腎臓病(1) 出会い・序  【「西式甲田療法による介護」より 】
 腎臓病と甲田療法 - 現代医学で治らぬ人のために』甲田光雄:創元社:1500円 )
 

【甲田先生との出会い】

 一〇年前に、私は、大阪大学医学部に内地留学し、丸山博先生の御指導をうけました。そのとき、丸山先生から、断食療法の権威としての甲田先生のお名前をおききしました。しかし、甲田先生におあいしたのは、つい一年前の事でした。

 私の友人の杉尾敏明氏が、一昨年の秋、突然私に電話をかけてきて、「いま甲田先生のところで断食をしているが大変調子がよい、汲田さんも一度甲田先生に診断してもらい御指導願ったら」と、親切にすすめてくれました。

 それからしばらくして、昨年の正月に、はじめて先生におあいし、診断していただきました。先生におめにかかったとき、私は先生独特の慈眼と澄んだ力あるお声に魅せられました。

 先生は、私に「宿便をだいぶためています、宿便がでたら体がよくなるでしょう」、と言われました。そのとき、私はそれが信じられませんでした。というのは、排便は規則的にあったからです。

 正直言って、そのとき、断食をして宿便をだそうという気にはなりませんでした。それでも先生の御指示に従って、西式の健康法を始めました。

 昨年の二月、入試(小論文)や教室人事の事で消耗し、再度甲田先生に診断をお願いしたところ、先生は、「腎臓と肝臓の機能が低下している、宿便も依然としてたまっている」と、指摘されました。それで、先生に無理をお願いして、三月八日から四月八日まで一カ月間入院させて頂き、先生の御指導をうけました。

 その間に、はじめ三日間、あと五日間、断食をゆるされ、いたしました。あとの断食のとき、宿便がどっさりでて、びっくりしました。やはり、甲田先生の御指摘の通り、宿便はたまっていたのです。

 宿便が出ると、体と頭がすっきりしました。大腸と脳の関係がいかに密接かということを体験しました。

 私は、このとき、先生の診断の適確さに敬服しました。

 そして、便秘というものについてのいままでの私の考え方が変りました。

 宿便が次第にでて、腸の吸収力がよくなってきますと、一日たったの三分かゆ二杯と、若干の塩だけで、一日五~六時間の知的労働 ----- 原稿を書いたり、本をよんでノートしたりするに耐えることができ、しかも気分爽快で疲労感が少しもないという信じられないような体験をしました。

 これが少食の功徳の一つでした。


 甲田先生の八尾健康会館での一カ月の生活中、健康で人間らしく生きるために、甲田先生のお導きによって、本ものの医学・哲学・宗教・心理学を総合的・統一的に学びましたが、しかもその理論を日常生活の中で実践してみて、体験的に修得する総合健康生活学園のそれだった、ということです。

 私にとって、八尾健康会館は、西式・甲田式健康法を学びかつ研究する大学院でした。

 入院生活を通して、病院というところは、自分の心と体の観察を通して、心身が一者(一体)であることを学ぶ大学院であり、生かされている自分に気づいて合掌することを学ぶところだ、ということを知りました。

甲田先生が普通の医者・医学者とちがう点の一つは、先生が西式健康法の忠実な実践者(少食主義の徹底など)であり、求道者であり、患者への献身的な援助者であるということです。

 甲田先生の朝の講話は、甲田先生御白身の体験にうらづけられ、患者一人一人の悩みにこたえる実学そのものでした。

 私は、先生のお話から、真理というものは、極めて具体的で単純明快なものであること、人間という存在はなんとすばらしい有機体的生命であるかということを教えられました。

 次に、甲田先生の講話の一節を紹介させて頂きます。

「あなたがたが、自分の運命を変えようと思えば、想念が決定的になります。あなたがたの現在の運命は、あなたがたの過去の想念のあらわれです。結局、人間というものは、考えている通りの人間になるものです。アメリカのエマーソンが言っております。『あなたがいまどんなことを考えているかによって、あなたの運命が決まってくる』。したがって、いかに思い、いかに想念を正しくするかが問題となります。」


    汲田克夫



【序】

 現在わが国において、腎臓病で悩んでおられる人々は相当の数にのぼると思います。

 そのなかでも、慢性腎炎やネフローゼに罹っている人たちは、病気の経過が長い上に、これで治るというキメ手もないため、自分たちの将来に非常な不安をいだきながら、毎日を送っておられるのではないでしょうか。

 現代医学の病院に何回も入院、退院をくり返し、その間、いろいろと最新の治療を受けてきたが、いっこうによくなる気配はなく、否むしろ徐々に病状が悪化してゆく姿を眺め、いずれは人工腎臓(透析療法)の世話になり、腎不全のうちにこの世を終るのであろうかという、絶望感に似たようなものに悩まされておられる方もあると思います。

 また一方では、現代医学の手を離れ、藁をもつかむ思いで漢方やハリ、灸、その他もろもろの民間療法を試みてみたが、結局期待していた効果が現われず、半ばあきらめの境地で日々を送っておられる方も案外多いのではないでしょうか。

 そのような方々に「まだまだ諦めるのは早い、もう一度希望を待って療養に励んでいただきたい」という切なる思いで、この原稿を書きはじめました。

 現代医学の治療法とは全く違った、一見奇異な感じを受ける方法であるため、最初は少なからぬ疑いの念を持たれるでしょうが、とにかくこの健康法を実行に移していただくうちに、身体の方で納得し、これならいけるという明るい光を見出されるだろうと信じております。

 それというのも、この健康法は実践の中で確かめられたものであるからです。

 最後に、この療法を受けて健康を回復し、絶望していた人生に希望の光を見出された人たちの体験記を掲載しておきますが、この記事によって、実践への意欲が湧き出ることを祈っております。


    甲田光雄




             腎臓病と甲田療法 - 現代医学で治らぬ人のために