この記事は、京都大学名誉教授で『からすま和田クリニック』院長の「和田洋巳」医学博士の「京都からすま和田クリニック 和田洋巳の相談室」ブログからのご紹介です

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 当記事では、「和田洋巳」医学博士が「肉食は、なぜ身体に悪いのか? なぜ癌の原因になるのか?」について考察されていますが、「和田洋巳」医学博士も「肉の火食(加熱調理)は良くない」また「赤身の肉が悪い」ということを挙げられています。

 「赤身の肉」は身体の「酸化ストレス」を高めるため、「身体の酸化酸化体質)」が悪化する元になります。
 癌患者さんはおろか、一般の方でも、その過食は厳禁です。
 特に癌患者さんは、癌が改善するまで「赤身の肉」は慎まれたほうが良いと思います。

 「肉食・乳製品の真実」カテゴリの記事と照らし合わせて、当記事をご覧になられてみてください。
 よろしくお願いします m(__)m


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 肉はなぜ身体に悪いのか?
 【「京都からすま和田クリニック 和田洋巳のがん治療相談室」(京都大学名誉教授和田洋巳 医学博士)より 】



 「肉が身体に悪いのか? 癌の原因になるのか?」とういう話は常に議論の的になる。
 患者さんを診ていると、確かに癌の原因になっていそうだという気はするが‥。
 最近、そのような目でいろいろと資料を探したところ、いくつかのことが見つかった。


 はじめの論文は1975年の『Cancer Research』という、癌関係では比較的ランクの高い医学雑誌に掲載されていた。
 アメリカのある宗教習慣を持つ『Seventh-Day Adventists'』教会派は生活習慣は「肉は避ける」「卵やミルクを許容する」ベジタリアン食生活を行なう人々である。 大腸癌は一般の人に比べ1/2~1/3倍と低いことが示されていた。しかし、乳癌については、この食生活が良いということはなかった。
 当然の結論と思える。肉が結腸癌の原因になりそうなことはかなり考えられるが、牛乳を飲んでいれば、肉食を止めても乳癌や卵巣癌になる可能性は排除され難い。

 2つ目の論文は『Cancer Epidemiol Biomarkers Prev 2008;17(1):80–7』という栄養学関係の雑誌である。
 「肉やその加工品は前立腺癌の原因になる」ということである。
 この因果関係はそれほど強いものでなく、1.3倍ほど高いということである。
 これには、他の食生活のバイアスが入っている可能性が高い(例えば、牛乳や乳製品を摂る頻度など)。
 しかし、面白いのは、よく焼いた(加熱調理した)か、非常によく焼いた肉が悪いということである。
 「ヘテロサイクリックアミン」が原因ではないかと述べている。

 3つ目の論文は魚と肉食を比較した論文で、ヨーロッパからの報告である。
 『J Natl Cancer Inst 2005;97:906–16』に掲載されている。
 「赤身の肉加工肉食品をよく摂ることは結腸癌直腸癌に罹る危険率が上がり、魚を摂るとその率が低下する」ということである。「ヘテロサイクリックアミン」や「ポリサイクリック・ アロマティック・ハイドロカーボン」がその原因かと推測している。

 この他のレポートでは「赤身の肉が悪い」というのが多くみられる。
 この理由は、おそらく『Fenton 反応(参照1参照2)』が関与していると考えられる。
 鉄イオンが存在する時に、ある種の活性酸素種「スーパーオキサイドO2-)」や「過酸化水素H2O2)」があると、猛烈な反応性のある「OH・ラディカル(ヒドロキシルラジカル・OH)」が発生し得る。このラディカルは、極めて短い時間に(ナノ秒単位)に、極めて近所の(ナノメーター単位の範囲で)分子と反応を来たす。
 「グアニン」が「8-ヒドロキシグアニン」になるという反応は有名な反応である。

20120627055942[1]



 「焼き肉を食べ、ビールを飲み、タバコを吸えば、やはり、いつかは発癌する」という多くの癌患者を診てきた自分としては、このような話は判りやすい説明になる。
 糖尿(糖尿病)が合併すると「AGE終末糖化産物参照)」が多く存在することから、さらに危険度は上がってくる。

 「鉄が悪い」という直接的な説明としては『J Nat Cancer Inst 2008;100:996-1002』の論文で、ある種の血管変性疾患の患者さんに対し、年に2回の「瀉血」が癌の発生・死亡率を37%減少したと報告されている。
 体内貯蔵鉄としての「フェリチン」を見ている。「疫学調査」としての考察しかされていないが、基本的には、細胞内遊離鉄による『Fenton 反応(参照1参照2)』の関与であろう。

20120627061939[1]



 (1)Role of Life-style and Dietary Habits in Risk of Cancer among Seventh-Day Adventists' Roland L PhiHip.
    (CANCER RESEARCH35,3513-3522,Novemberl975

 (2)Meat and Meat Mutagens and Risk of Prostate Cancerin the Agricultural Health Study Stella Koutros,rt al;
    (Cancer Epidemiol Biomarkers Prev 2008;17(1):80–7

 (3)Meat, Fish, and Colorectal Cancer Risk:
    The European Prospective Investigation into Cancer and Nutrition Teresa Norat et al;
    J Natl Cancer Inst 2005;97:906–16

 (4)Decreased Cancer Risk After Iron Reduction in Patients With Peripheral Arterial Disease:
    Results From a Randomized Trial, Leo R. Zacharski,et al. J Natl Cancer Inst (2008) 100 (14): 996-1002.