「咀嚼」について見つめていくときに、まず真っ先にクローズアップされる文献は「フレッチャーの咀嚼主義」です。
 これは、一般に「フレッチャーイズム」として知られています。

 「フレッチャーイズム」とは、アメリカの実業家だった「ホーレス・フレッチャー(Horace Fletcher:1849~1919)」が提唱したものです。この「フレッチャーイズム」について知るのに良い文献があります。元東京大学名誉教授でもあり、有名な食養学者でもあられた「二木謙三」医学博士の「健康への道」という著書からです(参照二木式健康法)。

 では、二木謙三先生の著書「健康への道」から、アメリカの実業家 ホーレス・フレッチャーの「完全咀嚼法」についての文献を見てみましょう。



  健康への道  二木謙三(著)

 フレッチャーはアメリカの一大富豪で四十歳まで独立独歩、実に活動的に働いて、一代で富をちゃんと築きあげた。彼が四十になった時、体が太ってしまって右の物を左するのもいやになった。そして胃腸が悪いから食物がまずい。あのコックがへただ、別のコックを雇えというわけで、わざわざフランスからコックを雇ってみたが、どうしても食事がとれない。 頭がだんだん悪くなって物忘れする。不眠症にかかる。リューマチのような老人病に侵される。医者という医者にはかかり、薬という薬は飲んだが、見こみがない。そこでこれはコックが悪いのではない、自分の胃腸が悪い、ということに気がついた。

 胃腸をなおしたら料理もおいしくなるだろうというので、まずそのためには、噛むことから始めた。いわゆる咀嚼主義、一口の食物を食べるに、ドロドロになって、いつの間にかなくなってしまうまでかんで、なるべく飲まないようにしてかんでいると自然となくなる。そこまでやった。そうしているとだんだんやせてきて、家族は心配するが、自分は実にいい気持で食物はおいしいし、ありがたい、という歓喜に満ちて咀嚼を実行した。次第に食の分量が減ってくるからやせてはいくが、やせるほど気分がよくなって、歩いても疲れなくなる、自転車に乗って見たら乗れるし、馬に乗っても乗れるというぐあいで、それから運動を始めてみると、若い時の運動は何でもできるようになった。これはおもしろいというので続けていったら、一食しか食べられないから、それでよろしい、ほしくなるまで食べまいと、そのまま進んでいったところ、肉も魚もいやになって、野菜が好きになってきた。そのとおり自分の欲するところに従っていったら、何でもできるようになった。それから自然と二食になって徐々に体重も増し七十キロぐらいになった。

 そこで医者を前にしてさんざんけなして「君ら有名な先生にみてもらったけれどもなおらなかったこのフレッチャーの病気は、こういうことでなおった。医者は何をぼんやりしているか」といった。すると生理学のチッテンデンという医学者は、フレッチャーを自分の教室へ引っ張っていって、その体力を試してみたが、これまで医学上立てた原則とはすっかり型破りのフレッチャーになっていた。初め教室へ引っ張っていく時は、「なあに、あいつにオレの築きあげた学理に、はずれるような事ができるものか、カロリーは三〇五五カロリー食べなければ生きていけるわけがない」と思っていたが、とうとうチッテンデンはかぶとをぬいだ。「フレッチャーの方がずっと上だ」というので栄養学の建て直しをすることになった。 



 補足説明

 三〇五五カロリーとは、現在でいう3055kcalのことです。栄養学は発足当初、人間が一日に必要とする摂取カロリーを4000kcalは必要であるとしていましたが、それが少しずつ下がってきて、現在の栄養学が言っている2500kcalにまで下がりました。上記の内容は、栄養学が人間が一日に必要とする摂取カロリーの基準を発足当初の4000kcalから現在の2500kcalにまで下げいく過程の時期であることが分かりますね。上記にありますように、栄養学は建て直しをしながら、現在は2500kcalに落ち着いているのです。

 しかし、この摂取カロリーの基準は今後もさらに下がることでしょう。やはり実地からすれば、人間が一日に必要とする摂取カロリーは1000~1500kcalが適正であると思います
。イェール大学シェフィールド理学部の生理化学教授であったチッテンデン博士(R. H. Chittenden)と同じように、やがて日本の現代栄養学が「かぶとをぬぐ」日が来るでしょう。




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ホーレス・フレッチャー(Horace Fletcher:1849~1919



 現代では、このフレッチャーさんの経験から得たものを「フレッチャーイズム」と呼び、咀嚼の大切さを伝えるときによく引き出されます。何よりの実地医学だからです。単なる研究室から生まれ出ただけの理論医学ではなく、実地がともなう実地医学です。

 裕福な時計商であったホーレス・フレッチャーは美食好きの生活が災いして半病人の体になってしまいましたが、健康法の一つとして食物を徹底的によく噛むことによって若々しい体力を取り戻しました。
 これが当時、イギリスやアメリカの名門大学の生理学者、栄養学者、さらには運動学者の心を動かし、世界的な評価を得るに至りました。フレッチャーはこの自分の経験から本を執筆し(下写真)、フレッチャーイズムは世界中に広まりました。日本では『完全咀嚼法』という書名で和訳され、1940年に大日本生活協会から出版されています。

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 当時フレッチャーは、40歳そこそこという若さで世界中から食材を取り寄せ、自分専用のコックを5人も雇い、美食を楽しんでいました。その結果、心臓に異常をきたし、消化器系統も病気寸前になってしまったのです。40歳で171cm、体重は100kg近くありました。「こんな体では末が心配だ」と思い、生命保険に入ろうとしましたが、身体検査の結果で不合格となり、生命保険の契約を断られてしまいました。
 これにショックを受けたフレッチャーはイギリスに渡り、名医を受診したり、有名な栄養学者にも学んでみましたが、納得する結果を得ることはできなかったのです。自分でいろいろな健康法を尋ね、実際に試みましたが、なかなかこれというものに出会えませんでした。


 そんな折、フレッチャーはイギリスのグラッドストーン首相(下写真)の話を偶然耳にします。

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ウイリアム・グラッドストーン


 イギリスで4期に渡り首相を務めたウイリアム・グラッドストーン(1809~1898)は、ある日、首相官邸で一人の新聞記者から、このような質問を受けました。

  「85歳にもかかわらず、どうしてお元気なのですか?」


 これに対して、グラッドストーンはこう答えました。

  天は、私たちに32本の歯を与えたから、いつも32回噛むようにしている。
   これを子ども達にも言い聞かせ、守らせるようにしている。」


  「食物を十分に噛む。私たちの歯は32本あるので、32回噛むようにしている。
   これを終生行うことが、私の健康法です。」



 そこで、フレッチャーも同じことを試し、「本当に空腹感の湧いたときだけ食べること」「新鮮なものをシンプルに調理して食べること」「ゆっくり味わいながら、よく噛んで食べること」などを実践したところ、みるみるうちに体重が減少し、体力が回復してきました。新鮮な野菜や果物、魚や卵などの以前の美食の時代からすると非常にシンプルな食事に変えて、食事をゆっくり味わいながら、徹底的によく噛むようにして食べると、食事の量も少なくてすんだのです。この結果を大学の栄養学の教室で調べてもらい、「噛む健康法」がいかに優れているかを証明しました。

 フレッチャーが実践し始めたのはごく単純なことでした。
「空腹になってから食べること」「徹底的によく噛んで食べること」のたった2つです。

 開始から半年後には、体重が65kgになり、今までの1/3の食事量で満足できるほど少食になりました。そして、食物の好みが変わって菜食者となり、心が安定してイライラしなくなり、糖尿病・高血圧・心臓病が治って健康になりました。

 フレッチャーが実践した要点は「咀嚼」「少食」「菜食」「シンプルな調理法」です。
 まさに、食養学さながらですね。

 以下に、フレッチャーの説いたフレッチャーイズム(よく噛む健康法)をまとめた資料を、いくつかご紹介します。




 食事法

  (1) 食事は、食欲が起きたときにとること。
  (2) 空腹でないときには、食事をとらないこと。
  (3) 愉快で、楽しい食事の時間をもつこと。
  (4) 食事の前や食事中にやたらに飲み物をとらないこと。
  (5) 食べたいと思うものを食べること。
  (6) 食べ物はよくかんで食べること。
  (7) 食べたくなかったら、途中でも食べることを止めること。


 効用

 消化・吸収にたいへんよい。
 食欲が起きると胃液が分泌され、腸の動きも活発になるため、上記の(1)を守ると、食べ物の消化・吸収が非常に効率よく行われます。また、下痢や便秘の治療としても、これは大原則です。
 空腹でもないのに食事をとると、胃液の分泌や腸の運動が不活発なために、消化・吸収が極めて悪く、また無理に血液を胃や腸に送るため、他の器官への血液のめぐりが悪くなり、不快感、不活発の原因ともなります。(2)を守ることは、そうしたことを防ぎます。
 (3)の「楽しい食事」は内臓の働きを活発にします。ということは、栄養素の吸収が効率よく行えるということで、これも意外に忘れられている原則です。
 食前のワインやビール、食事中のスープ、みそ汁は食欲を亢進させますが、食事中に水やお茶、清涼飲料水をガブガブ飲むと、胃液が薄くなり、消化が悪くなります。
 (4)は、とくに子供に守らせたい原則です。
 (5)は目で見たものを食べたいと思うのではなく、「体が要求するもの」という意味です。体が欲するものは、その人に必要な栄養素なのです。夏は酸味を、冬は甘味を求めるように、これは自然のバランスともいえます。しかし、決して偏食のことではありません。
 フレッチャーは「百回噛みなさい」と言っていますが、それほどではなくとも、(6)は消化・吸収のために大切なことです。
 無理に食べることは過食のもとです。とくに中年以降は、(7)を守り、腹八分の原則を守ることが、成人病予防の第一歩となります。


 利用法

 規則正しい生活とともに。
 この健康法を実施するときは、まず規則正しい生活のリズムをつくることからはじめます。
朝は食事の一時間前に起き、食欲を起させる。低血圧、便秘ぎみの人はもう少し早めに起きて、軽い運動をすると食欲が進む。
昼間は昼食以外にはあまり間食をしないこと。夕食を早めにとること。
夕食はできれば太陽が空にあるうちが望ましい。夜遅く、寝る間際にとると、過食でなくても、栄養分が体内に蓄積されて、肥満の原因ともなる。
忙しくても、せめて夕食は一家で楽しく摂った方が、体の新陳代謝を活発にさせる。


 注意点

 都合のよいことだけを守っては逆効果に。フレッチャー健康法は食生活の大原則ですが、かといって、生活が不規則なのに都合のよいことだけを守っては、返ってマイナス効果を生みます。
食欲と単に目で見て食べたいものとを混合しないこと。
「愉快で楽しい」とは、決して豪華で騒がしい食事ではなく、家族の心が一つになれる食事のことをさす。
食べたいと思うものを食べることは、偏食という意味ではなく、体調にあったもの、という意味。
食事を途中で止めるといっても、物を粗末にすることではない。







フレッチャーイズム 6大原則

  (1)本当の食欲が出るのを待つ。
  (2)最も食欲を訴え、かつ食欲の要求する有効な食物を選ぶ。
  (3)完全に咀嚼して、食物の味覚を味わい尽くし、実際に飲み込まざるを得なくなってから飲み込む。
  (4)楽しみながら味覚を味わい、他のことは考えない。
  (5)食欲の起こるのを待て。そして、できるだけ食欲の示すものをとり、よく噛み、楽しむ。
  (6)食事中はアルコールを飲まないこと。

   A.時間をかけてよく噛んでから飲み込む
   B.本当にお腹が空いた時だけ食べる
   C.無理に食材を選ぶ必要は無い
   D.食事という行為を心から楽しむ
   E.腹八分目







フレッチャーさんの噛む健康法 12ヶ条


第1条
 腹が大いに減り、運動や仕事のあとに自然に出てきた食欲が、どうしても食べずにいられない段階になるまで、我慢して食べずにいたほうがよい。

第2条
 その時に食べる食品は、食欲の精神心理的な面も十分に頭に入れて、今最も欲しいものを選んで順番をたてる。その時、食品の取り合わせについては、厳密に学問上の原則を気にかける必要はない。

第3条
 口に入れた一塊(一口量)の食物は十分に噛んで砕いて、噛むうちに自然に出てくる唾液としっかり混ぜ、何度も噛むこと。そうすることで、飲み込みの反射が自然に働き、食道が開き、食物が流れ込む。口の中に残った分は、また繰り返し同様にするが、決して強い力での噛み過ぎや、過度に長い咀噛はしないこと。
 昔から「健康になるためには、水も牛乳も噛んで食べなさい」と言われているように、液体も、直ちには飲み下さず、唾液と混ざり合うように扱うこと。

第4条
食事の時には、ただ一心に食べることを楽しむこと。
「美味しいという感覚」を思うままに働かせて、それぞれの口に合うものを食べるがよい。食事中は精神を口の中に集中して、いわば「ゆっくり、ゆったり、よく噛んで食べる」ようにすること。
 何か気にかかることがあっても、食事中にはそれを一切考えない。気にかけないこと。
 ひどく忙しく、つめて頭を使うことがあったとしたら、その日だけ一食にしてもよい。
 仕事が終わってから食べる。もし、気がむしゃくしゃしたり、腹が立ったり、とても気持ちが沈んだり、何か悪いことがあったりした時には、一度ぐらいなら食事はしないほうがよい。そうした時は、食物が思うように体内で利用されないで身体の具合を悪くするから、気分の回復を待つ。
 今、口の中の食物がどんなふうに噛まれたのだろうか? 唾液がうまく混ざったか? さて、どんな味が出てくるのか? などと、そっと様子をさぐって食物に集中することを忘れてはならない。そうすると、唾液ばかりでなく、胃液の分泌も盛んになってくる。

第5条
 よくよく腹加減に気をつけて、たいていのところで止めておく。「うまい」といって、むやみやたらに食べない。「腹八分目」がよい。「腹八分は医者いらず」である。もっとも、フレッチャー式噛み方をすると、胃が自然に満足して、つめ込もうとしてもそうはならない。つまり、満腹感というものが自然に湧き出してくるから、もっとよい。

第6条
 以上の点をかたく守れば、食物は完全に消化する。わずかばかりの残り物ができても、ほとんど内臓をわずらわすことなく、糞便は力まなくても、そろりそろりと排泄される。まことに便利である。すなわち、便の量が減るということは本当にありがたい。

第7条
 それに排泄された便はあまり臭くない。多く食べて、ろくに噛まないで飲み込むと、腸内で細菌の働きが盛んになり、そのために大いに腐敗分解が行われるから、インドール、スカトールという臭み成分などができて悪く臭うが、フレッチャー式ならば大丈夫。

第8条
 食物の種類にもよるが、このように行われると、出る物も順調に降りてくる。

第9条
 便の重さは1日せいぜい40~50gぐらいである。しかし、食物繊維性の物を多く食べると多くなる。ただし、腐敗することが少ないため、腸内で毒素が生ぜず、有害な腸毒が血中に吸収されての自家中毒になることはない。したがって、脳の働きも向上するし、他の臓器も病気にかからないから、健康上どれほどよいかはかりしれない。

第10条
 食べる時には、なるべく汁物や液を避けるほうがよい。液体をとると、十分に咀噛ができないし、唾液が食物とよく混ざらない。食事時以外に水は飲むべし。

第11条
 馴れないうちは非常に根気がいるが、注意を集中し、がんばって一所懸命やれば、できないことはない。十分な唾液の分泌は「口内消化」の大切な要素である。「口内消化」にさえ十分に気をつければ、次の胃の消化液分泌も、その次もきちんと正しく行われる。

第12条
 「フレッチャーの噛む健康法」を実行してみたいと思う人は、はじめから過大な期待をかけないほうがよい。しかし、はじめが肝心。はじめたら少しずつ実行していくことである。しばらくしたら、一度は「ハタと壁に突き当たるところ」があり、不快感が生じるかもしれない。しかし、これは一時的なもので、これを越えることができれば、あとは忍耐と、この法則の注意点を十分に頭に入れて実行したら、きっと成功できる。






 以上、フレッチャーの咀嚼主義に関する資料でした。

 「よく噛む」と言えば、マクロビオティックでも、玄米飯を一口につき200~300回は噛んで噛んで、噛み尽すまで噛む「咀嚼療法」が有名です。この「よく噛む」というのは「よく噛んで飲み込めば、胃腸への消化の負担が減りますよ」というだけではありません。人間の口内で行われる「噛む」行為ですが、このとき「口内」ではあることが起こっているのです。

 「人間の消化作用は胃から始まる」と思っている人が大多数でしょうけれど、正しくは「口内」から始まっています。口に入れた食物をよく噛むことによって唾液がよく混ざり、唾液の中には消化酵素が含まれているので、よく噛めば噛むほど、消化酵素による口内での消化が行われていきます(口内消化たんぱく質を分解する酵素は含まれていません)。これにより食物の栄養が腸で吸収されやすくなり、少量で充分な栄養吸収が成されるのです。

 一般的には、食事をすれば自動的に食物の栄養はすべて吸収されていると思われていますが、実はそう単純にはいきません。食べた量=栄養吸収量、ではないのです。現代の日本人は美食によって腸を汚し、過食によって宿便を溜めて腸麻痺を起して腸機能が十分に働いていない方が多いのです。これでは腸の栄養吸収率が悪く、食べた物の栄養がすべて吸収されることはありません。少食や断食の継続で宿便が排泄されると腸麻痺が治り、腸の吸収率が上がります。すると、少量の食事でも、食べた物に含まれる栄養を根こそぎ吸収するようになるのです。

 世間には、一日に一食くらいしか食べれない少食者もいますが、こういう少食者はたいてい周りの人たちから「よく一日一食で体がもつね、体に悪いんじゃないの~」「もっと食べなさァ~い」とか言われていることでしょう。しかし、一日一食しか食べれないような少食者こそ、優れた腸機能を持っているのです。そのような少食者は病弱の人っているでしょうか? いいえ、一日一食の食事量で、至って健康そのものです。一日一食の食事量であっても、その食べた食事に含まれる栄養を根こそぎ吸収できる腸を持っているので、それで不足なく充分に足りてしまうのです。それ以上の食事は過食になってしまうので、自然と体が求めないのです。

 一日に三食も美食したり過食したりしているような方は決まって宿便が溜まって腸麻痺を起しており、腸の機能も低下しています。ですから、栄養吸収率が悪く、一日三食しっかりと食べたところが、三食分の栄養吸収などできていないのです。しっかりと栄養吸収ができていないから、もっともっとと自然と体が食事を要求してきて、難なく過食ができてしまうのです。優れた栄養吸収率を誇る腸の保持者は絶対に過食はできません。過食すれば過食した分も根こそぎ栄養吸収してしまうので、栄養摂取過多に陥って体調を崩します。一日三食も食べているうちは、腸はまともに働いていないと悟るべきです。昔から「少食に利有り」と言われてきた背景には、こうした医学的根拠があったのです。

 このように、栄養摂取を見つめるときは「栄養吸収率」まで見てあげなければいけません。よくよく咀嚼してから食べれば栄養吸収率も上がり、少量の食事量で足りるようにもなり、それだけ胃腸に余計な仕事をさせないですむようになるでしょう。

 この完全咀嚼法も、特別にお金がかかるものではありません。肥田春充は「お金がかからず、簡単で、毎日できて、効果があるものにこそ、真の価値がある」と言っていましたが、フレッチャーが残してくれた「完全咀嚼法」も、特別にお金がかかるものではありません。「完全咀嚼法」はお金のかからない価値ある健康法のひとつです。

 現代のような忙しい社会生活の中に生きていると「いつまでもクチャクチャと噛んでいられるかァ~!」と思われる方が多いでしょうけれど、ここは一度視点を変えてみれば、このようにも思えるはずです。

「徹底的に噛みさえすりゃ~えぇ~のか! 本当にそれでえぇ~のか! ほっほぉ~~う!
 お金もかからんと、こりゃぁ~ 確かに簡単でえぇ~わなァ!
 よし、そしたら、何とかそのくらいの時間は作ってみて、まァ~いっちょ、やってみっかァ!!!」


 食も体も心も乱れ切ってしまった現代という時代には、病気になる人が後を断たず、一体どうしてよいものやら路頭に迷い、何も分からないために「医者の言いなり」になってしまっている方がとても多いです。医者の言うことに疑問を感じていながら、食養などの自己療法という手段に目を向けられない方がたくさんいるのです。

 自己療法とは、家庭でできる「自分の体を癒すための一番身近な手段」です。この一番身近な手段もなくして、病院の治療をいくらを受けても、化学医薬をいくら処方されても、それで「体の根本」が正されるわけではないのですから、持病が治ることなどあり得ないのです。持病を治すのに、自己療法も一切せず、病院だけに頼るのは、一番肝心な「治病の根本」が得られていない状態です。イギリスという先進国では「自己療法を自宅でできない人は、病院はもう診ませんよ!」という医療方針になってきています。ほとんどの病気は家庭での間違った「生活習慣」と「食習慣」が起因しており、この根本原因を何も改善しないで病院に頼って来ても、そりゃ病気が治るわけがないでしょう!ということなのです。イギリスはこれで病人を減少させました。病院に行ってもお金がかかるばかりで、持病の治る気配がまったく感じられないと苦しむ方は、この自己療法という大事な手段を、本気で自分の日常の中に迎え入れなければなりません。持病改善の上で重要な位置を占める自己療法に対して、日本の現代医療ではほとんど指導が成されていませんから、自分に必要な自己療法を見出さなければなりません。持病を改善するには、医者の指導だけでは全然足りないことに早く気づき、自分なりの自己療法を見出して治病の土台にし、同時に現代医療の恩恵を上手に活かしていきましょう! 現代医療だけでは絶対に足りませんよ!

 完全咀嚼法はお金のかからない優秀な自己療法になり得ます。毎日の忙しい生活に追われている現代人ではありますが、完全咀嚼をしながら食事をすることの価値を理解できたならば、上記のような「徹底的に噛みさえすりゃ~えぇ~のか! 本当にそれでえぇ~のか! ほっほぉ~~う!」的な感じ方だって「当然、あり!」なはずですから、まずは試しにフレッチャーさんを目標に置いて、自分なりにできるところから「咀嚼」というものを大事に活かして食事をしてみましょう♪

 フレッチャーさんの「モノマネ」からでよいのですから!