この記事は、食物繊維がエネルギーになる仕組み、つまり、『短鎖脂肪酸』がエネルギーになることを簡潔に解説している内容です。食物繊維という「難消化性炭水化物」の代謝経路を解説しています。
 「短鎖脂肪酸がブドウ糖に替わるエネルギー源になる」ということを感じ取られてみてください m(__)m




 食物繊維の熱量(エネルギー)について
 【「Japan Food Research Laboratories」
より 】


 食物繊維の熱量(エネルギー)について
 ~ 栄養表示基準における食物繊維の熱量の取扱い ~

はじめに
 平成15年2月17日付の厚生労働省の2種の通知『「栄養表示基準等の取扱いについて」の一部改正について』ならびに『「栄養表示基準における栄養成分等の分析方法等について」の一部改正について』により、栄養表示基準における食物繊維の熱量(エネルギー)の取扱いが再び改正されました。

 すなわち、私たちが食物繊維から体内で得る熱量は、最大でも1g当たり2kcal であると定め、大腸内の腸内細菌による発酵・分解を受け難いものでは、その発酵・分解性に応じて1g当たり1kcal あるいは0kcal であると定めたのです。ここでは、今回の改訂の背景にある考え方(末尾の【参考文献】を参照)を紹介しましょう。


食物繊維が体内で熱量に変わるメカニズム
 食物繊維などの難消化性炭水化物の代謝経路は下図(画像ではないため、割愛します)のようになります。すなわち、私たちの食事に含まれる食物繊維などは胃と小腸を通り抜けて大腸に到達し、腸内細菌による発酵を受けて『短鎖脂肪酸』、炭酸ガス、水素ガス、メタンガスなどに変換されます。このうち『短鎖脂肪酸』だけが体内に吸収され、肝臓や筋肉などでさらに代謝されて熱量を産生するのです。
 なお、難消化性炭水化物のうち、腸内細菌によって資化されないものは、糞塊成分として体外に排泄されます。


食物繊維から得られる熱量の大きさ
 大腸で完全に100%発酵・分解される食物繊維から私たちが得ることのできる熱量は平均的に1g当たり2kcal に相当するとされています。ところで、食物繊維の発酵・分解性は、その種類によって著しく異なります。

 すなわち、ペクチンのように腸内細菌によって容易に発酵・分解され、『短鎖脂肪酸』を介して熱量を供給するもの、セルロースのように腸内細菌による発酵・分解をほとんど受けず、『短鎖脂肪酸』を生成しないもの、さらに、これらの中間的なものがあります。

 そのため、各種食物繊維素材の熱量評価に当たっては、先ず、それぞれの食物繊維素材の発酵・分解性を明らかにする必要があります。食物繊維の発酵・分解性はヒトあるいは動物を用いる出納実験(摂取した量と糞便への排泄量から消化吸収率を求めるもの)やヒトあるいは動物の糞便培養によって推定することができます。

 奥ら(下記参考文献1)は、食物繊維の発酵・分解性に基づいて食物繊維素材のエネルギー換算係数を決めるに当たっての基準として、以下を提案しています。

 ① 発酵・分解率が75%以上のもの ・・・・・・ 2kcal/g
 ② 発酵・分解率が25%以上、75%未満のもの ・・・・・・ 1kcal/g
 ③ 発酵・分解率が25%未満のもの ・・・・・・ 0kcal/g


各種食物繊維素材のエネルギー換算係数
 表1(画像ではないため、割愛します)は、奥ら(下記参考文献1)が、上記の基準を基にエネルギー換算係数の策定に取り組んだ市販食物繊維素材の種類と、それらの食物繊維部分のエネルギー換算係数(暫定値)をまとめたものです。市販の食物繊維素材に表1のエネルギー換算係数を適用する場合には,当該食物繊維素材中の食物繊維量を酵素・重量法や酵素・HPLC 法などで求め,その量に対して適用する必要があります。

 なお、表1に記載のない食物繊維素材(正確には、その食物繊維部分)や一般的な食物繊維のエネルギー換算係数は、当分の間、2kcal/g とするとされています。


【参考文献】
 (1)奥恒行、山田和彦、金谷建一郎日本食物繊維研究会誌 6、81-86(2002