「崎谷博征」医学博士の力作である名著『医療ビジネスの闇 ― “病気産生” による経済支配の実態』から「癌医療ビジネスの闇の実態」について詳説されている「第6章 産業がガンをつくる」をご紹介させて頂きます。

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崎谷博征 医学博士


 この内容は、癌患者が必ず知るべき「癌医療ビジネスの闇の実態」という実在する事実です。
 これを知らず、通常療法の抗がん剤放射線を無思考のまま受ければ『無知の罪』を引き起こします。
 それはそのまま、我が身家族を「癌医療地獄」に突き落とす結果となるのです。
 今なお、年間20~30万人もの癌患者がこの内容を知らずに通常療法の抗がん剤放射線を受け、自ら引き起こした『無知の罪』によって自滅されています。
 このような「人命を弄んだ殺人医療」を、人類は早く卒業せねばなりません。


 以下は「第6章 産業がガンをつくる」の【目次】です。
 よく、これだけ丁寧にまとめてくださったと思います。
 まずは、当記事でご紹介させて頂く内容の【目次】をご覧ください。


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     はじめに 現代医療の惨状から見えてくる真実

     第6章 産業がガンをつくる

       ピンクのリボンは女性の敵か?
       アメリカガン協会は “ガン産業” 協会
       マンモグラフィー検査をめぐる利害の対立
       スクリーニング検査がガンをつくる!?
       現代人にガンが急増する本当の理由
       産業がガンを生み、ガンが産業を生む
       抗ガン剤でガンが誘発される
       データが示唆する抗ガン剤の疑わしさ
       抗ガン剤という名の巨大市場
       ガンのリスクを倍増する「奇跡の薬」
       携帯電話とワイアレス通信がガンを増やす
       X線撮影による医療被曝の実態
       原発産業は確実に発ガン率を上げる
      「内部被曝」の悪影響は測定不可能
       タバコが発する最強の放射性物質「ポロニウム」
       人体という複雑系は近代医学では治せない
       生命体の本質は「生命の渦」である
      「生命の渦」を侵す人工の放射性物質
       利益追求型の経済が人類に大厄災をもたらす

       第6章の参考文献



         医療ビジネスの闇 ― “病気産生” による経済支配の実態

         医療ビジネスの闇 ― “病気産生” による経済支配の実態(Kindle)

         新・医療ビジネスの闇 ― “病気産生” による日本崩壊の実態


 最初に一番上の「医療ビジネスの闇」が出版され、その後、一章分追記されて一番下の「新・医療ビジネスの闇」が出版されましたが、生々しい「医療ビジネスの実態」を暴露しているため、共に絶版となりました(当然「発禁」処分でしょう)。もちろん、古書にて手に入りますが、有り難いことに「医療ビジネスの闇」が Kindle として発売されています(真ん中)。製薬業界医療業界に潜在する「医療ビジネスの闇の実態」を知るには、このように詳説されている著書を参考にする以外、私たち民間人には知る術がありません。これだけの内容を医師医学博士として暴露してくださる「崎谷博征」先生に、本当に感謝しております。これだけ暴露して、なぜ、上記のお写真のように微笑んでいられるのか不思議でなりません。やはり正義感が強く、よほど腹が据わっているのでしょう!


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 本文中には[]といったような形式で「参考文献」が掲載されています。
 一番最後の 第6章の参考文献 は、第6章で掲載されている「参考文献」を列挙したものです。
 第6章で掲載されている「参考文献」は[]~[46]あります。ぜひ、ご参考ください。

 癌患者さんは必ず、この内容をご覧になられてください。
 そして、製薬業界癌医療界が企む「癌医療ビジネス」という「闇の実態」が確実にあることを理解され、本当に正しい癌治療とは何かを本気で考えてください。
 この事実を甘く考えていますと、本当に『無知の罪』に苦しむことになりますよ‥。

 「第6章 産業がガンをつくる」は、抗がん剤放射線の中身についても書かれています。
 抗がん剤放射線という癌治療がどういうものなのかを知るための一助とされてください。


 また、この著書は 癌産業 以外にも、ワクチン産業 などの「闇の実態」についても書かれています。
 できれば、この著書を手にし、この著書のすべてを学ばれて頂きたいです。
 日本の大人のみなさん、早く目を覚ましましょう!


 ちなみに、「崎谷博征」医学博士は「パレオドクター・崎谷博征のブログ」ブログにて、日々、様々な情報を発信してくださっています。ぜひ、ご覧になられてみてください m(__)m

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医療ビジネスの闇
“病気産生” による経済支配の実態  


崎谷博征(著) 学研パブリッシング出版  2012年刊




 はじめに 現代医療の惨状から見えてくる真実

 今、WHO(世界保健機関)から「世界一」と評価されている日本の医療現場で、大変な混乱が起こっています。
 まずは、治療代の3割を負担する健康保険制度です。なんと、その3割でさえも支払えない世帯が急増しているのです。今まで大病の経験がない人でも、両親や祖父母が病に倒れ、入院したときに初めて医療、介護にお金がかかることを実感された方は多いのではないでしょうか。治療代の3割を負担するだけでなく、今は入院中の給食代やオムツ代は別勘定です。
 また、医療費をはじめとした社会保障削減によって、自立できない高齢者を抱えた家庭は自宅で面倒を見るしか選択肢がない状況に追い込まれています。もとより、すでに20年にもなる経済不況で、自宅で介護できる余裕のある家庭はほとんどありません。自分でなくとも、近親者が病気になってはじめて、そのような厳しい現実に突き当たります。
 医療を提供する側も実は追い込まれています。救急疾患などを治療する地域の中核病院を「急性期病院」と呼んでいます。急性期病院では患者さんの入院期間が長くなればなるほど、病院の収入が逓減していくシステムになっています。病院としてはなるべく早く退院させるか、次の「慢性期病院」に転院させたいという動機が働きます。患者さんをどんどん回転させていかなければ、経営が成り立たないからです。
 慢性期病院も、リハビリを主におこなう病院などでは、入院期間があらかじめ設定されています。設定された期間を過ぎる患者さんを入院させていると、国からもらえる「診療報酬」を減らされるために、やはり回転をよくしていかなければならないのです。
 病院の中心として働く医師たちは、短期間に診療、治療する数も増え、それに伴う書類作成などの雑用に追われて心身ともに病んでいます。病院あたりの医療スタッフ数は基準値ぎりぎりでないと収益が上がらない構造になっているため、少ない人数で目まぐるしく入れ替わる患者さんの応対に追われる状況が深刻になっています。そのような余裕のない空気は、もちろん入院している人にも伝わります。私たちはこのような医療に、満足のいく治療を期待できないでしょう。
 私が最近驚いたのは、認知症病棟を含む100床もある4階建てのとある老人保健施設の実態でした。なんと、夜勤の看護師ひとりだけで回していたのです。老人保健施設といっても、以前は急性期病院で入院しているような重症の患者さんばかりです。どの人も急に病態が悪化してもおかしくない状況なのに、どうやってひとりで管理できるのでしょうか。認知症病棟では夜間に徘徊する人が多く、転倒なども日常的に起こっています。まさに毎日が綱渡りなのです。
 患者さん側から見ると、いくら重症でも短期間で次々と病院や介護施設を転々としなければなりません。しかし、このような医療・介護制度をおそらくほとんどの方はご存知ないでしょう。自分自身や親族の病気をきっかけに、はじめて現実に突き当たることになります。医療を提供する側も期限が近付くと、状態にかかわらず退院させるか、どこかの介護施設に移すしかありません。そのことがもとで、患者さんあるいはそのご家族と、病院や介護施設側とのトラブルが絶えません。
 また一般的な開業医も毎日50人以上の患者さんの診察をしないと経営が成り立ちません。営業時間で割るとひとりの診察にかけられる時間は数分になります。数分でできる診療はおのずと決まってきます。そのような診療に受診する側の満足が得られることはほとんどないでしょう。
 これでも、日本の医療制度は効率が世界一と評価されているのです。医療介護スタッフも精神的、肉体的余裕をなくし、患者さん側も追い込まれている状況がますます深刻になっている……。このままで日本の医療は、継続できるのでしょうか。
 医師である私自身が首をかしげざるを得ません。その一方で、日本の医療制度を決める厚生労働省、およびその上に立つ財務省は、医療費、介護費を削減していくことに血眼になっています。それはおのずと国民負担を増やすことにつながります。この姿は、まさに沈みゆく日本国家というボートから経済的、社会的弱者を次々と追い出すことで自分たちだけが助かろうと、官僚たちが必死で延命を図っているようにみえます。
 医療介護費の高騰だけに目を奪われていてはいけません。私たちから消費税をはじめありとあらゆる税金を絞り取ることで、世界の財閥に地位を保全してもらおうという売国奴たちが、この国にも多数存在しています。私たちの血税はこの売国奴たちを通して、世界の財閥たちが支配する多国籍企業、とくに医薬農業コングロマリット(アグリスィーティカル)を潤すために、湯水のごとく遣われているのです。
 これまでの問題提起は、じつはすべて「お金の問題」です。医療介護を含む社会保障にお金をもっと費やすか、あるいは根本的にお金のかからない社会、つまり世界の財閥たちの支配から自立した、官僚のいない社会に変えていくのかという選択が今、私たちに突きつけられているのです。
 このような現在の医療の惨状は、現代の日本社会の縮図です。この悪循環から抜け出すには、医療を見ているだけではダメです。もっと大きな構造を俯瞰しないで、小手先の「対症療法」によっているだけでは、傷口がますます広がってしまうからです。
 医学は「サイエンスの端くれ」といわれますが、そのサイエンスは独立した存在ではなく、時代に奔流されてきました。これはコペルニクスが「地動説」を唱えてから、正式にローマ教皇庁が認めるまでに約450年もかかったことに象徴されています。
 科学技術や学問的知識は、「純粋にそこにある」というものではありません。これらを保持し、コントロールできる個人や集団が、自分たちの利益に合うように利用しているのです。しかも、科学技術や学問的知識が他者の利益になることを妨害しながらです。
 医学研究も同じく独立した善意の第三者ではなく、政治やそれをコントロールする人々の影響下にあります。このことを包み隠さず明らかにしない限りは、医療にまつわる「お金の問題」を解決する端緒にも立てません。医学や医療もキレイ事ではないのです。
 まずは、そもそもなぜ医療にこれだけお金がかかるのか。医療にまつわるお金がどのように流れているのか。またその医療につぎ込まれた莫大なお金はどこに行くのか。近代医学はどのように作られてきたのか。
 このような現代医療にまつわる私たちの身近な「お金の問題」を端緒として、現代医療の大きな枠組みを理解していただくと同時に、現代社会の歪みを医療、医学というひとつの切り口を通して分かりやすく説明していきたいと思います。
 その過程で「どうして私たちは病から逃れられないのか」という問題が解かれていきます。
 さらに本書が、現代医療でさらに悪化している病や医薬品、ワクチンなどの副作用によって “作られた病気”「医原病」で苦しんでおられる方々の救いとなることを願ってやみません。



 第6章 産業がガンをつくる

ピンクのリボンは女性の敵か?
 アメリカの10月は「乳ガン啓発月間」で、スーパーやデパートではピンクのリボンをつけたピンク色のコーナーが設置されます。ピンク色に包装されたお菓子やスナックなど、さまざまな商品が並んでいます。
 ひとつ購入すると、売り上げのいくらかが乳ガン関連のリサーチや患者ケア、患者団体等へ寄付されるなどの記載があります。ミスUSAなどを広告塔にして派手な宣伝を展開しています。日本の乳腺専門クリニックもこのピンクリボンを看板にしているところが多いのです。
 乳ガン啓発月間が始まったのは1984年。乳ガン啓発のための冊子の配布、メディアでの宣伝、マンモグラフィー検査普及の必要性を訴える運動です。こういった社会的運動が起こる背景には、必ず企業の利害が背後に隠れています。それを端的に語るのは、運動に要する資金がどこから出ているのかということです。
 乳ガン啓発月間を立ち上げたのは、アメリカ家庭医学学会、ゼネカヘルス基金です。ビッグファーマのゼネカ社は、乳ガンの原因物質と推定されている塩素系化学物質などを産生している世界最大の石油化学会社の製薬部門です。乳ガン啓発月間の最大の後援者であり、開設以来数百万ドルの資金を提供しています。
 さらに興味深いことに、ゼネカ社は乳ガン再発予防のために使用される「タモキシフェン」という抗ガン剤のライセンスを持っています。また傘下のガン専門医療サービス会社であるサリック社を通じて、アメリカの11のガンセンターを経営しています。
 ちなみに「タモキシフェン」は、乳ガンの予防目的で5年間の服用が決められていますが、子宮ガンの発生率と死亡率を高めることが判明しています[]。ガンの予防薬がガンを発生させるというシャレにもならない話です。
 ピンクリボンキャンペーンがさかんになる一方、ピンク商品の氾濫ぶりに懸念を示した「ピンクになる前に考えよう(Think before you pink)」というカウンターキャンペーンがあります。スローガンは「乳ガンは女性の命の問題であり、マーケティングの機会ではない」というもの。NPO団体の「乳ガンアクション(Breast Cancer Action)」が主催し、2002年に活動が始まりました。この乳ガンアクションは草の根団体で、乳ガンに関する活動の中心的存在です。
「ピンクになる前に考えよう」キャンペーンの目的は、消費者に対して商品を購入する前に、自分が購入することで寄付できる金額、その寄付がどの団体のどのプログラムで使用されるのかなどをしっかり確認してじっくり検討しましょう、と啓発することです。
 また、ピンクリボンキャンペーンで寄付金集めに参加している企業に対しても、集まった寄付金額と寄付する団体先等の詳細を明確にするよう、透明性や説明責任を求めています。さらに、乳ガン撲滅を謳いながらリボンをつけて販売されている商品の中には、乳ガンを引き起こす危険性があると考えられている物質に関係があるものもあり、その点についても疑問を呈しています。乳ガンアクションのいう「乳ガン啓発月間」は、「乳ガン産業月間」ではないかと揶揄しています。
 じつは、ピンクリボンで集まった資金は、ゼネカ社の開発した抗ガン剤や、ガンの原因となる頻繁な乳房X線撮影検査(マンモグラフィー)を推進するために使用されているのです。ピンクリボン運動で集まった募金が、産業界を潤わせるだけではなく、ガンをも引き起こしかねないものであるとしたら、それはまさに悪魔の仕業としかいいようがありません。本当のガンの原因である、ゼネカ社などの石油化学会社が生産している化学物質の複合汚染のことには、ピンクリボンはなぜか沈黙したままです。


アメリカガン協会は “ガン産業” 協会
 ピンクリボン運動を支援している大きな組織にACS(アメリカガン協会)があります。アメリカのガン研究の最大の非政府組織(NGO)で、「リレー・フォー・ライフ(命のリレー)」というようなチャリティーイベントを全米5000か所で毎年開いています。リレー・フォー・ライフは、ガンに立ち向かう日々の思いや体験を語り合い、リレー方式で24時間歩きながら寄付を募るイベントです。日本では2006年に始まり、日本対ガン協会が主催しています。
 ACSは、乳ガンに対しては「乳ガン治療の前進(Making Strides Against Breast Cancer)」というようなチャリティーイベントをおこなっています。1993年から始まったこのイベントで集まった寄付金の総額は約255億円を超えています。これらの寄付金の用途はホームページ記載されていますが、抗ガン剤などの開発研究への資金提供、無料の電子メールでマンモグラフィー受診通知をするサービスや、収入に関係なくすべての女性がマンモグラフィーや治療を受けられる政策を支持する活動などが含まれています。
 CPC(アメリカガン予防連合)会長でイリノイ大学公衆衛生学のエプシュタイン名誉教授は、ACSが製薬会社、マンモグラフィー機器メーカー、ファイルムメーカー、農薬石油化学会社、化粧品会社、ジャンクフード会社などの資金提供を受けていることを指摘しています。
 ACSの会長は放射線科医であり、シーメンス、デュポン、ジェネラル・エレクトリック(GE)、イーストマン・コダックなどの各社が資金提供をしています。デュポン社は、マンモグラフィーのフィルムを製造していますが、ACSの乳ガン啓発プログラムに資金提供し、アメリカ議会に米全土でマンモグラフィー検査を行き渡らせるようロビー活動をしています。
 ACSが1972年以降、乳ガンに対する抗ガン剤の開発研究に約259億円を提供し、マンモグラフィーを早期発見のための標準検査としたのは偶然ではありません。
 ACSは、喫煙と加齢をガンの主因として挙げています。そして、ガンの予防としてはマンモグラフィー検査と日光の回避を推奨しています。しかし、ガン発生の主因となる化学物質、農薬、環境汚染あるいは食習慣を含めた生活習慣などに対しては一切口に出しません。石油化学物質やジャンクフードなどを生産し、環境を汚染している企業が自分のスポンサーだからです。
 さて、アメリカガン協会が乳ガンスクリーニングの標準検査とし、ピンクリボンが力を入れて啓発している乳房X線撮影(マンモグラフィー)は、本当に女性にとって有益なのでしょうか?


マンモグラフィー検査をめぐる利害の対立
 USPSTF(アメリカ予防医療専門委員会)が2009年に発表した乳ガン検診についての新しいガイドラインは、産業界医学会患者団体そしてアメリカ政府を巻き込んだ大論争に発展しました。この委員会は、主に公衆衛生学の専門家で構成されています。政府からは独立した組織として、科学的根拠にもとづいて予防医療についての指針を諮問することが任務です。
 40歳以上の女性は毎年1回、乳房X線撮影(マンモグラフィー)検診を受けることが長年推奨されてきました。しかし、今回のガイドラインでは、マンモグラフィー検診の開始年齢を50歳に引き上げ、50~74歳のマンモグラフィー検診は2年前に勧告した「年に1度」ではなく「2年に1度」にすべきだと発表したのです[]。
 これに患者団体やガン専門医をはじめ、医療界が「マンモグラフィー検診をやめると多くの命が失われるだろう」と猛反発しました。メディアの多くもこの意見に同調し、オバマ政権の医療費削減政策がその背景にあるのではないかと取り沙汰しました。
 しかし、このUSPSTFの勧告は、今までのマンモグラフィー検診に関するデータを分析したうえで「利益」と「害」を秤にかけ、その有用性を判断した結果でした。
 40代の女性は50代に比べて乳ガン罹患率が低いだけでなく、乳房組織が密であることなどから偽陽性(乳ガンでないのに乳ガンと判断される)の率が高くなります。2003年に論文報告された中では、マンモグラフィー検査を受けた患者が実際にはガンではないのにスクリーニングで「陽性」として引っかかる率は10.7%にも上ります[]。
 また40代の女性では、マンモグラフィー検査を受けて命が助かるより10倍も、誤診やそれに伴う不必要な治療が施されていることが指摘されています[]。
 さらに、10年間、毎年マンモグラフィーを受け続けた場合はどうなるでしょうか? 検査を受けた人が「偽陽性」と診断され、「乳ガンの疑いがある」と告げられる確率は約50%になります。2人に1人がガンでないのに、ガンの疑いをかけられるのです。あまりにも精度が低い検査としか言いようがありません。
 一度、陽性と判断されれば、生体組織診断(生検病変部位の組織を外科的に切除し、顕微鏡で病変部位を観察することによって、病気の診断または病変の拡大の程度を調べるための検査)等の追加検査など不必要な医療行為を受けることになります。
 さらに、陽性と言われた場合の心理的負担等の「害」も考えあわせると、40代で毎年の受診は不適切であるというアメリカ予防医療専門委員会の勧告は妥当なものです。
 また、50代で「1年に1回」を「2年に1回」としたのも、死亡率減少効果に大差はないという理由からでした。検査の頻度を半分に減らせば、偽陽性や不必要な検査治療がおこなわれる頻度も自動的に半減します。
 マンモグラフィー検査そのものの安全性についても疑問視されています。一般にマンモグラフィーの放射線量は、普通の胸部レントゲンの1000倍量に相当する1ラド(物質1㎏あたり0.01ジュールのエネルギーを吸収したときの吸収線量)になります。またある種の遺伝子を持った女性は、通常よりも4倍ほど放射線感受性が強くなることが分かっています。このような女性は、100人に2人くらい存在し、毎年乳ガンと診断されるすべての症例の20%を占めると推測されています。
 アメリカガン予防連合会長でイリノイ大学公衆衛生学のエプシュタイン名誉教授は、1992年からずっとマンモグラフィー検査の危険を訴え続けています。とくに閉経前の女性は、乳房の密度が高いため放射線感受性が強く出ます。毎年、1ラドの放射線に暴露すると、10年で乳ガンになるリスクは10%に上昇すると警鐘を鳴らしています。
 マンモグラフィー検査そのものによる危険だけではありません。誤診によって、検査のために切除を受けたり、乳房部分切除を受けたりした場合に、傷からガンが発生することも懸念されます。傷の修復過程で幹細胞にエラーが起こり、ガンが発生することが確かめられているからです[]。
 一方、マンモグラフィー検診で得られる利益はどのようなものでしょうか?
 ノルウェーにおいて、4万人の乳ガンの女性を対象に大規模な研究をおこなったところ、マンモグラフィー検診による死亡率減少効果は10%でした。しかし、70歳以上の乳ガンの女性を調べたところ、マンモグラフィー検診なしでも治療によって8%の死亡減少効果があったことが判明しました[]。したがって、実際のマンモグラフィー検診による死亡率減少効果は2%程度と、限りなくゼロに近いということになります。
 たとえば50歳の女性2500人がマンモグラフィー検診を受けたとしましょう。このうち1人の命が助かる計算になりますが、1000人は偽陽性と診断(つまり誤診)されてしまいます。このうち半数の500人が前述した生検(メスで組織を採取)を受けることになります。さらにこの検査の結果、5人~15人の女性が乳ガンという誤診を受けて、乳房切除術、抗ガン剤や放射線治療を受けることになります[]。
 1995年7月の「ランセット」誌にも、「メリットがほとんどなく、デメリットが深刻で、コストが膨大にかかる検査」としてマンモグラフィー検診に疑義を呈しています[]。
 さらに、ヨーロッパにおける興味深い調査があります。イギリスの北アイルランドとアイルランド共和国、オランダとベルギー(国全体と、オランダに隣接するフランダース地方)、スウェーデンとノルウェーにおいては、マンモグラフィー検診普及前の1989年から普及後の2006年までの乳ガン死亡率が、いずれの国でも低下していました。低下率は北アイルランドが29%、アイルランド共和国が26%、オランダが25%、ベルギー全体が20%、フランダース地方が25%、スウェーデンが16%、ノルウェーが24%でした。
 各国のマンモグラフィー検診普及時期に開きがあったにもかかわらず、乳ガン死亡率が下方に変化した年度は、北アイルランドとアイルランド共和国、オランダとフランダース地方の間でほぼ同じでした。一方、スウェーデンでは1972年からすでに乳ガン死亡率の低下が続いており、2006年まで検診による明らかな死亡率の低下は見られませんでした。
 この結果から、欧州の共同研究グループは、「マンモグラフィー検診は乳ガンによる死亡の減少には直接かかわっていないことが示唆された」と結論づけています[]。
 アメリカ乳ガン連合が新しいガイドラインを積極的に支持する一方で、ピンクリボンで有名なスーザン・G・コーメン乳ガン財団(Suzan G. Komen for The Cure)、ACS、アメリカ放射線学会、乳房画像学会などは、強く反対しています。
 じつは、新しいガイドラインに反対しているアメリカガン協会やコーメン乳ガン財団などは、マンモグラフィー関連機器を製造する企業から巨額の資金援助を受けています。乳ガンの検診ビジネスは年商21億ドルと非常に大きく、ベービーブーマー世代が乳ガン検診を受け始める2013年までに年5.6%の伸び率が見込まれています。医療機器メーカーやそこから資金を得ているアメリカガン協会などが新ガイドライン潰しに躍起となったとしても不思議ではありません。


スクリーニング検査がガンをつくる!?
 一般に、マンモグラフィー検診のような検査をスクリーニング検査といいます。病気の早期発見のために開発されたものですが、その多くはマンモグラフィー検診と同じような理由で、現在は見直しが迫られています。
 前立腺ガンのスクリーニング検査では、血液中の前立腺特異抗原(PSA)の値を調べます。この値が高いと前立腺ガンの疑いがあるということで、乳ガンと同じく生検検査が追加されます。
 前立腺ガンのスクリーニング検査も「死亡減少率効果がないか、20%程度であったのに対し、誤診による過剰検査・過剰治療の頻度が高い」という報告がなされました[10][11]。
 ここにも利害の対立があります。アメリカ泌尿器学会は、前立腺ガンのスクリーニング検査の意義を積極的に認めていますが、アメリカ家庭医学会は疑問視しています。
 また、子宮頚ガンのスクリーニング検査では、スメア検査(PAPスメア)というものがあります。パップスメア検査(細胞診)は、子宮頸部の粘液粘膜の細胞を専用の棒で採取し、顕微鏡で細胞の病変の有無を検査する方法をいいます。
 この場合も、細胞に異常が見られた場合は、生検検査、つまり子宮頸部粘膜の一部を外科的に切除して診断を確定します。アメリカ産婦人科学会は、2009年にスメア検査のガイドラインの改定を発表しました。「性的にアクティブになってから3年以内、少なくとも21歳までに始める」としていた開始年齢を「21歳から」とし、検査頻度についてもこれまでより少なくてよいと改訂しました[12]。これは以前から若い女性の子宮頸部に生検検査をおこなった場合、その損傷によって妊娠時の合併症が起こったり、傷そのものがガンの発生母地になったりするリスクが高いからです。
 いずれも、過剰なスクリーニング検査が、その後の不必要な検査や治療を引き起こすことや、誤診による「病気づくり」が与える心理的影響などが無視できないために、見直しが迫られたのです。
 ピンクリボンをはじめ、「ガンの早期発見」という謳い文句はよいのですが、現代医療が持ち合わせている検査水準では、正確さを欠くだけでなく、むしろ「害」を及ぼすことが明らかになっている以上、おかしな啓発運動には注意しなければなりません。
 以上の理由から、私自身は脳ドックをはじめとした人間ドック検診には否定的です。たとえば脳ドックで脳動脈瘤(脳の血管にできる瘤。破裂すると「くも膜下出血」となる)が発見された場合、個人に与える影響は測り知れません。むしろ、その存在を知ってしまったがために、いつも頭に爆弾を抱えているという心理的ストレスによって、脳動脈瘤が破裂するかも知れません。
 誰だって頭を開かれたり、血管内にカテーテルを入れられたりするような外科的な処置はできれば避けたいでしょう。脳動脈瘤が破裂する確率は年に数%しかありませんので、何も知らない方がそのひとの人生にとってよいとも考えられるのです。
 医者の立場からすると、手術したくてたまらない人がほとんどですから、破裂した場合のことをそれとなく強調し、手術する方向へ無意識に誘導してしまいます。「手術したいのなら、そのようにムンテラ(説明)せよ」というのが、外科医の掟です。スクリーニング検査は、健常者から病人をピックアップする作業ですから、それにまつわる産業と医学界の “勇み足” となることがおおいにあるのです。


現代人にガンが急増する本当の理由
 WHO(世界保健機関)のIARC(国際ガン研究機関)の調査によれば、2008年に世界で「ガン」と診断されたのは約1270万人で、死亡者は760万人にのぼります。
 この30年間でガン患者数は2倍に増加し、2000年から2020年の間にはさらにその2倍、そして2030年までにはその3倍に膨れ上がると予測されています。ACSの見解のように、私たちの寿命の延長によって、ガンが増加しているという説が医学界でも支配的です。
 それは、「昔の人はガンになるまでに感染症や低栄養で亡くなっただけで、長生きすれば必ずガンになる確率が高くなる」という仮説でした。この仮説は、発ガンは遺伝子の異常によって引き起こされ、遺伝子の異常は年々蓄積されていくので、老人になればガンになる確率が高くなるというものです。
 しかし、IARCの統計では、ガンは数十年前までは西欧化した国の問題でしたが、いまや平均寿命の短い発展途上国を含めた世界全体の問題となっています。そして、先進国では20歳代や30歳代でガンになる人も増えています。これは、従来の「寿命の延長=ガンの発生率の上昇」では説明がつきません。
 マンチェスター大学生物医学エジプト学KNHセンターのデヴィット教授らによって、古代エジプトギリシアおよびそれ以前の時代の遺物と文献を調査し、エジプトのミイラに対して初めてガンの組織学的診断がおこなわれた研究が2010年に報告されました[13]。
 この研究では、1000年という長期の時代について調査をおこない、大量のデータが収集されました。数百体のミイラを調査した結果、ガンが見つかった事例は、プトレマイオス朝時代(BC400~200年)にダフラオアシスに住んでいた “一般人” の直腸ガン1例だけでした。腫瘍組織の特徴はミイラ化しても保存されることが実験的研究により証明されています。むしろガン組織は、正常組織よりも良好に保存されることから、古代にはほとんどガンが存在しなかったと考えられます。カイロ博物館と欧州の博物館に安置されているミイラについても放射線学的調査がおこなわれたましたが、やはりガンの痕跡は発見されませんでした。
「古代の人は長生きしなかったからだ」という意見に対してはどうでしょうか?
 古代エジプトや古代ギリシアの人々は、実際にはアテローム動脈硬化症、骨パジェット病、骨粗鬆症などを発症する年齢まで長生きしています。
 平均寿命が30歳前後とされ、「過酷な生活環境のため、早死にする人が多かった」と考えられてきた縄文時代の人たちも、出土人骨の年齢推定に関する最新の研究によれば、じつは65歳以上と見られる個体が全体の3割以上を占めるという研究結果も報告されています(「月刊考古学ジャーナル」臨時増刊号2010 )。岩手・蝦島貝塚や千葉・祇園原貝塚などの9遺跡から出土した計86体の人骨の再調査では、65歳以上が32.5%を占めたといいます。
 縄文人と近い暮らしをしていたと考えられるアフリカの狩猟採集民でも、乳幼児死亡率が高かった江戸時代の人々でも、50代以上で亡くなった人が3割を超しています。つまり、昔の人の平均寿命が短いのは、乳幼児死亡率が高いのが原因であり、その時期を乗り越えられれば、長生きする人も珍しくはなかったと思われます。
 一方、骨のガンである骨肉腫などは若年層に多いのですが、これも古代のミイラの骨からは発見できません。かりにガンが寿命のみに関係しているのであれば、若い人に起こるガンがなぜ現代にだけ起こるのか説明がつきません。
 さらに、デヴィット教授らの研究では、恐竜時代までのヒトと動物の遺物について実施された過去の医学的調査の結果も検討しています。その結果、動物の化石や、人間以外の霊長類や初期人類にガンの痕跡が発見されることは極めてまれでした。動物の化石では数十件にガンのような組織が見つかっていますが、その多くも本当にガンであるかどうか議論のさなかにあります。また、ヒト以外の霊長類ではさまざまな悪性腫瘍が報告されていますが、その中に現代のヒト成人で一般的に見られるガン種はほとんど含まれていなかったといいます。
 乳ガンなどに対して手術がおこなわれたという記述が現れるのは17世紀に入ってからで、200年前にようやく、典型的なガンが医学文献で初めて報告されることになります。たとえば、煙突掃除人の陰嚢ガンは1775年、かぎタバコ使用者の鼻腔ガンは1761年、ホジキン病(リンパ腫の一種)は1832年に初めて報告されています。このように、ガンの症例報告が出てくるのは産業革命が起こった18世紀後半以降なのです。
 以上のことから、古代の自然環境にはガンの要因になるものは存在せず、ガンは環境汚染や食事ライフスタイルの変化が原因の “人為的疾患” なのです。ガンの罹患率は産業革命以降、劇的に増加し、とくに小児ガンで顕著であったことから、ガンの増加は単に寿命が延びた影響ではないことも明白です。
 それでは、ガンの原因と考えられる環境汚染や食事ライフスタイルの変化とは、どのようなものなのでしょうか?


産業がガンを生み、ガンが産業を生む
 2008年、カナダのオンラインニュース(canada.com)で、ビビアン・マラギーという女性について大変興味深い記事が配信されました。
 彼女は環境問題研究家のひとりで、普段から人一倍気を使ってオーガニックの食べ物や毒性の低い家庭用品などを選んでいます。その彼女が、自分の血液中の化学汚染物質を調べたのでした。その結果はどうだったのでしょうか?
 彼女の血液中にはガン、出生異常、神経疾患と関係のある鉛、ヒ素、水銀などの重金属、ポリ塩化ビフェニル(PCB)、難燃剤、他の化学物質が検出されたのです。潜在的に毒性のある化学物質68種類のうち36種類が検出され、そのほとんどが体から排出できない、つまり体内の脂肪や骨に蓄積するタイプの物質だったのです。彼女のように慎重に食品や家庭用品を選んでいる人でもこの結果ですから、そうでない人の血液はもっと汚染度が高いでしょう。私たちの血液も調べると、かなり化学物質で汚染されていると思います。
 これは何を意味しているでしょうか?
 このような有害な化学物質は、すでに私たちの周囲の大気、飲料水、土壌、食品、家庭用品、パーソナルケア用品、コンピューター付属品なども含め、広範囲に浸透していて、私たちはこのままの生活を続けている限り、それらから逃れられないということです。環境に広く浸透していれば、必ず、大気、飲料水や食品が汚染されているのです。
 化学物質で汚染されたものを日常的に摂取することによって、やがて蓄積した化学物質が相互作用を起こして昔は稀にしか存在しなかったガンをはじめとした慢性病を引き起こすのです。
 その中で、みなさんに避けてほしい代表的な毒性物質の一部を列挙してみましょう。各項目の最後に付したIARCによる「発ガン性評価」の意味は、以下の通りです。

 グループ1ヒトに対する発ガン性が認められる
 グループ2ヒトに対する発ガン性があると考えられる
 グループ2Aヒトに対する発ガン性がおそらくある
 グループ2Bヒトに対する発ガン性が疑われる

塩化ビフェニル(PCB
 すでに日本やアメリカでは製造禁止されていますが、いまだに環境を汚染しています。PCBを体内に蓄積した小魚のすり身をエサとする養殖サケは、高濃度のPCBを含有しています。PCBの毒性は、発ガン作用、胎児の脳の発達障害などがあります。IARCの発ガン性評価では、グループ2Aです。

農薬
 アメリカ環境保護庁によると、除草剤の60%、殺菌剤の90%、殺虫剤の30%に発ガン作用が認められています。これは特記すべきことですが、これらの農薬は、アメリカで流通している食品の半分以上に残留しています。農薬の毒性は、ガン[14]、パーキンソン病、流産、神経損傷、出生異常、食物の栄養吸収阻害などを引き起こします。有機塩素系農薬は、IARCの発ガン性評価ではグループ2Bです。

ダイオキシン(TCDD
 有機物を燃焼する過程で排出されます。動物性脂肪の95%に含まれています。ガン、生殖器異常、発達異常、発疹、体毛過剰などを起こします。国際ガン研究機関の発ガン性評価ではグループ1。

クロロホルム(トリハロメタン
 塩素を付加した水道水、大気などを汚染します。以前は麻酔薬としても使用されていました。発ガン性があり、肝臓・腎臓障害、めまい、頭痛などの神経症状を引き起こします。IARCの発ガン性評価ではグループ2Bです。

重金属(ヒ素、水銀、鉛、アルミニウム、カドミウムなど
 水道水、魚、ワクチン、農薬、防腐材、発汗抑制剤、建築資材、歯科用アマルガム、塩素工場など多数の汚染が認められます。発ガン性、神経系異常、アルツハイマー病、骨髄抑制、不整脈などを引き起こします。ヒ素、カドミウムなどの重金属は、IARCの発ガン性評価ではグループ1です。

アスベスト
 1950~1970年代にかけて、絶縁体として床、天井、排水管などに広く使用されていました。現在、それらの構造物が古くなり、アスベストの繊維が大気中に放出されています。肺ガン、肺中皮腫などの発ガン作用があります。IARCの発ガン性評価ではグループ1です。

揮発性有機化合物
 光化学スモッグ(オゾン)など、汚染大気物質の主要な原因です。飲料水、カーペット、塗料、ニス、消臭芳香剤、洗剤、防虫剤、ドライクリーニング剤(とその衣服)、化粧品などから放出されます。発ガン性があり、粘膜刺激症状、頭痛、視力障害、記憶障害などを引き起こします。アメリカ環境保護庁の調査では、揮発性有機化合物の濃度は、屋外より屋内の方が2~5倍高いという結果となっています。

カビ、真菌毒素
 3人に1人は、カビに対してアレルギーを持っています。カビあるいは真菌の毒素は、ガン、心臓疾患、喘息、多発性硬化症、糖尿病を引き起こします。カビの生えた食品、とりわけピーナツ、小麦、トウモロコシ、アルコール飲料などが摂取源となります。カビ毒のアフラトキシンは、IARCの発ガン性評価ではグループ1です。

 世界の石油化学企業を調査しているICISのレポート「世界トップ100」によると、石油化学企業はトップから順にBASF(IGファーベンの分社)、ダウケミカル、エクソン・モービル、シェルなどの大企業が並びます。第9位には三菱化学がランクインしています。またバイエルなどのビッグファーマも名を連ねています。
 これらの企業は、過去50年間で7万から10万種類の化学物質を生産しています。そして毎年、新しく1500種類の化学物質が生産されますが、安全性に対する試験や監視などはほとんどされていません。欧州では2007年7月1日より「欧州化学物質規則」(REACHRegistration, Evaluation, Authorization and Restriction of Chemicals)がやっと施行されたばかりで、人体や環境にとって危険な化学物質への各国の政府の取り組みが始まったばかりです。
 そして、石油化学コングロマリットが生み出したこれらの化学物質複合暴露で “つくられた” ガンに対して、コングロマリットの一角のビッグファーマは「抗ガン剤」で莫大な利益を得ます。見事なマッチポンプです。しかし、その抗ガン剤は本当にガンを治癒させるのでしょうか?


抗ガン剤でガンが誘発される
 ゼネカ社の抗ガン剤タモキシフェン(ノルバテックス)は、私たちの体の細胞のエストロゲン受容体に結合します。タモキシフェンを投与すると、すでにタモキシフェンがエストロゲン受容体に結合しているために、エストロゲンというホルモンがエストロゲン受容体に結合することができなくなります。
 乳ガンには、エストロゲンによってガンが成長するタイプのものがあります。このようなタイプの乳ガンの場合、手術後に予防的にタモキシフェンを投与し、エストロゲン刺激によって乳ガン細胞が増大するのを防ぐのです。
 しかし、タモキシフェンは別のガンを誘発することが分かっています。子宮ガンの発症率と死亡率を高めるリスクがあるのです[15]。
 ガンを予防する抗ガン剤で、ガンができるのですから、これは割に合いません。しかし、アメリカのみならず、日本でもタモキシフェンは通常、乳ガン予防(エストロゲン感受性乳ガン)のために5年服用するよう推奨しています。恐ろしいですね。じつは多くの抗ガン剤は、IARCの発ガン性評価ではグループ1(発ガン性あり)に属しています。
 医療現場でよく使用されている抗ガン剤の発ガン作用の一例を挙げましょう。

 アドリアシン(ドキソルービシンおもに再発乳ガン、悪性リンパ腫に使用されます。白血病を引き起こします。
 ベプシド、ラステット(エトポシドおもに悪性リンパ腫、肺ガン(小細胞ガン)などに用いられます。
                    白血病を引き起こします。

 IARCは、抗ガン剤とその治療を受けた人のガン発症との間に関連があると報告しています。
 そして抗ガン剤はガン細胞だけでなく、私たちの健康な細胞にも作用します。とくに、さかんに分裂する細胞に悪影響を及ぼします。たとえば以下のような細胞です。

 造血骨髄細胞
 消化管粘膜細胞
 生殖器細胞
 毛根細胞

 したがって、抗ガン剤治療では、感染症(白血球減少)、嘔吐嘔気(消化管細胞)、不妊(生殖細胞)、脱毛(毛根細胞)などの副作用(有害事象)は必須なのです。また、前述したように白血球減少による免疫抑制から長期的には発ガン作用をもちます。本質的に現代医療で用いられる抗ガン剤は “発ガン剤” なのです。
 NIOSH(アメリカ国立労働安全健康研究所)は、抗ガン剤の使用により、前記の急性の副作用のほか、長期的には肝臓、腎臓、肺、心臓などの臓器に障害が及ぼされることを認めています。
 抗ガン剤の有害事象は、投与される患者さんだけにとどまりません。抗ガン剤を調合する薬剤師、抗ガン剤を扱う医療従事も日常的に汚染されています。2004年にはアメリカ労働安全衛生研究所が、「抗ガン剤など有害な薬物の職業曝露に対する警告」を発したことなどがきっかけとなり、「抗ガン剤被曝」に注目が集まりました。
 抗ガン剤が病院の床や設備に付着するなど、抗ガン剤汚染が病院内に広く及んでいることが、2008年の日本病院薬剤師会の調査結果でも明らかになっています。調製時に抗ガン剤が付着した注射針が露出しただけでも、そこから抗ガン剤が揮発してその気体を吸入することで “体内被曝” する要因となります。
 たとえば、サイクロフォスファミアド(シクロホスファミド)という抗ガン剤は、とても気化しやすいことで有名です。ドイツのIGファーベン社(現在のバクスター社)によって、第二次世界大戦で生物兵器として使用された史上初の抗ガン剤「ナイトロジェンマスタード」をもとにして開発されました。現在では、白血病、乳ガン、膠原病などで広く使用されています。
 日常的に病院に出入りする患者さんの家族や医療産業スタッフも知らないうちに、このような生物兵器に曝露されているのです。
 2006年のNIOSHの調査では、看護師や医療スタッフの血液尿から抗ガン剤や抗ガン剤に引き起こされた遺伝子異常が発見されています[16]。
 また、2008年にデンマークで、9万2140名の看護師を対象におこなわれた研究調査では、乳ガン、甲状腺ガン、脳腫瘍といったガンのリスクが普通の集団より高いことが報告されました[17]。抗ガン剤の持つ細胞毒性、発ガン性などが被曝による問題をもたらしますが、若い女性職員が多い病院では、催奇形性(妊娠中に被曝することで奇形児が生まれる)に関してもこれから問題になってくる可能性があります。
 抗ガン剤が付着したり、揮発して気体となったりすることによる汚染だけでなく、抗ガン剤を投与された患者さんの血液尿などで医療現場が広く汚染されています。抗ガン剤は、人体に投与され、代謝されたのちに尿呼気などから排泄されますが、そのように排泄された抗ガン剤は、毒性がさらに強くなっています。
 2004年にNIOSHは、抗ガン剤のような危険な薬剤を使用する際には換気扇を回し、医療スタッフは特別なガウン、二重の手袋、マスクなどを装着するようガイドラインを奨励しています。しかし、あくまでも自主的におこなってくれと言うにとどまっており、資金力のない中小規模の病院では、医療スタッフは日常的に抗ガン剤に暴露されています。日本でも「閉鎖式混合調製システム」という外に漏れないシステムを使用することを奨励されていますが、コストが高いため、すべての抗ガン剤に使用することは事実上おこなわれていません。
 抗ガン剤は、投与される患者さんでなく、病院を中心としてその周囲の環境をも汚染しているのです。

当ブログサイトでは、癌治療として『飲尿療法』を推奨しています。『飲尿療法』は「癌免疫の改善化」及び、人尿中に含有される『尿酸』による「酸化還元治療」になりますので、私は癌治療に有効する手段として『飲尿療法』を推奨しております。詳しくは「飲尿療法(尿療法)」カテゴリの記事を参照してください。
 しかし、この項にて解説されている通り、抗がん剤治療中の癌患者の尿は「抗がん剤の毒」に汚染されているため、抗がん剤治療中の『飲尿療法』は絶対に禁止です。「抗がん剤の毒」に汚染された尿など飲めば、大きな二次被害となります。抗がん剤治療中の『飲尿療法』は必ず避けてください
ブログ管理人


データが示唆する抗ガン剤の疑わしさ
 それでは、バイオテクノロジーで作られ、華々しく登場する抗ガン剤は、使用時の重大な副作用をしのぐような効果を持っているのでしょうか?
 2004年に発表された医学論文では、すべてのガンに対して、平均して5年生存率を高くする抗ガン剤は、なんと2%そこそこしかないことが報告されています[18]。
 5年生存率とは、診断から5年経過後に生存している患者の比率のことです。あるガン疾患の予後を測るための医学的な指標として便宜的に使用されます。多くのガンでは、治療によりガンが消失してから5年経過後までに再発がない場合を「治癒」と見なしています。
 2008年のアメリカ患者転帰(病気などが行き着いた結果)および死亡部外秘調査では、抗ガン剤治療を受けた10人のうち4人以上が、命にかかわる副作用を終末期に経験していることが分かりました[19]。
 この調査では、抗ガン剤治療を受けて1か月以内に亡くなったガン患者さん600人以上のデータから、明らかに抗ガン剤そのものが原因で命を落としていると判明したケースは27%に上ることも分かりました。このデータのうち、35%が抗ガン剤治療で改善したという結果でしたので、その他の大多数は、抗ガン剤が直接的間接的に死期を早めたケースといえます。
 また、最近抗ガン剤の効果がなくなってきたと腫瘍専門医が頭をかかえる現象に、「多剤耐性ガン」の出現があります。抗生物質の使いすぎで「多剤耐性菌」ができるのと同じく、抗ガン剤の使いすぎで従来の抗ガン剤が効かない「多剤耐性ガン」ができるのです。
 ガン組織は、均一の性質をもった細胞の集まりではなく、じつはさまざまな性格の違う細胞の寄り合い所帯です。ある抗ガン剤で死滅するガン細胞もあれば、それに抵抗性を示すガン細胞も混在しています。したがって、ある抗ガン剤をいくら投与しても、それに抵抗性のあるガン細胞のみがどんどん増殖してくるという現象が起こります。つまり、いくら抗ガン剤の種類を組み合わせても、必ず耐性をもったガン細胞が生き残り、やがて増殖してくるといえます。
 ガン組織は自然と同じく「多様性」があることをしっかり認識しておかないと、人工的な操作でさらに悪性のガンを生み出すことにもなりかねないのです。これは、抗ガン剤治療や放射線治療の数年後に発症する医原性ガンが、より悪性になっているという多くの報告からも裏付けられています。私自身も、良性の髄膜腫という脳腫瘍を放射線治療した10年後に、悪性脳腫瘍が発生したケースを経験しました。
 抗ガン剤のこのような現状を一番肌身で感じているのは現場の医師です。彼らは、もし自分がガンになったとしたら、抗ガン剤治療を受けるのでしょうか?
 答えは「ノー」です。
 普段から抗ガン剤の無効性と重大な副作用を目の当たりにしているので、ある調査では75%の医師が抗ガン剤治療を受けることを拒否しています。
 このことに関連して、私が先日、ある乳ガンの女性から相談を受けたときに、興味深い話を聞かせていただきました。その女性は、手術をしてもらった主治医の外来を定期的に受診しているのですが、抗ガン剤治療を拒否してすでに15年が経過し、今は経過だけを診てもらっています。あるときその主治医が、「あなただけですよ。まだ生き残っているのは。抗ガン治療を受けた人はみんな死んでしまいました。大きな声ではいえませんが、抗ガン剤治療を受けなくて本当に良かったですね。あんなものでガンは治りませんよね」と、本音を漏らしたといいます。私はそれを聞いたときに、正直な医師だと思いました。
 医師のほとんどは、ビッグファーマとその傘下にある各医学学会によって決められた治療計画(プロトコール)に沿って、ベルトコンベアー方式で患者さんを処理するだけの “請負人” でしかありません。それは、その治療でどれだけの効果と副作用(有害事象)があるかというデータ取りが必要ということと、ビッグファーマとの癒着=研究資金の提供があるからです。教授になりたい人間、あるいは権威に取りつかれている論文中毒の教授は、そのデータを集めることで医学論文を書き、売名行為に勤しむことも可能です。したがって、現場の医師が治療に独自の判断を持ち込むことは、狭い医学界ではご法度になっているです。
 こういう医師の本音は、通常は患者さんに打ち明けられることはありません。一度、打ち明けてしまうと、良心的な医師ならば、もうこのような行為は精神的に耐えられなくなるからです。現代の医学界とは、ほとんどの医師が、自分の生活や欲のために良心をかなぐり捨て、患者さんをあくまでも数字(マテリアル)として扱い、悪魔になり切らないとやってられない世界ともいえます。これは、医学界に限らず、専門領域ではどこでも大なり小なり同じシステムになっていることは想像に難くありません。専門職請負人は根本的に「人騙し」の要素をその内奥に孕んでいるのです。


抗ガン剤という名の巨大市場
 バイオテクノロジーで作られて次々と新登場する抗ガン剤は、効果についてはほとんど進歩が見られないのに対して、薬価は高騰しています。NIOSHは、2020年にはすべてのガン治療に費やされるお金は、現状では少なくとも1580億ドル(約12兆6400億円)、薬価がこのまま高騰すれば2070億ドル(約16兆560億円)と見積もっています。これは日本の年間の医療費の半分に匹敵する額です。私も最初は、あまりにも費用が莫大すぎるので、桁数を間違えたのではないかと計算し直したくらいです。
 実際、2010年のアメリカ市場におけるバイオテクノロジー由来の医薬品は、70%も増加しています。そして、そのほとんどが抗ガン剤なのです。日本でもすでに厚生省が認可したバイオ抗ガン剤も含めて、その一例を挙げましょう。いかに抗ガン剤がぼったくりであるかがお分かりになるでしょう。

アービタックス大腸ガン治療薬。生存率が延長するという研究結果はなし。1か月使用した場合の薬価は1万ドル(約80万円)。
アブラキサンタキソールの新しいバージョン。タキソールの25倍の薬価(1回で約34万円)。
イマチニブ(グリベック慢性骨髄性白血病に使用されますが、心臓の筋肉細胞を障害するため、心不全の副作用があります。アメリカ市場における2010年の売上は43億ドル(約3440億円)。
エビスタ閉経後の女性の乳ガン再発予防に使用されますが、命にかかわる脳卒中や血栓症のリスクを50%高めます。
アバスチン転移性乳ガン、大腸ガンに使用されますが、たかだか2~3か月しか生存期間を延ばすことができません。FDA(アメリカ食品医薬品局)自身が、副作用の方が大きいと認めているバイオ抗ガン剤。アメリカ市場における2010年の売上は64億ドル(約5920億円)。
ハーセプチン転移性乳ガン(ある遺伝子を発現している乳ガン)の治療で使用されます。アメリカ市場における2010年の売上は60億ドル(約4800億円)。
プロベンジ前立腺ガン治療用ワクチン。わずか4か月ほどの生存期間延長効果しか認められていません。薬代は、1コースで9万3000ドル(約744万円)。
ヤーヴォイ進行性悪性黒色腫(メラノーマ)に使用します。わずか3.5か月ほどの生存期間延長効果しか認められていません。薬代は、1コースで12万ドル(約960万円)。

 これらはほんの一例にすぎません。
 これらの抗ガン剤は、主にガン末期の人を対象にしたものですから、副作用で亡くなってもそれほど道徳的責任を負うことはありません。華々しく登場した新薬は、2年も経過すれば、「古くて効果がない薬」として片づけられ、その薬の構造を少しマナーチェンジしただけの新薬がまた「新しい効果のある薬」として推奨されるのです。車でも2年でマイナーチェンジすることはないでしょう。ビッグファーマにとっては、抗ガン剤はまさに “ドル箱” なのです。
 私たちが生命にかかわる病気になるほど、その治療代はより高騰していきます。『ビッグファーマ』(篠原出版)の著者のマーシャ・エンジェル氏は、この状況を「生命にかかわる病気に苦しむ人々の藁をもすがる思いから搾取している」として、ビッグファーマやアメリカガン協会などを酷評しています。


 これらの “新しい” 抗ガン剤は、アメリカ食品医薬品局によって速やかに認証されます。たとえ、その抗ガン剤が少人数のグループでしかテストされておらず、安全性がまだはっきり分かっていない段階でも、速やかにマーケットに出されます。なぜなら、ビッグファーマは、ひとつの抗ガン剤で1日ごとに100~200万ドル(8000万~1億6000万円)の売り上げを得ますから、可能なかぎり速い認可を求めているのです。
 このような調子ですから、マーケットに出してから、死亡を含めた甚大な副作用が起こる結果となり、慌ててマーケットから回収することもたびたびです。
 最近の例では、白血病の治療薬として華々しく登場したファイザー社のマイロターグ。たった142人の患者さんでテストをしただけで、2000年にマーケットに出ました。しかし、市場後調査で、この抗ガン剤で治療した人の方がそうでない人よりも死亡率が高いことが明らかになったため、2010年にはアメリカ食品医薬品局が、ファイザーにマーケットから回収するよう要請しています。
 前述したアバスチンという抗ガン剤も同じく、FDAの審査を通常よりも迅速にパスしたものです。2008年に転移性乳ガンで承認を受けました。1か月の薬代が8000ドル(約64万円)もする大変高価な抗ガン剤です。しかし、この抗ガン剤もその後の調査で、消化管穿孔、出血、脳卒中、重症高血圧、重症腎障害を引き起こすことが分かりました。アメリカ食品医薬品局は、「わずかな生存期間延長による利益よりも副作用などの害が大きい」と判断し、2011年には段階的に市場から回収していくようジェネンテック社に要請しています。
 しかし、治療の1コースで10万ドル(800万円)以上もかかる費用を負担できる人は、それこそビッグファーマの役員のような富裕層でないといないはずです。だとすれば、ビッグファーマはコストを下げざるを得なくなります。しかし、ここにもうまい仕掛けがありました。
 アメリカ政府による高齢者向けの政府保険を「メディケア」といいます。このメディケアのプランBというシステムは、政府の税金で薬代の80%を賄ってくれます。ガン専門医は、高価な薬を処方するほど、その薬代を政府から無制限にもらえるというシステムになっています。したがって、患者さんもガン専門医も薬価を気にしなくてもよいようになっているのです。
 しかし、残りの20%の薬代もバカになりません。これは通常、患者さんが自分で契約している私的な保険から支払われます。保険会社は、なるべく支払いを渋り、患者さんの自己負担金を増やそうとします。そこでビッグファーマは、そのお金を肩代わりすることでこのシステムを維持しているのです。つまり、このシステムでもっとも損をするのは、メディケアに当てられている国民の税金です。得をするのは、ビッグファーマ、病院、医師。患者さんは副作用で苦しむだけなので、損になるでしょう。国民の税金にたかるビジネスが一番儲けられるという事実は、古今東西変わらないということです。


ガンのリスクを倍増する「奇跡の薬」
 骨粗しょう症とは、骨がもろくなる病態のことで、50歳以上になると女性の3人に1人、男性は5人に1人の割合で問題となっています。骨がもろくなることで、とくに大腿骨、脊椎骨、手首の骨などを骨折するリスクが高くなります。
 NIOSHの関節炎筋肉骨格系皮膚病研究部門およびアメリカ女性健康情報センターの調査では、約3000万人のアメリカ人に骨粗しょう症による骨折のリスクがあり、世界的に見ても1990年から2000年の10年間で大腿骨骨折が25%も増加していています。
 そこに骨粗しょう症の進行を止める奇跡の薬(ミラクルドラッグ)が登場します。薬を飲むだけで骨が強くなるとは、なんと素晴らしいことでしょう。そのミラクルドラッグこそは、ビスホスホネート剤とよばれる薬です。日本ではフォサマック、アクトネル、ダイドロネルといった名称でおなじみですが、ここ数年、急速に投与されるようになりました。とくに閉経以後の女性の骨折例には、かなりの割合でこのミラクルドラッグが出されています。
 2010~2025年版「骨粗しょう症世界マーケットレポート」によれば、2009年の骨粗しょう症に対する薬の売上は世界で120億ドル(約9600億円)にも達します。
 FDAは、2008年の時点で、アメリカでのビスホスホネート剤フォサマック(メルク社)の内服者で23名、そしてヨーロッパと日本で31名の食道ガンの報告を受けていました[20]。
 その後の調査で、北米とヨーロッパの60~79歳の食道ガンの発生率が、5年のビスホスホネート剤の内服で2倍に上昇することが分かりました[21]。
 ビスホスホネート剤は、注意事項として、食事あるいは十分な水と一緒に内服することと、内服後すぐに横にならないことが、薬剤添付文書に記載されています。これは、ビスホスホネート剤は胃酸を逆流させ、食道に炎症を起こす作用があると分かっているからです。食道に慢性的な炎症が起これば、食道粘膜がガン化してもおかしくはありません。
 そのほか、私がすでにビスホスホネート剤を投薬されている患者さんの主治医となって驚いたのは、下顎が溶け、歯がすべて抜け、歯槽膿漏が極まったような激しい炎症を起こしたことでした。薬の副作用を疑って調べたところ、ビスホスホネート剤に「顎骨壊死」という有害事象があることを知って、慌てて投薬を中止しました。
 そのほかにも、ビスホスホネート剤を投薬されている患者さん数名におかしな現象が起こることに気付きました。やたらと太腿の付け根(鼠径部)付近に痛みを訴えるのです。最初は手術部が痛むのかと思っていたのですが、その数週間後に大腿骨骨折が判明したのです。
 じつは、2008年にFDAは、ビスホスホネート剤内服に伴う非典型的な大腿骨骨折について、フォサマックのメーカーであるメルク社に、薬剤の添付文章に記載するよう求めていました。非典型的な大腿骨骨折とは、転倒などで通常骨折が見られる部位とは違った部位(この場合は骨幹部)に骨折が認められるものです。メルク社は、それから16か月後にやっと骨折のリスクについて添付文書にそっと追加していました。しかし、それを現場の医師に通達することはありませんでした。
 しかし、「上に政策があれば、下に対策があり」です。アメリカの整形外科専門家たちによる独自の非典型的な大腿骨骨折の症例の調査で、そのうちの94%がビスホスホネート剤を服用しており、その多くの人は5年以上の内服歴があるという事実をつかんでいました[22]。
 骨折を予防する骨粗しょう症に対する薬が骨折を引き起こすのは、抗ガン剤がガンを引き起こすのとまったく同じ問題です。
 骨という固い組織といえども、生きている限り私たちの体は常に新陳代謝して、分子レベルで構成物質を入れ替えていきます。とくに骨は、骨自身を溶かして処理する破骨細胞と、新しい骨を作る造骨細胞が微妙なバランスを保ちながら新陳代謝をおこなっています。健康で丈夫な骨は、弱くなった骨を除去し、新しい骨を作っていくため頑強になります。この動的な新陳代謝で骨が丈夫になるのです。
 ビスホスホネート剤は、このうち骨を溶かして処理する破骨細胞のみをブロックします。そうすると、たしかに骨が破壊されないので、骨の密度は高くなります。しかし、新陳代謝が止まってしまうので、造骨細胞は働きません。この状態では骨はどうなるでしょう?
 骨密度は高いけれど、非常にもろい骨ができあがるのです。これが、ビスホスホネート剤を内服している人に非典型的な骨折が多くなる原因なのです。
 ビスホスホネート剤にはそのほかに重篤な副作用がありますので、列挙しておきましょう。

 低カルシウム血症
 眼球炎症、失明
 筋肉骨格の激痛
 胃潰瘍
 心房細動
 肝臓障害
 腎臓障害

 また、2010年にはビスホスホネート剤の注射版であるプロリアという薬が新たに登場しました。これは、人間のあるタンパク質を遺伝子組み換えによって作ったGM(遺伝子組み換え)医薬品です。通常の骨の新陳代謝で骨を破壊するのを刺激するRANKLというタンパク質をブロックすることで、骨の密度を上げます。このGM医薬品も内服のビスホスホネート剤と同じく、骨の新陳代謝を抑えるので、骨が逆にもろくなります。
 この注射薬も、以下のような重い副作用を持っています。

 重症皮膚感染
 中耳炎、尿路感染症、心筋炎
 背部痛、筋肉骨痛
 高コレステロール症

 日本でも骨粗しょう症に対して、この注射薬が整形外科で乱用されています。この世の中に幸運はあっても “奇跡” はないのと同じで、、ミラクルドラッグなどはないのです。骨をいつまでも丈夫に保つためには、骨の新陳代謝を止めないことです。具体的には、日光浴をしてビタミンD(活性型)をたくさん作って健康な骨を育て、適度な運動をして新陳代謝を上げることこそが骨粗しょう症予防の最善の方法なのです。


携帯電話とワイアレス通信がガンを増やす
 ヨーロッパ評議会の議員会議(EU各国の国会議員で構成)は、2011年5月6日にワイアレス(無線通信)機器から発せられる電磁波が子供に及ぼす危険性について報告書を提出しました。この中では、現在決められている閾値以下の無線通信電磁波でも、地球上の動植物に悪影響を与えるとし、子供をこのような電磁波から一刻も早く遠ざけるだけの医学的根拠が十分あると警告しています。とくに学校では、携帯電話や Wi-Fi(ワイファイ)などの無線通信を禁止すべきであるという内容になっています。
 子供は大人より電磁波が脳の深部まで貫通しやすいことが、ピッツバーグ大学ガンセンターの調査で分かっています。子供の頭蓋骨が薄いためです。
 ヨーロッパ評議会の議員会議の発表後、2011年5月21日に開催されたIARCによる発ガン性評価で、携帯電話からの電磁波はグループ2Bに分類されました。グループ2Bは、「ヒトに対する発ガン性が疑われる」という比較的穏やかな分類です。ちなみに、グループ2Bに属する物質は、農薬のDDT、鉛、ドライクリーニング溶剤、ガソリンエンジンの排気物質などがあります。
 しかし、現在までの携帯電話と脳腫瘍、唾液腺腫瘍(いずれのガンも携帯の電波が直接当たる部分)の発生を調査した研究では、因果関係が明らかになっているものが少なからずあります。
 たとえば、携帯電話で聞く側の脳(側頭葉、前頭葉)に悪性腫瘍(脳腫瘍)が1998年から増加していますが、その他の部位の脳腫瘍は減少していることが報告されています[23]。
 また、唾液腺のガン、とくに耳下腺腫瘍は大変稀な疾患です。しかし、イスラエルの調査では、1970年から2006年までにイスラエル国内の耳下腺腫瘍は4倍増加していることが問題となっています。そして、その耳下腺腫瘍は携帯電話を聞く側に起こっています。さらに、唾液腺腫瘍の20%は、20歳以下に起こっています。ガンが若年に多発するには、何か特別な遺伝子異常が起こる環境的要因がなければ説明がつきません[24]。
 携帯電話を購入する機会がありましたら、一度パッケージの注意事項を見てみましょう。アイフォンなら、携帯本体を少なくとも1.5㎎、ブラックベリーでは2.5㎎離して使用するようにという注意書きがあります。
 2010年5月に発表されたインターフォン研究は、これまでの携帯電話と脳腫瘍の関係について、多数の調査を総括しています。この論文では、10年以上携帯電話を使用している人は、2年未満の人より脳腫瘍になるリスクが118%上昇する(約2倍)という結果が導かれました。
 しかし、このインターフォン研究の論文自体を詳細に再検討した結果、少なくとも10年以上携帯電話を使用している人は、2年未満の人より脳腫瘍になるリスクは180%上昇していることが判明しました。しかも、この10年以上使用しているという、いわゆる「ヘビーユーザー」のカテゴリーに分類したのは、1か月に2.5時間携帯電話を使用する人だったのです。
 1か月に2.5時間?
 おそらく現在、私たちの携帯電話使用時間は、その数倍~数十倍にのぼるでしょう。人によっては1日で2.5時間を超えている人もいるでしょう。現在までの携帯電話と脳腫瘍の関係を総括した研究自体が、私たちの現状の携帯電話利用事情を反映していないのは明らかです。
 タバコの健康被害(ガン、動脈硬化など)は吸い始めから数十年経過しないと分からないため、タバコの人体への危険が医学的に証明され、一般の人々に浸透するまでに長い歴史を要しました。携帯電話と脳腫瘍の発生の関係を調べたのはここ数十年のことです。脳腫瘍の発生は、タバコの健康被害同様、携帯電話の電磁波の最初の暴露から通常10~30年かかります。まさに現在は本格的に脳腫瘍が増加していく真っ最中にあり、タバコと同様にこれから医学的にもその危険性が証明されていく途中経過にすぎないことを俯瞰しなければなりません。
 フランス、フィンランドをはじめとしたヨーロッパ諸国やイスラエルでは、すでに国家が携帯電話の安全使用についてのガイドラインを公表しています。アメリカでもサンフランシスコでは、2011年5月から携帯電話を購入するときに、携帯電話に伴うリスクについて顧客に通知教育するように義務づけています。
 ピッツバーグガンセンターでは、発ガンリスクが高くなるために、医療スタッフに携帯電話の使用を制限するよう2008年から告知しています。こういった動きが世界各地で起こっていますが、日本政府の動きは鈍く、一般の人の認知もかなり遅れているのが気ががりです。
 携帯電話などの電気通信業界は、製薬業界よりもさらに巨大産業です。アメリカでも電気通信産業はホワイトハウスに大きな影響力を持っています。またいくつかの影響力を持ったロビー団体の退職年金の大半が電気通信産業に投資されていることが事態をさらに複雑にしています。
 携帯電話会社は、このように政府に対して多大な影響力を行使するため、自社にとって不都合な医学的事実を隠避しようとやっきになって努めるでしょう。それはタバコ会社が、あまりにも歴然とした医学的事実が積み上がり、ごまかしがもはや効かなくなるまでタバコの健康被害を隠ぺいし続けてきたのと同じ状況であるといえるでしょう。
 さらに、周知されていませんが、自宅の固定電話の子機も携帯電話と同程度の電磁波を出します。緊急事態のとき以外は使用しないようにしましょう[25][26][27]。


X線撮影による医療被曝の実態
 2011年の福島原発事故の放射線被曝問題で、よく引き合いに出されたのが胸部レントゲンやCT検査などの医療被曝です。放射線専門家(東京大学放射線科の出演が多かったのですが)が連日、日常の「医療被曝に比べて問題になる量ではない」と発言していました。
 これは本当なのでしょうか?
 私も今まで放射線医療に従事しながら、あるいは大学院で放射線同位元素(アイソトープ)を使用した実験を5年間も続けながら、漠然と放射線は危険だという認識しかありませんでした。しかし、今回、あらためて放射線について調べた結果、自分の認識の甘さに気付かされました。
 たとえば、私が放射線同位元素を使って遺伝子の実験をしていたのは、放射線管理区域というところです。この区域内では被曝線量が高いとみなされるため、当然飲み食いや寝たりすることも禁止です。ところが、当時の私は当直明けの実験が多かったので、よく管理区域内のソファーに寝転がって、実験の合間に寝ていました。
 また、私が日常的におこなっていた血管撮影という検査。これは患者さんの動脈にカテーテルを入れて、そのカテーテルに造影剤を入れることで、脳の血管を撮影する検査です。長い場合は20分ほど放射線を出しぱなっしにして血管の走行を調べます。撮影も最低8~10回おこないます。この1回の検査での被曝量は多いときで2000ミリシーベルト近くにのぼることが後に分かりました。今、100ミリシーベルト以下では発ガンリスクや発ガン死亡率が上昇しない(これは間違い。後述します)と放射線専門家たちがテレビで発言していますが、その20倍もの被曝量です。
 もちろん、この被曝量は検査を受ける患者さんたちの場合ですが、検査している私たちも多少は被曝します。しかし、検査が緊急のこともあり、目や甲状腺をカバーする鉛製のプロテクターを装着せずにおこなっていました(放射線科専門の先生はこのようなことはしません)。昔から、真偽はともかくとして指導医に「血管撮影を長時間日常的におこなう男性の脳外科医は、放射線被曝のため女の子しか生まれない」と言われていました(私の子供は女の子が2人です)。今から考えるとゾッとします。
 2009年10月13日のABCニュースで、深刻な医療過誤が報道されました。ある患者さんが、ロサンジェルスのシーダス・サイナイ病院で検査のために頭部をCT撮影したところ、髪の毛が抜け落ちたことが発端となりました。その後の調査で、その頭部CTスキャンは通常の8倍量の放射線を出していたと分かったののです。調査の時点から遡って18か月の間、約200名の患者さんが8倍の放射線量に被曝していたことが発覚しました。
 CT検査1回での被曝量が最低約10ミリシーベルト(mSV)です。腹部のCTではその倍の20ミリシーベルトです。250ミリシーベルトの被曝量では白血球が減少していくことが分かっています。今回は100ミリシーベルト前後の被曝で毛が抜け落ちたということです。
 CTを用いて脳血流を調べる「脳かん流スキャン」という検査があります。2009年にこの検査を受けた女性の髪の毛が、ごっそり抜けおちてしまったという事件が起こりました。めまいや記憶力低下もあったため調査すると、なんと頭部に6000ミリシーベルトの被曝量があったことが判明しました。通常の「脳かん流スキャン」は、600ミリシーベルトですので、10倍量になります。さすがに事態を重く見たFDAが調査に乗り出し、全国で370人以上がこのような高線量で検査を受けていたことが明らかになりました[28]。
 また2011年2月27日付の「ニューヨーク・タイムズ」紙では、ニューヨーク州ブルックリンのダウンステイト病院で、未熟児に対して胸部レントゲン撮影時に頭から足先まで全身のX線写真を撮っていることが判明しました。レントゲン技師は、胸部のレントゲン写真を撮る際に未熟児の撮影ポジションがうまく決められないために、同じ未熟児に約10回も全身照射のX線写真を撮っていたのです。このような全身照射は、胸部と違って放射線の影響を受けやすい骨髄、腸粘膜などの全身の臓器に放射線が当たるため非常に危険です。
 このような医療放射線被曝の過誤についての正確な件数はまだ明らかになっていません。なぜなら、アメリカのほとんどの州で、医療放射線被曝過誤の報告義務がないからです。また、過誤を報告してもそれに対する罰則規定がありません。これは日本も同じです。
 さて、なぜこのような医療放射線過誤が起こっているのでしょうか?
 2011年2月26日に開かれた米国下院エネルギーおよび商業対策委員会の公聴会で、レントゲン装置を操作する技師たちは、トレーニングを受けてもいなければ免許を持ってもいないことが暴露されました。実際、アメリか国内の17の州では、レントゲン装置を操作するために特別な免許を必要としていません。レントゲン技師を免許制にしているのは、たった4つの州しかないのです。アメリカの各州では、理髪師のほうが放射線従事者よりもずっと規制されていると揶揄されている状況です。
 たしかに、私が医師になってからの経験によれば、個人病院レベル(小さな医療法人)では、看護師資格をまだ取得していない研修生がレントゲン撮影をしていたところもありました。本来は医師であれば、レントゲン撮影をすることが法律的に可能でしたので、医師の指示にもとづいて学生が作業するという形にしていたのです(実際は、医師がレントゲン撮影までする時間などなく、ほとんどは学生に丸投げしていました)。学生に放射線の知識などあるわけがなく、その病院で決められたマニュアル通りにやっていたのでしょう。20年ほど前、私が研修医時代には、田舎の個人病院では、このような違法行為が常態化していたのだと思います。
 医療放射線機器は年々複雑になっていきますが、それを扱うにあたってきちんとしたトレーニングはなされていません。また、医療放射線機器は、最近のデジカメなどのようにオートフォーカス機能などありませんが、多くのレントゲン装置を扱う人々がデジカメと同じ感覚で撮影している現状にようやく警告が鳴らされるようになりました。
 とりわけ、子供に対する放射線照射は慎重でなければなりません。子供のレントゲン撮影には、放射線照射にともなう以下のような問題があるからです。

解剖学的に頭蓋骨が薄いため、容易に放射線感受性の高い脳の深部まで放射線が届く。
分裂がさかんな細胞は遺伝子へのダメージが大きい(これは分裂する際に、強固に結合した2つの遺伝子の紐がほどけるため。二重鎖の遺伝子の紐より一重鎖の遺伝子の紐の方が放射線の高エネルギー対して傷害を受けやすい)。
細胞内のミトコンドリアの遺伝子に異常が起こりやすい。
放射線障害も累積していくので、成人より多く被曝することになる。
CTを含めた検査機器は成人用の規格なので、子供の場合、成人なみにきれいな撮影写真を撮るためには、2~6倍の放射線量を吸収することになる。

 2011年2月の「ブリティッシュ・メディカル・ジャーナル」誌上で、米国立ガン研究所のグループが、胎児期~生後100日までのX線検査による放射線曝露と、白血病やリンパ腫のような小児ガンとの関係は完全には否定できないと論文報告の中で警告を発しています[29]。
 NCRP(アメリカ国立放射線防護委員会)の調査では、現在のアメリカ国民の医療放射線被曝量は1980年代の約7倍に上っています。この放射線被曝の急増に貢献しているのは、おもにCT検査の普及です。なぜならば、CT検査による被曝は、従来のレントゲン撮影(X線撮影)の100倍量にあたるからです。ちなみに前述したマンモグラィーは、1000倍量とさらに高くなっています。
 アメリカでは毎年6200万回のCT検査がおこなわれ、その25%は子供への照射です。1980年代では年間300万回のCT検査数でしたから、20倍以上になっています。コロンビア大学放射線研究センターのブレナー博士は、CT検査の3割は不必要であり、向こう20~30年間でCT検査被曝によるガンの発生は300万人を超えると予想しています[30]。また2001年の「アメリカレントゲン医学」紙には、CT検査を受けた子供の約1000人に1人は、その被曝によって引き起こされるガンによって死ぬと予測されています[31]。
 また、成人でもCT検査を頻回に受けることで被曝量が蓄積し、ガンで死亡する割合が1%増加することも論文報告されています[32]。この論文によれば、調査対象となった3万1462人のうち15%は、調査時点での累積被曝量が100ミリシーベルト以上で、4%は250~1375ミリシーベルトでした。調査時点でCT検査を5回以上受けた人は35%にのぼり、一番多い人で132回も検査をしていました。
 こういった医療被曝による健康被害の懸念から、アメリカ議会は、検査や治療で用いる医療放射線機器は国内のどこでも同じ質を保証しなければならないという法案を制定しています[33]。
 アメリカ食品医薬品局は、この状況をむしろ隠蔽しようとしてきました。2010年3月20日の「シアトル・タイムズ」紙で、アメリカ食品医薬品局所属のニコラス博士が「大腸ガンのスクリーニングでCT検査をおこなうことは、健康な人にとってむしろ放射線による発ガンを促進することになるので止めた方がよい」と助言したのに対し、彼を解雇するという暴挙に出たことが伝えられました。
 翻って、日本の状況はどうでしょうか?
 イギリスのオックッスフォード大学のガン研究調査で、診断用のX線写真でどの程度ガンを発生させているかを、日本を含めた14か国にわたって調べました[34]。イギリスでは75歳になるまでに、ガンの0.6%は医療の診断用X線写真が原因であると推測されました。イギリスの人口に換算すると、毎年700人のガンが医療によってつくられていることになります。では、日本はどうでしょうか?
 日本では75歳になるまでに、ガンの3%は医療の診断用X線写真が原因であると推測されています。日本の人口に換算すると、毎年約7800人のガン患者を発生させていることになります。ちなみに、日本以外の13か国の平均が0.6~1.8%ですから、日本がいかに医療被曝国であるかが伺い知れます。
 CT検査に関しても、これを裏付けるデータがあります。
 厚労省の「医療施設調査病院報告の概況」とOECD(経済協力開発機構)の統計によると、人口100万人当たりのコンピューター断層撮影装置(CT)の設置台数は、日本の場合96.1台と、米国の34.3台やドイツの16.3台などをはるかに上回っています(日本は2008年10月時点、他国は2007年ベース)。日本は中小病院などが、患者を集めるために競って高額機器を導入しており、世界に冠たるCT大国なのです。
 そういえば、思い出すことがあります。私が高校生のころ、自転車通学の途中で車にはね飛ばされ、3か月にわたる入院生活を送ったことがありました。そのときに入院した病院が運悪く、今から考えると金儲け主義の個人病院でした(私の入院から数年後に乱脈経営で潰れました)。その病院で、頭蓋骨骨折の診断のため、毎週頭部のCT検査を受けました(おまけに必要のない点滴を毎日されました。食事をとることができるのに、です)。
 もちろん、外傷性の脳内出血の可能性があるため、最初の頭部CT検査は致し方ないと思いますが、1週間ごとに撮影するのは明らかに過剰医療行為です。今であれば、医療過誤で訴えられても仕方がないでしょう。結局、あまりにも入院が長引くため、地域の公立病院で再検査し(ここでも頭部CTを撮影されました!)、異常なしというお墨付きをもらって退院したのでした。頭蓋骨骨折もなかったようで、明らかに医療詐欺行為だったのです。
 私の場合は、不届き千万な病院に運悪く入院したということもありますが、日本では個人病院レベルでもCT装置が備わっているため、当時はこのような無節操なCT被曝を受ける患者さんが全国各地にいたことは想像に難くありません。
 日本では職場健診が義務づけられ、多いところでは年に2回も胸部のX線撮影をします。1回の胸部X線撮影被曝量が0.05ミリシーベルトですから、年に0.15ミリシーベルトを浴びることになります。かりにCT検査を1年のどこかで受けるとすると、その被曝量10ミリシーベルトを足して、10.15ミリシーベルトになります。改めて計算すると、この値は驚きです。なぜなら、米国の国際放射線防護委員会による2007年の勧告では、一般の人が年間浴びてもいい放射線量を平常時は1ミリシーベルト以下と設定しているからです。
 福島第一原発事故によって、周辺地域の小学校の屋外活動制限基準として文部科学省が採用したのは、年間許容量20ミリシーベルトまででした。平常時の年間1ミリシーベルトから20ミリシーベルトに引き上げたのです。いわゆる「20ミリシーベルト問題」に対して、当時の内閣官房参与の小佐古東京大学大学院教授(原発推進派とされています)までが反対を唱えて辞任していますが、CT検査を年に2回受けるだけで、この年間許容量を超えてしまいます。今回、原発事故で比較された医療被曝を調べて、その深刻さに改めて驚きました。原発事故の外部被曝などより、よほど被曝量が高いからです。
 たしかにCT検査は手軽におこなえ、かつ通常のレントゲン検査や超音波エコー検査に比べて情報量の多い検査です。しかし、放射線量が非常に高いというデメリットと、MRI(放射線を発しない)などのより優れた検査機器の登場で、その存在意義が薄くなってきています。
 アメリカでも子供の虫垂炎を診断する際に、腹部CT検査の健康障害を懸念して、臨床症状をスコアリングして診断する方法が提唱されています[35]。
 医療被曝によって健康障害をこうむるのはCT検査だけではありません。妊婦や乳児期早期に受けたX線撮影でもわずかながら、白血病も含めた小児期のガン発症率が高くなると報告されています[36]。
 今後は放射線を使用しない優れた検査方法や検査機器が開発されていくことでしょう。


原発産業は確実に発ガン率を上げる
 遺伝子(DNA、RNA)を扱う「分子生物学」の発展によって、放射線(電離放射線)は直接遺伝子を障害(DNAの結合を切断)できることから、ある一定の確率でミトコンドリアや核の遺伝子の突然変異を増幅してしまうことが可能な物質だと分かっています。
 そして今までの放射線障害では、100ミリシーベルト以上になると被曝量に応じて発ガン率が上がることは広島長崎の原爆被曝調査などで証明されてきました。では、それ以下の低線量では健康被害はないのでしょうか?
 カナダの医学者アブラム・ペトカウは、カナダ原子力委員会のホワイトシェル研究所において、1972年に牛の脳から取り出したリン脂質で作成した細胞膜の放射線実験をおこないました。その結果、長時間にわたって低線量放射線を照射する方が、瞬間的に高線量放射線を照射するよりも細胞膜の破壊度が高いことが分かりました。これを「ペトカウ効果」といい、低線量放射線の被曝の危険性を最初に実験的に証明したものでした。
 それでは、低線量放射線でも実際に健康被害が出るのでしょうか?
 IARC所属のカーディス氏らが中心になってまとめた15か国の原子力施設労働者の調査が、「ブリティッシュ・メディカル・ジャーナル」誌[37]に掲載されました。
 5か国の59万8068人の原子力施設労働者のうち、1年以上原子力施設で働き、外部被曝線量記録がはっきりしている40万7391人を対象に、追跡調査を含めて約520万人年分の調査がおこなわれました。これまでの原子力施設労働者の調査では最大規模です。原子力施設労働者は普段より線量計をつけていますので、外部被曝蓄積線量が正確に分かります。したがって、この調査である程度、外部被曝量と疾病の関係が明らかになるはずです。
 被曝線量は、対象となった集団の90%は50ミリシーベルト以下、500ミリシーベルト以上被曝した人は0.1%以下で、個人の被曝累積線量の平均は19.4ミリシーベルトでした。ほとんどの人が低線量被曝だったのです。
 調査期間中の全死亡数は2万4158人、白血病を除く全ガン死は6519人、慢性リンパ性白血病を除く白血病による死は196人でした。慢性リンパ性白血病は通常、放射線障害で発症しない白血病であるため除外されています。その結果、白血病を除く全ガン死は、1シーベルト被曝すると、被曝していない人の約2倍になるという結果が得られました。
 この平均19.4ミリシーベルトの低線量被曝調査集団(コホート)中で、すべてのガン死を調べると、約1~2%は放射線被曝が原因と考えられました。また、広島長崎の原爆被曝調査では、すでに100ミリシーベルト以下の低線量領域でも、ガン発症率と線量との間に直線比例関係が認められています[38]。以上より、100ミリシーベルト以下の低線量放射線外部被曝でも、ガン増加作用があることを示しています。
 また、チェルノブイリ原発事故の後始末を命ぜられた作業員たちの健康調査では、白血病や悪性リンパ腫のような血液ガン疾患、白内障、心臓血管疾患などが低線量被曝で引き起こされていることが明らかになっています[39]。
 このように最近の調査では、原発産業従事あるいは原発事故による低線量被曝によって、ガン発生のリスクが高くなるという事実が次々と発表されるようになりました。
 また、広島長崎の被曝者の長期追跡結果では、被曝当時、胎児または乳幼児であった人が成人したときのガン発症率は、55歳時点で、それぞれ3.8%と4.2%でした[40]。55歳以降にはもっと増加するでしょう。
 これも広島長崎の被曝者調査結果ですが、被曝線量が同じ場合、20歳から39歳までの発ガン死亡リスクに比べて、0歳から9歳までは3倍、10歳から19歳までは2倍になります[41]。胎児や乳幼児は成人よりも放射線感受性が高い(同じ線量を受けても、健康障害が出やすい)ことは留意しなければなりません。
 実際に、妊娠後期のX線検査によって、生まれた子供に発生する小児ガンが40%増加するという論文も発表されています[42]。この場合、被曝線量は最低でも10ミリシーベルトと推定されています。
 これらの原子力発電や原爆の低線量被曝によるガンの発症率は、たしかに前述したCT検査などの医療被曝による発ガン率(日本で3%前後)と同程度になっています。線量が同じくらいであれば、原発であろうとCTであろうと健康被害は同じはずですので、「100ミリシーベルト以下の低線量被曝では発ガン率リスクの増加が見られない」というのは、すでに過去の呪文になっています。現在では、「100ミリシーベルト以下の低線量被曝でも発ガン率リスクはわずかながら増加する」というのが世界のコンセンサスです。
 私は、日常的な医療被曝その他のリスクとのバランスから考えあわせると「わずかながら」という表現に落ち着きました。しかし、わずかといっても1万人だと200~300人単位で増えますので、この言い方が適当であるかどうかは個々人の判断になると思います。
 高線量の被曝ならば、比例直線的にガンが増加することは感覚的にも分かると思いますが、なぜ低線量の被曝でも一定の確率でガンが起こるのでしょうか?
 遺伝子は、2本の鎖が結合し、ラセン状になっています。この2本の鎖に1ミリシーベルトといった非常に低い放射線量をあてた場合でも、鎖が切断されることが実験的に証明されています[43]。
 フランスの物理学者アンリ・ベクレル(放射線量の単位となっています)は、ラジウムがアルファ線とガンマ線を放射することを発見しました。そして、彼はこの放射線が水を分解することを最初に指摘した人物でもあります。じつは、水に放射線を当てると、酸素と水素に単純に分解されるだけなく、「ヒドロキシラジカル」というもっとも反応性が高い活性酸素種(フリーラジカル)を不可避に作り出してしまいます。ヒドロキシラジカルは、水からただちに作られて、細胞全体にランダムに分布します。
 さて、私たちの体の3分の2近くは水分です。ですから、放射線はいくら低レベルであっても体内(細胞内や血管内)の水に作用してしまいます。その水の分解で生み出されるヒドロキシラジカルは、ある確率で細胞膜、タンパク質、ミトコンドリアそして核の遺伝子を傷つけてしまいます。子供ほど体内の水分量が多いので、放射線障害が強く出ます。
 放射線はすべての分子と直接反応しますが、人体の成分では水分がもっとも多いために、体内の水と反応する可能性がもっとも高いのです。したがって放射線は、直接的に遺伝子などの生体成分を傷つける作用より、体内の水を分解する過程で発生したヒドロキシラジカルによる間接的な損傷作用の方が高いと考えられます。いずれしても、最終的には後述するように核の遺伝子よりも、ミトコンドリアの遺伝子を傷害することによって、発ガンや細胞死を起こすことには変わりません。
 たとえ低線量であっても、放射線が一定の確率でミトコンドリアの遺伝子を傷害した場合に、ある一定の人にガンなどの健康被害が出るのは、タバコの煙や他の発ガン化学物質が、ある一定の人に発ガン作用をもたらすのとまったく同じ機構です。これは次章でさらに検討していきましょう。
 今回あらためて調べ直した結果、福島原発事故、過去の核実験や広島長崎の原爆被曝を含めた「外部被曝」に関しては、線量が同じならば日常的な医療被曝と同程度(場合によってはそれ以下)の健康障害が出現すると考えます(急性障害は除きます)。こと外部被曝に関しては、医療被曝の方が怖いというのは、その被曝線量の高いことを考えると、テレビで東大の先生たちが発言していたとおり、事実だと思います(東大の先生方の意図は別として)。
 以上は、あくまでも「外部被曝」の問題です。


「内部被曝」の悪影響は測定不可能
 「外部被曝」に対する「内部被曝」は、放射性核種そのものを吸い込んだり、食べ物から摂取したり、接触した皮膚から吸収することで起こる身体内部の放射線被曝をいいます。
 米コロンビア大学のヘイ氏は、体内に放射線物質そのものを取り込んだときに起こる「内部被曝」の中心となるアルファ線を水分の豊富な細胞質内にあてる照射実験をおこないました。アルファ線は外部被曝で測定されるガンマ線と違い、飛程距離が数センチメートルと短いために、一般のガイガーカウンターではほとんど検出できません。
 この照射実験の結果、多くの細胞が異常細胞に変異してしまうことが証明されました。アルファ線を直接、細胞核すなわち遺伝子に当てた場合は、ほとんどの細胞は異常細胞となるか、死滅したのです。
 また、アルファ線を照射された細胞周辺では、放射線を照射されなかった細胞の遺伝子が変異することも分かりました。これを「バイスタンダー効果」と呼びます。ある細胞の遺伝子の異常が、隣接する細胞へ連鎖反応を起こすのです。まるで感染のようです。これらの実験結果は、体外ではなく体内で放射線が出る「内部被曝」の恐ろしさを物語っています。
 私たち人間も含め、生物はおしなべて自然界にある物質を取り込み、濃縮するという営みをします。そして、臓器によって必要とされる物質が異なります。これを「臓器特異性」といいます。自然界の物質がたとえ放射能に汚染されているとしても、臓器はそれとは知らずに取り込み、濃縮していきます。
 内部被曝の危険性は、このようにして体内のある部位に取り込まれた放射能物質から出るアルファ線、ベータ線といった飛程距離の短い放射線が、狭い範囲で持続的に発生することにあります。これらの内部からの放射線は、外部被曝の観点からすれば、単位時間あたりの放射線は低レベルといえますが、放射能微粒子が付着した部位の周辺に集中して照射されます。これを「ホットスポット」と呼びます。
 すると、ホットスポット周辺の水分から「ヒドロキシラジカル」が持続的に作られることになります。また、ホットスポット周辺の細胞では、絶えず細胞膜、遺伝子などが直接傷害されるうえに、バイスタンダード効果などによって細胞に異変が起きやすくなります。
 たとえば、体内で取り込まれた放射能微粒子がストロンチウム90であれば、骨に取り込まれます。その後、骨髄でアルファ線を出し続けるために、骨髄中の水分に作用し、間接的あるいは直接的に血液細胞が傷害されます。骨髄には分裂がさかんな血液細胞(幹細胞)が詰まっていますから、細胞の異変は増幅されます。白血球の異変が増幅されれば、白血病となります。
 ヨウ素131であれば、甲状腺に取り込まれます。ヨウ素131は外部被曝では半減期が8日間であるとされています。しかし、ヨウ素131そのものをたとえば1000分の1万グラム吸い込み、それが体内にとどまっているとして計算すると、半減期の8日間に出す総線量は1シーベルトにもなるのです。これは、一般の日本人の年間放射線許容量の1000倍の線量に相当します。セシウム137の半減期は30年ですが、1シーベルトという値は、セシウム137の量が半分になる30年間に放出される総量に相当するのです。
 外部被曝ではごく低レベルの放射線量といっても、放射性物質そのものが体内に入る内部被曝になると、決して低レベルと呼べるものではなくなるのです。外部被曝は、体全体に外からまだらに影響を与えるのに対し、内部被曝は「ホットスポット」で一局集中的に高濃度の線量がかかりますので、その健康障害に及ぼす影響の違いは分かっていただけると思います。
 ここで大きな問題があります。
 それは、内部被曝は厳密には測定できないということです。ホールボディカウンター(前身測定装置)を使ったとしてもガンマ線が主体なので、内部被曝の主体となる飛程距離の短いアルファ線、ベータ線の正確な測定はできないのです。そのため内部被曝については、外部被曝と同じように正確に線量計算して健康被害を調査することは困難なのです。便宜的に内部被曝線量は、外部被曝線量を数倍したものと仮定して計算するしかないのです。
 それでは、内部被曝によって健康被害を評価する方法はないのでしょうか?
 それは、長期にわたる「疫学的調査」による評価しかありません。前述した広島長崎の原爆被曝の長期調査、チェルノブイリ原発事故後の長期調査あるいは原発施設労働者の長期調査などのように、長期にわたって特定の原因による健康被害の発生を追っていく調査を「疫学的調査」といいます。
 内部被曝は定量化(線量を数値として正確に表す)できるものではないため、長期間の観察結果によってガンなどの慢性病の発生の上昇率を調べるような疫学的調査によってしか、その影響を測ることはできないのです。
 内部被曝による疫学的調査については、2011年に発表されたチェルノブイリ原発事故による被曝線量と甲状腺ガン発症リスクの関係についてNCI(アメリカ国立ガン研究所)がおこなった前向きコホート研究(健康な人の生活習慣を追跡調査し、のちに発生する疾病を確認する研究手法)があります[44]。
 この研究は、1986年4月26日のチェルノブイリ原発事故の発生時に、原発事故現場に近接するウクライナ地方の3地域(チェルニヒフ、ジトーミル、キエフ)に在住し、当時18歳未満だった1万2500人強を対象におこなわれました。
 甲状腺ガンは、ヨウ素131で汚染された牛乳などの飲料水や食品を摂取したことによる内部被曝によって起こるものです。事故現場の近くで急性放射線被曝した人は外部被曝ですが、このように甲状腺に外部被曝した人は、今回調査した集団の中にはいません。したがって、この調査での甲状腺ガン発症例は、すべて内部被曝の影響と考えて差し支えありません。
 その結果、現時点で65人に甲状腺ガンが発見されました。これはチェルノブイリ原発事故放射能漏れ拡散によって内部被曝した結果、甲状腺ガンになる危険1.91倍高くなるというデータになります。事故からおよそ25年を経た現在も、小児青年期に放射性ヨウ素131に曝露された人では甲状腺ガンリスクの低下傾向は認められないことも分かりました。
 原爆の被害を受けた人を対象におこなわれた研究[45]では、被曝から30年後に甲状腺ガン発症リスクが低下し始めますが、40年後には再度上昇することが示されています。今後の長期の結果が待たれるところです。
 以上から、放射線障害の外部被曝に関しては、原発事故、原爆あるいは医療被曝であっても同じく発ガンのリスク、そして発ガン死亡のリスクは、低線量放射線から上昇していくことが分かりました。しかし、医療被曝を含めて日常的に外部被曝していることを考えると、今回の福島原発事故の外部被曝による健康障害は、恐れるほどではないといえます。とくにチェルノブイリの数十~数百分の一程度の放射能漏れということであれば、成人にはほとんど影響がないレベルでしょう。むしろ日常的な医療被曝その他のリスクを考え直す必要があります。
 放射線の内部被曝に関しては、ほとんど研究されていない状態ですが(あるいは研究結果が秘匿されている可能性もあります)、チェルノブイリ原発事故後に子供の甲状腺ガンが増加したことから、妊婦や子供への影響がやはり危惧されます。これは、放射能に汚染された食べ物や飲料水の摂取によるものですので、飲食物の放射能汚染には十分気をつけるべきだと思います。
 ただ、日本人はもともとチェルノブイリ周辺の住民に比べて甲状腺腫が少ない(つまり普段から海藻類を摂取しているためヨウ素欠乏になりにくい)こと、そして甲状腺ガンになったとしても現在の治療で99%以上の治癒率[46]ですので、その点は不幸中の幸いだと思います。内部被曝によるその他のガンへの影響は、今後の研究結果を待つしかありません。


タバコが発する最強の放射性物質「ポロニウム」
 日本禁煙学会は2011年10月17日、煙を吸い込んだ人の気管支分岐部に集中的に沈着して肺ガンを引き起こすとされる「ポロニウム210」など、タバコに含まれる放射性物質の測定を求める要望書と、ポロニウムの危険性などを訴える緊急声明を、厚生労働相にあてて提出しました。
 要望書では、「東北関東地方の葉タバコに含まれるセシウムやポロニウムなどの放射性物質の測定」「製品化されたタバコのポロニウムの測定」を、緊急声明では「タバコの煙や灰などを放射性物質と認識すべき」とし、喫煙スペースの撤廃などを求めています。
 ポロニウムはもっとも毒性の高い元素と言われています。危険性があまりに高いため、十分な医学的なデータがないのが現状です。体内に取り込まれても問題が生じない量は、わずか7ピコグラム(1兆分の7グラム)であると推定されています。ポロニウム210から放出される放射線(アルファ線)はウランの約100億倍です。自然界に存在するポロニウムにも種類があり、その多くは短命で数日で壊変してしまいますが、危険性の高いポロニウム210は半減期が約138日あり、1億分の4.7グラムで50%(何の50%?)致死線量の被爆を受けます。
 ポロニウム210から放出されるアルファ線を他の物質に照射して加熱し、その熱で電気を起こす原子力電池は、主にロシア製の人工衛星に搭載されています。2006年11月、英国に亡命中の元ロシア連邦保安庁情報部員リトビネンコ氏が死亡し、尿の中からポロニウム210が検出されました。死因はポロニウムによる体内被曝だと推測されています。
 ポロニウムを発見したキューリー夫人は白血病で亡くなっていますが、その主要な原因もポロニウム210だと考えられています。
 1960年代にタバコとタバコ煙にポロニウム210が含まれていることが証明されました。さらに、アメリカのタバコ会社の調査にもとづき、喫煙者がポロニウム210を摂取しているという事実が1968年に発表されました。その後、各国から、非喫煙者に比べて喫煙者は、ポロニウム210の摂取量が多いことが報告されています。
 タバコは、土壌から放射性の重金属を非常に効率的に葉に取り込み、濃縮する性質を持ちます。タバコに含まれるポロニウム210は、現在、大気や化学肥料によるものと推測されています。一日に1.5箱のタバコを吸う人は、1年間でレントゲン撮影を300回したことになるという記事が、2006年12月1日付の「ニューヨーク・タイムズ」紙に掲載されています。タバコによる活性酸素種(フリーラジカル)の発生、およびそれに続くガンなどの発生は、ポロニウム210などの放射性物質による内部被曝が原因である可能性が高いのです。



人体という複雑系は近代医学では治せない
 いままで見てきたように、高価な医薬品を大量に使用したり、被曝の危険が高い医療機器を過剰使用したりするような従来の医療は、エネルギーを大量に使用して健康被害を起こすだけでなく、多額のコストがかかります。それを可能にする医療制度は存続できるはずもなく、崩壊の危機に瀕しています。それは、源流をたどれば、現代医療すなわち西洋近代医学の学問体系そのものが限界に近づいていることを意味しています。
 現代医療はたしかに外傷感染症の一部などの救急疾患には、これからも有効な治療を提供するでしょう。しかし、現代病といわれるガン、脳心臓血管疾患、自己免疫疾患、神経変性疾患、精神疾患などの慢性病には根本的に無効なのです。
 たとえ遺伝子治療や再生医療がこれから発展したとしても、対症療法の範囲にとどまるでしょう。もっとはっきりいいましょう。
 慢性病は、現代医療では治癒不可能な病気です。慢性病は物質文明のもたらした複雑な環境因子の相互作用で起こる病気です。現代医療の手術医薬品放射線治療は、さらに病気を複雑にする外的操作にすぎません。
 定期的に流行するインフルエンザなどのウイルス感染症に対しても、ワクチン、抗ウイルス剤では限界があるどころか、薬剤による副作用が利益を上回ることが、これから次々と証明されていくでしょう。
 どうしてこのようなことが起こっているのでしょうか?
 それは私たちの生命観が根本的に誤っていたからです。物理学の世界では、より不変と見なされるミクロな要素を掌握することによって世界を原理的に理解しようとする流れが強くありました。具体的には分子から原子電子、さらには素粒子の発見とそれを扱う量子力学の世界観です。
 それと呼応するように、西洋近代医学の世界もより不変と見なされるミクロな構造へと関心がシフトしていきました。細胞からタンパク質、そして遺伝子へと、よりミクロの世界に立ち入ることによって、生命さらには病気の仕組みを原理的に説明できるという強い期待がありました。このように全体を細かい要素に分解して、全体を説明する「要素還元主義」が西洋近代医学の基礎となる思考です。
 しかし、量子物理学に代表されるように、ミクロの世界への探求は、自然現象を語るにはあまりにも無力であることが分かってきました。現代の最大の問題となっている環境汚染や自然災害といったものに対しては、従来の学問ではなすすべもありません。
 生命現象を扱う医学も同じ問題にぶつかっています。遺伝子というミクロな物質をいくら詳細に調べても病気は増加する一方ですし、慢性病はいまだに根治不能のままです。局所でうまくいく戦略も全体ではうまく作動しません。医薬品の副作用に見られるように、部分の整合性が全体ではかえって不調和をもたらすという問題が大きくなってきたのです。「部分最適は全体の利益に必ずしもならない」のが複雑系の醍醐味ともいえます。
 そこで従来の世界観を脱却し、自然現象を理解する手段として「非線形科学」が勃興してきました。非線形科学とは、複雑系を扱う学問です。複雑系とは、多くの因子が相互作用しながら全体を決定するシステムを指します。この場合の因子はミクロなものだけでなく、マクロな因子も含まれます。そしてミクロな要素よりもマクロな要素間の相互作用に注目します。
 すでに20年前から「要素還元論の行き詰まり」が叫ばれ、このような複雑系科学の研究がさかんになってきました。しかし、残念ながら学問(サイエンス)の末端であるはずの医学にはまったくといってよいほど、複雑系の考え方が生かされていません。
 私たち人間は、理性、論理の中枢である大脳新皮質前頭葉が非常に発達しています。そのために、じつは複雑に絡み合っている事象に対しても安易に原因と結果を結びつける傾向があります。原因 結果という因果関係が明らかで論理が通っていること(線形関係)は、論理の中枢である大脳新皮質前頭葉の働きそのものだからです。その線形関係は機械を組み立てるときはたしかに有効です。
 実際に人間の体や病気を機械のアナロジー(類推)としてとらえる見方は非常に分かりやすいものがあります。遺伝子という設計図があり、細胞器官はその設計図に従って動く機械のようなイメージです。機械の部品が壊れると全体に問題が出てくる(=病気)という図式です。しかし、自然現象と、そこに内包される生命現象は、単純な因果関係、つまり線形で説明のつくものはほとんどありません。
 ひとつのタンパク質形成について考えてみましょう。複数の環境因子の刺激から複数の遺伝子のスイッチがオンになり、アミノ酸(一次元)を数珠つなぎにしたペプチド(二次元)が作られます。それが組み合わさり、さらに温度などの環境因子によってさまざまな形に変形し修復され、機能するタンパク質(三次元)へと変化します。このタンパク質がさらに遺伝子のスイッチをオン/オフするといった相互作用が複雑に入り組んでいます。このような生命システムは、ある遺伝子のスイッチが入ると必ず同じタンパク質ができあがるという保証を与えるものではありません。たとえば、アルツハイマー病の脳に蓄積する異常タンパク質(アミロイド斑といいます)は、タンパク質が三次元の形になる際にエラーを起こしたものです。
 遺伝子や環境因子といった要素も無数にあり、要素間の相互作用で最終産物が決定される(自己形成、自己組織化)のです。したがって生命現象は、予定調和(あらかじめ決められている)ではありません。しかし、決してランダムに決まるわけではなく、初期条件が整うとあとは連鎖的に自己形成していきます。それは、生命現象はある一定の物理的制約(温度、湿度、重力、pHなど)の中でしか存在できないからで、無限の可能性があるわけではありませんが、かなり柔らかい対応が可能なシステムです(専門用語ではこれを可塑性といいます)。
 生命体はある時間軸に沿って自己形成し、それがダイナミックに環境と相互作用しているのです。時間軸があるということは、後述するように、たとえば胎児期など、ある特定の時期に決定されてしまう特質があり、その部分に関しての取り返しはつかないということもあります。
 従来のように、生命体を機械のように静止したものとしてミクロに分析していくだけでは、このような生命の複雑なダイナミズムをとらえることは不可能です。機械は取り換え可能な部品からできていますが、そこには時間軸もなければ(いつでも取り換えられる)、環境と相互作用していくダイナミズムもありません。自然現象のみならず、生命現象そのものがダイナミックな非線形であり、複雑系なのです。
 近代医療が、薬剤などの治療で健康被害を与えてしまう根本的な原因は、生命を静的なものとしてとらえ、ダイナミックな動きを止めてしまうことにあります。そして、近代医学は、このような躍動している生命現象を静的なものとして部分的に切り取り、それを細かく分析し、線形関係に集積し直した学問です。
 近代医学の生命観は、近代資本主義と同様、直線的で硬直しているものです。実際の生命現象は、非線形で、しかもダイナミックな動きがあり、ゴムの球体のように柔らかいものなのです。ちょうど、機械が角張っていて硬いのに対し、生物体はすべて円柱形で柔らかい構造を持っているのと同じです。


生命体の本質は「生命の渦」である
 私たちヒトをはじめとする生命体における物理的制約の中でも、一番大きな拘束条件として、「エントロピー増大の法則」があります。エントロピー増大の法則とは、物理学の熱力学第二法則といわれるものですが、簡単に説明しますと「エネルギーは平らになるまで放出され続ける」というものです。シーソーでたとえると、シーソーがまっすぐになるまで重い方から軽い方へエネルギーが移動していくというイメージでとらえてください。また「秩序が壊れていく法則」という言い方もできます。
 たとえば、ヤカンに水を入れ、下から火を入れて沸かすと水が沸騰し、ヤカンの蓋がカタカタと鳴り出します。熱で対流ができ、より温度が低いヤカンの表面に水が移動していくためですね。これもしっかりとエントロピー増大の法則に従っています。
 すなわち、火の高い熱が放出されて、より温度の低い水や大気(ヤカンの上部)に放出されます。このまま放っておくと水蒸気となって、周囲の大気の温度を上げます。そして、火のエネルギーは燃やす原料がなくなれば、やがて大気を温めることでなくなっていき、消えていきます。
 エネルギーレベルではフラット(水平)になるように、つねに高いところから低いところに移動するのです。
 さて、私たちの体は、ある秩序をもった構造体です。秩序をもった構造体を作るには、建築物を見れば分かりますが、多大なエネルギーを要します(木の伐採、車や重機の使用、労働力など)。自然の状態であれば、エントロピー増大の法則によってフラットになるまで秩序は壊れるのが運命です(机の上や部屋も散らかる傾向にありますね)。ですから、ある建築物のような秩序を生み出すためには、言い換えれば「エントロピー増大の法則」に逆らうためには、多大なエネルギーが必要となるのです。
 整理整頓が億劫なのもこれと同じ理屈で、「エントロピー増大の法則」に逆らって、無秩序な状態を生前とした状態に変化させる作業であるため、多大なエネルギーの投入(精神的な決意、思考、行動)が必要だからです。
 私たちの体は建築物と同じ構造体です。しかし、ひとつだけ大きな違いがあります。それは、私たちの構造体を構成する部品が刻一刻と入れ替わっているということです。タンパク質を構成するアミノ酸、さらにアミノ酸を構成する分子は、毎日の食事から摂取したものに入れ替わっています。遺伝子、脂肪酸(細胞膜)であろうがすべて同じです。私たちの体は「新陳代謝」という言葉が示すように、毎日食物や大気を環境中から摂取し、それを代謝排出しています。体の細胞活動は静止することなく刻一刻とダイナミックに変化し、それでいて全体としては安定したように見えます。
 鴨長明の方丈記の一節にこのことが凝縮されています。
「行く川のながれは絶えずして、しかも本の水にあらず。よどみに浮ぶうたかたは、かつ消えかつ結びて久しくとゞまることなし。世の中にある人とすみかと、またかくの如し」
 本当は、昨日の私は分子原子レベルでは「私ではない」違った存在なのです。それでは、何が私たちを建築物のように揺るぎない “存在” として担保しているのでしょうか?
 それは、材料を入れ替えして構造体を保つ “システム” です。分かりやすく言いますと、海にできる渦巻きのようなものです。渦巻きの一方から材料が流入し、一方から排出される。このようにずっと回転している渦巻きの存在そのものが生命なのです。これを “生命の渦” と呼びます。ある固定した物質を指して生命と呼ぶことはできません。“渦” という動的システムこそが生命の本質なのです。


「生命の渦」を侵す人工の放射性物質
 放射能に関しても、生命の渦という観点から見ると興味深いことが分かります。
 一例を挙げましょう。
 カリウムなどの電解質と呼ばれる物質は生命体にとって必須ですが、人間、他の動物、植物、微生物でも蓄積されることはありません。なぜなら体内に吸収されるスピードと排出されるスピードが同じで、ずっと循環しているからです。
 じつはカリウム元素中の1万分の1は、放射能をもつ元素が存在しています(放射性同位元素といいます)。このような放射能を蓄積することによる「内部被曝」の影響があるため、カリウムなどの自然放射性物質を蓄積させずに循環させるシステム、つまり “生命の渦” というシステムをもつ生命体のみが生き延びることができたのです。したがって生命の渦は、自然に存在する放射性物質を蓄積させないためにも最適のシステムなのです。
 ところが、セシウム137などの人工的放射性物質は、体内に吸収されるスピードと排出されるスピードが同じではなく、排出がやや遅れることが分かっています。つまり、長期間にわたって摂取し続けると、じわじわと蓄積されるのです。
 また、自然界の中で放射性元素が存在しない元素に対しては、生命体は安心して体の中に取り込み蓄積します。たとえばヨウ素は、甲状腺に濃縮保存されます。もちろん、放射性のヨウ素であったとしても生命の渦で吸収排出と循環させていきますが、濃縮蓄積される過程で内部被曝するのです。これはセシウムやストロンチウムにも同じことがいえます。
 もともと自然界には、放射性セシウム137もストロンチウム90もなかったために、それぞれ筋肉骨に蓄積されるのです。人工的に作り上げてしまった放射性物質に対しては、生命の渦をもってしても限界があるのです。これは放射性物質にとどまりません。近代資本主義が作り上げた産業によるさまざまな人工化合物も、生命の渦をすり抜けて蓄積していきます。これらの物質はそもそも自然界に大量に存在したものではないため、私たちのシステムはそれにまだうまく適合していません。そのため、私たちの生命体に蓄積していった人工化合物は、内部から私たちのエントロピーを増大させる、つまり崩壊させる方向へ導くのです。
 私たちの現代の資本主義社会は、一方的に人間の都合のよいような秩序を作ってきたために、石油、石炭や原子力などの多大なエネルギーを投入し続けなければ、「エントロピー増大の法則」に従って崩壊していきます。今、私たちに問われているのは、これほどの多大なエネルギーを投入し続けなければ維持できない現代社会ははたして持続可能なのか、あるいな私たちを心身ともに幸福にしているのかということです。このような近代資本主義の鬼っ子である近代医療もまた同じ問題に差し掛かっています。


利益追求型の経済が人類に大厄災をもたらす
 私たちの健康を支配してきたのは、マクロの単位では医療製薬業界を含めた「市場経済」です。市場経済がもつ大きな欠陥のひとつは、破綻するまで目先の利益を追い求めるという狭窄した視野です。たとえば、今回の福島の原発事故にも見られるように、エネルギー確保や核兵器転用という名目でスタートした原子力利用は、事故が起こるまで「放射能汚染」「住民への放射能障害」という環境コストが課されていなかったことが明白になりました。
 そのほか、遺伝子組み換え作物の普及による動植物の遺伝子の多様性が損なわれたことで、現在収穫量の減少や環境汚染健康被害などの甚大な問題に直面しています。そして何よりも多様性の消失は、気候や産業のもたらす環境の激変には耐えられないでしょう。20世紀を彩った石油化学製薬工業がもたらした大気汚染、水質土壌汚染による環境コストも、今や各国の政府が手をつけられないほど膨大なレベルになっています。
 これらは、20世紀型の市場経済が、無秩序な資源利用に伴うさまざまな環境コストを負わされてこなかったことが原因です。私たちの体も同様に、市場経済によってもたらされた環境の激変によって「病気」というコストを負わされました。この病気に関わるコストもまったく考慮されていません。
 産業界は市場経済を追求するにあたって、自然をあたかも機械のように扱ってきた結果、未曾有の環境健康被害問題を招来することになったのです。
 そして、私たちの体も同じく、近代医学によって機械のように扱われた結果、医薬品づけなどによる健康被害を招来しています。衛生環境の向上によって先進国では寿命が延びたものの、心身不調が慢性的に続き、人生の充実度としては19世紀以前と比べても、むしろ低くなっているでしょう。人生の “空洞化” です。しかし、環境汚染がここまで進むと、先進国に見られる空洞化した寿命延長効果さえも頭打ちになってくるでしょう。
 これらは、おしなべて産業界も近代医学も「部分最適は必ずしも全体の利益にならない」という真実を無視した結果でした。
 私たちの健康を支配するミクロな視点も、近代医学の機械論(要素還元主義)によって、部分最適が優先されてきました。体の一部のバランスを改善するだけの部分最適では、体全体ではむしろ有害になることは、急増する医薬品の副作用問題でもお分かりになるでしょう。
 私たちがなぜ「病気から逃れられない」のか。それは、私たちの体も自然も同じく「複雑系」の最たるものであることを理解していないからです。私たちの体も自然も、私たちの大脳新皮質ごときではまったく予想もつかないほど、さまざまな要因が複雑に絡みあってダイナミックに変化しています。これだけ科学技術が発達したといわれる現代でさえ、たった2~3日先の天候さえも正確に予測することは不可能なのです。
 まずはこのことに多少なりとも思いを馳せて、今までの短期的な利益を追求する直線的(線形的)な思考から脱却しなければなりません。環境汚染がどうしようもないレベルまで達したことを一般の人間が実感したときは、時すでに遅しです。
 私たちの健康を維持するのも、もとはといえば単純に寿命を延ばすことが目的ではないはずです。いかに心身ともに充実した人生を送るかを考えたときに、心身の健康を少しは考える必要が出てくるでしょう。病気になって初めて気づくのでは、遅すぎるのです。



第6章の参考文献

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