これは、西式健康法創始者である西勝造先生の著書「原本 西式健康読本」の中の「生菜食」に関する内容です。「「火食の害」から見つめる、生食(生菜食)の意義と価値【西式健康読本:西勝造】」にて少しご紹介させて頂いたのですが、生菜食に関わる部分を追加してご紹介いたします。生菜食を実行する上で大変ためになる内容ですので、ぜひご参考にされてみてください m(__)m
 文献のご紹介のあとに、私の【補足説明】「生食療法」と「生菜食療法」について )があります。




原本 西式健康読本

西勝造(著) 農山漁村文化協会  2003年刊



 九.栄養について (P99~113

一 食物調理の沿革

 人体は、端的にいうと、食物と水と空気とで作り上げられているのである。すなわち、食物と水(ここでいう水というのは生の清水を意味する)とは、消化器官を通じて摂取され、空気は肺臓と皮膚とから取り入れられる。そこで、正しい食物と、生の清水と、新鮮なる空気とは、われわれが日常注意してその効用を誤らないようにせねば、健康は保たれない。
 食物は、太古人間の文化のあまり進まなかった時代には、自然のままの食物を摂ったから、その間、栄養上の障害はなかったのであるが、人智の発達から、人間が家に住み、衣服をまとうようになり、集団生活をして勤労に服するようになると、発汗して食塩と水分、ならびにビタミンCを喪失し、心身上いろいろの故障が起こり、特にこれは歯を弱くする。そうすると、いままでのような自然の食物は硬くて噛めなくなる。ちょうどそのころ火が発明され、不完全ながら石器で刃物もできてきたからこれで食物を刻み、硬い部分を除き、口ざわりの悪い皮のところを除くことが行なわれ、火で食物を焼くと柔らかくなることがわかって、ここに食物の調理が始まったのである。かくのごとく調理された食物は、栄養上幾多の欠陥を有するから、人間はだんだんに不健康になっていき、自然の食物は食べがたく、ただ煮たり焼いたりしただけの食物は、不味となるから、これになんとか味を付けようとして食塩の利用となったのである。こういうふうに、誤った食物の効用から次第に起こってくる種々の栄養上、ならびに味覚上の欠点を補うためにいろいろに工夫を凝らし、ついに今日の各種の料理法を生んだのである。もともと人間もやはり自然界の産物である以上、自然界を支配する法則に除外されるわけはない。したがって、人工による食物の調理は、健康上幾多の欠点を暴露し、その他の不自然な生活とともに、人間がだんだん虚弱になり、ついには疾患の症状を起こしてきたのである。人間が弱くなったり、病気になったりすると、自然は食欲不振という処置で、これをもとの健康に回復しようとするのであるが、人智はそこでも反対に働いて、食べなければ弱まるという方向に考えていって、なんとかしてうまく食べようとする。ここに調味ということが始まる。かくして、食物はまた自然からかけ離れていくのである。このように、自然からだんだんかけ離れていった食物で、人間が健康になるわけはない。人間は、調理法が進むにしたがってだんだん不健康となっていき、食欲が不振となるから、いっそう調理に工夫を凝らし、今日の各種の高等なる調理法となったのである。そこで、人間の栄養を正常にし再びもとの自然の健康に返すためには、この調理法が人間の健康という新しき見地に立った研究の題目でなければならぬ。


二 調理法の研究

 調理法の研究において、これにいかに人工を加えても、それは要するに人工であって、自然の栄養を生かすことにはならぬ。たとえば、白米に精白するから、ビタミンAやBがなくなり、鉱物質、脂肪が不足し、米はほとんど澱粉ばかりになる。このために、魚肉や獣肉や動物性脂肪や蛋白を加えることになる。しかしそれでも現在ビタミンBの不足で脚気症状を現わすのである。また、野菜特に葉菜類は、ビタミンCの給源であるが、これを煮たり茹でたり、いためたり、油で揚げたりすると、せっかくのビタミンCは破壊されるから、そこで、これを果物から補給することを考えるようになるのである。
 私は、私の病弱を回復するため、いろいろの方法を研究したのであるが、この食物に関しても研究を進め、多数の先人の研究業績をも参考として、野菜は極力生で摂るのが合理的であるということを結論したのである。
 ドイツのエッピンゲル、プロウフレ、ベンネル、ホーゲル、フランスではベシャン、フェリエールらがこれを研究発表しており、また古くは皇漢医学書のなかにも、その効用について記述せられている。煮たり焼いたりしたものは、細胞が死滅しているから、死んだものを食ったのでは生きた生命ある細胞はできない。もしも、諸君が煮たり焼いたりしたものばかりで、まったくの生を食わず、生の水を飲まなかったならば、諸君は7年以内に重大なる健康上の欠陥を露呈するであろう。人間が火食するために、天然痘とか麻疹とかが起こるのである。これらは人間の体を作っている細胞が火食のために不健康になっているから、かくのごとき病気に冒されるのである。しかし、私の「症状 即 療法」という建前からは、人間が火食するために、腎臓の機能が充分に発揮されず毒素が完全に排除されないから、血液が不浄になり、このような不浄の血液が全身を循環するために細胞も不健康となり、毒素もその間に蓄積せられる。この毒素の蓄積量が一定の限界に達すると、細胞が激しく影響を受けるから、それ以前にこの毒素を消毒し、その残骸を腎臓に通すと、腎臓組織を破壊するから、これを皮膚から排泄せんとするもの、これが天然痘であり麻疹である。


三 生食について

 このような理由から野菜は極力生で食べることが必要である。ところが煮たものに馴れている胃腸は、生の野菜をそのまま消化できないから、少なくとも三週間くらいはこれをあらかじめ人工的に粉砕せねばならぬ。しかして、胃腸が生食に馴れた後は細切りから、原形のまま噛んで食べてさしつかえないのである。病人は、少なくとも四十五日間くらいすりつぶさねばならない。
 体質改善、または治病の目的からする生食は、全然火食を配して生野菜のみをある期間続けるのであるが、これはなかなか努力を要する。そこで、初めは混食から始める。毎食一皿とか、一小丼の野菜のすりつぶしたものを摂り、だんだんにその量を増していき、馴れるにしたがって、一食を生食ですまし、また一日を生食で過ごすなどを試み、このくらいならば三日くらいはやれそうだとなったら、三日を試み、それから一週間とか、十日間を行い、このようにして馴らしておいて、春秋の野菜のもっとも豊富な時期に、まず一ヵ月半の純生食を実行すべきである。もちろん、急激な治療を要するときなどは、多少無理をしても即座に生食を実行せねばならぬ。もともと煮たものに馴れた味覚であるから、初めはまずいのはやむをえない。しかし一週間くらい辛抱すると、だんだんに味が出て、三週間くらいすると生野菜の味をほんとうに味覚するようになるから、その後はさほど案ずるほどのことはない。


四 病人に対する生食

 病人に対しては、本人の自覚ももちろん大切であるが、周囲の理解がいっそう必要である。病人で生食でもやろうというような人は、いまでは重病の人だから、第一に気が弱くなっている。そして、病気には栄養をとらねばならぬという誤った先入観がある。かつ生食を始めると、だんだん痩せていく傾向がある。これは、なおるためには必要なことであるが、みかけは衰弱していくように見え、周囲がなかなか承知しにくい。殊に見舞にくる人が、ほとんどすべて理解がないから「マア、大変お痩せになりましたネ」とか、生食を食べているところを見て、「マア、こんなご食事? これで栄養が充分でしょうか」などというと、本人は、もともと半信半疑で迷っているところであるから、ついこれが暗示となって結果がおもしろくなくなるのである。
 生食は、いわゆる起死回生の秘術であるが、それだけ重患に応用するときは注意を要する。本人はもちろんであるが、周囲の理解と激昂とがあってはじめて卓効を表わすのである。
 それはともかく、生食は生野菜が主であって、魚肉だとか鶏卵などは、私のほうの生食の中にははいらない。生野菜は、健康体ならば三種類でよいが、病人はどうしても五種類以上が必要である。種類を多くすることは、各野菜にはおのおのその持ち前があって、その効果もあるが、また欠点もある。そこで、種類を多くして、その互いの欠点を消してその長所を発揮させるためである。すなわち野菜の種類によっては、交感神経を多く刺激するものもあり、また迷走神経を刺激するものもある。また交感神経を抑制する種類もあれば、迷走神経を抑制する種類もある。これが、種類が多くなると、交感神経を刺激するものと抑制するとが組み合わされ、また迷走神経を刺激するものと、抑制するものとが組み合わされるから、互いの毒作用が中和されることになるのである。健康体は、これらの毒作用に対する抵抗力が強いから、三種類くらいでよいが、病人だとこれらの抵抗力が弱いから、たくさんの野菜を組み合わせて、この毒作用を極力中和させたものでなければならないのである。


五 生食の量

 つぎは量であるが、おおむね一日三百匁から三百五十匁(一一〇〇グラムから一三〇〇グラム)あればよいのであるが、これはその人の消化吸収の効率によるから、一概にはいえない。しかしどんな場合でも、一日四百匁から五百匁(一五〇〇グラムから一八〇〇グラム)とれば充分であろう。食事が足りているか、不足しているかは、体重の増減を見ればすぐわかる。もっとも、生食を始めて二、三週間は、いままでの火食の毒素が排泄されるので、幾分は減っていくが、その後はだんだん元に回復してこねばならぬ。それが、だんだん痩せてくるのは、生野菜の摂取量が足りないことを意味する。そういう場合は、摂取量を増加しなければならない。
 もし、野菜が不足しているときなどで、生の玄米を使う場合は、一日量として生の玄米粉一合五勺(生玄米一合で玄米粉一合六勺くらいできる)と生野菜八〇匁ないし一二〇匁(三〇〇グラムから四五〇グラム)あればよろしい。生玄米粉を用いるときは、水分不足で便秘に陥る恐れがあるから、生水の飲用を充分にせねばならぬ。


六 生食と体重

 また、生食を始めると体重が下がって、大変寒く感ずるが、それは皮膚の温感器官が、いままで高い温度に馴れていたものが、生食で体温が下がるから、寒く感ずるのであってさしつかえない。多くの場合、今まで体温が三六度三分くらいの人は三五度くらいには下がる。しかしどんな場合でも、三四度より下げてはいけない。寒いからとて、炬燵(こたつ)を入れたり、火鉢で室をあまり暖めたりしないようにする。やむをえなければ湯タンポがよろしい。電気炬燵(こたつ)などは、使わないほうがよい。また空気の流通を充分につけることが必要である。


七 生食の種類

 野菜三百匁から三百五十匁(一一〇〇グラムから一三〇〇グラム)の栄養価は、従来のカロリー説に従うと、五〇〇から六〇〇カロリー、蛋白質はどんなに野菜を組み合わせてみても七.五グラムから一二グラムくらいしかないが、これで完全に健康が保て、労働に服することもできるのである。野菜は、葉と根が必要である。理想としては、半々がよろしいが、たとえば根菜類の大根は、葉を五分の一入れることが必要であり、ホウレンソウもその根を五分の一くらい入れるとよろしい。サツマイモ、ジャガイモは少しはさしつかえないが、多くないほうがよい。ゴボウは、アクが強すぎるからフキなどとともに入れないほうがよい。
 生食として適当な野菜は、大根、人参(ニンジン)、蕪(カブ)、白菜、キャベツ、芽キャベツ、チシャ(葉レタス)、ホウレンソウ、小松菜、漬菜、タカ菜、壬生菜、フダンソウ、シャクシ菜、ウド、ニラ、葱(ネギ)、玉葱(タマネギ)、里芋、八つ頭、長芋、ツクネ芋、自然薯、蓮根(レンコン)、二十日大根、サラダ菜、芹(セリ)、セロリー、パセリ、ツル菜、もやし、ピーマン、南瓜(カボチャ)、トマト、胡瓜(キュウリ)、白瓜、マクワ瓜、京菜、冬瓜(トウガン)、茄子(ナス)等などであり、野草としては、タンポポ、よめな、なずな、はこべ、すべりひゆ、すぎな、つくし、のびるなどもよろしい。
 葉は、太陽の光線、根は地球の無機物である。そこで、葉と根とを生で食べることは、天地の恵みで生まれた人間が、天地の産物である天地の乳汁で養われることである。現在の栄養学では、植物性蛋白質だけではいけない、動物性蛋白質がぜひ必要だという。しかし、私はこの生野菜のみでさしつかえなく、動物性蛋白質も脂肪も必要ないというのである。もっとも生食の完全なる効用を収めるには、西医学健康法(西式健康法)で指導する生活を行うことが必要であって、厚い敷布団に柔らかい枕で寝るとか、厚着をしておったりするのでは、充分には栄養とはならない。


八 生食と生化学

  図を用いての説明であるため、ここは割愛します m(__)m


九 私の生化学

  図を用いての説明であるため、ここは割愛します m(__)m


一〇 学界の反響

 昨年(一九四七年)から本年初頭にかけて、九大医学部で行われた三ヵ月に亘る純生食の実験において、生後四ヵ月の嬰児を中にして夫婦でやったのであるが、母親の栄養摂取量は一日九〇〇~一〇〇〇カロリーで、嬰児への授乳量は六〇〇~六五〇カロリー(乳量にして九五〇~一〇〇〇グラム)であったから、母親は三五〇~四〇〇カロリーで三ヵ月間に亘り、完全に健康を維持したことになり、従来、成年女子の所要熱量一日二一〇〇カロリーの六分の一ないし五分の一で充分健康に生活し得るということが実証され、栄養学上、大きな問題を投げかけている。こんな結果は、どうして出てきたか、これは煮ないために栄養素が破壊されていないからである。したがって、その量は少なくてすむのである。生食をすると、細胞に活力が与えられ、血液・淋巴液(リンパ液)は浄化されるから、黴菌(ばいきん)が湧かない。したがって、これを殺菌するために体温を上げる必要はない。また、純生食を二週間続けると、寄生虫は皆出てしまうから、寄生虫に与える栄養も不要である。生食の栄養は、消化吸収も容易であるから、吸収効率がよく、腎臓の負担も軽減せられる。なお挙げればいろいろの効能を数えることができるが、要するにこれらが総合されて、普通ならば一日二五〇〇カロリーを要するものが、その僅か(わずか)五分の一の五〇〇カロリーそこそこで充分に生活できるのである。
 そこで、生食はどのくらいやればよろしいかというと、一年中で最も野菜の豊富な時期をみて、一ヵ月半を二回やれば理想である。もし一ヵ月半やれない人は、一ヵ月でも十日でも、また一週間でもやったほうがよろしい。そして、一旦(いったん)健康になったならば一年に一度か二度、一週間くらいの短期生食を春秋の時期に一回ずつやれば充分であろう。虚弱な人の体質改善とか、痼疾治療には、その効果の表われるまで続行することの必要なのはいうまでもない。
 生食については、「健康科学」や「西医学」で発表したところを読んでもらいたい。また西会発行の「生食の勧め」も必要なことを網羅しているから、ついて研究せられたい。


一一 生食と寄生虫

 生食について、みな心配することは、寄生虫と黴菌(ばいきん)との問題である。純生食の場合は、便通がよくなるから、寄生虫の育つ時間がなく、排泄せられるから、心配することはない。寄生虫の発育するには、古い糞便の腸内に停滞することが必要である。古い糞便がないと、回虫などは生存ができない。純生食を二週間もやると五、六寸の回虫が死んで出てくるのは、その証拠である。また急に腹痛を起こしてきたときなど、たいてい回虫の場合が多い。こんなときに、青い野菜を三種類くらいすりつぶして、その絞り汁を盃一杯くらい飲んで、金魚運動をやると、十分くらいでなおるが、このときはたいてい回虫のためである。
 しかし、煮たものと併用するときは、寄生虫の恐れがあるから、ときどき駆虫剤を飲めばよろしく、また熱湯に二分間くらいくぐらせると、寄生虫卵と黴菌(ばいきん)とは殺滅せられる。しかして、このくらいの熱ではビタミンCはわずかしか減らない。
 いずれにしても、野菜はよく洗えば、大部分の寄生虫卵と細菌は洗い流されるから、さしつかえない。生野菜の効用は、寄生虫や細菌の問題を考慮しても、はるかに有効だから摂らねばならない。





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 補足説明 「生食療法」と「生菜食療法」について

 この「原本 西式健康読本」という図書は、昭和23年(一九四八年)に西勝造先生によって執筆されましたので、古典本のうちに入ります。ですから、言葉や言い回しが古臭く(私は好きなのですが)読み難い方もおられるかも知れませんので、私の独断と偏見でなるべく振り仮名を添えました(余計な配慮であったかもしれませんが・・・)。

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西勝造 (西式健康法 創始者)


 西勝造先生が言われている「生食」とは、当然『生菜食療法』のことです。
 西式健康法では『生食療法』と呼ばれていて、甲田療法では『生菜食療法』と呼んでいます。
 どちらもともに「生野菜を食べる」食事療法です。

 西式健康法の『生食療法』は誰にでもできるというような、そんな生易しいものではなく、かなりの根性を要する食事療法でした。非常に壁が高かったのです。それを甲田光雄先生が、西勝造先生の考案された『生食療法』の難しさを緩和して敷居を下げ、『生食療法』を誰にでもやりやすく改良したのが、甲田療法の『生菜食療法』でした。難しくて壁の高かった西式健康法の『生食療法』を改良し、誰にでも容易にできるように進化させたものが『生菜食療法』なのです。『生食療法』の進化型、それが『生菜食療法』だったのですね。

 甲田光雄先生が『生食療法』とは呼ばずに『生“”食療法』と呼ばれたのは、実はこういう事情がありました。

 『生食療法』の中身をご存知の方は「生食とは “生野菜食” のことだ」と理解していますが、
 世間一般には「生食」=「お刺身」と捉えてしまう方も多かったらしく・・・、

 「先生・・、あの・・、わたくし、ちょっと人伝(ひとづて)に生食療法というのを聞きまして、
  今日はこうして(甲田医院に)来たんでござぁ~ますけれども、
  生食ということはアレですね・・、お刺身でも ようござぁ~ますのね!
  (何も言っていないのに)あ~ら~まぁ~、お刺身が食べられるなんて、なんてステキな食事療法ざましょ!
  他のは玄米だの、菜食だのと聞いてござぁ~ましたので、なんだかちょっと気乗りがしませんでござぁ~まして!
  世の中に “お刺身療法” があっただなんて、もう~ まるで夢のようでござぁ~ますわねぇ~!
  ああぁぁぁ~ぉ、先生・・・、本当にありがとうござぁ~まぁ~~~~~す!!
  お刺身ざぁ~ます♪ お刺身ざぁ~ます♪ お刺身ざぁ~ます♪ お刺身ざぁ~ます♪ お刺身ざぁ~ます♪」


 という感じで、結構「ざぁ~ます誤解」されることもあったそうなので、甲田光雄先生は「生野菜の生食ですよ」という意味を込めて『生菜食療法』と名付けたのです。「生食」よりも「生“”食」と呼んだほうが『生食療法』の中身を直感的に把握しやすく、ネーミングの上でも進化していたわけです。

 甲田光雄先生のこの配慮のお蔭で、以降、日本では「ざぁ~ます語」が死語になっていきました。
 今では、「ざぁ~ます語」はほとんど聞かなくなりましたね・・、ホントに有り難いことです。
 (私は「ざぁ~ます語」を使う “おば様” に何度か遭遇したことがありますが、正直、ちょっと苦手です・・・
  ちなみに、上記の患者さんは『生食療法』の内容が生野菜であると知るや、失意のどん底の中でご帰宅されたそうです。
  という「オチ」で、よろしくお願いします・・・




 さて、これからこの文献の【補足説明】に入ります。
 『生食療法』から『生菜食療法』へと、どのように進化していったのかを簡単にお話ししていきます。

 この文献は古いため、「匁(もんめ)」という聞き慣れない単位で表わされていますので、ちょっと分かりづらいですね。
 匁とは、現代ではほとんど使用しなくなった、日本の尺貫法における質量の単位です。
 1匁は約「3.75g」です(1匁=3.75g)。

 もう一度、「 五 生食の量」にある「生食療法で使用する生野菜の分量」を、匁ではなくグラムで記します。

 西式健康法の『生食療法』における「一日の生野菜の摂取量」は、『根と葉、等量』で 1100~1300g です。
 多くても、1500~1800g です。この量は人によって変動します。

 『根と葉、等量』というのは、「葉菜類の野菜」と「根菜類の野菜」の量が等量(同量)、という意味です。
 一日1000gの摂取量ならば、「葉菜類の野菜500g」と「根菜類の野菜500g」の合計1000gとなります。

 『生食療法』では通常、生玄米粉は使用しなかったようで、正式には『純生食(生野菜だけの食事)』だったようです。
 生玄米粉を使用するときは、「生玄米粉 1合5勺」と「生野菜 300~450g」です。 
 (玄米1合で生玄米粉が1合6勺くらいできますので、生玄米粉1合5勺はだいたい玄米1合弱になります

 ただ、これは西式健康法の『生食療法』の規定で、西勝造先生が設定された目安です。
 甲田光雄先生が開発された甲田療法の『生菜食療法』(生食療法の進化型)とは、設定に違いが見られます。


 『生食療法』は通常『純生食(生野菜だけの食事)』ですが、これだと非常に過酷で困難な食事療法となり、ずっと継続していくことができません。『生食療法』を実施する期間については、この文献にはこう書いてあります。


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 そこで、生食はどのくらいやればよろしいかというと、一年中で最も野菜の豊富な時期をみて、一ヵ月半を二回やれば理想である。もし一ヵ月半やれない人は、一ヵ月でも十日でも、また一週間でもやったほうがよろしい。
 そして、一旦(いったん)健康になったならば一年に一度か二度、一週間くらいの短期生食を春秋の時期に一回ずつやれば充分であろう。


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 「西医学 健康原理実践宝典参照1参照2)」(西勝造・著/1950年)という著書にも「生食は、純生食連続四十五日間が理想であるが・・(P148)」とあります。
 つまり『生食療法』というのは、基本的にはずっと継続していくことを目的としたものではなく、「期間限定」で行うものであり、その最長は「45日間(一ヵ月半)」というものです。

 しかし、食事療法というものは継続が大事です。安心して、しかも安全にずっと継続していくことができることが必要です。甲田光雄先生はこの『生食療法』の「実行が過酷で困難である」という点と「期間限定でしか行えない(最長で45日間)」という点を改善し、『生食療法』を無理なくずっと継続していけるように改良して『生菜食療法』へと進化させました。

 では、一体何を改良したのかと言いますと、まずは『生食療法』では常用されていなかった「生玄米粉」を規定に取り入れ、実行が過酷で困難であったのを容易にしました。純生食のような「生野菜だけの食事」であると体がもちませんが、生玄米粉を一緒に摂取すると体が非常に楽になります。

 そして、『生食療法』では使用されていなかった「豆腐」「ゴマ」をメニューに足して、サプリメントでは「エビオス」「スピルリナ」をメニューに加え(当然ですが、西勝造先生のご活躍された時代には「エビオス」と「スピルリナ」はまだ登場していません)、『生食療法』では栄養的に不足していた面を補い、継続を容易にさせることができたのです。当然、塩(自然海水塩甲田療法では「焼き塩」です)も摂らせます。

 また、「 七 生食の種類」にありますように、『生食療法』では生で食べられる野菜は何でも使用していました。

  【生食療法で使用する野菜・野草】
   大根、人参(ニンジン)、蕪(カブ)、
   白菜、キャベツ、芽キャベツ、チシャ(葉レタス)、ホウレンソウ、小松菜、
   漬菜、タカ菜、壬生菜、フダンソウ、シャクシ菜、
   ウド、ニラ、葱(ネギ)、玉葱(タマネギ)、
   里芋、八つ頭、長芋、ツクネ芋、自然薯、蓮根(レンコン)、二十日大根、
   サラダ菜、芹(セリ)、セロリー、パセリ、ツル菜、もやし、
   ピーマン、南瓜(カボチャ)、トマト、胡瓜(キュウリ)、
   白瓜、マクワ瓜、京菜、冬瓜(トウガン)、茄子(ナス)、
   タンポポ、よめな、なずな、はこべ、すべりひゆ、すぎな、つくし、のびる、

 はっきり言って、これではバラバラすぎて、患者に一定の反応が得られないでしょう。
 患者によっては一体どの野菜を使用してよいやら分からない方も出てくるはずです。
 これでは医療というよりかは、やはり「民間療法」の域を出ることは難しいでしょう。

 甲田光雄先生はこれも、使用する野菜の種類を絞り、一定にしました。
 葉菜類は、季節の葉野菜を5種類です(例えば「キャベツ」「レタス」「チシャ」「ホウレンソウ」「小松菜」など)。
 根菜類は「ダイコン」「ニンジン」「ヤマノイモ」の3種類です。

 根菜類は必ず摩り下ろして「ダイコンおろし」「ニンジンおろし」「ヤマノイモおろし」にしてから摂取します。
 根菜類の野菜は摩り下ろすと「野菜の酵素が活性化して3~5倍に増える」ため、より多くの酵素を摂取するのに最適です。

 こうして、微量栄養素のビタミン・ミネラル、そして、酵素を大量摂取することで体の代謝を賦活し、代謝不良を改善しました。ビタミン・ミネラル・酵素の大量摂取が体を癒し改善させていきます。有名な『ゲルソン療法』も大量の生野菜ジュースを飲みますが、これも同様に「ビタミン・ミネラル・酵素の大量摂取」です(もちろんですが、ファイトケミカルなどの他の有効成分の摂取もあります)。
 ゲルソン療法によって多くの末期癌患者が救われていましたが、それは、毎日大量の生野菜ジュースを摂取することにより、ビタミン・ミネラル・酵素を大量に摂取して代謝を賦活していたため、功を得ることができたのです。ゲルソン療法は「マクガバン・レポート」を作成した『アメリカ上院栄養問題特別委員会』が一番注目した食事療法であり、欧米では今なお「横綱級」の食事療法のようです。甲田療法の『生菜食療法』と『ゲルソン療法』が難病患者を救うことができていたのは、この「ビタミン・ミネラル・酵素を大量に摂取して代謝を賦活する」という共通点があったからです。ここが非常に重要なんですね。

 また『生食療法』では「青泥(葉野菜をすり鉢でドロドロにしたもの)」でしたが、青泥は胃腸に負担がかかりすぎるため、甲田光雄先生は「青汁(生野菜ジュース)」にすることで患者さんの胃腸にかかる負担を軽減させたのです。これも、継続を楽にするポイントです。

 次の図は、甲田光雄先生が西式健康法の『生食療法』を応用した『生菜食療法』のメニュー表です。

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 『生食療法』に比べて、『生菜食療法』はまとまり感があり、体系的になっていますね。

 生菜食を民間療法から医療にまで引き上げるためには、一定に定められた規定内容が必要です。そうしなければ、実行するのに戸惑ってしまう患者さんも出てくるでしょうし、実行した患者の反応(予後)も一定はしないでしょう。
 医療とは、「安全性」や「安定性」が大事ですからね。
 患者さんによっていつも結果がバラバラになっては、医療としては「扱いづらい」療法になってしまうでしょう。

 民間療法のひとつであった西式健康法の『生食療法』を「安全性」と「安定性」に配慮しながら改良して、医学博士として、医師として、『生菜食療法』という医療にまで高めてくださった甲田光雄先生のご苦労は大変なものであったと思います。


 西式健康法の『生食療法』は通常、純粋に生野菜だけを使用した『根と葉、等量』の 1100~1300g でした。
 甲田療法の『生菜食療法』は、一食で「葉菜類の野菜250g」と「根菜類の野菜250g」(根と葉、等量)の合計500gを一日二食ですから、「一日の生野菜の摂取量」は1000g が規定量です(患者さんによって変動します)。
 いずれにしても、『生食療法』であれ、『生菜食療法』であれ、一日に摂取する生野菜の量が 1000g とか、1100~1300g というのは、一般の方から見ると、もうビックリするくらいに大量です。甲田療法ではこの生菜食1000gに加えて、生玄米粉一合~一合半、豆腐一丁なども加わりますから、かなりの量になります。これを厳格にやれと言われても、やはり、おいそれとできるものではないでしょう。余程の気持ち(「自分の苦しい難病を甲田療法で治すんだ!」という強い想い)がなければ、なかなか実行は難しいとは思います。

 しかし、ここでご紹介させて頂きました西勝造先生の『生食療法』の文献を見ましても、甲田療法の『生菜食療法』の数ある実績を見ましても、生菜食という食事を癌治療に活かすことは「癌を改善させる(癌体質を改善させる)大きな力となる」ことを何か感じて頂けたかと思います。

 血液を浄化しなければ、癌を根本から改善することはできません。
 血液浄化を如何に成し得るかこそが、「癌を克服できるか否か」の分かれ道になります。
 食事療法による血液浄化、ここが癌治療にとって一番基本であり、最重要の土台です。
 生菜食ならば、血液浄化という癌治療の基本・土台を大きく獲得できます。
 生菜食は、癌治療においても非常に重要な手段なのです。

 『生食療法』『生菜食療法』の価値が理解できるならば、『生食療法』や『生菜食療法』では厳しすぎてできない方であっても、『生食療法』と『生菜食療法』のポイントは「生野菜を食べる」ですから、あとは自分ができる範囲で、自分が生で食べられそうな野菜を毎日食べていく努力くらいはできるはずです。高額医療費を支払って、強烈な副作用に耐えながら抗がん剤や放射線を受ける努力に比べれば遥かに優しい努力であるはずですし、しかも破格の安さでできるのです。こういう視点から見つめれば、『生食療法』や『生菜食療法』の価値を身に活かす努力・・、これは本当に有り難い努力なんですよ♪

 この『生菜食療法』は私の父の癌体質を改善してくれた手段でもありますので、癌患者のみなさんはどうぞ、ご自分のできる範囲を模索しながら、西勝造先生と甲田光雄先生が残してくださった『生食療法』『生菜食療法』の価値を、ご自分の癌治療に活かされてほしいと願っています m(__)m


 あと、ここだけお話ししておきます。
 「 一一 生食と寄生虫」のところを読んで、こう思われた方もおられるでしょう。

 「ええぇっっ~! き・・ 寄生虫・・、寄生虫卵だって・・・(唖然)。しかも、黴菌、細菌とか言ってるよ・・・。
  このご時世に、う・・ 嘘でしょ・・・。インフルエンザに注意するだけでも大変なのに、そんなの絶対に嫌だいッ!」


 これはですね、この「原本 西式健康読本」は昭和23年(一九四八年)に執筆された図書なので、当時の農業の実情が文に現われているのです。その当時の日本ではまだ畑に人糞や牛糞を肥料としてブン撒いていた頃でしたから、日本はまだ蟯虫などの寄生虫があった時代でした。しかし現代の日本には、もうほとんど蟯虫などはありませんよね。それは、現代の日本ではもう畑に人糞や牛糞を撒かなくなり、衛生的な肥料を使用するようになったからです。
有機栽培農家の中には、まだ牛糞を使用しているところもあるでしょうけれど・・・

 現代の日本のスーパーで売っている安全な野菜であれば、寄生虫、寄生虫卵、黴菌、細菌の心配はまずありませんので、そこはどうぞ安心されてください。我が家が生菜食をしてきた経験上、「そんな心配はいらない」と言えます。

 ただ、夏などはたまにキャベツの中に小さな「虫」がいたり、小松菜の葉っぱに粒々の小さな「虫の卵」が産み付けられていたりしているのはありますが、それは『生命のご愛嬌』というヤツです。
 虫が平気な顔してキャベツの中に住むことができるのは、そのキャベツが「安全な証拠」です(まさに「安住」です)。
 虫が卵を産むのに「安全な環境」だと判断しているからこそ、その葉っぱに卵を産み付けるわけですから、そういう小松菜はむしろ「健全な小松菜」なのです。
 現代の野菜は衛生的で綺麗にはなりましたが、それは化学農薬を使用している理由が大です。化学農薬という薬をブン撒いて虫を殺したり、虫を寄せ付けなかったりしています。この「虫が寄り付けない」「虫が死んでしまう」ような畑で育った野菜は安全だと思いますか? 野菜の中に虫がいたり、葉っぱに虫の卵が産み付けられたりしていることよりも、そんな農薬(毒薬)まみれの野菜を食べさせられることのほうが遥かに恐ろしいことなのです。

 キャベツの中に「虫」が一匹いたって、まァ~ いいじゃないですか♪
 小松菜の葉っぱに少し「虫の卵」が産み付けられていたって、それが健全な「天然自然の姿」というものですよ♪
 天地自然からの「この野菜は安全ですゾ♪ サァ~ 安心して食べなはれッ!」というメッセージでもあります。
 その野菜が安全である何よりの「証拠」です。
 これは “素晴らしい「虫の知らせ」” とでも思ってあげましょう!
 虫が教えてくれる「このお野菜、安全でござぁ~ますのよ♪」宣言ですね!

 虫も寄り付かず、虫が死んでしまうような「農薬(毒薬)まみれの畑」で育った野菜など、いくら小奇麗で美味しそうに見えても、それは単なる「うわべ誤魔化し」であって、その中身は本当に恐ろしい「地獄行き野菜」であるとお知りください。

 まァ~、現代の日本のスーパーで売っている安全な野菜であれば、寄生虫だとか、寄生虫卵だとか、黴菌だとか、細菌だとか・・、これらはまず「ほとんど気にしなくて大丈夫!」ですから、どうぞ、安心して生菜食をされてください m(__)m

 ちなみに、生玄米や生野菜の表面には善玉菌である「乳酸菌」が付着していますから、「善玉菌の摂取」にもなって Good です! 生菜食や生玄米粉食は、ちょうど良い「善玉菌の摂取」にもなりますよ (^-^



 最後になりますが、西勝造先生はこの文献の中で「火食(加熱調理)の害」についてお話しされていましたが、これにつきましては、次の記事を参照されてください。

 ●「火食の害」から見つめる、生食(生菜食)の意義と価値【西式健康読本:西勝造】

 また、この「火食(加熱調理)の害」を極力抑えて調理する方法は、次の記事を参照されてみてください。

 ● 二木謙三の「野菜の二分間煮」と、肥田春充の「野菜の生煮え」【生野菜食が苦手な人のための、ちょうど良い妥協策】
 ● 野菜の「ソルトスープ」【野菜と自然海水塩で作る、あったかスープ(卵入りも有)】


 この西勝造先生の文献から「火食(加熱調理)の害」を知り、『生食療法』『生菜食療法』の価値を理解するに至ったなら、あとはご自分のできる範囲で少しずつ模索しながら、この「生野菜を食べる」という単純な仕組みと価値を、ご自身の癌治療(癌体質の改善)にぜひ活かされてください。その仕組みと価値を生かすも殺すもご自分次第ですよ (^-^

 よろしくお願いします m(__)m