この記事は、『銀座東京クリニック』院長の「福田一典」医師が公開されています「『漢方がん治療』を考える」からのご紹介です。

28710_df_1_main_1373009419


 『水素療法』は数多くの疾患の治療に対して有効性を示し、疾患の症状を改善させることが医学的に分かってきています。当記事では論文の紹介を通して、特に「関節リュウマチ」や「双極性気分障害」「統合失調症」の精神疾患について書かれています。

 『水素』は「悪玉活性酸素」の「ヒドロキシルラジカル」を選択的に消去する「抗酸化作用」や、炎症を抑制する「抗炎症作用」、そして、癌細胞の発生や進行を抑制する「抗がん作用」があります。癌治療において『水素療法』は、癌の改善に大きな力を発揮します。

 当記事は『水素』の特徴とともに『水素療法』の有効性について分かりやすく書かれていますので、『水素療法』の価値を知るための資料として、ぜひご覧になられてみてください。よろしくお願いします m(__)m

.





 426)水素ガスの治療効果
 【「『漢方がん治療』を考える(福田一典 医師)」
より 】

2b5aceffd45fb830f4f39193c62e12c4

【図】
◆◆ 水素ガス治療は、日本人の三大死因の悪性腫瘍、心血管疾患、脳血管疾患をはじめ、患者数の多い糖尿病、メタボリック症候群、慢性呼吸器疾患、肺炎、アルツハイマー病などの認知症、パーキンソン病、腎炎ネフローゼ、抗がん剤や放射線治療の副作用、自己免疫疾患などの慢性炎症性疾患、精神疾患(双極性障害や統合失調症など)など、数多くの疾患や病態の治療において有効性が報告されている。◆◆



水素ガスは「関節リュウマチ」を改善する

 がん治療における水素ガスの有用性については「399話」で解説しています。
 すなわち、水素ガス分子状水素molecular hydrogen)は「ヒドロキシルラジカルを選択的に消去したり、「抗酸化酵素」を誘導する作用(抗酸化作用)、炎症性サイトカインの産生抑制や炎症性の転写因子の抑制などの「抗炎症作用、細胞の増殖シグナル伝達系への作用、血管新生阻害作用などによって、がん細胞の発生や進展を抑制する作用があります。

 抗がん剤や放射線治療の副作用(腎臓障害や間質性肺炎など)を軽減する効果も報告されています。
 さらに、水素ガスは様々な炎症性疾患(自己免疫疾患など)や神経変性疾患(アルツハイマー病やパーキンソン病など)、呼吸器疾患、循環器疾患、糖尿病、腎障害など多くの疾患に対して治療効果を示すことが報告されています。

 例えば、水素ガスが、その「抗酸化作用」と「抗炎症作用」によって「関節リュウマチの治療に有効である可能性が指摘されています。

 次のような論文があります。


◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆


 Molecular Hydrogen
 :New Antioxidant and Anti-inflammatory Therapy for Rheumatoid Arthritis and Related Diseases.

 (分子状水素関節リュウマチと関連疾患に対する抗酸化と抗炎症作用の新しい治療
 〔Curr Pharm Des. 19:6375–6381. 2013年

【要旨】

 関節リュウマチは関節の進行性の破壊を引き起こす慢性炎症性疾患である。この疾患は動脈硬化のリスクが高く、心疾患の進行が死因になることも多い。関節リュウマチの治療の目標は全身性の炎症状態を軽減し、症状の寛解だけでなく、全身の健康状態を良くすることである。

 炎症性サイトカインの働きをターゲットにした最近の生物学的免疫抑制治療は関節リュウマチの治療効果を高め、予後の改善に寄与しているが、これらの治療はその作用固有の副作用を有している。また、この病気の早期診断も困難である。
 関節リュウマチの発症原因はまだ十分に解明されていないが、この病気の成り立ちに活性酸素種が重要な関与をしていることが指摘されている。

 NF-κB と TNF-α のシグナル伝達系において、活性酸素種は重要な役割を果たしている。
 活性酸素種にはいくつかの種類があるが、このうち炎症性疾患の成立ちに重要なのが「ヒドロキシルラジカル」であり、分子状水素(H2)はこの「ヒドロキシルラジカル」を選択的に消去する
 このように、水素は患者の「酸化ストレス」を軽減するので、関節リュウマチの通常の治療に水素治療を併用することはメリットがあることが最近の研究で示されている。特に、病気の早期の段階では、水素は有効な治療効果を有している。

 水素の投与が炎症や「酸化ストレス」を軽減し、関節リュウマチの治療に有用な効果を与える可能性を考察する。
 水素は関節リュウマチやこれに関連する動脈硬化の発生や進行を抑制し、関節リュウマチの治療法としての有用であることを考察した。


◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆


 関節リュウマチは「自分の免疫細胞が自己の成分を攻撃する」という自己免疫機序で発生します。
 炎症性サイトカイン(TNF-αIL-1IL-6 など)や活性酸素や炎症性ケミカルメディエーターなどの産生を増えて慢性炎症が起こります。そのため、これらの炎症過程を抑制することが治療に効果を発揮します。

 関節の炎症部位では、好中球やマクロファージなどの炎症細胞から活性酸素が産生され、これらの活性酸素( 特に「ヒドロキシルラジカル)が組織を破壊します。
 分子状水素(水素ガス)は慢性炎症において組織破壊の主要な原因である「ヒドロキシルラジカル」を消去するので、関節リュウマチの症状の軽減に有効であると考えられています。

 また「ヒドロキシルラジカル」や炎症性サイトカインは動脈硬化を促進するので、関節リュウマチの患者は心血管疾患のリスクが高くなります。
 日頃から水素を摂取しておくことは、関節リュウマチの症状の緩和だけでなく、動脈硬化の進行を抑制して死亡リスクを減らす効果もあるということです。

 また、日頃から「ヒドロキシルラジカル」の発生を抑制し、「酸化ストレス」を軽減しておけば、自己免疫疾患などの慢性炎症性疾患の発症を予防できる可能性もあります。
 水素ガスは「ヒドロキシルラジカル」の消去だけでなく、細胞の遺伝子発現やシグナル伝達にも影響する作用が報告されており、病気の予防や治療における可能性が高いことが指摘されています。



水素は「双極性疾患」と「統合失調症」を改善する

 双極性障害bipolar disorderは「躁状態」と「鬱状態」というエピソードを繰り返す精神疾患で、古い呼び名では躁鬱(そううつ)病と呼ばれていた疾患です。
 「躁状態」は気分の異常な高揚が続く状態であり、「鬱状態」は意欲や興味や精神活動が低下する状態です。双極とは「2つの極」という意味で、双極性障害というのは「躁状態」と「鬱状態」の「2つの極」を持つ気分障害という意味です。

 統合失調症schizophreniaは「幻覚や妄想という症状」を特徴とする精神疾患で、以前は「精神分裂病」と呼ばれていました。脳の神経ネットワークに何らかの異常を起こして、情報処理や認知機能や意欲などに異常が見られる病気です。原因は不明で、多数の発症原因が提唱されています。

 このような原因不明の精神疾患に、水素ガスが有効であることが報告されています。
 以下のような論文があります。


◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆


 Molecular hydrogen
 :an overview of its neurobiological effects and therapeutic potential for bipolar disorder and schizophrenia.

 (分子状水素その神経生物学的作用と双極性障害と統合失調症に対する治療効果に関する概要
 〔Medical Gas Research 2013;3:11. doi:10.1186/2045-9912-3-11.

【要旨】

 水素ガスは「アポトーシス抑制」「抗炎症」「抗酸化」などの様々な作用を有する生物活性ガスであり、このような作用は多くの精神障害における神経学的進行の過程の抑制する可能性を持つ。

 特に「双極性障害」と「統合失調症」は、神経組織の「酸化ストレス」や炎症反応の亢進と関連している。
 さらに「双極性障害」の治療に使われるリチウムは「酸化ストレス」やアポトーシス経路に対して作用を示し、「統合失調症」の治療に使われるバルプロ酸塩(valproate)やその他の非定型的な抗精神病薬も同様の作用を示す。

 分子状水素は、低酸素症や神経変性疾患を含むいくつかの病気の実験動物モデルを使って、その効果が研究されており、パーキンソン病などの神経疾患において興味深い臨床研究の結果が得られている。
 そのため、水素分子の投与は「酸化障害」や「炎症」や「アポトーシスの調節不全」によって特徴付けられる「双極性障害」や「統合失調症」やその他の神経精神障害のための新規治療法としての可能性を有するものと推測できる。


◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆


 この論文の「本文部分の日本語訳」を抜粋して、以下に記載します。



本文の日本語訳

 多くの病気の発症に「酸化傷害」が関与しています。細胞が酸素を使ってミトコンドリアでエネルギーを産生すれば活性酸素が発生し、何らかの原因で炎症が起これば、炎症細胞などから活性酸素が産生されます。
 このように産生された活性酸素は、タンパク質やDNAや脂質に傷害を与え、その結果、病気が発症します。
 神経変性性疾患や精神病の発症や進展にも「酸化ストレス」や「酸化傷害」は重要な関与をしています

 「双極性障害Bipolar disorder)」は、推定有病率が1~2%の比較的一般的な神経精神障害です。この疾患は、糖尿病やメタボリック症候群、心血管疾患、肥満を合併する率が高く、これらの疾患の発症には「炎症性変化」や「酸化ストレス」が関連しています。
 つまり「双極性障害」は、炎症反応が原因で発症する全身病の一つの症候であるかもしれない、という新たな仮説を提唱することができます。

 「統合失調症Schizophrenia)」も、糖尿病や肥満過体重や心血管疾患の合併が多いという特徴があります。
 つまり、双極性障害」や「統合失調症」の発症に「炎症反応」や「酸化ストレス」が関与している可能性が示唆され、したがって、「抗炎症作用」や「抗酸化作用」を有する治療が有効である可能性が示唆されています


◆◆ ミトコンドリアと双極性気分障害

 ミトコンドリアは「細胞のエネルギー産生」と「シナプスのシグナル伝達」に重要な役割を担っています。
 ミトコンドリアの機能異常が「双極性障害」の発症に関与しているという研究結果があります。例えば、ミトコンドリア細胞症(mitochondrial cytopathies)の患者には「双極性障害」の発生頻度が高いという報告があります。
 「双極性障害」の患者のミトコンドリアの呼吸酵素の活性低下や、ミトコンドリア DNA の異常や形態学的異常も報告されています。
 つまり、「双極性障害」の発症の分子メカニズムとしてミトコンドリアの異常の関与が指摘され、この病気の治療法の開発において、ミトコンドリアをターゲットにした研究が注目されています。


◆◆ 双極性障害と酸化ストレス

 細胞内において酸素呼吸をするかぎり、たえず活性酸素が発生していますが、この活性酸素の害を防ぐメカニズムが細胞内にあって、「酸化ストレス」が亢進しないように制御されています。すなわち、細胞内には、活性酸素を消去する物質や酵素が備わっています。
 「双極性障害」や「統合失調症」や「自閉症」などの精神障害の発症に「酸化ストレス」の関与を示唆する研究結果が多く得られています。例えば、総グルタチオン量や還元型グルタチオンの量のような内因性の「抗酸化物質」のレベルや「抗酸化酵素(スーパーオキシド・ディスムターゼやカタラーゼなど)」の活性が「双極性障害」では低下していることが報告されています。
 「双極性障害」における妄想のような精神病症状の発生に「一酸化窒素(NO)」が関与していることが報告されています。そして「双極性障害」の患者では「一酸化窒素」のレベルが高いことが報告されています。
 フリーラジカルと脂質の反応によって産生される「過酸化脂質」の代謝産物のレベルが「双極性障害」の躁状態や寛解の時期に上昇するという報告があります。これは、「双極性障害」の過程で細胞膜の脂質の過酸化が進行し、これが症状と関連している可能性を示唆しています。


◆◆ 確立された治療法のメカニズム

 リチウムは、おそらく「双極性気分障害」の長期の再発予防のための最も有効な薬剤です。
 リチウムの作用はモノアミン受容体に対する作用以外に、リチウムの慢性投与が、脳の前頭前野におけるミトコンドリアタンパク質のリン酸化を引き起こすことがラットの実験で示されています。
 リチウムには「抗炎症作用」や「抗酸化作用」も有しており、このような作用が神経細胞の保護作用を示す可能性があります。
 リチウムは細胞のミトコンドリアの活性、特に呼吸酵素複合体1の活性を高める効果が報告されており、この作用が治療効果と関連している可能性が示唆されています。
 リチウムはミトコンドリアのエネルギー産生を高める作用があり、長期間のリチウムの投与は「双極性障害」の「抗酸化力」を高めることが報告されています。
 グルタチオンの合成を高める N-アセチル-システインが「双極性障害」の「鬱状態」や「躁状態」の症状を軽減する効果があることが報告されています。
 しかし、リチウムの長期投与は、副作用や有効性の限界があるため、理想的な治療とは言えず、より新規のアプローチが必要です。


◆◆ ミトコンドリアと統合失調症

 「統合失調症」におけるミトコンドリアの異常に関しては、多くの研究結果が報告されています。
 さらに、精神病とミトコンドリアの異常はしばしば一緒に認められています。
 「統合失調症」の発症にミトコンドリア DNA の関与が指摘されており、健常人に比べて「統合失調症」の患者では、ミトコンドリアの数が減少していることが報告されています。
 「自閉症」では、ミトコンドリアでのエネルギー産生が障害されていることが報告されています。


◆◆ 統合失調症と酸化ストレス

 「統合失調症」の発症メカニズムにおける「酸化ストレス」の関与が示唆されており、「酸化ストレス」はこの病気の治療のターゲットとして重要です。
 「統合失調症」では「抗酸化システム」に異常があることが指摘されています。例えば、健常人と比較して「統合失調症」の患者ではスーパーオキシド・ジスムターゼ(SOD)やグルタチオン・ペルオキシダーゼのような「抗酸化酵素」の活性が低下し、脂質の過酸化のレベルが上昇していることが報告されています。
 「統合失調症」では、ミトコンドリアにおける呼吸酵素複合体1の異常など、細胞呼吸の失調が知られています。
 さらに「統合失調症」の症状の重い患者は、スーパーオキシド・ジスムターゼの活性が低下していることや、脂質過酸化のレベルが高いほど治療抵抗性になることが報告されています。


◆◆ 抗精神病薬の作用機序

 「統合失調症」における血漿脂質過酸化の増加は、第二世代の抗精神病薬によるものではありません。
 しかし、定型、及び、非定型抗精神病薬は「統合失調症」における異常なフリーラジカルの代謝を部分的に正常化する作用を持っています。
 これらの抗精神病薬による長期的な治療は「統合失調症」における「抗酸化酵素」と「脂質過酸化」に影響を与えることが報告されています。
 ビタミンCの投与は「統合失調症」における「酸化ストレス」を減少させます。「抗酸化作用」のある N-アセチルシステインの投与は「統合失調症」の中核症状とアカシジア(錐体外路症状による静座不能の症状)を抑制します。これらのことは、「統合失調症」の症状の発症に「酸化ストレス」や「酸化傷害」の機序が関与していることを示唆しています。


◆◆ 水素の薬物動態

 水素分子は無味無臭のガスで、脂質膜を通って速やかに拡散し、細胞内に入り、ミトコンドリアや核といった細胞内小器官に容易に達することができます。
 水素ガスは室温、及び、触媒の不存在下では不活性の気体です。水素は容易に「血液脳関門」を通過し、神経組織の細胞に到達します。
 細胞毒性などの有害作用はなく、生理的には、腸内細菌が複合糖質の発酵によって体内でも産生されています。そのため、動脈血には水素が含まれており、この水素を細胞が利用していることを示唆しています。
 水素はフリーの「ヒドロキシルラジカル」とは反応するが、その他の活性酸素とは反応しません。「ヒドロキシルラジカル」以外のフリーラジカルはシグナル伝達などの生理的な機能にも役割を担っているので、「ヒドロキシルラジカル」だけを消去することは理論的な利点になります。
 実際に、様々な実験モデルで、水素は「ヒドロキシルラジカル」を消去する作用によって脳組織の「酸化傷害」から神経細胞を保護する効果が報告されています。
 体内に水素を投与する方法として、水素含有水(水素水)の飲用、水素入浴(水素を発生させて水素を含有させた風呂水素風呂)、水素含有生理食塩水の点滴、「水素水」の点眼、腸内細菌による水素の産生を促進させる方法などがあります。
 水素はガラスを通過できるが、アルミニウムの容器は通過できません

水素分子〔H2〕は、物質宇宙の中で一番小さい原子である「水素原子〔H〕」が2つ結合している、この物質宇宙の中で一番小さな分子ですから、基本的にはどのような物質をも通過します。しかし、水素の物性として「アルミニウム」は通過できないようです。ゆえに、水素水を入れる容器は「アルミ製の容器」だと水素が抜けてしまうロスがなくなりますし、また、水素吸引を行なう時にも水素を発生させる容器を「アルミ箔」で覆ってしまえば水素が抜けるロスがなくなりますブログ管理人


◆◆ 水素と酸化ストレスと炎症

 水素分子の「抗炎症効果」は、動物や人間での実験で示されています。
 水素含有生理食塩水は、気管支肺胞洗浄液中の炎症性サイトカインの IL-4、IL-5、IL-13、及び、TNF-α のレベルを減少させました。
 水素は炎症組織の腫瘍壊死因子α(TNF-α)、インターロイキン(IL)-1β、及び、IL-6レベルを抑制する作用があり、この作用は紫外線(UVB)照射に対する細胞保護作用のメカニズムと関連しています。
 水素は、TNFα によって誘導される NFκB経路の活性化を阻止します。
 水素産生能を持つ『大腸菌』のような腸内細菌による水素の産生は、体内の炎症を抑制している可能性があります
 多くの研究結果は「双極性障害」の発症に多くのインターロイキンが密接に関与していることを示しています。

大腸菌』は、水素の他にも『ビタミン』『ミネラル』などを産生します。ここは次の記事を参照されてください。

    現代栄養学が語らない、セルロースの大きな可能性【 答えは「セルロース」にある!
     『セルロース分解菌』が宿主を生かす “栄養産生提供” という素晴らしきシステム!】


    大腸菌が「野菜のセルロース」を分解した時にミネラルを作り出す
     【体外から得た栄養よりも、腸内細菌が産生した栄養のほうを、体は優先して使用する:腸内細菌依存】


    大腸菌は、食物繊維を食べるとセルロースを分解して、酵素、ミネラル、ビタミンを産生して生み出す
     【朝食を抜くと、むしろ健康になる:鬱病について:他・・】


 『大腸菌』は汚いヤツではなく、人間が生きる上で重要な栄養を産生してくれる貴重な存在です
ブログ管理人


◆◆ 前臨床研究の結果

 急性肺損傷の動物実験モデルにおいて、水素吸入(水素吸引)は急性肺の炎症を減少させました。
 水素含有水(水素水)の飲用は、ラット腎臓組織における活性酸素種の産生を減少させました。
 アンチマイシンを投与して細胞死を誘導する実験系で、水素はミトコンドリア、及び、核の DNA を「ヒドロキシルラジカル」からの傷害から保護し、ミトコンドリア膜ポテンシャルの低下を防いで、細胞死を阻止しました。
 電離放射線による細胞傷害の主要な原因は「ヒドロキシルラジカル」によるものであるため、水素は放射線による細胞傷害の抑制に有効です。
 中大脳動脈閉塞によって脳梗塞を発症させる動物実験モデルにおいて水素は梗塞サイズを縮小し、「酸化ストレス」のマーカーを減少させました。
 新生子豚を窒息させる動物実験モデルでは、水素は同様に神経細胞を保護する作用を示し、脳血管反応性を保持しました。


◆◆ 臨床研究の結果

 「酸化ストレス」に関連した様々な病気の治療に水素が有効である可能性が示唆されています。このような疾患には、パーキンソン病、脊髄心臓肝臓腸管における虚血 / 再還流傷害、肺心臓腎臓腸管の移植などが含まれています。
 水素含有水(水素水)の飲用による水分の補充は、運動中における血中の「乳酸値」レベルを減少させ、筋肉の機能を高めることができます。
 2型糖尿病の患者での研究では、水素は「酸化ストレス」のマーカーのレベルを低下させました。同様な作用はメタボリック症候群でも報告されています。
 パーキンソン病では、黒質における過酸化脂質の増加や還元型グルタチオンの減少が見られ、この黒質組織における「酸化ストレス」の増大がパーキンソン病の発症原因として指摘されています。
 ラットのパーキンソン病の実験モデルでも、水素はパーキンソン病の発症を予防しました。また、脳動脈の閉塞による虚血 / 再還流の実験モデルで生存率を上昇させました。
 パーキンソン病の動物実験モデルで、黒質のドーパミン作動性ニューロンの 4-ヒドロキシ-2-ネノナール(酸化ストレスのマーカー)の量を減少させました。
 前臨床研究では、水素の量とその効果との関連が充分に明らかになっていません。
 人間での無作為二重盲検試験(N=18)の予備試験では、レボドパ(levodopa)を服用している患者を対象に、「水素水」を1日1000ml 飲用した場合を効果が検討されました。
 「水素水」を飲用した群では、総合統一パーキンソン病評価尺度(Total Unified Parkinson’s Disease Rating Scale)のスコアでの評価で病状の軽減を認めましたが、プラセボ群では悪化を認めました。
 このような細胞保護作用には、水素が「細胞のシグナル伝達」を制御する作用も関与していることが示唆されています。
 水素の「抗酸化」や「抗炎症の」作用メカニズムについては不明な部分もあります。金属タンパク質(metalloproteins)を制御するという報告もあります。さらに、水素は「一酸化窒素」に由来するパーオキシナイトライト(peroxynitrite)の産生を抑制する作用があります。
 「慢性関節リュウマチ」の患者における研究では、水素含有水(水素水)の飲用は「ヒドロキシルラジカル」の消去作用によって「酸化ストレス」を軽減し、4週後には臨床症状の改善が認められました。
 さらに、肝臓腫瘍で放射線治療を受けた患者の検討では「水素水」は生活の質(QOL)を改善しました。
 発熱や痛みを伴う「紅班性皮膚疾患」の患者4名に水素含有の生理食塩水500ml を点滴で投与した臨床研究では、水素点滴によって症状の改善が認められました。
 「ミトコンドリア・ミオパチー」患者を対象に行なわれた無作為化比較試験では、「水素水」はミトコンドリアの機能障害や炎症を減少させました。
 経口投与された「水素水」が、体内で発生する「ヒドロキシルラジカル」を除去するのに充分な分子状水素を持たない可能性がある場合は、結果の評価に注意が必要です
 第二に、体内での水素の滞留時間は、体内で連続的に生成されている「ヒドロキシルラジカル」を充分に消去するには短すぎるかもしれません。
 また、疾患ごとの最適な投与回数や投与量、投与方法に関して、まだ充分に検討されていないなどの問題点も残されています。


◆◆ 結論

 水素ガスは多彩な生物活性を有しており、「炎症」や「酸化傷害」や「アポトーシス経路の異常」に関連する多くの病気の治療法として魅力的な治療薬です。しかし、多くの問題点が解決されていません。
 「水素水」はその飽和した濃度は0.8mM 程度と少なく、半減期が極めて短いので、体内での作用の評価は困難かもしれません。
 また、体内では腸内細菌によって1日に1リットルもの水素が産生されているという事実から、多くの実験で使われている水素の投与量は極めて少ないという指摘もあります。
 つまり、現時点では、水素の体内での作用メカニズムを充分に解明できておらず、極めて限られた知識しかありません。
 水素の作用の分子生物学的なメカニズムを解明するには、さらに多くの前臨床試験(基礎研究)のデータが必要です。
 しかしながら、とりわけ神経科学の分野では、その作用メカニズムが充分に解明されていないにもかかわらず、治療効果が認められて広く使用されている薬は多く存在します。
 非常に限定したデータしかありませんが、一般的に水素の安全性は問題ないので、臨床試験によってその臨床効果を検討する必要があります。
 水素の臨床応用を促進するためには、水素の有効投与量、投与法、薬効動態、作用メカニズムや毒性に関する多くのデータが必要です。



水溶性食物繊維」を多く摂取すれば、体内の『水素』発生量が増える

 水素ガスの臨床効果に関しては、まだ充分には解明されていません。
 その研究の現状を理解する目的で、比較的短い総説論文の全文を日本語に訳して紹介しました。

 水素を含有させた「水素水」の飲用が、様々な疾患の実験モデルや臨床試験で有効性が報告されています。
 しかし、水素が水に飽和した状態での水素の量は0.8mM1.6ppm程度です。
 つまり、水素で飽和した「水素水」を1リットル飲んでも1.6mg の水素を摂取したに過ぎません。

 一方、体内では「腸内細菌が1日に1リットル程度の水素を発生している」と言われています。
 (実際は、食事の内容などで産生量は個人差があります
 1リットルの水素ガスは、1モルの水素(H2)は2gで体積は22.4リットルになるので(22.4リットルの中に、アボガドロ数の約6x〔10の23乗〕個の水素分子が存在する)、腸内細菌が1日に発生する1リットルの水素は約90mg になります(2÷22.4=0.0892857)。

 つまり、体内で毎日100mg(1リットル)程度の水素が腸内で産生されている条件では、水素が飽和した水を1リットルを飲用して体内に1.6mg の水素を摂取しても、どれだけの効果があるのか、という議論があります。
 ただし、「水素水」の飲用で実際に効果があるので、「単純に水素の摂取量だけでは、水素の生理作用は説明できない」と考えられています。

 しかし、「抗炎症」や「抗酸化作用」による薬効を期待するには、体内に摂取する水素ガスの量は重要です。
 薬効を期待するには、1日1リットル以上が必要のように思えます。

 例えば、『発砲水素剤』を用いた方法では、10リットル以上の水素ガス(重量として1g以上)を吸入で摂取することができます(水素ガス吸入水素吸引)」については「こちらへ)。

hydrogen-gas-inhalation
発砲水素剤

9
水素ガス吸入(水素吸引
詳しくは「
自分でできる『水素ガス吸入療法』」へ


 また、「水溶性食物繊維」を多く摂取すると、腸内細菌が「食物繊維」を発酵する過程で水素が多く産生されます

食物繊維の「水溶性食物繊維」は、ヒトの消化酵素では分解〔消化〕されない「難消化性成分」である『難消化吸収性糖質』で、消化〔分解〕されずに小腸を通り抜けて大腸まで達し、腸内細菌が発酵分解すると多くの『水素』が産生され、宿主である人間はこの『水素』を大腸内で吸収し、身体の「抗酸化」「酸化還元」に役立てて「身体の酸化」を防いでいます。腸内細菌が産生する『水素』は、血液体液の「酸化還元電位」を「-250」に保ち、身体の機能を正常に働かせる上でも、重要な役割を担っています。

 腸内細菌が「難消化性成分」の『難消化吸収性糖質』を発酵分解して産生する『水素に欠如し、体液の「酸化還元電位」が マイナス〔還元方向〕に保てなくなって プラス〔酸化方向〕に傾くと、体液が酸化してしまうのです。体液が酸化してしまうと身体の機能が正常に働かないので、病気が改善していきません。ですから、腸内細菌を介して『難消化吸収性糖質』から産生される『水素に欠如することは「身体の酸化」を促進させてしまうことであると言えるのです。『水素により血液体液の「酸化還元電位」を「-250」に保つことが重要です。ここは、次の記事を参照してください。

    体の「酸化還元電位」を正常値(-250)に改善すること!
     【体の「酸化還元電位」を正常化しないと、摂取した栄養も、腸内細菌も、正しく働くことができない!】


 また、ここで「福田一典」医師は、「水溶性食物繊維」からしか『水素』は産生されない、とお話しされていますが、これは「腸内細菌が「食物繊維」を発酵分解すると『短鎖脂肪酸』が産生されてカロリーとなり、『短鎖脂肪酸』は抗がん作用を有する - 福田一典医師」記事の「最初の黄囲み部分」にてお話ししました『短鎖脂肪酸』の場合と同様に、「不溶性食物繊維」の『セルロース』を粉砕した「粉末セルロース」であれば、“セルロース分解菌” が「粉末セルロース」を発酵分解して『水素』を産生するのではないかと思います。いわゆる、腸内細菌が発酵分解さえできれば、その発酵分解の過程でいろいろな有効成分を産生するということです
ブログ管理人


 腸内細菌から産生される水素は、呼気や腸ガス(オナラ)の水素濃度を測定することで計算されます。
 例えば、10例の健常人ボランティアによる実験では、一晩絶食したあとの腸内細菌からの水素の産生量は6時間で20ml 程度ですが、オリゴ糖の「ラクチュロースを12.5g摂取すると、水素の産生量は6時間で200ml 程度、ラクチュロースを25g摂取すると、水素の産生量は6時間で500ml 程度という結果が報告されています(Gut 34:818-822, 1993)。

 ラクチュロースLacturoseは、フラクトース(果糖)とガラクトースからなる二糖類です。
 水によく溶け、さわやかな甘味を有します。乳糖由来のオリゴ糖で、腸内のビフィズス菌を増やす効果があります
 ラクチュロースは人間の腸内の消化酵素によって分解されず、腸内細菌によって発酵されます。
 医薬品としても使用され(この場合は「ラクツロース」と呼ばれることが多い)、肝臓の疾患に伴う症状の改善、及び、慢性便秘症の改善のための医薬品として、世界中で広く使われています。

ラクチュロース」は、ヒトの消化酵素では分解〔消化〕されない「難消化性成分」の「乳糖由来のオリゴ糖」で、食物繊維と同様に『難消化吸収性糖質』に分類されます。消化〔分解〕されずに小腸を通り抜けて大腸まで達し、大腸にいる腸内細菌によって発酵分解されて『水素』や『短鎖脂肪酸』などが産生され、宿主である人間に提供されますブログ管理人


 「水溶性食物繊維」の腸内発酵は、水素だけでなく、『乳酸』や『短鎖脂肪酸酢酸プロピオン酸酪酸など』を産生します(393話」参照 )。
 ラクチュロースは食品として多くの製品が販売されていますが、水素や『短鎖脂肪酸』の産生を高める目的で積極的に摂取したほうが良いと思います。がん治療にも有効です。

 水素ガス療法は、がん治療だけでなく、関節リュウマチや神経変性疾患や精神病や糖尿病など多くの病気の治療に有効であることが示されています。
 日頃から、水素ガスの吸入(水素吸引)を行なったり、ラクチュロースを摂取して腸内の水素産生を高める価値はあるように思います




      健康になりたければ糖質をやめなさい!- 糖質を減らせば、病気も肥満も遠ざかる

      ブドウ糖を絶てば、がん細胞は死滅する!- 今あるがんが消えていく『中鎖脂肪ケトン食』

      がんに効く食事 がんを悪くする食事