝できないので、ミトコンドリアの代謝が抑制されている がん細胞では「脂肪酸」も「ケトン体」も「利用できない利用したくない)」状況にあります。

 しかし、がん細胞でも、ミトコンドリアの機能は維持されています。
 したがって(がん細胞の)解糖系を阻害すると(がん細胞は)ミトコンドリアでのエネルギー産生を高めるしかありません。
 実際、がん細胞も「ケトン体」や「脂肪酸」を分解して(代謝して)エネルギー産生はできます。
 ただ、「したくない」だけです。

上記の『ただ、したくないだけです』というのは『がん細胞はミトコンドリアでエネルギー産生を行ないたくないだけです』という意味ですブログ管理人

 そこで、「ケトン体」や「脂肪酸」をエネルギー源として がん細胞に使用させるように仕向けると、がん細胞の「酸化ストレス」を高めて(がん細胞を)死滅できます。
 つまり、がん細胞に『エネルギー産生のために「ケトン体」や「脂肪酸」を使用させて自滅させる』ように仕掛けるのです。


 「ケトン体」は「モノカルボン酸トランスポーター(monocarboxylate transportersMCT)」の「MCT1」と「MCT2」を使って、細胞質とミトコンドリアに入ることができます。

 『ケトン食』は がん細胞の解糖系を阻害し、(ミトコンドリアの)「酸化的リン酸化」を亢進する結果、「ワールブルグ効果」を是正して「抗腫瘍効果」を発揮します。

 しかし、がん細胞は「グルタミン」の取込みを増やして「TCA」での物質代謝(脂肪酸合成など)を維持し、「ケトン体」もエネルギー源として利用しようとします。
 したがって『ケトン食』単独では「抗腫瘍効果」に限界があり、場合によっては、がん細胞を助けることにもなります。

 がん細胞におけるミトコンドリアでの「酸化的リン酸化」を亢進するときには、「活性酸素」の産生を高める「メトホルミン」や「レスベラトロール」、「抗酸化システム」を阻害する「ジスルフィラム」や「オーラノフィン」、解糖系を阻害する「2-デオキシ-D-グルコース2-DG)」などの「併用」が重要になります。

 つまり、がん細胞の「酸化ストレス」を徹底的に高めることが重要です
 中途半端では「逆効果になるがん細胞の増殖を促進する)」ので、注意が必要です(508話」参照 )。

この項の『ケトン食(糖質制限食)によって、がん細胞の「酸化ストレス」を高める』につきましては「418)がん細胞の「酸化ストレス」を高める方法(その2):ケトン食」記事を参照してくださいブログ管理人



がん細胞に「酸化ストレス」を高める治療と『ケトン食』の併用効果について

 がん細胞に「酸化ストレス」を与えると、細胞はダメージを受けます。
 このとき、グルコース(ブドウ糖)が充分にあれば、解糖系で産生されるエネルギーと「ペントースリン酸経路」で生成される NADPH によって酸化傷害に対して「抵抗性」と「回復力」を高めることができます。


 NADPH(ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドリン酸) は、細胞内の「過酸化水素」や「過酸化脂質」の消去に必要な「グルタチオン」の還元に必要です。つまり、がん細胞のグルコース(ブドウ糖)供給が不十分で「ペントースリン酸経路」での「NADPH の生成」が不足すると、還元型「グルタチオン」の量が不足して、酸化傷害で死にやすくなります。

 『ケトン食』は、がん細胞のグルコース(ブドウ糖)の利用を妨げ、「エネルギーの産生」や「NADPH の生成」を減らすので、「酸化ストレス」が高くなると(がん細胞は)死滅することになります。


 『ケトン食』の効果を高める「2-デオキシ-D-グルコース2-DG)」の「併用」も有効です。
 「2-デオキシ-D-グルコース2-DG)」は、解糖系と同時に「ペントースリン酸経路」も阻害して「HADPH の生成」を減らします。
 「ペントースリン酸経路」では2ヵ所で NADPH が産生され、「2-デオキシ-D-グルコース-6リン酸」は最初の NADPH 産生の代謝は受けますが、2個目は反応が進まないため、「NADPH の産生」は半分になります。
 ただし、「2-デオキシ-D-グルコース-6リン酸」は「ヘキソキナーゼ」の活性を阻害するので、「グルコース-6-リン酸」の生成を阻害するので、「NADPH の産生」を効率よく阻害することになります。
2-デオキシ-D-グルコース2-DG)」に関しては「337話」を参照


 『高濃度ビタミンC点滴』と『解糖系を阻害する治療』の「併用」が「相乗効果」で、非小細胞性肺がんのアポトーシスを促進することが報告されています。
 この『2つの治療法(高濃度ビタミンC点滴解糖系の阻害治療)』の「組合せ」が、がん細胞の「酸化ストレス」を高めてアポトーシスを誘導する、という結果が報告されています。


    Ascorbic acid and a cytostatic inhibitor of glycolysis synergistically induce apoptosis
       in non-small cell lung cancer cells.

     (「アスコルビン酸」と「増殖抑制性の解糖系阻害剤」は相乗的に作用して、
       非小細胞性肺がんのアポトーシスを誘導する

     〔PLoS One. 2013 Jun 11;8(6):e67081.


 『ケトン食』は「酸化ストレス」を高めて、肺がんの「放射線化学療法」の効果を高める、という論文が報告されています。
 以下のような報告があります。


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   Ketogenic diets enhance oxidative stress and radio-chemo-therapy responses in lung cancer xenografts.
    (ケトン食は「移植肺がん」の実験モデルにおいて、「酸化ストレス」と「放射線化学療法」の奏功率を高める
    〔Clin Cancer Res. 2013 Jul 15;19(14):3905-13.


【要旨】

〔目的〕
 『ケトン食』は脂肪が多く、糖質とタンパク質が少ない食事で、細胞のエネルギー(ATP)供給源を、解糖系からではなく、「脂肪酸の酸化」と「ミトコンドリアでの呼吸(酸化的リン酸化)」によるエネルギー(ATP)産生を強制する食事である。
  正常細胞に比べて、がん細胞は「ミトコンドリアでの代謝」によって慢性的な「酸化ストレス」の状態にある、と考えられている。
 本研究では「移植肺がん」の動物実験モデルを用いて、『ケトン食』が「酸化ストレス」を高めることによって「放射線化学療法(radio-chemo-therapy)」の奏功率を高める、という仮説を検証した。

〔実験方法〕
 「NCI-H292」と「A549」の2種類の「肺がん細胞株」を移植したマウスを、通常食か、『ケトン食(「脂肪:タンパク質糖質」のカロリー比が「4:1」の食事 )』で飼育し、通常の分割照射(1回1.8~2グレイ)か、少分割照射(1回6グレイ)か、通常の分割照射(1回1.8~2グレイ)に「カルボプラチン」を併用した治療を行なった。
 「マウスの体重」と「腫瘍のサイズ」を測定した。
 腫瘍組織の「酸化ストレス」のレベルは「過酸化脂質」生成物の「ヒドロキシノネナール(参照記事1参照記事2)」で修飾されたタンパク質の量で、細胞増殖の程度は「PCNAproliferating cell nuclear antigen増殖性細胞核抗原)」の量で、DNAダメージの程度は「リン酸化ヒストンH2AX(γH2AX)」の量で、それぞれ評価した。

〔結果〕
 「NCI-H292細胞」と「A549細胞」を移植したマウスの両方において、「放射線治療」単独群に比べて、「放射線治療」と『ケトン食』を併用した群のほうが、腫瘍の増殖速度はより低下した( P < 0.05 )。
 「放射線治療」と「カルボプラチン」の化学療法を併用した場合も、『ケトン食』を与えた群のほうが、通常食(コントロール)群より腫瘍の増殖速度が低下した。
 「放射線治療」と『ケトン食』を併用したマウスの腫瘍組織では、「ヒドロキシノネナール」で修飾されたタンパク質の量で測定される脂質酸化による酸化障害の程度が高く、「PCNA」の免疫染色で評価される細胞増殖のレベルは低下した。

〔結論〕
 これらの実験結果は、「肺がんを移植したマウス」の実験系において、『ケトン食』は(がん細胞の)「酸化ストレス」を高めることによって「放射線化学療法」の効果を高めることを示している。


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 この結果は、「放射線治療」や「抗がん剤治療」を受けているときの『ケトン食』の有効性を示唆しており、さらに(がん細胞の)「抗酸化力酸化ストレスを低下させる作用)」を低下させるために「2-デオキシ-D-グルコース2-DG)」や「ジスルフィラム」や「オーラノフィン」を併用すると、さらに効果が高まる可能性を示唆しています。
ジスルフィラム」と「オーラノフィン」については「509話」参照

 がん細胞により選択的に「酸化ストレス」を高める方法と、がん細胞の還元型「グルタチオン」の量を減らす方法を組み合わせれば、がん細胞の「増殖抑制効果」や、がんの「縮小効果」が期待できます。

 そのような方法として、

    中鎖脂肪ケトン食
    2-デオキシ-D-グルコース(2-DG
    ジクロロ酢酸ナトリウム(DCA
    メトホルミン
    ジスルフィラム
    オーラノフィン
    アルテスネイト
    高濃度ビタミンC点滴
    半枝蓮

 などの組合せが想定されます。

 実際に、このような組合せで多くの がん患者さんを治療していますが、副作用はあまり経験しません。
 「抗腫瘍効果」も確認しています。


 がん細胞は「酸化ストレス」を避けるために、いろんな手段を使っているようです。
 ミトコンドリアの活性を抑えたり、「グルタチオン」の産生を増やしたりしています。
 グルコース(ブドウ糖)の取込みを亢進して、解糖系と「ペントースリン酸経路」を亢進しているのも、「酸化ストレス」の軽減に役立っています。

 このような「がん細胞の代謝の特徴」をターゲットにすれば、がん細胞を自滅に追いやることができます。


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【図】
◆◆
「がん細胞の代謝の特徴」である「ワールブルグ効果」を正常化し(「解糖系の亢進」と「ミトコンドリアの酸化的リン酸化」の抑制 )、がん細胞の「酸化ストレス」を高める方法として、がん細胞の解糖系や「ペントースリン酸経路」を阻害する『ケトン食』と「2-デオキシ-D-グルコース2-DG)」、「ワールブルグ効果」を引き起こしてる「低酸素誘導因子-1HIF-1)」を阻害する「シリマリン」と「ジインドリルメタン」、ミトコンドリアでの代謝を促進する「ジクロロ酢酸」、「呼吸鎖(電子伝達系)」を阻害して「活性酸素」の産生を高める「メトホルミン」や「レスベラトロール」、細胞質で「フリーラジカル」を産生する「アルテスネイト」や「半枝蓮」や『高濃度ビタミンC点滴』、「グルタチオン」や「チオレドキシン」による「抗酸化システム」を阻害する「ジスルフィラム」や「オーラノフィン」がある。
 さらに「メトホルミン」は(がん細胞の)「グルタミン」の利用を阻害し、「PPARリガンド」の「ベザフィブラート」と『ケトン食』と「メトホルミン」と「レスベラトロール」は「ミトコンドリア新生」を促進して「活性酸素」の産生を増やす。
 これらを組み合わせると、がん細胞の「エネルギー産生」と「物質合成」を阻害し、さらに「酸化ストレス」を高めて、がん細胞を死滅させることができる。◆◆



)先週の日曜日(2016年11月20日)に、韓国のソウルで『がん細胞の代謝をターゲットにした がん治療』に関する講演を行ないました。
 韓国の「Clinical Society for Integrative OncologyCSIO)」が主催する「全国学術研究セミナー」です。
 CSIO は「標準治療(手術抗がん剤放射線治療)」に加えて、『漢方治療』や『食事治療食事療法)』や『サプリメント』などを加えた「統合的な がん治療」を目指している学会です。

 発表したスライドと内容は、以下のサイトで公開しています。


    代謝をターゲットにした がん治療
     http://www.ketogenic-diet.org/cancer-metabolism-targeting-therapy/Warburg-effect.html



      福田式 がんを遠ざけるケトン食レシピ

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