「堀泰典」医師(医学博士歯学博士薬学博士)の「安保徹」医学博士との共著『最後は「免疫力」があなたを救う!』からのご紹介です。ご参考にされてください m(__)m


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堀泰典 医師(医学博士歯学博士薬学博士



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最後は「免疫力」があなたを救う!

安保徹堀泰典(共著) 扶桑社  2013年刊



 第1章 病院医師薬を疑え!

21世紀を担う医学者へ ―― 西洋医学だけにとらわれるな!

保険料は5割負担にせよ

 日本ではがんによる死亡率が第1位になって久しく、減少はおろか年々増加傾向にあります。逆にアメリカでは年々、がん死亡率が低下しています。その理由については、次の章で詳しく説明しますが、アメリカがんコントロール協会日本支部代表の森山晃嗣氏は「アメリカは、13州で代替療法に保険が適用される代替療法先進国です。これは東洋医学などを導入して免疫力を高めた結果です」と説明されています。
 アメリカというと医療先進国、しかもそれは西洋医学が主流という印象があります。たしかに西洋医学が中心ですが、だからといって、東洋医学などの代替療法を軽視しているわけではなく、むしろ重視しているのです。
 代替療法というのは、西洋医学以外の医学や医療の総称です。広義には東洋医学(漢方鍼灸気功など)全般、食養生、アーユルヴェーダ、ホメオパシー、アロマセラピー、カイロプラクティック、各種サプリメント、呼吸法などが含まれます。
 近年、欧米を中心とした先進国で、代替療法が再認識、再評価されていて、特に全米の医科大学の6割が代替療法のカリキュラムを導入しています。
 これに対し、日本の医科大学で代替療法をカリキュラムに採り入れているところは、どれほどあるでしょうか。病院に行っても、代替療法を始めているところは、まだまだ少ないと言わざるをえません。
 また、多くの代替療法は保険が適用されません。前述の森山氏は免疫療法などの代替療法が広まれば、がんによる死亡率も低下すると指摘しています。しかし、保険対象外でもあり、まだ広がりを見せていません。
 そこで、提言しますが、私はこのような治療も保険に組み入れるべきだと考えています。その代わり、窓口での自己負担金を高齢者1割、一般人3割の現状から、一律5割にしたほうがよいと考えています。「そんなバカな!」とお叱りを受けるかもしれませんが、その理由は、ちょっとしたことで病院を訪れる患者さんが減り、患者さんも適当に病院に行くのではなく、真剣に医師を選ぶようになると思うからです。
 それはそうですよね、5割も負担するのですから、ちょっとした風邪くらいでは病院には行きません。たとえ病院に行くとしても、ヤブ医者は真っ平ごめんです。こうすることで、近いからという理由で病院を選ぶのではなく、確かな腕を持つ医師がいる病院を選ぶようになるはずです。医師のほうも、今以上に真剣に腕を磨かなければ患者さんに信頼してもらえないと考えると、少なからず医学の勉強をするはずです。
 ひいては医療費総額が37.4兆円という膨大な金額になり国力を下げる結果になっている現状を打破できるのでは、と私は考えています。
 いまの病院は、放っておいても患者さんは来ます。それも3分診療でも、何の文句も言われません。薬を出して効かなければ、薬を替えるくらいしかしません。それで治らなければ「トシですね」「いまの医学ではこれが限界です」「ほかの病院を当たってみてはどうですか?」と、だいたいこの3パターンで逃げ切れます。
 こんなことで、がんの死亡率が下がるわけがなく、それどころか、国土は病人であふれ返ってしまいます。よく日本は「経済大国」などといわれますが、私に言わせれば、「病人大国」「医師は天国」「患者は地獄」の三語に尽きます。
 アメリカでは政府が積極的に栄養補助食品の必要性を説いており、全医師の50%以上が、患者さんに栄養補助食品を積極的に摂ることを推奨しているというデータがあります。その影響なのか、がんの発生率と死亡率は年々低下してきています。
 これに対して日本ではがんの発生率、死亡率ともに年々高くなり、いまや3人に一人ががん、4人に一人が心臓血管障害、5人に一人が脳血管障害で亡くなっています。
 前述したように医療費も年間37.4兆円に跳ね上がり、しかも年に約1兆円ずつ上昇しており、健康保険も破綻状態に追い込まれています。つまり、遅かれ早かれ医療費もアメリカ並みに高負担の時代が来ることは確実です。
 37.4兆円を総人口で割ると一人当たり約29万4000円、4人家族で年間約120万円弱の医療費を支払っていることになります。実際に病気になれば、さらに本人負担の医療費がかかってきます。
 もし健康保険がアメリカのように破綻した場合はどうなるのか考えてみるまでもありません。自分の体は自分で守る以外に道はないのです。


西洋医学の限界

 日本の病院はほとんどが西洋医学です。言っておきますが、私は決して西洋医学を軽視しているわけではありません。むしろ、西洋医学は日進月歩で進化を遂げ、いまではiPS細胞による臓器などの再生医療の実現も夢ではなくなってきました。これは「素晴らしい」のひと言に尽きます。
 その一方で、西洋医学にも限界があります。それは、西洋医学は部分しか見ない、「臓器別医療」「部分別医療」だということです。たとえば、私は歯科医ですから、顎関節症について、少しお話しします。顎関節症は口が思うように開かなくなる病気ですが、ほとんどの医師は顎や嚙み合わせしか診ません。しかし、その原因は足首の歪みからきていることも少なくないのです。実際、私は足首の歪みを矯正することで、数え切れないほどの顎関節症の患者さんを治してきました。これは、部分しか診ない西洋医学の考え方にはなく、当然考え付くこともないのではと思います。
 ただ、そうはいっても日本ではいまだ西洋医学が主流です。主流でけっこうなのですが、安保先生も私も言いたいのは、それで患者さんが減っていますか? がんが治っている人がいますか? ということです。西洋医学に固執し、代替療法を軽んじているようでは、世界の医学界から取り残されてしまうのです。


これからの医学が進む道

 西洋医学に対して厳しい意見を言ってきましたが、批判しているわけではありません。これまでの固定観念を捨て、もっと広い目で医学を見てほしいのです。西洋医学で治らないのであれば、東洋医学的なアプローチをしてみよう、栄養学から考えてみようといった、幅広い視野で病気を診てほしいのです。
 たとえば、西洋医学が「部分」を診るのに対し、東洋医学は「全体」を診ます。部分を診てわからなかったことも、先ほどの顎関節症のように、全体を診れば、わかることも多々あるはずです。
 また、日本の医療では栄養素は軽視されがちです。しかし、多くの病気は栄養素の欠乏から起こっています。それに関しては、のちに詳しく説明します。
 これからは、西洋医学と代替療法の長所を合わせた「統合医療」が主流になってくると私は考えています。ようやく日本でもその動きが出てきましたが、欧米に比べれば、遅れをとった感は否めません。
 当たり前のことですが、医学とは患者さんを治すためにあります。そのためには、西洋医学、代替医療を問わず、治癒の可能性があるならば、あらゆる角度から病気にアプローチするのが、当然ではないでしょうか。
 日本では、いまも医師のことを「お医者さま」と言う人が少なくありません。それは、昔の医師は病気を治すから〝偉い〟と思われてきたからです。でも、いまの医師は病気を治すことよりも、地位が偉くなることに熱心な人が余りにも多いのではないでしょうか。これでは〝医は仁術〟どころか、「医は算術」〟といわれても仕方がありません。
 しかし、本来、日本人は勤勉で情に厚い人種です。いまの医学の常識を打ち破り、本当の意味で、患者さんを救える学問を確立していくことは、そんなに難しくないはずです。私が考案した理論や治療法に当然、私は自信を持っています。
 時代は統合医療に入り、そこから日本の医学の未来に少しでも私の学問がお役にたてることを祈る次第です。


事務的な医療から、思いやりの医療へ安保教授より

 いまの医師は事務的に検査から始めますが、患者さんに対してまずは、「大変だったね」といった言葉をかけるなど励ますことを忘れています。
 なぜ励まさないかというと、病名がわかるまでは医師は患者さんに変なことを言えないからです。
 それは医師が冷たいからではなく、やっぱりいまの医療は診断がつかなければ次に進めず、また診断がついても原因不明であることが多く、ドライともいえる対応にならざるをえないのでしょう。
 私は医師の倫理観が足りないから現代医療がこうなっているとは思いません。医学自体が成長過程のため、患者さんの精神的な負担を、まず、少しでも取り去るという基本的なことができないのだと思います。
 たとえば私の本を読み、がんなどの病気は患者自身の過酷な生き方により発症し、ストレスなどによる低体温がその大きな原因になっていることがわかっていたなら、検査をする前に「これまで大変だったでしょう」とか、やさしい言葉が出るはずです。
 治すことだけに重きを置き、どういう生き方がその病気を引き起こしたかを問うことを忘れているのが現代医学です。いまの医療はそういう医療がつくり出した倫理観の喪失であって、決して医師個人の倫理観の喪失ではないと思います。これからは人間のやさしさや、思いやりを込めた医療が求められるはずです。



日本のがん治療を疑え! ―― 温泉ががんを茹で上げる

日本では増加、米国では減少

 ここでクイズです。日本では増加し、アメリカでは減少傾向にある死因は何でしょうか? 答えは、がんです。
 平成22年の日本人の死亡者数は119万7066人で、前年の114万1865人より5万5201人増加しました。死因は1位が悪性新生物(がん)の35万3318人、2位は心疾患の18万9192人、3位は脳血管疾患の12万3393人、となっています。全死因のうち、悪性新生物が占める割合は約32%にも及びました。
 1981年以来、日本人の死亡原因のトップはがんとなっていますが、現在、3人に一人ががんにかかり、4人に一人強ががんで死亡している計算です。がんはあらゆる細胞に発症する可能性がありますが、日本人に多いのは、肺がん、胃がん、大腸がん、乳がん、子宮がんの順となっています。
 死因1位の悪性新生物(がん)は世界の学者が一生懸命に取り組んでいる命題ですが、これといった答えが見いだせないまま、現在に至っています。
 しかしながら、アメリカではがんは減少傾向にあります。アメリカといえば、肉食が中心でジャンクフードもかなり人気があり、とてもがんが減っているようなイメージが湧かないという人も多いはずです。でも、がん予防に関する研究を進め、それを実行に移しているからこそ、がんに罹患する人が減っているのです。
 1977年、アメリカ上院栄養問題特別委員会(マクガバン委員長)は5000ページにも及ぶレポートを発表しました。そのなかで、がんや心臓病、脳卒中など先進国に多い病気は、食事や栄養摂取が間違っている「食源病」であるとし、アメリカ人の99%がミネラル欠乏症であり、これがあらゆる病気を招くと報告しています。
 アメリカでは、がんの死亡者数は1990年から減少し続けているのに対し、日本ではいまだに増加傾向にあります。この差は、いったい何なのでしょうか? すべて食事が原因とは言えませんが、食生活が大きく関わっていることに間違いはありません。その食生活で大きなカギを握っているのが、ミネラルです。
 アメリカ国立科学財団の指標によれば「人間の健康維持には少なくとも45種類のミネラルが必要である」とされています。一方、日本の厚生労働省が定めている「日本人の栄養所要量」によれば、ミネラルは13種類となっています。このように、ミネラルを軽視していることが、両国のがん患者の数に大きく関係していると言わざるをえません。
 ミネラルの種類は多く、それぞれ相互拮抗作用によって人体内で有効に活用されています。極端な話、ミネラルは一つの元素が欠乏しても支障が出るし、ヘタをすれば、生命にも悪影響を及ぼしかねません。その意味でも、数多くのミネラルを日常的に摂取することが大事です。
 しかし、日本の土壌はやせているところが多く、そこで育った野菜は欧米のものと比較し、ミネラルの含有量は低いようです。それに加え、食生活の欧米化の定着、加工食品、ジャンクフードの隆盛などにより、日本人の栄養事情は著しく悪化していると考えられます。それが、日本でがん患者の数が減らないどころか増加傾向の大きな原因になっていると考えられます。
 ミネラル不足を少しでも防ぐためには、私はミネラルのサプリメントを利用することをおすすめします。それも良質の「植物性ミネラル」が多種類入っているものを選ぶべきです。私もミネラル主体のサプリメントを飲んでいるせいか、がんとは無縁です。
 健康な人の体内でも、毎日がん細胞は数万個から数十万個ほど生まれているといいます。しかし、発病に至らないのは「アポトーシス細胞の自殺)」や免疫力が働いてがん細胞を殺しているからです。遺伝子異常などでアポトーシスが働かず、殺せない異常細胞が10数個集まると、ほぼがんが発生します。そこで核酸を大量にとると、がんの DNARNA の材料としてとりこまれ、がんの成長を助長する可能性が増します。つまり、がんが疑われたら核酸の摂取は控える方が賢明だと思います。
 若い人のがんの進行が早いのには理由があります。食品には総じて核酸が含まれていますが、若い人には核酸分解酵素が多く、それが故に核酸を栄養として取り込みやすく、核酸を栄養にしてがんが増殖しやすいからなのです。つまり、がんを少しでも疑う状況ならば、ミネラル、ビタミン、抗酸化物質を取り、核酸は控えた方が無難なのです。ただし、リウマチなどの自己免疫疾患、消耗性疾患や通風などには良いと思います。


温泉に入れば、がんはゆで上がる

 温泉に入ると気持ちがいいものです。でも、私たち人間は気持ちいいのですが、がん細胞にとっては、たまったものではないのです。がんは熱に弱く、43.5℃で50~60分加熱すると、99%が死滅します。これをがん治療に利用した温熱療法も行われるようになり、一定の効果がみられています。また、痛みには温熱療法が効果的と坂井学先生は述べています。
 それならば、温泉に長い時間つかっていれば、がんの改善に効果があるのか? 答えはイエスです。にわかに信じがたい話かもしれませんが、温泉につかっていれば、がん細胞はゆで上がり、自滅してくれるのです。
 実際、日本の国立感染症研究所では、子宮がん細胞を取り出して32~43℃で温度変化を与えたところ、39.6℃以上でがん細胞は10日ほどで死滅し、正常な細胞は影響を受けなかったという研究結果を発表しています。日本ハイパーサーミア学会でも、多くの症例が発表されています。
 さらに、がん退治により効果が期待できる温泉があります。それは、放射線のホルミシス効果が得られる温泉です。放射線というと、原発事故などから人体に悪影響が及ぼすものと連想しがちですが、低レベルのものであれば、逆に健康にプラスになることもあるのです。
 ホルミシスという言葉は、「ホルモン」と同一語源のギリシャ語「hormo」に由来し、「放射線のホルミシス効果」は米国ミズーリ大学生化学教授 トーマス・D・ラッキー博士が、1982年12月号の米国保健物理学会誌「ヘルス・フィジック」で発表した論文で使ったのが最初です。これは「少しの放射線は免疫機能の向上などをもたらし、体のあらゆる活動を活性化することで病気を治し、病気にかからない強い体にして、老化を抑えて若々しい体を保つなど、あらゆるプラス効果をもたらす」という考えです。
 この発表をきっかけに、世界中でその真偽を確かめる研究や調査が始まり、日本では十数年前から大学や研究所などで動物実験を中心とした研究が始まっています。その結果をまとめると、人間が年間に被曝する自然放射線量の10~100倍の低レベル放射線量域で、次のようなことがいえます。

 (1)がんなどの原因となる活性酸素を除去するSOD酵素(スーパーオキサイドディスムターゼ)が大幅に増加。
 (2)血液をドロドロにする脂質酸化物を除去するGPx(グルタチオンペルオキシダーゼ)抗酸化酵素が大幅に増加。
 (3)免疫の働きをするT細胞の増加(がん免疫など)。
 (4)P53」という「がん抑制遺伝子」が、がん細胞の修復に失敗した場合、がん細胞を自滅に追い込む。

 ところで、私は2012年9月の温泉学会総会で鳥取県の三朝温泉に行きました。三朝温泉は日本を代表するラジウム温泉とされ、自然放射線量が全国平均よりもかなり高く、一部ではがんなどの健康被害も心配されている場所です。
 しかし、実際は岡山大学医学部の御舩博士のグループの37年間にわたる統計から、三朝地域のがん死亡率は全国平均の約2分の1であることがわかりました。
 また、岩盤浴(放射線)で有名な秋田県の玉川温泉は、毎年、がん患者をはじめ難病の方々が数万人も訪れています。ラジウム温泉やラジウム岩盤浴のある地域では、発生するラドンや放射線が一般地域より多いことは明白です。日本放射線学会が唱える放射線量と健康被害の大きさが比例関係にあるならば、これらの地域にがん患者が多発し、その地を離れる人も多くなるはずですが、実際は逆です。
 つまり、ラジウムやラドンなどから発生する放射線が私たちの体の潜在的生命力を刺激し、健康を維持する自然治癒力を活性化していると考えられるのです。


ミネラルとホルミシス効果に期待安保教授より

 がん対策においても、当然ミネラルは必要です。
 いや、がんに限らず、すべての病気を予防改善し、健康を維持するうえでミネラルは不可欠なのです。
 アメリカではミネラルの欠乏を危惧し、その改善に乗り出したところ、がん患者が劇的に減少したといいます。
 ミネラルの摂取とがん抑制効果の関連性は明確にはわかっていませんが、ミネラルは代謝など生命維持活動のあらゆる面に関わっています。そのミネラルが不足すれば、健康に支障をきたすことは容易に想像できます。おそらく、がんもその一つでしょう。
 ただ、日本ではがん患者にミネラルの摂取をすすめる医師や医療機関をあまり耳にしたことはありません。抗がん剤、放射線治療、手術、この3つしか選択肢がないように思われます。その結果、がんによる死亡率は減ったでしょうか?
 堀先生も危惧されているように、がんの死亡率は増加傾向にあります。裏を返せば、現在のがん治療に疑問を持たないほうが不思議だと言わざるをえません。
 そのがん治療の光明ともなりそうなのが、堀先生が提唱されている、温泉地でのホルミシス効果です。低線量の放射線は免疫力をUPするというものですが、実際にがんを克服している人もいますので、これから先、期待できるはずです。


  (中略


低体温では長生きできない! ―― 低体温を改善する知恵

低体温の人の命は風前の灯

 あなたは自分の平熱をご存知ですか? 36.5℃程度あれば、まず、問題はありません。しかし、それ以下、しかも35℃台であれば、いわゆる「低体温」です。
 体温が低いということは、生命力が低いことを意味します。人間は熱やエネルギーを生産しながら生きています。いわば体温は「命の火」です。その灯が弱々しくなってきているのが、低体温状態です。では、なぜ低体温になるのか?
 焚き火を想像してください。まきがいっぱいあれば、火をつけると勢いよく燃えてくれます。しかし、まきが少なければ火は弱々しく、やがて消えてしまいます。これと同じように、低体温の人は命の炎が弱々しく、生命力も弱いといえます。
 しかし、現代は飽食時代です。消化吸収された栄養が体内にポンポンに詰まり、不完全燃焼しているのです。「過ぎたるは猶及ばざるが如し」という故事のように、焚き火にまきを入れ過ぎて、煙だけ立ち込め、ちっとも燃えないのと同じです。現在はこちらのほうの低体温状態が考えられます。
 また、酸素の運搬や代謝に不可欠のミネラル(マグネシウム亜鉛など)が今日の食品に不足し、より熱の生産を落としています。
 さらに、機械化が進み肉体労働が減り、末端まで血液を十分に送る必要がなくなり、多くの毛細血管が小休止をはじめます。そして休眠状態が続き、錆びついてしまうのです。
 それに加えて現代はストレス社会です。大量に発生した活性酸素が毛細血管を傷つけ、赤血球の流れを極端に悪くしてしまいます。こうして、体が冷えて当たり前の生活になってしまうのです。
 当たり前のことですが、人間は生きていくために十分な体温を保つ必要があります。縁起でもない話ですが、温かい死人なんて聞いたことがありません。生きている人は温かく、その命が尽きてしまえば体温は下がるのです。その意味では、低体温の人の命は、風前の灯にある状態といえるかもしれません。
 ただ、ありがたいことに、変温動物と違い、恒温動物の人間は、生命を維持するためのエネルギー()を自分でつくることができます。わかりやすくいえば、人間の体温は食べ物が消化吸収されるときに肝臓でエネルギーが生まれ、細胞の一つ一つで体温が発生しています。それがうまくいってない人が、低体温になるのです。こうしてみると、低体温になる原因は食べ物にあることが容易に推測できます。


燃やすものがなければ体温は下がる

 先ほど、焚き火を例に出しましたが、低体温の人は、まき不足か多すぎるかということになります。要するに、体内で燃やすものが足りていないのか、多すぎるか、そのどちらかです。オーバーしている人は、過食に気をつけるべきです。足りていない人は補うべきです。
 では、体内で「まきの役割」を果たすものは何でしょうか。それは「糖質」です。糖質とは、食物繊維を除いた炭水化物を指します。その代表的なものは、ごはん、うどんなどです。糖質は体の主要なエネルギー源になります。いわば、生きていくための「命綱」です。糖質は胃腸で消化吸収されて血液と一緒に全身を巡り、体内で1gあたり4キロカロリーのエネルギーになります。
 その糖質が不足すれば、体内では燃やすものがなく、エネルギーが生まれません。すると、命の火はしだいに小さくなり、それとともに体温が低くなってしまうのです。
 ただ、糖質を十分に摂ったとしても、火がなければ、うまく燃えてくれません。その火に当たるのが、ミネラルとビタミンなのです。糖質がまきなら、ミネラルやビタミンは火の役割を果たしてくれます。この両者がそろってはじめて、低体温の改善の道が開けてくるのです。
 ところで、低体温の人というと、どんな人を思い浮かべますか? おそらく、細くてガリガリな人を連想するでしょう。でも、意外と多いのが、メタボ体型の人なのです。太っていて、いかにも体温が高そうなのですが、測ってみると、35℃台という人が少なくありません。
 そうした人たちは、ミネラルやビタミンが不足しています。十分な糖質を摂っても、それを燃やすミネラルやビタミンが足りないため、燃えなかった糖質は脂肪として蓄積されてしまうのです。これが、冷えを助長するのです。メタボリック症候群とは、代謝不良症候群のことです。要は、脂質がうまく代謝されないために起こる肥満や、それに伴う生活習慣病のことを指します。メタボ対策に糖質の制限を強調する医師が数多くいます。しかし、その前に糖質の代謝に欠かせないミネラルとビタミンの摂取を指導する方が先ではないかと思います。


体温が下がれば免疫力も下がる

 低体温になると、いろいろ問題が出てきますが、いちばん危惧されるのが、免疫力の低下です。生命力が落ちてくるので、当然、ウイルスや細菌などの外敵に立ち向かう力も弱くなってしまいます。おおむね、「体温が1℃下がると、免疫力は37%落ちる。逆に、体温が1℃上がると37%UPする」などと言われています。
 人間には自律神経というものがあります。これは、私たちの意志とは関係なく、生命を維持してくれる神経機能のことです。心臓が動いたり、体温を調節してくれたりするのも、すべて自律神経のおかげです。
 自律神経は「交感神経」と「副交感神経」の2つに分かれ、この2つは拮抗しながら働いています。交感神経は朝からの活動期に活発で、副交感神経は夕方以降に働き、リラックス作用をもたらします。この2つがうまくバランスを取りながら、私たちの生命活動は維持されているのです。しかし、低体温になると、自律神経の働きに支障が出てきます。皆さんも、寒くなると体が縮こまり、動きたくありませんよね。自律神経も同じです。低体温で体の温度が慢性的に低くなると、自律神経の働きが悪くなります。それは、免疫機能にも影響を与え、その活動を鈍くしてしまうのです。
 低体温の状態が長く続けば、それだけ病気にかかりやすいことを意味します。それを防ぐ意味でも、体温はせめて36℃台をキープしなければいけないのです。


体温を上げる方法

 まず、何といっても食事です。糖質であるごはんを食べ、ビタミンやミネラルが豊富な「緑黄色野菜」や「根菜」を意識的に摂ってください。言ってみれば、昔の日本人にとっては当たり前の食生活です。ごはんにみそ汁、お新香、それにちょっとしたおかずがあれば、これらの栄養素は摂取できるはずです。それなのに食事は野菜ジュースで済ませたり、パンだけしか食べなかったり、晩酌のときにビールや水割りをがぶ飲みしたり、偏った食生活を送ると、低体温を招いてしまうのです。

この著書では、細胞のエネルギー源になるものとして解糖系で代謝される「糖質(ブドウ糖)」だけを挙げていますが、細胞のエネルギー源になるものには「糖質(ブドウ糖)」の他にもミトコンドリアで代謝される「アミノ酸」や「脂肪酸」や「短鎖脂肪酸」や「ケトン体」があります。「アミノ酸」「脂肪酸」「短鎖脂肪酸」「ケトン体」は “ブドウ糖の代替エネルギー源” となるものです。
 「糖質」が消化酵素〔分解酵素〕によって消化された〔分解された〕「ブドウ糖」は癌細胞のエサとなり、癌を大いに育てる原因となりますから、いくらビタミンやミネラルをキチンと摂取して代謝が良好であっても、癌患者さんが上記の通りに「糖質(ブドウ糖)」をしっかりと摂取すれば、それだけ癌細胞に取り込まれる「ブドウ糖」の量が増える可能性が高まるため、癌が育ってしまう機会が増大するでしょう。これは「癌が育ちやすい体内環境」だと言え、決して賢明とは言えません。
 ゆえに、癌患者さんは「糖質制限食(ケトン食)」を行なうことにより、エネルギー源を「ブドウ糖」から「ケトン体」へとシフトさせ、癌が育ち難い「ケトン体質」へと移行するのが得策です。「糖質制限食(ケトン食)」を行ない「ケトン体質」になると、癌以外の様々な疾患が同時進行で改善します
ブログ管理人

 また、入浴などで体を温めることも大事です。安保先生がおっしゃっていますが、「体温+4℃」の入浴を心がけることも大切です。
 ほとんどの病気はストレスなどにより、交感神経が優位なときに起こります。そんなときは体を消耗し、免疫力も下がりやすくなるのです。体を休めて、副交感神経を優位にし、心身をリラックスさせるためには、湯船につかり、「気持ちがいい」と感じることが重要になってきます。「気持ちがいい」と感じるお湯の温度は人それぞれで異なりますが、だいたい、「体温+4℃」が最も快適に感じることがわかっています。体温が「36.5℃」の人であれば、「40.5℃」の湯船につかるようにしてください。入浴時間は、決して無理をしないこと。あくまでも本人が気持ちよく感じ、もういいかな…… と思うまでつかっていれば、それで十分です。
 運動や睡眠も低体温の改善に有効です。運動といっても、ハードな運動をする必要はありません。自然が好きな人なら山歩きもいいでしょう。


がん細胞は低体温が大好き安保教授より

 低体温は万病のもとです。体温が低いということは血行が悪く、血液の温度も低いということです。
 血液は健康の基本であり、血流がよければ体温は上がり、免疫力もしっかりと働いてくれます。しかし、低体温だと、そうはいきません。
 がんを例に少し考えてみましょう。ストレスなどで交感神経が緊張し、極限状態になれば、血管収縮による血流障害が起こり、低体温、低酸素の状態がもたらされます。そのような悪条件が長年続いたら、生命は滅んでしまいます。
 意外ですが、がんの症状は低体温、低酸素のもとでも、なんとかして生きていくために体が適応しようとしたために起こったのでした。しかし、結果的にはがんによって人の生命が脅かされます。
 逆にいえば、がん細胞が増殖するということは、過度なストレスで低体温の状態になっていることを意味します。
 それを防ぐには、体温を上げることが大事です。体温が上がれば、低体温に適応したがん細胞が増えることもありません。がん細胞の出る幕がなくなるわけです。
 体温を上げるための手っ取り早い方法は「入浴」です。毎日「39~41℃」の入浴で体の芯まで温めるようにすれば、免疫力が高まり、リラックス効果からストレスの軽減も期待できます。