この記事は、『銀座東京クリニック』院長の「福田一典」医師による、癌治療における『水素』の「抗酸化作用」「酸化還元作用」の有効性について非常に分かりやすく解説されている記事のご紹介です。

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 癌は、身体が「酸化」した結果としてなる症状です。「癌になった」=「身体が酸化している」と言えます。
 癌患者さんは大なり小なり必ず身体が「酸化」しており、「酸化体質」になっています。
 癌は「酸化した細胞や組織」にしか転移できず、正常細胞には転移できません。
 癌が成長増殖悪性化転移していくには、身体の「酸性環境」と「酸化環境」が絶対に必要です。
 この「酸性環境」と「酸化環境」が無ければ、癌細胞は生きることができません。

 なぜ「身体の酸化」が癌につながるのかにつきましては、次の記事を参照されてください。
 「身体の酸化」「酸化体質」が、どうして「癌の原因」になるのか、「癌が成長増殖悪性化転移する原因」になるのかがお分かりになって頂けるはずです。


   「酸化ストレス」の軽減は、癌の進行を抑制する! - 福田一典医師【活性酸素とフリーラジカル:
     酸化ストレス:三大療法は酸化ストレスを増大:水素は酸化ストレスを軽減】


    癌の根本治療は、「酸性体質」と「酸化体質」という二大『癌体質』を改善すること!
     【重篤に悪化した「酸化体質」の前には、食事療法ですら無意味と化す!】



 上記の記事をご覧になって頂ければ、癌細胞が生きる上において「身体の酸化」「酸化体質」が如何に重要であることかがお分かりになられるはずです。

 癌細胞は「酸性環境」と「酸化環境」が無ければ生きることができません。
 癌細胞は「酸化した細胞や組織」でなければ転移することができません。
 癌細胞は、正常細胞には転移することができません。
 癌細胞は、細胞や組織が「酸化」していなければ、生きることができないのです。

 つまり、「身体の酸化」を還元して改善すれば、癌が蔓延る条件、癌が勢力を拡大する条件を奪うことができるのです。「身体の酸化」を還元して改善し、体内の「酸化環境」を無くせば無くすほど、癌が生きづらい、もしくは、癌が生きることが困難になる、癌が生きることができない体内環境へと導くことができるのです。
 以上のことからも、「身体の酸化」「酸化体質」を還元して改善することが、癌治療において如何に重要な位置を占めていることか、お分かり頂けると思います。


 この「身体の酸化」「酸化体質」を還元して改善するのに役立つのが『水素』です。
 「酸化還元」をする上で『水素』の右に出るものはなく、活性酸素の毒性を無毒化するのは『水素』が一番です。

 この『水素』は「抗酸化」「酸化還元」にも重要ですし、血液体液の「酸化還元電位」を「-250」に保つのにも重要です。血液体液の「酸化還元電位」が「-250」に保たれていればこそ、身体の各機能が正常に働き、病気が改善していきます。
 この『水素』に不足し、血液体液の「酸化還元電位」が プラス化すれば「身体の酸化」が進行し、身体の各機能が正常に働かなくなってしまうのです。ゆえに、『水素』に不足するのは非常に危険なのです。
 ここは、次の記事を参照されてください。


   体の「酸化還元電位」を正常値(-250)に改善すること!
    【体の「酸化還元電位」を正常化しないと、摂取した栄養も、腸内細菌も、正しく働くことができない!】



 人間が天然の『水素』を得るには、腸内細菌による働きが必要です。
 腸内細菌が大腸内で、難消化性デンプン(生米のデンプンベータデンプンレジスタントスターチ)、難消化性オリゴ糖糖アルコール、食物繊維などの『難消化吸収性糖質』を発酵分解すると、酢酸プロピオン酸酪酸などの『短鎖脂肪酸』の他、炭酸ガス、『水素』ガス、メタンガスなどを産生します。同時に『ビタミン』『ミネラル』『アミノ酸』『酵素』などの諸栄養も産生されます。

 腸内細菌が『難消化吸収性糖質』を発酵分解する時に産生された『短鎖脂肪酸』は “ブドウ糖の代替エネルギー源” などで利用され、炭酸ガスメタンガスも、また『ビタミン』『ミネラル』『アミノ酸』『酵素』などの諸栄養も、それぞれに有効活用されます。そして『水素』ガスは、「身体の酸化」を防ぐための「抗酸化作用」として有効活用される重要な役割があるのです。この『水素』ガスの利用は、癌の最大の原因である「身体の酸化」を防ぐのに非常に重要なのです。


 ここで、少し考えてみてください。

 昔の日本人は食事が粗食だったため、『難消化吸収性糖質』である食物繊維を豊富に摂取していました。
 ゆえに、腸内細菌を介して得られる『水素』の摂取にも恵まれ、日常的に「身体の酸化」を防ぎ、癌の発生を抑制できていたのではないでしょうか。

 ところが、現代の日本人は「食物繊維が不足している」と言われるようになってから随分と経ちますね。
 現代の日本人は、今なお『難消化吸収性糖質』である食物繊維に不足しているために、腸内細菌を介して得られる『水素』の摂取にも不足し、それがため、日常的に「身体の酸化」が進行して、癌の発生を抑制できなくなっているのかもしれません。いわゆる、癌患者の大量発生につながるわけです。

 先進国では癌が多発生していますが、先進国では決まって、食事に『難消化吸収性糖質』である食物繊維が不足している嫌いがあります。それゆえ、先進国の国民は腸内細菌を介して得られる『水素』の摂取に不足しがちになり、日常的に「身体の酸化」が進行してしまい、癌の発生を抑制できないのでしょう。
 先進国で必ず癌が多発生する背景には、食事で『難消化吸収性糖質』である食物繊維に不足し、腸内細菌を介して得られる『水素』の摂取にも不足するところの理由が大きいのかもしれません。発癌要因は様々にありますが、この「身体の酸化」を防ぐ『水素』に不足するという要因も大きな発癌原因となっているように思います。


 腸内細菌を介して得られる『水素』の摂取に恵まれるためには、腸内細菌が発酵分解する『難消化吸収性糖質』を豊富に摂取することです。この『難消化吸収性糖質』とは、難消化性デンプン(生米のデンプンベータデンプンレジスタントスターチ)、難消化性オリゴ糖糖アルコール、食物繊維を指しますが、これまたよく考えてみれば、甲田療法の『生玄米粉食』と『生菜食療法』は『難消化吸収性糖質』の塊のような食事療法ですから、大腸内で腸内細菌を介して産生される『水素』の摂取に豊富に恵まれるでしょう。甲田療法の『生玄米粉食』や『生菜食療法』は「抗酸化治療」「酸化還元治療」の要素を含んでいる、天然の『水素療法』にもなるのです。
 ここは、次の記事を参照されてみてください。


    糖質1gから、水素が50cc つくられる!
     【甲田療法の『生玄米粉食』と『生菜食』は難消化吸収性糖質からつくられる『水素』を豊富に得る、
      天然の『水素療法』である!】



 『難消化吸収性糖質』という糖質は、癌の餌になる「ブドウ糖」まで思いっきり分解(消化)されてしまうショ糖やアルファデンプン(ベータデンプンを加熱してアルファ化したデンプン)などの『消化吸収性糖質』ではなくて、ヒトの消化酵素では消化され難い「難消化性」の糖質ですから、「ブドウ糖」の摂取は抑制されます。

 『生玄米粉』の難消化性デンプン(生米のデンプンベータデンプンレジスタントスターチ)につきましては、幾分は「ブドウ糖」まで分解(消化)されるようですが、その多くは腸内細菌に発酵分解されて『短鎖脂肪酸』や『水素』が産生されるでしょう。
 しかも『生玄米粉』の『GI値グリセミック指数)』は20と非常に低いため、幾分は「ブドウ糖」になろうとも、ゆっくりと「ブドウ糖」まで分解(消化)されます。分解(消化)された「ブドウ糖」はゆっくりと血流に流入し、血液中に大量に存在する赤血球(赤血球は人体の凡そ「3分の1」もの数を占めています)に先に優先して利用されます。赤血球はミトコンドリアを持たないために「ブドウ糖」しかエネルギー源にすることができませんから、分解(消化)された幾分の「ブドウ糖」は、この赤血球を育てる糧となりますのでちょうど良いです。
 ここにつきましては、次の記事を参照されてください。


   『赤血球』はミトコンドリアを持たないため、「ブドウ糖」が唯一のエネルギー源です!
     生体にとって「ブドウ糖」は必須栄養です!【「ブドウ糖は要らない!」という誤識 】



 私たち人間は、糖質(難消化吸収性糖質)を通して得たる、天然の『水素療法』の仕組みを、すでにの身体の中に持っているのです。この腸内細菌を介して日常的に得ることのできる『水素』は、人間の身体が「酸化」してしまうのを防ぎ、「酸化体質」になるのを避け、癌になる最大の要因である「身体の酸化」から身を守る上で非常に重要な「基本的ライフライン」なのです。このような視点も、ぜひ持たれてください m(__)m


 当然ながら、「身体の酸化」「酸化体質」が重篤なまでに悪化されている癌患者さんであれば、大腸内で腸内細菌を介して得られる『水素』による「抗酸化」「酸化還元」だけでは足りないでしょう。
 「身体の酸化」「酸化体質」が重篤に悪化している癌患者さんの場合は、腸内細菌を介して『水素』を得ることのできる食事療法を基本に置き、その上に「水素発生機」などを利用した「水素水」「水素風呂」「水素吸引」という『水素療法』や『SOE-MAC(エスオーイー・マック)参照記事)』、または『タカダイオン電子治療器』などの『電子治療』を併用することが著効を得るでしょう。とにかくは「身体の酸化」「酸化体質」を集中して急速に改善することができる方法を選択することが大事です。


 癌患者さんは、どうぞ、この記事を通して、癌治療における『水素』の「抗酸化治療」「酸化還元治療」の価値を感じ取られてみてください。
よろしくお願いします m(__)m

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 自分でできる『水素ガス吸入療法』
 【「がんの漢方治療と補完・代替医療 銀座東京クリニック(福田一典医師のクリニック)」より 】



水素は、生体にとって理想的な「抗酸化物質」

 近年、水素分子H2)の医療応用の研究が急速に進んでいます。虚血再還流障害急性肺障害神経変性疾患潰瘍性大腸炎などの様々な動物疾患モデルでの実験や、2型糖尿病メタボリック症候群など人間における臨床試験において、水素分子の有効性が示されています。

 体内で発生する活性酸素は、体の構成成分を酸化することによって、老化を促進し、動脈硬化性疾患がんなど多くの疾患の原因となっています。また、慢性医関節リュウマチ潰瘍性大腸炎などの自己免疫疾患や慢性炎症性疾患では、組織の炎症によって産生される活性酸素が疾患の進行や増悪を引き起こしています。
 したがって、活性酸素の害を取り除くことは、老化関連疾患や慢性炎症性疾患の治療に有効です。

 しかし、活性酸素には体に必要な「善玉」もいて、全ての活性酸素を消去すると体の機能に悪影響を及ぼす可能性もあるというジレンマがありました。その点、水素は、活性酸素の中でも体の組織や細胞にダメージを与える「悪玉活性酸素(ヒドロキシルラジカル)」だけを消去し、「善玉」の活性酸素の働きを妨げないことが明らかになっています。

 しかも、極めて小さいので体内のどこにでも容易に浸透できます。例えば、水素ガス(H2)の分子量は2ですが、ビタミンCの分子量は176、ビタミンEは431、コエンザイムQ10は863という大きさで、水素ガスの数十倍から数百倍の大きさです。

 水素ガス以外の「抗酸化物質」は分子量が大きいことや脂溶性や水溶性のどちらかの性質を持つため、体の中で働ける場所が限定されます。一方、水素ガスは小さいので、血管が閉塞していても組織に浸透して働き、「血液脳関門」も容易に通過できるので、脳内にも到達して「抗酸化作用」を発揮します。
 このように、水素ガスは生体にとって理想的な「抗酸化物質」と言えます。

 水素は気体として吸入させるだけでなく、水溶液として経口投与、静脈内投与、あるいは、局所投与によっても効果が発揮され、多方面で医療用途の可能性が報告されています。現在、水素は脳梗塞などの治療に使われている他、健康食品や美容分野でも活用されています。



「ヒドロキシラジカル」を消去する『水素分子(H2)』


 『水素原子番号元素記号)』は、物質を構成する元素としては「宇宙で最も量が多い」のですが、地球の大気中には1ppm 以下の微量しか存在しません。水素分子(H2)は最も軽く、常温では無色無臭の気体で、非常に燃えやすい特徴を持っています。水素は大気中で5%以上になると、空気中の酸素と反応して爆発します。酸素と激しく反応するということは、酸化性物質と非常に高い反応性(抗酸化作用)を持つことを意味します。

 水素は「私たちの体内」でも発生しています。すなわち、食品中の「非消化性難消化性食物繊維」を大腸内の腸内細菌が発酵する(腸内細菌が「非消化性(難消化性)食物繊維」を食べて発酵分解する)過程で水素が発生しています。
 また、水素含有ガスの吸入は潜函病の治療に使用され、人体に極めて安全性が高いことも証明されています。
潜函病は、ダイバーなどの高気圧環境下にいた人が水面に上がることによって、急激な減圧により生体内に生じた窒素気泡によって起こる病気です

残念ながら、現代の日本人は、食生活の悪さ(現代食肉食の多食過食など)や、現代医療から受け続けた被害(抗生物質は病原性を示していない細菌にも作用するため、体内の細菌を皆殺しにしてしまうほど強い薬で、抗生物質の乱用より、体内の常在菌のバランスが崩れ、腸内細菌が破壊を受けています)などの諸事情により、『水素を産生する腸内細菌』が欠如している人が多いそうですブログ管理人

 「太田成男」日本医大教授(細胞生物学)らは、2007年に、水素含有ガスが、体に最も有害な活性酸素である「ヒドロキシラジカルを効率よく除去し、脳虚血後の障害を軽減できることを報告しました(Nature Medicine 13: 688-94, 2007)。すなわち、脳の血液の流れを一時的に止め、活性酸素を大量に発生させたラット(虚血再灌流モデル)に1~4%の水素を含んだガスを吸わせると、脳のダメージが軽減することを明らかにしました。

 この研究では、水素は活性酸素のうち細胞障害作用の最も強い活性酸素(ヒドロキシラジカル)のみを消去し、細胞機能にも関与している「スーパーオキシド」や「過酸化水素」は消去しないことが示されています。また、水素は生体膜を拡散し、種々の細胞内小器官に浸透し得る(血液脳関門も容易に通過する)ので、活性酸素による酸化障害の治療法として理想的な特徴を持っています下図)。

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 パーキンソン病モデルラットを用いた実験で、パーキンソン病の発症や進行の抑制効果や、臓器移植後の臓器障害の軽減効果、急性肺障害の軽減効果など、「酸化ストレス」が関係する病態の治療剤としての有効性が報告されています。

 マウスを使った実験で、水素ガスの吸入や水素含有水の飲用によって、抗がん剤のシスプラチンの抗がん作用は弱めずに、副作用の腎臓障害や体重減少を軽減できることが報告されています。

 (水素ガスの吸入や水素含有水の飲用などの『水素療法』は酸化ストレスを軽減するので、様々な老化性疾患の予防や美容にも有効です

重複しますが、上述しましたように、活性酸素はすべてが悪いわけではなくて、体に益成す『善玉活性酸素』と、体に害成す『悪玉活性酸素』とがあります。「スーパーオキシド・ラジカル」や「過酸化水素」や「一酸化窒素」などは「体の生命運営に欠かせないもの」ですから、これらの活性酸素は『善玉活性酸素』です。
 これに対して、体にとって必要な役割がまったくなく、遺伝子、タンパク質、脂質を酸化して破壊してしまう「ヒドロキシルラジカル」や「ペルオキシナイトライト」は悪玉活性酸素』です。
 ですから、活性酸素は「ヒドロキシルラジカル」や「ペルオキシナイトライト」という悪玉活性酸素』だけを選択的に還元してあげれば良く、これに好都合であるのが『水素水素分子H2)』というわけです。
 『水素水素分子H2)』は、体に益成す『善玉活性酸素』は還元せず、「ヒドロキシルラジカル」や「ペルオキシナイトライト」という、体に害成す悪玉活性酸素』だけを選択的に還元して無毒化します。『善玉活性酸素』は温存されますので、支障を生みません。『水素水素分子H2)』っていうのは、ホント、良い奴なんですよねぇ♪
ブログ管理人



水素の「抗がん剤副作用 軽減作用」について

 シスプラチンは多くのがんに効果がある抗がん剤ですが、腎臓毒性が用量制限毒性(dose-limiting toxicity)となっており、腎臓障害が発生すると十分な量を投与できなくなります。

 シスプラチンは腎臓細胞のミトコンドリアのダメージを引き起こして活性酸素の「ヒドロキシルラジカル」の産生量を増やし、この「ヒドロキシルラジカル」によって腎臓細胞が酸化障害を受けることが腎毒性の主な原因になっています。

 一方、シスプラチンは細胞における還元型グルタチオンの産生量を減少させるので、細胞の『抗酸化力』が低下し、腎臓が酸化障害によるダメージを受けやすくなります。このように、「ヒドロキシルラジカル」を主体とする活性酸素による「酸化ストレス」の増大が、シスプラチンの副作用の原因になっています。

 「ヒドロキシルラジカル」のスカベンジャー(消去物質)は、シスプラチンの腎臓障害を軽減できることが動物実験で示されています。

 水素分子(H2)は「ヒドロキシルラジカル」を強力に消去する活性を持っています。水素分子(H2)の投与が、シスプラチンの抗腫瘍効果を弱めることなく、その腎毒性を軽減することが、マウスを使った実験で報告されています


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 Molecular hydrogen alleviates nephrotoxicity induced by an anti-cancer drug cisplatin without compromising anti-tumor activity in mice.水素分子は抗腫瘍効果を弱めることなく、抗がん剤シスプラチンによる腎臓毒性を軽減する
 
Cancer Chemother Pharmacol. 64(4):753-61. 2009

【目的】
 シスプラチンは多くのがんの治療に広く使用されている抗がん剤であるが、シスプラチンの投与は「酸化ストレス」増大による腎臓毒性によって制限されることが多い。私たちの研究グループは、水素分子(H2)が「抗酸化剤」として有効であることを報告してきた(Ohsawa et al. in Nat Med 13:688-694, 2007)。この研究では、「酸化ストレス」を軽減する効果によって、水素分子がシスプラチンの抗腫瘍効果を阻害することなく、副作用を軽減することを明らかにした。

【方法】
 マウスにシスプラチン(腹腔内に17mg/kg)を投与した後、水素を1%含有する空気の充満したケージで飼育した。
 また、水素含有ガスの吸入の代わりに、水素水(0.8mM の H2 を含む水)を自由に飲用させた。
 有効性は、「酸化ストレス」、死亡率、体重減少について評価して、対象グループと比較検討した。
 腎臓障害の程度は、腎臓の病理学的所見、血清クレアチニンと尿素窒素(BUN)の測定によって評価した。

【結果】
(1)水素の吸入は、シスプラチンによって引き起こされる死亡と体重減少を改善し、腎臓障害を軽減した
 
シスプラチンを17mg/kg 1回投与したマウス(対象群)は、シスプラチン投与2日目から死亡し始め、6日目の生存率は60%であった。一方、シスプラチン投与後1%水素含有空気の充満したケージで飼育したグループ(水素投与群)では、5日目まで生存率は100%で、9日目の生存率は80%であった。
 シスプラチン投与3日後の体重減少は、対象群が9.7%で、水素吸入群が3.5%であった。
 シスプラチン投与72時間後には、血清クレアチニンと尿素窒素は約2~4倍に上昇した。シスプラチン投与72時間後の血清クレアチニン値の平均値は、対象群が9.6mg/L に対して水素吸入群は5.7mg/L、尿素窒素(BUN)値の平均は、対象群が863mg/L に対して水素吸入群は477mg/L であり、1%水素含有空気の吸入によって腎臓障害の軽減を認めた。

(2)水素水の飲用で水素を体内に投与できる
 水素分子(H2)は水に溶解し、0.8mM の飽和濃度に達した。血中の水素濃度を測定するためには数ml の血液が必要なので、ラットを用いて、水素水の飲用で水素が血中に移行するかどうかを検討した。水素水をラット1匹(230g)当たり3.5ml を胃内にカテーテルで注入し、3分後に血中の水素濃度を測定した。血中の水素濃度は、食後投与で3.7倍、空腹時投与で7.6倍に上昇した。すなわち、水素水の飲用で、体内に水素分子(H2)を投与することができることが示された。

(3)マウスにシスプラチン投与後、水素水を自由に飲用させると、酸化ストレス、死亡率、体重減少が改善した
 腎臓における酸化ストレスの評価として、脂質の過酸化によって生じる malondialdehyde(MDA)の量を測定した。シスプラチン投与によって腎臓組織の MDA は約1.5倍に上昇したが、水素水を飲用した群では正常レベルに低下した。
 水素水の飲用は、病理学的検査で腎臓細胞のアポトーシス(細胞死細胞の自殺)の減少を認め、血清クレアチニンと BUN で評価した腎臓障害も軽減した。その効果は1%水素含有空気とほぼ同じレベルであった。

(4)水素水はシスプラチンの副作用を顕著に軽減したが、シスプラチンの抗腫瘍効果は弱めないことを、培養細胞を使った実験(in vitro)と移植腫瘍マウスを使った実験(in vivo)で確認した。

【結論】
 水素はシスプラチンの副作用を軽減するので、抗がん剤治療中の患者の QOL(生活の質)を改善する効果が期待できる。


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【注釈】
 シスプラチンは白金製剤で、細胞分裂しているがん細胞の DNA にダメージを与えて、抗がん作用を発揮します。この抗がん作用には、水素分子は何ら影響を及ぼしません。

 シスプラチンは SH(sulph-hydryl)基に親和性があるため、SH基を持っているグルタチオンGSHの枯渇を引き起こします。その結果、『抗酸化力』が低下し、活性酸素、特くに「ヒドロキシルラジカル」が蓄積して、腎臓障害を引き起こします。シスプラチンは主に腎臓から排泄されるため、腎臓に最もダメージを与えます。

 DNA にダメージを与える抗がん剤は、通常は、細胞分裂している細胞(骨髄細胞腸粘膜細胞など)にダメージを与えて、副作用を引き起こします。しかし、抗がん剤治療によって活性酸素の産生量が増えたり、『抗酸化力』が損なわれると、分裂をしていない細胞にも酸化障害によってダメージを与えます。

 多くの「抗酸化剤(ビタミンCビタミンEセレンカロテノイドメラトニンなど)」が、シスプラチンの腎臓毒性を軽減する効果があることが動物実験で確かめられています。水素分子は、これらと比較して、より高い効果が期待できます。

 その理由は、水素は「ヒドロキシルラジカル」のみを消去し、「スーパーオキシド・ラジカル」や「過酸化水素」には作用しないからです。「ヒドロキシルラジカル」は細胞傷害を引き起こす有害な活性酸素ですが、「スーパーオキシド・ラジカル」や「過酸化水素」は、正常細胞の増殖やシグナル伝達や、生体の防御機構にも重要な役割を果たしています。したがって、水素は抗がん剤による「酸化ストレス」を軽減する理想的な「抗酸化剤」と言えます。

 αリポ酸やセレンやコエンザイムQ10などの「抗酸化剤」のサプリメントの摂取に加え、水素ガスの入浴、水素水の飲用や点滴、水素ガス吸入は、抗がん剤の副作用軽減に極めて有用です



水素は「酸化ストレス」や「炎症」を抑制して、がん細胞の発生や増殖を抑える

 酸化ストレス」や「炎症反応」は、がん細胞の発生や増殖を促進するので、「抗酸化作用(ヒドロキシルラジカル消去作用)」や「抗炎症作用」のある水素分子が「抗腫瘍効果」を発揮する可能性があります

 培養がん細胞(ヒト舌がん細胞線維肉腫細胞)を使った実験で「培養液に水素を溶存させると、がん細胞の増殖が抑制される」という結果が報告されています(Oncol Res. 17:247-255, 2008年)。

 動物実験では、マウスに放射線を照射して胸腺リンパ腫を発生させる発がん実験において、水素の投与ががんの発生を抑制する効果が報告されています(Int J Biol Sci. 7:297-300,2011年)。

 水素には「血管新生」を阻害する作用が報告されています。抗がん剤や放射線治療に「血管新生」阻害作用のある方法を併用すると「抗腫瘍効果」を高めることができます。潰瘍性大腸炎のラットの実験モデルで、水素の投与は血管内皮細胞増殖因子(VEGF)の発現を抑制する作用が報告されています(J Surg Res. 185 (1):174-81. 2013年)。

 水素分子には様々な実験系で、炎症過程を増悪させる炎症性サイトカイン(IL-1 や TNF-α など)や NF-κBシグナル伝達系を抑制する作用が報告されています。これらの抗炎症効果は「血管新生」阻害や直接的な抗がん作用によって、がん細胞の増殖を抑えます。

 ただし、放射線治療や抗がん剤治療においては「ヒドロキシルラジカル」などの活性酸素の産生ががん細胞を死滅させる効果と関連していることが多いので、放射線照射中や抗がん剤投与の最中(がん細胞を死滅させている時)には、水素の摂取は推奨できません。

 しかし、放射線照射や抗がん剤投与を行なっていない間は積極的に水素を体内に取り入れることは、これらの治療の副作用軽減やがん細胞の増殖抑制に効果が期待できます。抗がん剤治療中でも、その薬の作用が活性酸素と関係ない抗がん剤(分子標的薬抗体薬代謝阻害剤など)では、それらの抗がん剤の内服、あるいは、投与を受けている最中でも、水素の摂取は問題ありません。




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