この記事は、『銀座東京クリニック』院長の「福田一典」医師が公開されています「『漢方がん治療』を考える」から、「392)ケトン食と食物繊維」と「393)食物繊維の抗がん作用」の2つの記事のご紹介です。

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 「福田一典」医師が当記事でお話されていますのは、食物繊維は腸内細菌によって発酵分解されると『短鎖脂肪酸酢酸プロピオン酸酪酸など)』が産生され、この『短鎖脂肪酸』は “ブドウ糖の代替エネルギー源” になり、しかも、癌を抑制する「抗がん作用」の他、様々な有効作用がある、という内容です。

 『ケトン体』も『短鎖脂肪酸』と同様に “ブドウ糖の代替エネルギー源” になり、癌の生存悪性化転移を阻害する(抑制する)「抗がん作用」があります。ここにつきましては、次の記事を参照してください。


   福田一典医師の『癌の中鎖脂肪ケトン食療法』論考(4)
    【ケトン体について:ケトン体には、癌の生存・増殖・悪性化・転移を阻害する「抗がん作用」がある!】



 『短鎖脂肪酸』とは、大腸の腸内細菌が難消化性デンプン(ベータデンプンレジスタントスターチ)、難消化性オリゴ糖糖アルコール、食物繊維などの「難消化性成分」である『難消化吸収性糖質』を発酵分解することで産生されるものです。
 そして『ケトン体』とは、身体が「ブドウ糖」に枯渇して飢えた時に、肝臓のミトコンドリアで “ブドウ糖の代替エネルギー源” として脂肪酸を分解合成してつくるもので、身体が飢餓時に臨時でつくり出す『短鎖脂肪酸』です。

 要は、『短鎖脂肪酸』は「腸内細菌経由」で産生されるもので、『ケトン体』は「人体飢餓時、肝臓経由」で産生される『短鎖脂肪酸』である、ということです。ここは、次の記事を参照してください。


  「ケトン体」とは、体内のブドウ糖が枯渇した時に、肝細胞のミトコンドリアで作られる
   『短鎖脂肪酸』のこと!【「ケトン体」とは、体が作り出した『短鎖脂肪酸』です!】



 『短鎖脂肪酸』も『ケトン体』も産生経路が違う『短鎖脂肪酸』ですから、どちらも、ともに同じく “ブドウ糖の代替エネルギー源” となり、癌の生存悪性化転移を阻害する(抑制する)「抗がん作用」がある他、様々な有効作用を有しています。

 『短鎖脂肪酸』と『ケトン体』とで違う特徴は、やはり「産生経路」です。
 『ケトン体』は、身体が「ブドウ糖」に枯渇して飢えた時でなければ産生されません。
 しかし『短鎖脂肪酸』は、人間が難消化性デンプン(ベータデンプンレジスタントスターチ)、難消化性オリゴ糖糖アルコール、食物繊維などの「難消化性成分」である『難消化吸収性糖質』を摂取すれば、大腸の腸内細菌が勝手に(自動運転で)発酵分解して産生し、宿主である人間に提供してくれます。
 『ケトン体』は人間が「ブドウ糖」に飢えなければ産生されませんが、『短鎖脂肪酸』は「ブドウ糖」に飢えていなくても、人間が『難消化吸収性糖質』を摂取さえすれば、腸内細菌が勝手に(自動運転で)発酵分解して産生してくれるのです。
 人間が「ブドウ糖」に飢えていなければ得ることのできない『ケトン体』、人間が「ブドウ糖」に飢えていなくても『難消化吸収性糖質』を摂取していれば腸内細菌を介して得ることのできる『短鎖脂肪酸』、これはどちらもともに “ブドウ糖の代替エネルギー源” となり、癌の生存悪性化転移を阻害する(抑制する)「抗がん作用」がある他、様々な有効作用を有しているという、癌治療には最適のものです。


 『短鎖脂肪酸』を得る(摂取する)上で大事なポイントは、『短鎖脂肪酸』は大腸の腸内細菌が難消化性デンプン(ベータデンプンレジスタントスターチ)、難消化性オリゴ糖糖アルコール、食物繊維などの「難消化性成分」である『難消化吸収性糖質』を発酵分解する時に産生されるわけですから、大腸の腸内細菌が『短鎖脂肪酸』をより多く産生できるように計らってあげることです。

 つまり、腸内細菌が発酵分解して『短鎖脂肪酸』を産生する時の原材料となる『難消化吸収性糖質』の、難消化性デンプン(ベータデンプンレジスタントスターチ)、難消化性オリゴ糖糖アルコール、食物繊維を多く摂取することです。ここで、やはり有効するのが、甲田療法の『生玄米粉食』と『生菜食療法』です。

 甲田療法の『生玄米粉食』と『生菜食療法』は、難消化性デンプン(ベータデンプンレジスタントスターチ)、食物繊維という『難消化吸収性糖質』の塊のような食事ですから、大腸内で腸内細菌を介して産生される『短鎖脂肪酸』の摂取に豊富に恵まれるでしょう。
生玄米のデンプンは「ベータデンプン」と呼ばれ、これは、人間の消化酵素では消化され難い『難消化性デンプン〔レジスタントスターチ〕』ですから、『生玄米粉は『難消化吸収性糖質』になります。
 玄米ご飯のように煮沸されたデンプンは「アルファデンプン」と言って、加熱調理によって「ベータデンプン」がアルファ化され、人間の消化酵素が働いて分解〔消化〕されるデンプンになっていますので、モロに「ブドウ糖」の摂取になります。腸内細菌が発酵分解するのは「生デンプン(ベータデンプン)」です


 「難消化性成分」の『難消化吸収性糖質』である難消化性デンプン(ベータデンプンレジスタントスターチ)、食物繊維は、腸内細菌による発酵分解によって『短鎖脂肪酸』が産生され、また、食物繊維からは『短鎖脂肪酸』の他に『ビタミン』『ミネラル』『アミノ酸』『酵素』などの諸栄養、そして『水素』も(腸内細菌による発酵分解によって)産生されます。
ここは「腸内細菌が栄養を産生して、宿主である人間に栄養を提供している」カテゴリを参照されてください

 『水素』は癌治療で重要な「抗酸化」「酸化還元」を担いますから、この『水素』の摂取も重要です。
 ここは、次の記事を参照指してください。


   糖質1gから、水素が50cc つくられる!
    【甲田療法の『生玄米粉食』と『生菜食』は難消化吸収性糖質からつくられる『水素』を豊富に得る、
     天然の『水素療法』である!】



 「難消化性成分」である『難消化吸収性糖質』は、腸内細菌の発酵分解を介して、様々な諸栄養有効成分を産生してくれるのですね! これは本当に、日本人のみなさんに積極的に摂取して頂きたい食品です♪

 「福田一典」医師も、当記事にて、このように言われています。


    葉菜類や海草類やキノコ類のような糖質が少なく、
     「食物繊維」の豊富な食品や、消化されない『生玄米粉』、
     「イヌリン」や「グルカン」など「水溶性食物繊維」のサプリメントを積極的に摂取すると、
     ケトン食の「抗がん作用」を増強できると思います。


 当ブログサイトでは『生玄米粉』や『食物繊維サプリメント』の摂取を推奨していますが、「福田一典」医師も、ここに理解のある先生です。
 当ブログサイトで、私がなぜ、甲田療法の『生玄米粉食』と『生菜食療法』をベースに置いた短鎖脂肪酸食』を推奨していたのか、当記事によって理解が深まって頂ければ本当に幸いに思います m(__)m



 当記事では、「福田一典」医師は「食物繊維」に集約して書かれています。
 腸内細菌が「食物繊維」を発酵分解する時に『短鎖脂肪酸』が産生される、という内容です。

 食物繊維は「不溶性食物繊維」と「水溶性食物繊維」に大別されますが、「福田一典」医師は一般的な見解と同様に、「不溶性食物繊維」は便の量を増やしたり、大腸癌の発生を予防するなどの物理的な作用だけで『短鎖脂肪酸』は産生されず、『短鎖脂肪酸』は「水溶性食物繊維」のほうから産生される、とお話しされています。

 しかし「夏井睦」医師は、自著「炭水化物が人類を滅ぼす - 糖質制限からみた生命の科学」において、腸内細菌の “セルロース分解菌” が「不溶性食物繊維」の『セルロース』を発酵分解する時に『短鎖脂肪酸』が産生されるという、次の見解を示されています。


    肉食獣パンダの大腸に、噛み砕かれたタケとともに到達したセルロース分解菌は、
     それまでしてきたようにセルロースの分解を始め、短鎖脂肪酸やビタミンを分泌し始める。
     彼らにとっては、日常が戻ったようなものだ。

    じっさい、人間の結腸内の腸内細菌には、セルロース分解能を持つものがわずかながらいて、
     粉末状にしたセルロースを服用すると、100%近い効率でセルロースを利用できる、
     という研究もあるようだ。

    粉末状のセルロースは、セルロース分解菌にとって最適の栄養源だからだ。





 このことにつきましては、次の記事を参照されてください。


   現代栄養学が語らない、セルロースの大きな可能性
    【 答えは「セルロース」にある! 『セルロース分解菌』が宿主を生かす “栄養産生提供” という
     素晴らしきシステム!】


   炭水化物が人類を滅ぼす - 糖質制限からみた生命の科学 夏井睦医師
    【セルロースを『セルロース分解菌』が分解して栄養を産生し、宿主である人間に提供している!】



 ここで「夏井睦」医師が言われていることをまとめますと、次のようになります。


    草食動物は、体内に飼っている “セルロース分解菌” が『セルロース』を発酵分解する過程で産生した
     『短鎖脂肪酸』『ビタミン』『ミネラル』『アミノ酸』などの諸栄養を提供してもらって生きている。
     人間の腸内にも “セルロース分解菌” がいるが、
     人間の場合は『セルロース』を普通に経口摂取したのでは、
     “セルロース分解菌” が『セルロース』を利用するのはなかなか難しいようだが、
     『セルロース』を粉砕して「粉末状のセルロース粉末セルロース)」にすれば、
     人間の腸内にいる “セルロース分解菌” でも100%近い効率で『セルロース』を利用でき、
     『短鎖脂肪酸』『ビタミン』『ミネラル』『アミノ酸』などの諸栄養が産生される。


 これはつまり、人間の腸内にいる “セルロース分解菌” は『セルロース』を粉砕して「粉末状のセルロース粉末セルロース)」にしてあげれば100%近い効率で『セルロース』を利用でき、「粉末セルロース」を発酵分解して諸栄養を産生することができる、ということです。

 これは「福田一典」医師が当記事でお話されている『短鎖脂肪酸は「水溶性食物繊維」からしか産生されない』という見解とは違い、「不溶性食物繊維」の『セルロース』は、粉砕して「粉末セルロース」にしてから摂取すれば、「不溶性食物繊維」の『セルロース』からも『短鎖脂肪酸』が産生され、さらに『ビタミン』『ミネラル』『アミノ酸』などの諸栄養も産生される、ということになるわけです。

 考えてみれば、草食動物の歯は「摩り歯」と言って、摩り歯を左右に動かして「食べた物を磨り潰して」食べるので、草食動物は『セルロース』を磨り潰し粉砕して食べているのでしょう。体内に飼っている “セルロース分解菌” が『セルロース』を利用しやすい状態にしているのです。


 ここで、もう一度、まとめます。

 食物繊維は「不溶性食物繊維」と「水溶性食物繊維」に大別されますが、

   食物繊維のうちの「不溶性食物繊維」の『セルロース』は、粉砕して「粉末セルロース」にすると、
    腸内細菌の発酵分解によって『短鎖脂肪酸』『ビタミン』『ミネラル』『アミノ酸』などが産生される。

   食物繊維のうちの「不溶性食物繊維」は、腸内細菌の発酵分解によって『短鎖脂肪酸』が産生される。

 ということになるでしょう。

 私はこの「夏井睦」医師の見解を知り、生菜食をミキサーで粉砕した「生菜スムージ」に変えました。
 そして、下記でご紹介させて頂いています「粉末セルロース」という『食物繊維サプリメント』を今年から我が家の食養に導入しました。


 食物繊維のうちの「不溶性食物繊維」の『セルロース』は、植物細胞の細胞壁、及び、繊維の主成分であり、天然の植物質の「1/3」を占め、地球上で最も多く存在する炭水化物です。
 草食動物が体内に飼っている “セルロース分解菌” が『セルロース』を発酵分解する過程で「草食動物の生命活動に必要な諸栄養」を産生するので、草食動物はその諸栄養を利用して生きています。『セルロース』は、草食動物が生きるために必要な諸栄養を「腸内細菌の発酵分解」を介して得る上で、絶対に欠かせない存在なのです。
 ここを見れば、『セルロース』がなぜ天然の植物質の「1/3」を占めるほど地球上で最も多く存在する炭水化物であるのか、その理由が分かります。これは、“セルロース分解菌” が『セルロース』を発酵分解する過程で産生する諸栄養によって生かされている生命存在が多いからでしょう。そういう仕組みになっているのだと思います。

 地球上で最も多く存在する炭水化物である『セルロース』から、“セルロース分解菌” の発酵分解を介してバランスの取れた諸栄養が「植物食をする生命存在」に与えられている・・、これこそが自然界に存在している「共存共生」の生命システムの基本なのだと、私は強く感じました。この点を感じた私は、『セルロース』を「バランスの取れた栄養を提供してくれる栄養源」として非常に重視するようになりました。

 これは草食動物だけでなく、人間も同様だと思われます。
 人間の食の始まりは、もともと「植物食」です。人類は約260万年ほど前に「肉食中心の食事」に変わっているそうですが、それ以前の人類の食事は(つまり、260万年前以前の人類の食事は)「植物食中心の食事」だったので、現在の人類にも “セルロース分解菌” の発酵分解を介して「バランスの取れた諸栄養」が提供されるシステムがそれなりに備わっていると見て自然だと思います。

 人間の大腸内に棲んでいる腸内細菌にも “セルロース分解菌” がいますから、大腸内に棲む “セルロース分解菌” が食物繊維のうちの「不溶性食物繊維」の『セルロース』を発酵分解する時に、人間が生きていく上で必要な諸栄養を産生し、宿主である人間に提供している、と見て良いと思います。
 ただし、人間の場合には、大腸内に棲んでいる “セルロース分解菌” が効率よく『セルロース』を利用するためには、『セルロース』を粉砕した「粉末セルロース」のほうが良い、というところがポイントです。

 ここの点につきましては、あとは、癌患者のみなさんもご自分で考えてみてください m(__)m



 私が当記事をご紹介させて頂きたかった理由は、次の4点に尽きます。


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(1)難消化性デンプン(ベータデンプンレジスタントスターチ)、難消化性オリゴ糖糖アルコール、食物繊維などの「難消化性成分」である『難消化吸収性糖質』を摂取すれば、大腸の腸内細菌が発酵分解して『短鎖脂肪酸』が産生されること。

(2)短鎖脂肪酸』は『ケトン体』と同様に “ブドウ糖の代替エネルギー源” になり、癌の生存悪性化転移を阻害する(抑制する)「抗がん作用」を発揮し、他にも様々な有効作用を有していること。

(3)癌細胞はミトコンドリアが機能していないので、癌細胞が唯一利用できるエネルギー源は解糖系で代謝される「ブドウ糖」だけである。そのため「ブドウ糖」は癌を育て、癌を成長増殖悪性化転移させる元になる。
 『短鎖脂肪酸』はミトコンドリアで代謝されるため、癌細胞は『短鎖脂肪酸』を利用することができない・・、この「癌の特徴」を上手に活かし、『短鎖脂肪酸』を “ブドウ糖の代替エネルギー源” として「エネルギー源の主力」に置き、「ブドウ糖」エネルギー源ベースから『短鎖脂肪酸』エネルギー源にベースにシフトすれば、正常細胞を育てながら、癌細胞だけを選択的にエネルギー枯渇させて死滅に追い込むことができる。

(4)短鎖脂肪酸』は『ケトン体』と同様に、癌の生存悪性化転移を阻害する(抑制する)「抗がん作用」を発揮するため、これは言うまでもなく、癌治療には非常に都合が良いエネルギー源である。
 ましてや、「ケトン食」によって『ケトン体』を多く得ながら、同時に「難消化性成分」である『難消化吸収性糖質』を多く摂取することで『短鎖脂肪酸』を多く得れば、癌治療において、これほど理想的な最適の食事療法は他にない。これにより、より安全に「糖質制限食」が実行でき、癌治療に貢献できる。


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 以上の流れを、当記事に触れることで感じ取って頂けたらと思います。
 そして、何よりも、癌治療における『短鎖脂肪酸』の価値を再確認して頂けることを願っています m(__)m



 なお、当記事にて「福田一典」医師も『食物繊維サプリメント』を推奨されています。
 私も次の記事にて『食物繊維サプリメント』を推奨しています。


  『食物繊維サプリメント』の活用
   【腸内細菌が「不溶性食物繊維」の『セルロース』と「水溶性食物繊維」を食べて発酵分解する時に
    産生する諸栄養を腸内で摂取する方法!】



 「福田一典」医師は「水溶性食物繊維」の「イヌリン」をご自分でも使用しているそうです。

 私が推奨している『食物繊維サプリメント』は、次の3つです。
 一番上が「不溶性食物繊維」の「粉末セルロース」、下の2つが「水溶性食物繊維」の「イヌリン」と「難消化性デキストリン」です。


       粉末セルロース ~ 天然由来(不溶性食物繊維)1ヵ月分

       有機栽培 イヌリン ~ ブルーアガベ由来(水溶性食物繊維)1ヵ月分

       難消化性デキストリン ~ とうもろこし由来(水溶性食物繊維)1ヵ月分


 当記事をお読み頂ければお分かり頂けると思いますが、「福田一典」医師は「水溶性食物繊維」のほうばかり着目され、「不溶性食物繊維」のほうを少し甘く見ている感があります。この点は少し残念に思います・・・(涙)

 上述の如く、私は個人的に「不溶性食物繊維」の『セルロース』のほうも重視していますので、我が家では上記の「粉末セルロース」という『食物繊維サプリメント』も活用しています。これらの『食物繊維サプリメント』を上手に活用すれば、『短鎖脂肪酸』を手軽に多く摂取することができます。ここの点は「福田一典」医師も当記事の中で明記されています。

 『食物繊維サプリメント』は安価に実行することができる良い方法です。
 我が家も『食物繊維サプリメント』を今年から実行していますから、その良さは経験済みです。
 特に、胃腸が弱体化して弱っている方や、食事で食物繊維が不足している方には、胃腸に負担をかけることもなく手軽に摂取できますので、『食物繊維サプリメント』は食物繊維の摂取として最適でしょう。
 私も「福田一典」医師と同様、『食物繊維サプリメント』の活用を推薦します。

 『食物繊維サプリメント』を活用する場合は、ぜひ上記の「『食物繊維サプリメント』の活用」記事をご一読して頂いてから、ご自分の納得のいく『食物繊維サプリメント』を選択されてください。よろしくお願いします m(__)m

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 392)ケトン食と食物繊維
 【「『漢方がん治療』を考える(福田一典 医師)」
より 】

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【図】
◆◆ 超低糖質と高脂肪の食事で『ケトン体』の産生を高める「ケトン食」と、大腸内での『短鎖脂肪酸』の産生を増やす「食物繊維の多い食事(高食物繊維食)」は、抗がん作用において相乗効果が期待できる。『ケトン体』と『短鎖脂肪酸』はミトコンドリアで分解されて ATP 産生に使われるが、糖質摂取を避けることによってインスリン分泌を刺激しないエネルギー産生源となる。
この「糖質摂取を避けることによってインスリン分泌を刺激しない」というのは非常に重要です。ここで言われている糖質は「ブドウ糖」のことを指しています。「ブドウ糖」の摂取によって血糖値が上昇すると「インスリン」が分泌されますが、この「インスリン」自体に癌細胞の増殖を促進する作用がありますので「インスリン」の分泌を刺激しないことは重要です。
 白米ご飯精製糖〔白砂糖〕の摂取は、血糖値が急上昇し、大量の「インスリン」を分泌させ、癌が成長増殖悪化転移するのを促進させます。ですから、癌患者さんは、白米ご飯精製糖〔白砂糖〕の摂取は控えるか止めるのが絶対に賢明です。白米ご飯精製糖〔白砂糖〕の摂取は「癌を育てる元」であるとご理解ください
ブログ管理人
 『ケトン体』の「β-ヒドロキシ酪酸」と『短鎖脂肪酸』の「酪酸」は、ともにヒストン脱アセチル化酵素を阻害してヒストンのアセチル化を亢進する。ヒストンアセチル化は、がん細胞の増殖を抑制する。
 『短鎖脂肪酸』は、脂肪酸受容体の GPR43 への結合を介して、がん細胞の増殖を抑える、という報告もある。◆◆



食物繊維」が消化管内で発酵して『短鎖脂肪酸』が生成する

 牛は草だけ食べて、大量のミルクと肉を作っています。
 ゴリラは霊長類で最も大きな体です(体重はオスが150kg を超えます)が、食糧は主に木の葉や樹皮です。季節によっては果実を食べますが、乾季に食物が少なくなると植物の葉や芽や樹皮や根などを食べています。牛もゴリラも、草や木の葉の「食物繊維」を消化管内でバクテリアが発酵して『短鎖脂肪酸酢酸プロピオン酸酪酸など)』を作っています。

 牛は胃で発酵させるので、糖質も「食物繊維」と一緒に発酵させて『短鎖脂肪酸』になってから吸収されます。
 ゴリラは大腸で発酵させるので、糖質は小腸で吸収され、消化されなかった「水溶性食物繊維」が発酵されます。
 「食物繊維は『消化酵素で消化されない食物中の成分』で、水に溶けない「不溶性食物繊維」と、水に溶ける「水溶性食物繊維」があります。「不溶性食物繊維」は糞便量を増やすなどの物理的な効果が大きく、「水溶性食物繊維」は腸内細菌による発酵を受けて『短鎖脂肪酸』が生成されます。

 『短鎖脂肪酸』は、大腸の粘膜細胞や他の組織のエネルギー源として利用されています。


 『短鎖脂肪酸』はエネルギー源としてだけでなく、遺伝子発現の制御や、脂肪酸受容体(GPR43 など)を介した代謝制御やがん細胞の増殖抑制など、様々な健康作用を発揮します。

 牛や羊のような草食動物は『セルロース繊維』の多い植物を消化するために長い腸を持ち、胃腸には莫大な量のバクテリアが住み着いて「食物繊維」や糖質を発酵させています。炭水化物の発酵によって生成した「酢酸」や「プロピオン酸」や「酪酸」などの有機酸(短鎖脂肪酸)を吸収して、細胞内のミトコンドリアでさらに分解してエネルギーを産生しています。

 肉食動物は糖質を消化管内で消化酵素を使って分解してグルコース(ブドウ糖)やフルクトース(果糖)といった単糖にして吸収してエネルギー源としますが、草食動物は消化管内で炭水化物(糖質と食物繊維)をバクテリアで発酵させてできた『短鎖脂肪酸』を吸収してエネルギー源にしています。

 これらの『短鎖脂肪酸』は肝臓で「アミノ酸」や「脂肪」の合成にも使われます。
 消化管内のバクテリアは「アミノ酸」も合成して草食動物に供給しています。

 炭水化物を発酵させて有機酸を作る部位は、牛や山羊(ヤギ)や羊のような反芻動物では反芻胃で行なわれ、ウサギは盲腸で、馬では大腸です。ゴリラも大腸です。
 東京大学名誉教授の「高橋迪雄」先生は「草食動物は炭水化物をバクテリアで発酵させる『発酵タンク』を持つ動物」と定義しています。



ゴリラは、エネルギーの半分以上を「食物繊維」から得ている

 ゴリラとチンパンジーは森林に棲み、どちらも樹木の柔らかい芯や葉を食べています。
 手に入る時は果物を食べます。
 果物が手に入り難い時、ゴリラは葉だけに頼りますが、チンパンジーは毎日、果物を探し続けます。
 ゴリラと違って、チンパンジーは樹木の芯と葉だけでは生きていくことができない理由があるからです。

 果物を見つけるために、チンパンジーはゴリラより遠くまで出かけなければならないため、より小さく、敏捷です。
 ゴリラは果物がない高地の森林にも棲息しますが、チンパンジーが棲むのは低地に限られます。
 ゴリラは木の葉だけで生きていけるので、あまり移動せず一ヵカ所に定住しています。
 このゴリラとチンパンジーの食事における違いは、ゴリラは大腸で「食物繊維」を発酵させて多くのエネルギーを産生できるからだと考えられています。

 次のような報告があります。


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 The western lowland gorilla diet has implications for the health of humans and other hominoids.
 (ニシローランドゴリラの食事は、ヒトおよび他のヒト上科の霊長類の健康と密接な関係がある
 〔J Nutr. 127(10):2000-5. 1997年

【要旨】

 人間における食事と大腸機能の関連を研究するモデルとして、ニシローランドゴリラの食事を研究した。
 中央アフリカ共和国に生息するゴリラは200種類以上の植物と100種類以上の果物を食べていた。
 これらのうち、多く食べていた31種類の食糧を集め、栄養素の解析を行なった。

 乾燥重量100g当たりの主要栄養素の平均は、脂肪が0.5±0.4g、タンパク質が11.8±8.2g、消化できる炭水化物(糖質)が7.7±6.3g、「食物繊維」が74.0±12.9gであった。

 「食物繊維」の代謝エネルギーは6.28kJ/g(1.5kcal/g)であるので、ゴリラが食べている食事は、乾燥重量100g当たり810kJ(194kcal)のカロリーがある。
 このことは、ゴリラの食事における主要栄養素のカロリー比率は、脂肪が2.5%、タンパク質が24.3%、糖質が15.8%、そして「食物繊維」の大腸内での発酵によって産生される『短鎖脂肪酸』が体内で代謝されて産生されるエネルギーが57.3%を占めている。つまり、ゴリラは「食物繊維」の腸内発酵によって大量のエネルギーを得ている。

 人間もまた、ゴリラが食べているのと同様の植物の葉や「食物繊維」が多く、脂肪やコレステロールの少ない食事を行なって進化したと思われる。
 ゴリラの食事における主要栄養素と「食物繊維」の割合は、大腸がエネルギー産生に重要な役割を果たしていることを示唆している。「食物繊維」の多い食事と、ヒト上科(hominoid)の大腸において「食物繊維」を発酵させてエネルギーを産生できる機能的能力は、現代人の健康に重要な影響を与えることを示唆している。


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 Hominoidヒト上科)は、ヒトの仲間と大型類人猿をくくるサル目(霊長目)の分類群です。
 ニシローランドゴリラ学名Gorilla gorilla gorilla、英名Western Lowland Gorilla)は、サル目(霊長目)- ヒト科 - ゴリラ属に分類される哺乳類で、ナイジェリアからザイールにかけてのアフリカ大陸西部に生息しています。

 現生では最大の霊長類で、オスは平均体重が150kg 程度、大きいもので体重200kg を超えます。果実や草、葉、つるなどを主に食べています。この草食のゴリラの食事の内容が、人間の健康と食事を考える上で参考になるという論文です。

 ニシローランドゴリラの食事を調べてみると、乾燥重量あたり、脂肪が0.5%、タンパク質が11.8%、消化できる炭水化物(糖質)が7.7%、「食物繊維」が74.0%でした。

 通常、「食物繊維」は動物の消化管内で分解できないので、カロリーにはならないと考えます。
 ゴリラの食事を脂肪とタンパク質と糖質といった自力で消化できるものだけだと考えると(食物繊維」はエネルギー源にならないと考えると )、ゴリラの食事のカロリー比率は、脂肪が5.9%、タンパク質が57.0%、糖質(消化できる炭水化物)が37.1%になり、低脂肪高タンパク質食を食べていることになります。

 しかし、草食動物のように腸管内で「食物繊維」がバクテリアで発酵してできる『短鎖脂肪酸』がエネルギー源となる場合、食物繊維」の代謝エネルギーは6.28kJ/g(1.5kcal/gになるという報告があります。

 ゴリラの場合は、実際に大腸で大量の「食物繊維」が発酵しているので、ゴリラの食事の栄養素( 脂肪タンパク質糖質食物繊維の発酵でできる『短鎖脂肪酸)のカロリー比率は脂肪が2.5%、タンパク質が24.3%、糖質が15.8%、『短鎖脂肪酸』が57.3%になるという結果です。

 『短鎖脂肪酸』にはエネルギー源としてだけでなく、がん予防効果など様々な健康作用が知られています。
 「食物繊維」の多い食事が健康的である理由の一つは、腸内細菌で発酵を受けて『短鎖脂肪酸』が生成するからです。
 人間もゴリラと同じヒト上科(霊長類)なので、「食物繊維」の多い食事を実行すると腸内での発酵によって『短鎖脂肪酸』のエネルギー比率が高くなり、より健康的になるはずだ、というのがこの論文の趣旨のようです。



人間も「食物繊維」からのカロリー摂取を増やせる

 上記の論文の要旨で『人間もまた、ゴリラが食べているのと同様の植物の葉や「食物繊維」が多く、脂肪やコレステロールの少ない食事を行なって進化したと思われる( 原文は「We suggest that humans also evolved consuming similar high foliage, high fiber diets, which were low in fat and dietary cholesterol.)』と記載されていますが、これは間違いです。人間は250万年くらい前から肉食として進化しています。

 人類は、オランウータンやゴリラやチンパンジーと共通の祖先から進化しました。動物進化の系統樹において、約1300万年前にオランウータン、約650万年前にゴリラ、約490万年前にチンパンジーが人類から分岐したと考えられています。

 約440万年前に現在のエチオピアの地域のジャングル(密林)に生息していた初期人類のラミドゥス猿人(Ardipithecus ramidus)の食事は、チンパンジーと大差なく、脳の大きさも同様だったと考えられます。
 チンパンジーの脳容積は400cc 程度で、現代人の成人男性の脳容積の平均は約1350cc です。チンパンジーと同程度の脳容積しかなかった初期人類から、高度の知能を持った現生人類に進化する過程で脳容積は3倍以上に増えました。
 チンパンジーやゴリラが数百万年もの間、ほとんど脳重量が増えていないのは、森に残って植物性食糧だけを食べてきたからです。
 氷河期が始まった250万年前頃から人間は森を出て、狩猟や漁で肉食になって「アラキドン酸」や「ドコサヘキサエン酸」のような「不飽和脂肪酸」の摂取が増えたことが脳の重量を増やす上で必要だったからです(詳細は「376話」参照)。

 しかし、ゴリラと人間の遺伝子の違いは3%と言われています。
 ゴリラのように「食物繊維」を積極的に摂取すれば、腸内細菌によって「水溶性食物繊維」が発酵して『短鎖脂肪酸』が増え、エネルギー産生にも寄与するかもしれません。

 上記の論文では、「食物繊維」は腸内細菌の発酵によって『短鎖脂肪酸』が生成されれば、1g当たり1.5kcal のエネルギーに変換されるようです。
 栄養素1g当たりのエネルギーは、糖質とタンパク質が4kcal で脂肪が9kcal(中鎖脂肪酸中性脂肪は8kcal)です。従来、「食物繊維」は人間の消化酵素で分解できないので、吸収されないからカロリーにはならないと考えられていますが(あるいは量が少ないので無視されている)、「水溶性食物繊維」を1日200g程度摂取して腸内細菌で発酵させれば、人間でも総カロリーの10%以上になるのかもしれません。
 「食物繊維」の摂取を増やせば『短鎖脂肪酸』の産生が増えることは人間でも確認されています。



食事からのタンパク質摂取量には限界がある

 ケトン食の場合、糖質摂取を10%以下にすると、残りの90%を脂質とタンパク質で分担することになります。
 がんのケトン食では、カロリーはやや少なめに設定して、タンパク質のカロリー比を30%以下、脂質が60%程度ということになります。

 タンパク質の摂取量は、無制限に増やせない理由があります。それは、肝臓でタンパク質を安全に代謝できる量に限界があるからです。
 例えば、Wikipedia には「体重80kg の人間の肝臓が安全に代謝できるタンパク質量は1日当たり285~365g」と記載されています。肝臓で処理できる量を超えたタンパク質を摂取すると、血中の尿素やアンモニアの濃度が増えて、致命的になる場合もあります。
 「Rabbit starvationウサギ飢餓」や「protein poisoningタンパク質中毒」という言葉があります。ウサギの肉のように脂肪の少ない肉で摂取カロリーの半分以上を食べるような食事を続けていると、数週間で死亡すると言われています。
 脂肪や炭水化物が極端に少ない「高タンパク質食」は危険だということです。

 いろんな研究がありますが、タンパク質摂取量で安全なのは、カロリー比率で35%以下、体重1kg 当たりで4gのタンパク質が限界のようです。体重60kg の人だと1日に240gのタンパク質というのは、脂身の少ない肉(鳥肉、牛肉や豚肉の赤身)で約1kg になります。安全を考えれば、タンパク質のカロリー比は25%程度、体重1kg 当たり2g程度に抑えておくのが良いと言えます。

 脂肪のカロリー比を65%とすると、重量比では45%程度になります(1g当たりのカロリーは、糖質とタンパク質が4kcal、普通の脂肪が9kcal、中鎖脂肪酸中性脂肪が8kcal として計算)。
 例えば、2000kcal とすると脂肪は65%の1300kcal で145g、糖質は10%の200kcal で50g、タンパク質は25%の500kcal で125gとなります。脂肪145gは全体の45%というわけです。

 さて、ケトン食では糖質はカロリー比で10%以下タンパク質は上限があり脂肪をカロリー比で65%程度摂取する食事になります。
 ここでゴリラの研究から、「食物繊維」のカロリーを加算できれば、糖質をもっと減らせ、脂肪も減らせるかもしれません。つまり、「食物繊維」が大腸で発酵して『短鎖脂肪酸』が多く産生されてエネルギーに寄与すれば、脂質の重量比を35%程度に減らせます(下表)。

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 「食物繊維」の発酵や『短鎖脂肪酸』の生成には、血糖上昇やインスリン分泌刺激はありません。

 『短鎖脂肪酸』の「酪酸」は、『ケトン体』の「β-ヒドロキシ酪酸」と同様に、ヒストン脱アセチル化酵素を阻害して、ヒストンタンパク質や非ヒストンタンパク質のアセチル化を亢進します。このようなタンパク質のアセチル化亢進は、がん細胞の増殖抑制の方向で作用します。

 また、最近の研究で、『短鎖脂肪酸』は脂肪酸受容体の GPR43 などを介して代謝やがん細胞の増殖に影響することが報告されています。例えば、大腸内で生成した『短鎖脂肪酸』の「プロピオン酸」が門脈を介して肝臓に到達し、G タンパク質共役型受容体(GPCR)の一つである FFAR2(別名GPR43)を介して肝臓に転移したがん細胞の増殖を抑制することが報告されています。

 この論文では「イヌリン型」のフルクタン(フルクトース〔果糖〕が多数結合した多糖体) が使われています。
 葉菜類や海草類やキノコ類のような糖質が少なく、「食物繊維」の豊富な食品や、消化されない『生玄米粉』、「イヌリン」や「グルカン」など「水溶性食物繊維」のサプリメントを積極的に摂取すると、ケトン食の「抗がん作用」を増強できると思います。




 393)食物繊維の抗がん作用
 【「『漢方がん治療』を考える(福田一典 医師)」
より 】

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【図】
◆◆ 食物繊維は「不溶性食物繊維」と「水溶性食物繊維」に大別される。
 「不溶性食物繊維」は便の量を増やし、大腸運動を促進して、二次胆汁酸や食品中の発がん物質と腸粘膜との接触を阻止して大腸がんの発生を予防する作用がある。一方、「水溶性食物繊維」は、食品中のコレステロールの吸収を抑制したり、食後の血糖値の急激な上昇を抑制する作用がある。さらに、ビフィズス菌や乳酸菌などの腸内細菌によって発酵され、『乳酸』や『短鎖脂肪酸酢酸プロピオン酸酪酸など)』が生成される。
 『乳酸』はエネルギー源として利用されるだけでなく、腸内 pH を低下させて悪玉菌の増殖を抑制する。『短鎖脂肪酸』は、体内に吸収されて「糖新生」や ATP 産生に利用されるだけでなく、『短鎖脂肪酸』の受容体である GPR41(FFA3)や GPR43(FFA2)を介して生体の代謝を調節する作用や、遺伝子発現の調節作用(酪酸」のヒストン脱アセチル化酵素阻害作用によるヒストンアセチル化 )がある。空腹感を抑制する作用や抗炎症作用なども報告されている。
 このように、食物繊維はエネルギー産生や生体機能の調節や発がん抑制など重要な役割を果たしている。◆◆



食物繊維」もカロリーになる

 「食物繊維とは、人間の消化酵素によって消化されない食物中の「難消化性成分」の総称です。
 多くは植物の細胞壁を構成する成分で、化学的には多糖類(糖が多数つながったもの)です。

 同じ多糖でもデンプンやグリコーゲンは消化管内で酵素によってグルコース(ブドウ糖)に分解されて体内に吸収されてエネルギー源となりますが、「食物繊維」は人間の消化酵素で分解されないため、エネルギー源とはなり難いと一般には考えられています。

 しかし、「水溶性食物繊維イヌリンペクチンβグルカングルコマンナンなど)」は腸内細菌による発酵によって『乳酸』や短鎖脂肪酸酢酸プロピオン酸酪酸など)』のような有機酸が生成され、これらはエネルギー源として体内で利用されています。

 つまり、『乳酸』や「酢酸」や「プロピオン酸」は「糖新生の材料になり肝臓でグルコース(ブドウ糖)の生成に使われます。また、これらは TCA回路に入って分解されて ATP 産生に使われます。「酪酸」は大腸粘膜上皮細胞のエネルギー源として使われます。
 「酪酸」が大腸粘膜上皮の「糖新生遺伝子」の発現を亢進し、「プロピオン酸」を材料に腸粘膜で「糖新生」が促進されるという報告があります。

 以下のような論文があります。


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 Microbiota-generated metabolites promote metabolic benefits via gut-brain neural circuits.
 (腸内細菌で生成された代謝産物が腸-脳神経回路を介して有益な代謝を促進する
 〔Cell. 156(1-2):84-96. 2014年

【要旨】

 「水溶性食物繊維」は、体重と血糖のコントロールにおいて有益な代謝を促進するが、基本的なメカニズムはほとんど分かっていない。最近の研究結果によると、腸粘膜上皮細胞における「糖新生」は、グルコース(ブドウ糖)代謝やエネルギー産生における制御において有益な効果を有することが示されている。

 この研究では、「水溶性食物繊維」の腸内細菌の発酵により生成される『短鎖脂肪酸』である「プロピオン酸」と「酪酸」が、腸上皮細胞における「糖新生」を相乗作用的に促進することを明らかにした。

 「酪酸」は cAMP依存性メカニズムを介して腸の「糖新生」の遺伝子発現を活性化する。一方、「プロピオン酸」は「糖新生」の基質(材料)となり、さらに、脂肪酸受容体の FFAR3 が関与する腸-脳の神経回路を介して腸の「糖新生」の遺伝子発現を活性化する。

 このような、正常マウスにおける体重や血糖コンロトールに対する『短鎖脂肪酸』や「食物繊維」の発酵による有益な効果は、腸の「糖新生」の遺伝子が欠損したマウスでは腸内細菌叢の組成が同じ条件でも認められない。
 つまり、「水溶性食物繊維」の発酵によって生成される『短鎖脂肪酸』による代謝における有益な作用は、腸粘膜における「糖新生」の制御が重要な役割を果たしている。


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 「酢酸」は炭素が2個、「プロピオン酸」は炭素が3個、「酪酸」は炭素が4個の『短鎖脂肪酸』です。
 それぞれ、いろんな中間代謝産物を介してエネルギー代謝の経路に組み込まれてエネルギー源となります。

 「酪酸」はヒストン脱アセチル化酵素阻害作用があり、様々な遺伝子の発現を亢進する作用があります。
 この論文では、腸粘膜上皮細胞で『短鎖脂肪酸』の「プロピオン酸」を材料に「糖新生」が起こっており、「糖新生」に関与する酵素を「酪酸」が亢進しているという報告です。水溶性食物繊維」を多く摂取して「プロピオン酸」や「酪酸」の生成を増やすことは、体内のエネルギー産生や糖代謝に有益な作用を示すという報告です。

 この発見がかなり重要であることは、掲載された雑誌が Cell だからです。
 Cell は、生物学や医学の学術雑誌としては Nature や Science とともに世界最高峰の学術雑誌です。

 つまり、

   「水溶性食物繊維」の発酵によって生成される『短鎖脂肪酸』は、
     生体におけるエネルギー代謝やグルコース(ブドウ糖)代謝において重要な役割を担っている。

 という発見は極めて重要であることを示しています。

 超個体super-organismという概念があります。多数の個体から形成され、まるで一つの個体であるかのように振る舞う生物の集団のことで、人間と腸内細菌の関係も超個体の一例だと考えられています。
 すなわち、人間の細胞は約60兆個ですが、腸内には100種類以上、100兆個以上の細菌が棲みついており、ビタミンなど様々な有用成分を生成した人間の健康に役立つ作用を持ち、さらにエネルギー産生にも寄与しています。
 つまり、水溶性食物繊維」を多く摂取することは、腸内細菌の人間への有益な作用を高めることになります

 前回(392話)、ゴリラは木の葉や樹皮など「繊維成分の多い食糧」を食べ、大腸における「食物繊維」の発酵によって生成される『短鎖脂肪酸』によって50%以上のエネルギーを得ている、という論文を紹介しています。「食物繊維」のカロリーは1g当たり1.5kcal で計算されています。
 「食物繊維」は消化吸収されないため、従来は栄養的に不要なものと考えられていましたが、栄養源になるだけでなく、最近は多くの生理作用が明らかになり、栄養素の一つとして認識されています。


 糖質脂質タンパク質を三大栄養素と言い、ビタミンとミネラルを加えて五大栄養素と言います。
 「食物繊維」は第六の栄養素、植物に含まれる「フィトケミカル」が第七の栄養素と言われています。
 エネルギー源になるのは「糖質」と「脂質」と「タンパク質」と「水溶性食物繊維」ということになります。



短鎖脂肪酸』は、遺伝子発現や代謝を調節する作用がある

 食物繊維は「不溶性」と「水溶性」に大別されます。
 「不溶性食物繊維(セルロースヘミセルロースリグニンキチンキトサン)」は、便のかさを増やし、大腸の運動を促進する作用があります。一方、「水溶性食物繊維」はコレステロールの吸収を抑制したり、食後の血糖値の急激な上昇を防ぐ効果があります。さらに、腸内細菌で発酵されてできる『乳酸』や『短鎖脂肪酸』はエネルギー源となり、さらに『短鎖脂肪酸』は遺伝子発現や代謝の調節作用など様々な生理作用が明らかになっています。

 『短鎖脂肪酸』に特異的に結合する受容体も見つかっており、かなり多様な生理機能が最近多くの論文で報告されています。
 すなわち、『短鎖脂肪酸酢酸プロピオン酸酪酸など)』が結合する受容体として、Free Fatty Acid Receptor 2FFA2Free Fatty Acid Receptor 3FFA3が見つかっています。FFA2 は GPR43、FFA3 は GPR41としても報告されていますが、これらの受容体が脂肪組織や免疫組織、内分泌組織、消化管組織など広く分布し、『短鎖脂肪酸』が結合することによって生体の栄養摂取や代謝を調節していることが報告されています。

 「酪酸(butyrate)」はヒストン脱アセチル化酵素阻害作用があり、遺伝子発現を制御する作用があります。
 例えば、「酪酸」は p21cip1 というタンパク質の発現を亢進して、がん細胞の増殖を抑制する効果があります。
 p21cip1 は細胞周期の進行を担うサイクリン依存性キナーゼ(CDK)の活性を抑制するインヒビターの一つで、細胞増殖の停止、分化や老化に関わっており、がん抑制因子として捉えられています。
 つまり、ヒストン脱アセチル化酵素(histone deacetylase)の阻害は、p21cip1 のような細胞周期の進展を阻害する遺伝子の発現を高めることによって、がん細胞の増殖を抑える作用が報告されており、ヒストン脱アセチル化酵素阻害剤はがんの治療薬として注目されています。

 『ケトン体』の「β-ヒドロキシ酪酸」は「酪酸」の H が OH に代わっただけの構造で、「酪酸」と同様にヒストン脱アセチル化酵素の阻害作用があります。「β-ヒドロキシ酪酸」のヒストンアセチル化作用については「322話」で解説しています。



不溶性食物繊維」は、大腸がんの予防には効果がない

 多くの疫学研究の結果は、「食物繊維」は大腸がんの予防効果があることを示しています。
 そこで、1990年代頃から「食物繊維」のがん予防効果を検証する臨床試験が行なわれました。
 しかし、「食物繊維」をサプリメントで多く摂取しても、大腸がんの予防効果は期待できない、という研究結果が発表されています。

 日本で行なわれた臨床試験では、「食物繊維」が多く含まれる小麦ふすまビスケットを摂取すると、大腸がんの発生と成長を促進する結果が得られています。「食物繊維」が腫瘍を刺激して増大させたと考えられます(Int J Cancer. 116(5):762-7. 2005年)。
 米国の臨床試験でも、小麦ふすまを添加しても大腸腺腫の発生を予防する効果は認められていません(N Engl J Med. 342(16):1156-62. 2000年)。

 ただし、ここで問題なのは「食物繊維」のサプリメントとして「小麦ふすまを使ったことです。
 小麦ふすまは、ほとんどが「不溶性食物繊維」です。「水溶性食物繊維」はほとんど含まれていません
 「不溶性食物繊維」が主体の小麦ふすまでは、便の量を増やして便秘を改善する効果がありますが、下剤が大腸がんの発生と成長を促進することが実験で指摘されていますので、同様に「不溶性食物繊維」にも大腸がんを促進する作用があるのかもしれません。


 この当時はまだ、「水溶性食物繊維」の発酵による『短鎖脂肪酸』の抗がん作用について充分に知られていなかったのと、「不溶性」と「水溶性」の “食物繊維の違い” もあまり認識されていませんでした。
 私は1995年から1998年まで国立がんセンター研究所のがん予防研究部で研究していましたが、「食物繊維」のがん予防効果が注目された頃で、実際に私自身、「酪酸」の抗がん作用なども研究していましたが、まだ「不溶性」と「水溶性」の “食物繊維の作用の違い” を認識している研究者はほとんどいなかった頃です。
 最近になって、『短鎖脂肪酸』の受容体が発見されたり、Cell のような超一流の雑誌に『短鎖脂肪酸』の研究結果が掲載されるようになってきたので、これから「水溶性食物繊維」の健康作用や抗がん作用のメカニズムが明らかになってくると思います。

 しかし、その最新の研究結果を待つまでもなく、日頃の食生活に「水溶性食物繊維」を積極的に増やすことは有益だと言えます。「水溶性食物繊維」を豊富に含む食材は、オート麦(燕麦)、オートミール、大麦、ナッツ類、種子類、豆類、柑橘類などです。抹茶、カレー粉、プルーン、ゆず、かんぴょう、ゆりね、ゴボウ、オクラ、ゴマなどにも多く含まれます。



   水溶性食物繊維」を豊富に含む食品
    オート麦(燕麦)  オートミール  大麦  ナッツ類  種子類  豆類  柑橘類
    抹茶  カレー粉  プルーン  ゆず  かんぴょう  ゆりね  ゴボウ  オクラ  ゴマ

水溶性食物繊維」を多く含む食品を摂取する場合の注意点は、癌患者さんの場合は「ブドウ糖」の摂取が癌を育てる原因となってしまいますから、「水溶性食物繊維」を多く含みながら「ブドウ糖」の摂取にならない食品を選択することが大事です。果物や海藻には「水溶性食物繊維」が多く含まれていますが、果物や海藻は「糖質量」も多いので気をつけてください。
 やはり、「水溶性食物繊維」だけを多く摂取するには『食物繊維サプリメント』を利用するのが一番手っ取り早くできます。しかも、『食物繊維サプリメント』ならば「ブドウ糖」の摂取を確実に避けることができますので、癌患者さんにとっては一番「安全な方法」となるでしょう。『食物繊維サプリメント』につきましては、ぜひ「『食物繊維サプリメント』の活用」記事のほうを参照されてみてください
ブログ管理人


 糖質制限を行なう時は「水溶性食物繊維」のサプリメントを利用するのが良いと思います。「水溶性食物繊維」のがん予防や抗腫瘍効果を検討する動物実験では「イヌリンや「ペクチンが使用され、有効性が報告されています。
 「イヌリンはフルクトース(果糖)の重合体で、様々な健康作用が知られています。
 「ペクチン」は、野菜や果実、特に柑橘類に多く含まれている天然の高分子多糖類で、「セルロース」とともに、植物体において、その基本構造を形成するための成分です。

 「イヌリン」と「ペクチン」は料理にも使われ、比較的安価で販売されています。
 私が利用しているのは「イヌリン」で、500gで1000円程度で販売されています。
 「イヌリン」を1日50g程度を摂取し、葉菜類など「食物繊維」の多い食品を多く摂取すると、『短鎖脂肪酸』の抗腫瘍効果が期待できます。

 「ケトン食」と併用すると、『ケトン体』と『短鎖脂肪酸』の相乗効果が期待できます(392話」参照 )。
 「水溶性食物繊維」は、漢方薬に使われる生薬にも多く含まれます。
漢方薬は生薬を煮出して服用します。
 生薬は「食物繊維」が豊富ですが、生薬を煎じると「水溶性食物繊維」は煎じ液のほうに溶け出し、「不溶性食物繊維」はカス()のほうに残ります。つまり、煎じ薬は「水溶性食物繊維」を多く含みます。
 このような煎じ薬に含まれる「水溶性食物繊維」が、抗がん剤の副作用軽減や悪液質の症状緩和や抗腫瘍効果に役立っている可能性が示唆されます(194話」参照 )。




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