中性脂肪は常時使われていること
 【「スローライフ」
より 】


安静時の代謝には、主に脂肪酸が使われる
 
体のエネルギー源として脂肪酸が使われていること

 運動をしていない静的状態で使うエネルギー(カロリー)は、主に脂質からとられているといわれています。エアロビクスなどの有酸素運動で「脂肪を燃やす」などといわれますが、運動しなければ脂質が「燃えない」わけではありません。脂質は常時、エネルギー源として使われています。

 人が生きていくための基礎代謝は、人のカロリー消費の大きな部分(70%)を占めています。このような基礎代謝においては、グルコースではなく、脂質が基本的なエネルギー源になっているのです。

 体のエネルギー源としては、血糖(グルコース)が多く話題になりますが、それは運動時のエネルギー源としての話なのです。
 グルコースは体が使う分には使いやすいエネルギー源なので、運動時に多く使われることになるのですが、貯蔵には適していません。グルコースは酸化されやすいからです。
 それに比べ、脂質は化学的により安定した性質を持っています。逆に言うと、それを使うためには「分解」という工程が余分に必要になるとも言えます。分解という過程を経るから、体にとってはすぐに酸化されることのない、安全なエネルギー源となるわけです。

 グルコースの備蓄は少なく、体にとっては希少エネルギーで、その多くを脳で消費します。グルコースは大事に使われるのです。筋肉細胞で使われるエネルギー源としては、中性脂肪を分解して使うような仕組みになっています。脂質はカロリー値も高いので、運動量を産み出します。

 もともと人の体は、食事で摂取したカロリーを一時的に中性脂肪や肝臓に備蓄し、順次それを使うように作られています。貯めるのも使うのも、脂質なのです。

 摂取カロリーの大半は糖ですが、それを中性脂肪に変えて備蓄します。
 肉などのたんぱく質は、体の筋肉になると思われているのですが、ほとんどは糖に変換され、これも余ったものは中性脂肪になります。

 摂取した脂肪も、脂肪酸として消化・吸収されるのですが、これも中性脂肪になります。このように中性脂肪にして備蓄するからといって、これがすぐに肥満をもたらすものではありません。いったん脂質になったとしても、分解されて使われます。

 ここを誤解してはいけません。使い切れずに残っていく脂質が徐々に肥満をもたらすのです。それは、日々それほど多い量ではありません。


体脂肪の分解

 アドレナリンというホルモンのことを聞かれたことがあると思います。運動をするときなどに分泌されるものです。運動をしていなくても血糖値が低下してくるとアドレナリンが分泌されます。

 アドレナリンは脂肪を分解して、脂肪酸やグルコースを供給する働きをします。常時グルカゴンなどにより脂肪は分解されているのですが、それで追いつかなくなると交感神経の働きでアドレナリンが分泌され、中性脂肪の分解を加速します。

 アドレナリンが分泌されると、体の細胞はグルコースの消費を抑え、脂肪酸をさらに優先的に使うようになります。血糖つまりグルコースは、脳などを動かすために温存されます。
 つまり、運動時の主力エネルギー源も、脂質なのです。

 急激な運動時にはグルコースが使われますが、それは無酸素状態でもグルコースがエネルギーを生み出すことができるからです。これも、動物が生き残るためには、必須アイテムだから、そうなっているのです。

 

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血糖とホルモンの関係は、次のようになります。
 食後、血糖値があがったときには、インスリンというホルモンが分泌され、血糖値を下げる働きをします。インスリンは、脂肪組織や筋肉、肝臓に血糖(グルコース)を取り込ませるように働いて、血糖値を下げます。
 インスリンによって脂肪組織に取り込まれたグルコースは、中性脂肪に変換されて、蓄積されます。インスリンが働いているときには、脂肪細胞での中性脂肪の合成も活発化し、血液中の脂質も脂肪組織にとりこまれて脂肪に変えられます。
 次に、血糖値が下がり始めたときには、今度はアドレナリンが分泌されます。アドレナリンは、インスリンとは反対の働きをします。
 アドレナリンはインスリンの働きを阻害し、血糖値を維持します。脂肪細胞に働きかけ、脂肪の分解を刺激します。同時に、血中の遊離脂肪酸を筋肉細胞に取り込ませ、この脂肪酸の利用を促進するのです。


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 運動をすればアドレナリンがよく分泌されます。このため、軽く体を動かした方が、血行もよくなり、脂肪の分解もすすみます。(運動が急激だと無酸素運動となり、グルコースが使われますが

 適度な運動、たとえばウォーキングなどをすれば、血中脂肪酸の消費が進み、また中性脂肪の分解も順調に進むだけでなく、血糖値も回復し、空腹感も収まってくるのです。

 ダイエットでは、この中性脂肪を使うからだの仕組みを活かすのが大事です。からだには、脂肪を使う仕組みがちゃんと備わっているのですから、それを使いましょう。

    姿勢とアドレナリンについて あるあるから「猫背」、「猫背矯正法
    あるあるより「中性脂肪」
     中性脂肪とは、中性脂肪の怖さ、皮下脂肪と内臓脂肪、高脂血症


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脂肪が分解され、エネルギーになる経路は、次のようなものです。
 アドレナリンは、脂肪組織内のホルモン感受性リパーゼを活性化させて、中性脂肪を脂肪酸とグリセロールに分解します。分解されてできた遊離脂肪酸やグリセロールは、血液中に放出されます。
 遊離脂肪酸は筋肉細胞に取り込まれ、ミトコンドリアによって β酸化でアセチル-CoA に変換されたあと、細胞のクエン酸回路に導入されエネルギーとなります。(グリセロールは肝臓でグルコースに変換されます
 クエン酸回路に導入されて、細胞のエネルギーとなるのは、脂肪酸もグルコースも同じです。
 (詳しくお知りになりたい方は、「脂質と血栓の科学」をご覧ください

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