『植物の生食』、これは私が食養学に出会ってから一番「価値」を見出した食養法(食事法)です。

 「生食」と言うと何を連想しますか?
 「食物を生のまま食べる」だと思いますが、まったくその通りです。

 問題は、その「生で食べる食物」なのですが、生食をするときの食物とは「植物」のことです。
 ですから、生食は「植物食」のことになります。
 中には「生ならば、お刺身のことかぁ・・・?」と言う人がいるので、誤解を招かないように「生野菜食」という意味を込めて「生菜食」と呼んでいるのです。

 この「生菜食」はもともと、西式健康法(西医学)の創始者である西勝造という先生が提唱されたものですが、現代では医学博士の甲田光雄先生が、特にその「生菜食の価値」を『生菜食療法』として世に広めてくださいました。「生菜食」によって、多くの患者さんがいろいろな病気から救われてきました。

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西勝造 (西式健康法 創始者)
『後ろにたくさんの本が山積みされていますが、西勝造先生は10万冊の本を読破されたことで有名です』


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甲田光雄 医学博士 (西式甲田療法 創始者)



 以前、私が骨格を壊してしまい、もがいて苦しんでいる時、「自分には一体、何が不足しているのだろう?」と考え、「もしかして食事とは、想像する以上に “体の内側を決する重要なもの” なのではないだろうか・・・」と感じていた時でした。
もともと私は白米飯と焼き肉さえあれば満足というほうだったので、食事のことなど完全に甘く見ていました・・・

 ちょうどそんな頃、西勝造先生の「人は病の器だろうか」という内容の文献に目が止まり、 「自然界の動物には病はない。なぜ、人間だけが病気などに罹るのだろうか?」というところで、「自然界の動物は火食をしない。人間だけが火食をする。そこに、種々の問題が出てくるのだ」とありました。

 「火食」とはもちろん「加熱調理」のことで、「火を使って調理して食べる(食物を料理に化して食べる)」ことです。
 この「火食」は人間にとっては当たり前のことなのですが、その論考があまりにも見事に書かれていたので 、とてもビックリしました。本当に驚きました。


 以下、「原本 西式健康読本」より、その「火食の害」に関する西勝造先生の文献を少しご紹介します。
 「火食の害が如何なるものか」、そして「野菜を生で食べる価値」を分かりやすく説明してくれています。



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 原本 西式健康読本 西勝造(著) (P99~102
 【全文は「西式健康法 - 生食療法(生菜食療法)の解説【原本 西式健康読本:西勝造】」です】

 九.栄養について

一 食物調理の沿革

 人体は、端的にいうと、食物と水と空気とで作り上げられているのである。すなわち、食物と水(ここでいう水というのは生の清水を意味する)とは、消化器官を通じて摂取され、空気は肺臓と皮膚とから取り入れられる。そこで、正しい食物と、生の清水と、新鮮なる空気とは、われわれが日常注意してその効用を誤らないようにせねば、健康は保たれない。
 食物は、太古人間の文化のあまり進まなかった時代には、自然のままの食物を摂ったから、その間、栄養上の障害はなかったのであるが、人智の発達から、人間が家に住み、衣服をまとうようになり、集団生活をして勤労に服するようになると、発汗して食塩と水分、ならびにビタミンCを喪失し、心身上いろいろの故障が起こり、特にこれは歯を弱くする。そうすると、いままでのような自然の食物は硬くて噛めなくなる。ちょうどそのころ火が発明され、不完全ながら石器で刃物もできてきたからこれで食物を刻み、硬い部分を除き、口ざわりの悪い皮のところを除くことが行なわれ、火で食物を焼くと柔らかくなることがわかって、ここに食物の調理が始まったのである。かくのごとく調理された食物は、栄養上幾多の欠陥を有するから、人間はだんだんに不健康になっていき、自然の食物は食べがたく、ただ煮たり焼いたりしただけの食物は、不味となるから、これになんとか味を付けようとして食塩の利用となったのである。こういうふうに、誤った食物の効用から次第に起こってくる種々の栄養上、ならびに味覚上の欠点を補うためにいろいろに工夫を凝らし、ついに今日の各種の料理法を生んだのである。もともと人間もやはり自然界の産物である以上、自然界を支配する法則に除外されるわけはない。したがって、人工による食物の調理は、健康上幾多の欠点を暴露し、その他の不自然な生活とともに、人間がだんだん虚弱になり、ついには疾患の症状を起こしてきたのである。人間が弱くなったり、病気になったりすると、自然は食欲不振という処置で、これをもとの健康に回復しようとするのであるが、人智はそこでも反対に働いて、食べなければ弱まるという方向に考えていって、なんとかしてうまく食べようとする。ここに調味ということが始まる。かくして、食物はまた自然からかけ離れていくのである。このように、自然からだんだんかけ離れていった食物で、人間が健康になるわけはない。人間は、調理法が進むにしたがってだんだん不健康となっていき、食欲が不振となるから、いっそう調理に工夫を凝らし、今日の各種の高等なる調理法となったのである。そこで、人間の栄養を正常にし再びもとの自然の健康に返すためには、この調理法が人間の健康という新しき見地に立った研究の題目でなければならぬ。


二 調理法の研究

 調理法の研究において、これにいかに人工を加えても、それは要するに人工であって、自然の栄養を生かすことにはならぬ。たとえば、白米に精白するから、ビタミンAやBがなくなり、鉱物質、脂肪が不足し、米はほとんど澱粉ばかりになる。このために、魚肉や獣肉や動物性脂肪や蛋白を加えることになる。しかしそれでも現在ビタミンBの不足で脚気症状を現わすのである。また、野菜特に葉菜類は、ビタミンCの給源であるが、これを煮たり茹でたり、いためたり、油で揚げたりすると、せっかくのビタミンCは破壊されるから、そこで、これを果物から補給することを考えるようになるのである。
 私は、私の病弱を回復するため、いろいろの方法を研究したのであるが、この食物に関しても研究を進め、多数の先人の研究業績をも参考として、野菜は極力生で摂るのが合理的であるということを結論したのである。
 ドイツのエッピンゲル、プロウフレ、ベンネル、ホーゲル、フランスではベシャン、フェリエールらがこれを研究発表しており、また古くは皇漢医学書のなかにも、その効用について記述せられている。煮たり焼いたりしたものは、細胞が死滅しているから、死んだものを食ったのでは生きた生命ある細胞はできない。もしも、諸君が煮たり焼いたりしたものばかりで、まったくの生を食わず、生の水を飲まなかったならば、諸君は7年以内に重大なる健康上の欠陥を露呈するであろう。人間が火食するために、天然痘とか麻疹とかが起こるのである。これらは人間の体を作っている細胞が火食のために不健康になっているから、かくのごとき病気に冒されるのである。しかし、私の「症状 即 療法」という建前からは、人間が火食するために、腎臓の機能が充分に発揮されず毒素が完全に排除されないから、血液が不浄になり、このような不浄の血液が全身を循環するために細胞も不健康となり、毒素もその間に蓄積せられる。この毒素の蓄積量が一定の限界に達すると、細胞が激しく影響を受けるから、それ以前にこの毒素を消毒し、その残骸を腎臓に通すと、腎臓組織を破壊するから、これを皮膚から排泄せんとするもの、これが天然痘であり麻疹である。このような理由から野菜は極力生で食べることが必要である。




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 西勝造先生は、この中で「火食(加熱調理)することは、人間が気づいていなくても、気にしていなくても、大きな損失になっているんだよ」ということを伝えてくれています。「大きな損失になっている」というのは、「火食(加熱調理)の害」が原因となって、アレルギーなどの「そういう体質です」の一言で医者から済まされてしまうような様々な症状として体に現われてくることも多いんだよ 、ということです。

 人間の体にとっては「火食(加熱調理)が害になっている」ということも知るべきです。「まさか・・、そんなバカなぁ・・」と思われるのは構わないことですが、それが人体における『食の原理』というものなのです。
実は、これは動物も同じなのです。動物にも火食させれば、人間と同じように体質が弱体化することでしょう

 この『食の原理』を知ったその上で、自己判断して調理の方法(料理の仕方)を工夫していけば身のためになります。
 (それが必要ならば、自分に取り入れるだけですね

 これは決して難しいことではありません。
 単純なことですが、「火を使う量を少し抑えるだけ」です(火食の割合を抑えるだけです)。

 食養学者であり、元東京大学名誉教授であった二木謙三博士(文化勲章受章参照1参照2)は、火食(加熱調理)をしてもその損失が極力抑えられるように「野菜の二分間煮」を推奨していました。火食という調理手段が体の病気の原因にもなってしまうこと、そして、体にとってはそれが「大きな損失」にもなっていることを、まずは知って頂きたいと思います。その内容を知ったなら、これは簡単なことですから「火食(加熱調理)の仕方」を工夫してみてほしいのです。

 野菜は生食をしたほうが(生菜食をしたほうが)「火食(加熱調理)によって起こる害」が無い分、質の高い食事となりますが、中には生野菜食の苦手な方も多いかもしれませんので、火食(加熱調理)の害を極力減らすための妥協策として私がお薦めしたい調理法が、二木謙三博士の「野菜の二分間煮」と、肥田春充博士の「野菜の生煮え」です。「二木謙三の「野菜の二分間煮」と、肥田春充の「野菜の生煮え」」にてまとめていますので、ぜひご参考にされてみてください♪






【補足】「生食療法」と「生菜食療法」について

 「生食療法」と「生菜食療法」について、正確にお話しします。

 この「生野菜を生で食べる療法」は、西式健康法を創始された西勝造先生が「生食療法」として世に伝えられたものです。この「生食療法」では生玄米粉を使用せず、多種多様の季節の生野菜だけを使用するものでした。そのため、カロリー不足に陥ってしまい、 一般の方々が継続していくには非常に困難なものでした。

 西勝造先生の提唱された「生食療法」では、生野菜以外は使用しませんでした。「生食療法」では通常、生玄米粉は使用しません。「生食療法」における「生玄米粉の位置付け」は、 必要量の生野菜が入手できない時の代用食でした。「生食療法」で使用する一日の生野菜量は1400gほどですから、けっこう大量の生野菜が必要となります。西勝造先生が「生食療法」を世間に発表したのは終戦直後でした。戦後当時の日本は、現代とは違って食糧を入手するのが困難な時期だったので、「生食療法」をするために必要な新鮮な生野菜を必要量手に入れることができない地域があったのです。そういう時の対応策として、生野菜が不足している分を生玄米粉を使用することで補っていたのですね。ですから西勝造先生は、新鮮な生野菜が手に入るようになれば直ちに生玄米粉を止めて、生野菜だけを使用した純粋な「生食療法」をするように指導していたのです。

 この「生食療法」に着眼したのが甲田光雄先生でした。甲田光雄先生は西式の「生食療法」を実践しながら研究し、西式の「生食療法」では通常使用しない生玄米粉を使用することでカロリー不足からくる継続の困難さを解消しました。また、西式の「生食療法」では季節の野菜ならば『根と葉、等量』で何でも使用していましたが、甲田光雄先生はこれも、葉菜類の野菜は「キャベツ」「レタス」「チシャ」「ホウレンソウ」「小松菜」「シャクシナ」などに種類を絞り、患者さんによっては生野菜ジュースにしたり、青泥(葉菜野菜をすり鉢で摩り下ろしたもの)にしたりして対応し、根菜類の野菜は「大根」「人参」「山芋」の3種に種類を絞り、必ず摩り下ろして「大根おろし」「人参おろし」「山芋おろし」にしました。「根菜類の野菜は、摩り下ろすと酵素が活性化して3~5倍に増える」ので、根菜類の野菜を摩り下ろしてから摂取することで、酵素の摂取量を増やしていたのです。
難病・重病の患者さんは胃腸が弱っているケースが多く、生野菜をバリバリと噛んで食べると胃腸への負担が大きいです。ですから、「生野菜ジュース」や「青泥」、「根菜類の野菜のおろし」にして処方することで、胃腸への負担をできる限り軽減しながら大量のビタミン・ミネラル・酵素を摂取できるように配慮されたのです。難病・重病の患者さんはビタミン・ミネラル・酵素不足に陥っているので、生菜食でビタミン・ミネラル・酵素を大量に摂取することは非常に重要なのです。癌においてもビタミン・ミネラル・酵素の摂取が一番重要で、ビタミン・ミネラル・酵素の大量摂取が体の代謝機能を賦活し、癌を改善していく力となるのですね。ゲルソン療法でも、これが重視されています

 このようにして、甲田光雄先生は西勝造先生の残された「生食療法」の壁の高さを低くし、誰にでも日常生活を送りながら安心して実行・継続ができるように改良したのが「生菜食療法」でした。
 上述しましたように、患者さんの中には「生食療法」と聞くと「お刺身もオッケーですね!」という方が少なからずおられましたので、甲田光雄先生は『生野菜の生食ですよ』という意味を込めて「生菜食療法」と命名されたのです。

 西式健康法の西会では甲田派閥が一番大きく、『西勝造の長男が甲田光雄であり、西式健康法や甲田療法を実践して取り組んでいる方々はその孫だ』なんて言われることもあるそうです。甲田光雄先生は西勝造先生の創始された西式健康法の正式な後継者で(他にも医学博士や医師など、いろいろな先生方がおられます)、西式健康法を誰にでもやりやすく改良したのが甲田療法なので、甲田療法は正式には『西式甲田療法』と呼ばれています。