「亀の子たわし」で体を洗うことによって「皮膚を強くする健康法」をご紹介します。
 人間の皮膚機能はとても重要です。体の内部とも関連しているからです。

 昔、銭湯に行くと、亀の子たわしで体を洗うお年寄りがいました。これは、お風呂のときに亀の子たわしで体(皮膚)を洗うことによって、皮膚自体を鍛えて体を丈夫にするという健康法です。

 これを発案したのが、明治時代から昭和初期にかけて活躍された「肥田春充ひだはるみち)」という運動家です。

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明治時代、日本で最も著名であった『肥田式強健術』を創始した運動家・博士「肥田春充」


 肥田春充は自身がとても病弱で、皮膚を鍛えることが大切だということを知り、毎日、簡単便利で手軽に皮膚を鍛えられる方法はないものかと、皮膚に砂を擦りつけたり、皮膚を荒縄でゴシゴシと磨いたり・・・ と様々な方法を試し、一番簡単にして便利な方法であったのが「亀の子たわしで皮膚を摩擦する」というものでした。東洋医学の鍼灸医学では、内臓の状態が皮膚表面直下の経絡穴(ツボ)に現われるといいます。鍼灸治療はこの皮膚直下にある経絡穴に鍼(はり)をうつことで、内臓の病気を治すというものです。亀の子たわしで皮膚を摩擦することによって皮膚を鍛えるのと同時に、鍼灸医学でいう経絡穴(ツボ)をも刺激して内臓を鍛えることになります。ですから、風呂で体を洗うときに亀の子たわしを使うのは、体の健康に大変有効なのです。

 明治時代の博士「肥田春充」という人物のバイブル的著書で、医学的見地からの解剖学、衛生学、生理学、胸腹式呼吸法や身体の仕組みについて分かり易く書いてある著書『聖中心道 肥田式強健術』という図書から、「亀の子たわしで皮膚を鍛える」という資料のご紹介をします。ただ、昭和11年に出版された本ですから、 旧仮名遣いで読みにくいと思います。原文をそのままに、現代仮名遣いに直しましたから、ぜひ読んでみてください。

 



 肥田春充については、今、かなり有名になってきました。ご存知の方も多いかと思いますが、まず初めに、まだご存知ない方のために肥田春充について触れてみます。

 肥田春充は明治生まれの人で、9人家族の内、6人が次々と病気で死んでしまった家系に生まれました。春充自身も幼少の頃に、4回も死の床について、かろうじて生き延びた経緯を持ちます。しかし生き延びたといっても、それは「ただ、生き延びた・・・・」というだけで、身体が弱く、内臓器官はことごとく機能せず、骨と皮だけのきゃしゃな身体で、身体が栄養を吸収できないから発育できず、小さい体、弱い体、そんなことだから神経機能も発達せず、神経も非常に弱かった・・・ と自分で語っています。

 春充は、母も長兄以外の兄弟も、みな病気で死に、自分は「ただ、生き延びた・・・」というだけの、弱く、病弱の自身を思い、これから先の人生を思うと「恐ろしさと希望のなさに、死にたくても死にきれなった・・・」と語っています。 

 18才まで病床の生活を続け、学校にも行けなかったけれど、一念発起して、古今東西、当時の東洋西洋ありとあらゆる健康法、運動法を医学的見地から研究して独学で学び、身体の中からの真の健康体を手にした人です。それが当時の日本国民に受け入れられ、求められて発表したのが『聖中心道 肥田式強健術』という著書です。戦前戦後、当時の日本では最も有名な運動家であり、博士でした。

 肥田春充の凄さは、医者にも見離された、こんなにもひどい自分の身体を医者の薬を一切使わずに、運動法や、人間の肉体の自然の法則に従って行う健康法によって、心と身体の健康を獲得しているところです。

 現代の医者は、何でもすぐに薬、薬、薬・・・、 薬を出すだけです。薬も必要なときがありますが、薬などは使わずに、身体の機能を向上させる方法はたくさんあるようです。薬などは使わずに、身体の自然の法則に従って、身体機能を向上せしめたほうがよいに決まっています。また、身体の機能自体を向上させ得なければ、いくら医薬を使っても真の完治には至らないと思います。

 この本は戦前(昭和11年)に出版された本で、春充自身も正義感が強く、実直で、熱血漢の明治気質な男なので、言い回しがとても古臭いです。歴史上、肥田春充の業績は、現在ではほとんど忘れ去られていますが、先に触れましたように、戦前戦後の日本では最も名の通った運動家でした。

 春充の父は医師であり、名医として知られています。
 春充の祖父は、長州藩の武術指南役を務めていた武術の達人です。


 この数年、「ナンバ歩き」や「ナンバ走法」などで有名になり、テレビでも活躍しておられる古武術家「甲野善紀」氏によって、春充の存在が世間に広く紹介されました。そのお陰で、最近でこそ、ようやく武道家や運動家などの多くの専門家の目に触れるようになりました。

 1998年、映画監督 今村昌平氏により、柄本明 主演で「カンゾー先生」という映画が上映されました。この映画の主人公として有名な「肝臓先生」こと「佐藤清一」先生は、日本一の肝臓医として知られる医師でした。この肝臓先生(佐藤清一医師)は肥田式強健術の研究家で、肥田式強健術を習得し、それを医療に取り入れて多くの成果を残されました。

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肝臓先生こと、佐藤清一医師


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強健術中の「カンゾー先生」



 肥田式強健術の「八大条件」の一つに「皮膚の強靭」が上げられています。春充が「皮膚を鍛えて強くすること」の重要性をよくよく認識していたからです。「亀の子たわしの強硬摩擦」は、春充が皮膚機能や神経機能を発達させるために、特に重視し、力を入れていたものであり、生涯を通して継続したものでもあります。これを読んでみて納得し、楽しんでやってみてもらえたならと思います。



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 聖中心道 肥田式強健術  肥田春充(著) 昭和11年出版

厳冬富士の下で、悠々冷水浴 (皮膚について

 皮膚には、呼吸、排泄、体温の調節、触覚の作用等があって、表皮、眞皮(しんぴ)、下皮からできている。表皮は上が角質層で、下が皮膚に色を与えるピグメントの集合している柔軟層である。眞皮は強靭なる結締組織から成り、乳頭という無数の釘状突起があり、中に、毛細管及び知覚神経の末梢器たる、触覚小体がある。下皮は脂肪を含んだ、ショウ粗の組織からできている。

 胃と脳とは、直接、迷走神経によって連なっているから、両者は密接の関係を持っているものである。そして脳と神経とは、同一系統のものであるから、脳の健全な神経衰弱者というものはあり得ない。従って、神経の強壮な者であって、脳の悪いというものもない。ここにいう脳の善悪は、知能的の意味ではなくして、生理的病理的意味のものもあることを、ご承知願っておく。それと同時に、神経衰弱者にして胃腸の強健な者はなく、胃腸の健全な神経衰弱者という者もまた極めて稀である。然るに、皮膚の機能の悪い者は、多くは胃腸の働きが鈍く、神経の作用が弱いということに、心付く者は少ないであろう。

 されば、・・・・・・ 根本的に皮膚を強くせんとせば、― そうして胃腸の働きを旺にせんとせば ―、神経を強くせんとせば―、頭脳を清快にせんとせば―、日光に当たれ。空気にさらせ。冷水を浴びよ。運動せよ。― 而して、摩擦をやれ。殊に強硬摩擦を行え。

 私は、冷水摩擦、乾布摩擦位のものに限らず、種々のことをやってみた。冬の日、素っ裸になって乾いた土砂や、木屑などを、全身に付けて、摩ってみた。それから又、荒縄や、亀の子束子や、棕櫚縄などでゴシリゴシリと摩ったりした。私はそのどれをも、熱心に試みたけれども、亀の子束子の摩擦が、一番、簡易、壮快で、且つ効果があった。亀の子束子であると、眞皮乳頭に強烈な刺激を与え、毛細管の働きを旺にし、触覚小体(知覚神経の末梢器)の機能を、敏活にすることが、他の何物にも勝って、有効であった。摩擦は又表皮を強靭にするばかりでなく、皮下脂肪の含蓄、その度に過ぐるのを防ぐの効果がある。

 私は毎朝、頭から水をかぶって、洗濯石鹸を全身にぬたぶり、それから、亀の子束子で、脚から胴から、腕の先まで、ゴシゴシ摩り、最後に頭から顔まで、撫でまわす。殊に顔をこすった後は、眼も鼻も口も活々と緊ってきて、非常に壮快なものである。

 然しこんなことは、決して形の上から学ぶことではない。身体の内外が練り鍛えられて、頑強となり、熱汗熱血の併せる所、自然の要求となって、喪から燃え溢れた時、所謂(いわゆる)ユッタリと、落ち着きはらって、楽しんでやるべきことであって、イヤイヤながら、ブルブル震えながら、こんな無茶なことをする ― と、忽ち、風邪をひきますぞ ・・・・・・・・・。


摩擦によって、難病全治す (亀の子束子の摩擦の効用について

 胃の悪い者は、鼻の下端に、弛みが現れる。こうなっているのは、すでに神経がおかされて、憂鬱症にとらわれている証拠である。それであるから、鼻の両端を、束子で摩ると、神経系統から、胃まで晴々した刺激が響いてくる。そして口元が緊って、眼が活き活きとしてくる。微笑は自ずから、頬に溢れる。健康の輝きは眉間に閃くのである。あんな強いもので摩ったならば、皮膚は荒れてガサガサになるであろうとの、心配は御無用。表皮の新陳代謝が良くなって、脂肪の分泌も盛んになるから、皮膚はかえって、ツルツルと滑らかになり、まるでバタのようになる。のみならず血行が旺になって、全身に活力が出てくる。

 私の兄が院長として優良学生(中学生以上)を収容して、勉学とともに、日夕、修養の道に、いそしませつつある寮舎がある。場所は、東京小石川丸山町二十一番地(昭和11年当時)の高台で、遥かに富士山が雲表にそびえているのが眺められる。ここで学生諸君の世話をしておられる村安吉三郎君は、心臓その他の難症になやまされ、幾多の名医大医の診療投薬を受けたけれども、さらにその効顕がなく、もはや回復の見込みなしと見放された。刻々重態に陥り行く時、フト気が付いたのは、学生諸君が早朝の強健術施行前にやる、亀の子束子の摩擦のことであった。そこで傍人をして、ごく静かに摩らせた。然るに、段々体に精力がついてきた。しまいには自分で、床の中で、ソッと摩るようになった。するとどうだ。一日々々と良くなって行って、とうとう丈夫になってしまった。そして強健術練修法の全部をやるようになった。起死回生とはまさにこのことである。ただに丈夫になったところじゃない。同氏は体の小さい方であるから、旺に労働した頃でも米一表運ぶことは、相当骨が折れたそうであるが、この頃は年を老って、かえって体力が強くなり、一表の米は、楽々とかつぐことができるようになったそうである。昭和九年に会った時など、丸々として肥え太って居った。


壮快なる、亀の子束子の刺激 (亀の子束子の擦り方ついて

 何人も実行すれば、その実行を継続すれば、間もなく、その効果を経験することができるであろう。毎朝冷水摩擦、乾摩擦に、宗呂束子を使うことを、面倒に思わるる方は、せめて入浴の時だけでも、使っていただきたいと思うのである。湯にしたした体を、石鹸をつけた亀の子束子でゴシリゴシリと擦ると、皮膚はムズ痒いようになって、一層強く、ギュウギュウと擦りたくなる。丁度痒い所を掻くような爽快感を覚える。一寸のうちに、生まれ変わったように晴々する。清潔になる。これまでになると、無刺激な手ぬぐいなど、生微温くて、とても使われない。石鹸を束子に附けて、ゴシゴシと、全身を擦った後に、湯を頭から被ると、脂肪も汗も垢も、奇麗にサラサラと流れ落ちて、皮膚はキスキスと、ゴムを洗ったようになる。

 そこで一番大切な、「擦り方」を述べておかねばならぬ。

   先ず、足の先から逆に、上のほうへ擦り上げる。

   腕も手先から上へ擦る。背中もそうだ。腹も胸も、下から上に擦る。

   下に向かって擦るのとは、爽快な感じが一段と違うものである。

   ただ、腹はあとで、臍を中心として円形に、胃部を左右に、

   胸は、乳を中心として円形に、重ねて擦ることにしたい。

   同一場所は3~4回で充分だから、時間は更にかからないのである。

   逆に擦ることが、最上の秘訣である。 (全て、下から上に擦ること

 初め慣れるまでは、乾いた硬いタオルで擦り、次には、束子を石で擦って毛を充分に軟かくしたものを、使うようにしたら宜しい。随分汚れているものだから、洗濯石鹸をつけて、よく水で洗い流してから使った方が良い。元来、鍋釜を洗うように、できているものですからね。だが、私達の皮膚も、鍋釜の底見たように、頑丈なものにしたいではないか。

 私の机には、チャンと亀の子束子が入れてある。時々擦りたくなるからだ。風呂場にも備え附けてある。道場にもブラ下っている。私は軟かくて利かなくなった束子は、ハサミで先を切り取って、パリパリと硬くして使っている。少し継続してやると新しい亀の子束子の強い強い強い刺激を好むようになる。僅々二銭か三銭の宗呂束子も、強健を楽しむ私にとっては、まさに千金の価値がある。そして私の皮膚にとっては、最上の愛友である。

 君! 丈夫になるのには、金などはチットも要らんよ! 強健術練修後、乾いた亀の子束子で全身を擦り、泰然として端坐し、静かに、痒いような、焼けるような感じを、自分の皮膚に味わう快さよ!


活力を誘う冷水浴 (冷水浴の効用について

 私は此の頃、朝起きたら、そのまま、猿股一つで枕頭に立ち、静かにして、重々しい中心の大緊張十五回、其の時間、約四十五秒、棕櫚縄の強硬摩擦一遍、其の時間約五十秒、終りて、便所に行く。約五分。それから素っ裸のまま、水桶の所へ行って、歯を磨き、舌をこく。三十秒。それが済んだら、トタンの水桶で、先ず股から下へ二杯、そうして、肩から後ろへ二杯、次に頭から二杯かぶる。所要時間三十秒。それから、亀の子束子に石鹸を附け、全身をこする。殊に頭はフケがスッカリ落ちてしまうように、よく掻く。一分間かかる。次に頭から、続け様に七杯被る。十五秒。こうして、脳から脊髄神経に、寒刺激を与える。更に冷水うがい五回、十五秒。鼻中へ吸入七回、十秒。それから、顔を桶の中に突き込んで、水の中で、眼を開く。最後に頭から、三杯被る。頭から背中へ、ジャブジャブと被って、脳から脊髄神経を冷やすことが肝要である。十秒間かかる。頭から水を被るのに、便利なために、私は頭髪は一分刈にしている。・・・・・ 私はバリカンを、左右の手に持ちかえて、ひとりで四分間に全部刈ってしまう。・・・・・ 以上、運動水浴に要する正味の時間は約五分三十秒である。かくの如く、被る水まで数をきめて、機械的に規則正しくやった方が、習慣的に永続する上に於いて便利である。

 最初、水を被る時のゾットする感じが、皮膚を鍛え、神経を錬るのである。寒い時の水浴で、注意すべきことは、吹きさらしを避けることである。水を被る元気の無い者は、濡れ手ぬぐいで、奇麗に拭うだけでも、非常な効果がある。それは一晩のうちに、皮膚に排出された疲労物質が、分泌した脂肪と混合して、気孔を塞ぐから、健康上甚だ宜しくない。体を拭くことすら、億劫な時には、股だけ、清潔に洗滌して置くとよい。夏の暑い時などには、シャツと猿股を水にしたして、固く絞り、それを着ていれば、涼気肌から湧き起こる。水を被る室は、贅沢を云わせれば、南向きで、曇りガラスの窓、水桶は内部が、白色のものであってほしい。清れいの気は、室内に漲り、飛び込むのに、少しも、いやな感がしないものである。愉快で有効なのは、適宜の滝に打たれることである。海水浴の良いことは、言うに及ばぬ。

 一体、外来の刺激は、知覚神経によって、中枢に報告され、中枢は其れによって、適当の命令を、それぞれの神経に興えて、色々の働きをさせるのであるが、中枢の命令を俟たずに、作用するのが、反射運動である。冷水浴によって、皮膚の知覚神経が刺激されると、血管系に反射運動が起こって、平滑筋が収縮され、反対に、内臓及び脳髄の血管は、著しく拡大される。従って、収縮した外部血管中の血圧は高くなり、拡大された内部血管中へ、血流は、勢い強く注入される。次いで反動作用として、皮膚筋肉の血管は、漸次に拡大され、反対に、内臓の血管は収縮して、血液は、盛んに外表に流れてくる。冷水浴の後、皮膚が紅色を呈するのは、これが為である。かくの如くにして、不随意筋である血管に、伸縮運動をさせ、また循環機能を盛んにして、血液の配分状態を良くすることは、新陳代謝を促進する上に於いて、多大の効果があるものである。冷水浴は、寒刺激によって、ただに末梢神経を強くするのみならず、中枢をも鍛えて、其の作用を健全にする。中心練磨(丹田練磨)と、冷水浴と、食養とによって、神経衰弱なんか、徹底的に根治することができる。


 



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 どうでしたか?

 亀の子たわしで皮膚を強靭にする方法は簡単便利で安あがり、毎日お風呂に入るときにできて、健康を促進してくれるものです。この文献の中には皮膚を強化する方法として、亀の子たわし以外に「冷水浴」(体に冷水を浴びることによって皮膚表面をよく冷やし、皮膚に冷感刺激を与え、体の内外の血行循環を良好ならしめる方法)も紹介されていました。本来、人間の皮膚も自然界の大樹(大木)と同じように、冷たい風にさらされたり(当たったり)、雨にもさらされる(当たる)べきものだと、二木謙三(ふたきけんぞう元東京大学名誉教授医学博士文化勲章受章参照1参照2)先生は言われました。これは、自然界の動物と同じなのです。

 しかし、人間が好き好んで、寒風が吹いたなら、大雨が降ったなら、大雪が降ったなら、「うっひっひっー! ほら来た・・・、ほら来たァ~~! さァァ、待ってましたァ!! 皮膚を鍛える絶好のチャンスだ!!!」と言わんばかりに外に皮膚をさらしに行く・・・ というのは、やはり、ちょっと異常です。もしかしたら変態かもしれません・・・。やはり、誰もやりません。やっちゃダメです。

 実は、肥田春充は そこまでやりました。明治時代の山梨県出身で、強健を志してから、真冬におもての川へ行って、素っ裸で首まで浸かりに行ったのです。昔の日本の真冬ですから、おそらく零下です。必死になって皮膚を鍛えたかったのでしょうね! それだけ皮膚機能を高める価値に気がついていたのでしょう。
 肥田春充は子供の頃から病気ばかりで陰鬱の日々を暮らし、自分の体と精神の虚弱さに恐れ、まして死にかけていたのですから、安心して強く生きていけるような「強い体」「強い精神」になりたくて必死だったのでしょうね・・・。
 春充は著書の中で「この人生の戦場において・・」という言葉を残しています。「人間の人生は戦場だ」という感覚を持っていたのでしょう。いつまで生きれるかも分らない病弱な体、たとえ生き延びたとしても、体と心の弱さに何もできない人生、そのような自分の人生を「戦場」と表現するくらいに「毎日が恐怖心との闘い」だったのでしょうね。
 年若くして、そこまで人生の崖っぷちに立たされていたからこそ、一般の人では気づけないような手段を研究して、肥田式強健術として見い出せたのかもしれません。春充は自分で考案した強健術を断固実行し続け、ようやく病気を克服して人並みの体になりました。しかも、健康体になったからといって、そこで強健術を止めることなく、さらに長年継続し続けた暁には特殊な能力まで得てしまったという特異なる博士でした。明治という時代には、このような人物が多く輩出されました。このような人物に触れるとき、明治時代を生き抜いた日本人のたくましさと強さを感じます!



 ですから、せめてお風呂に入るときだけでも亀の子たわしで体をよく洗い、風呂の湯によくつかって体を温めてから、最後、風呂から出るときに冷水を浴びることだけでもするとよいのです。皮膚は「冷感刺激」を受けて、間違いなく強化されます。皮膚の強さは、案外大事なことなのです。

 東洋医学の鍼灸師である先生の娘さんが強度の腰痛になってしまったときに、その先生が娘さんに対して、真っ先に指示したのは「風呂からあがるときに、膝の上から足の先、踵、そして 足の裏(ここが大事なポイント!)にいたるまで、よ~くよ~く、冷水のシャワーで皮膚表面をうんと冷やしてから出るようにしなさい!」でした。

 足()の皮膚への冷水シャワーによる「冷感刺激」が、皮膚直下の経絡穴(ツボ)を通して骨盤によい影響を与えるのです。これも、病院の高額な治療費がかかることになるのに比べたなら、水道代のほうが遥かに安上がりですみます。お金などかからない価値のある健康法や手段は、いろいろとあるものですね。

 もちろん、冷やしすぎはいけませんよ! 適宜(てきぎ)にです!
 皮膚の表面がしっかりと冷えるくらいがちょうどよいです♪



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市販の〈浴用〉亀の子束子

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 皮膚摩擦用(浴用)の亀の子たわしは、東急ハンズなどで売られています。
 硬さも、麻(柔らかめ)、麻+シュロ(弱硬)、シュロ(中硬)、パーム(強硬)と4種類揃っています。
 ただ、東急ハンズでは2種類くらいしか置いていないと思います。購入するならば、通販のほうが確実です。

 最初は柔らかめの「麻」から始めて、物足りなくなったら「麻+シュロ」にして、また物足りなくなれば「シュロ」に硬さを上げて、最終的に硬い「パーム」にしていくとよいと思います。
 決して無理をしないで、少しずつ少しずつ、たわしの硬さに慣れていきましょう!


 これは『株式会社 亀の子束子西尾商店』の「健康たわし」という商品です。
 商品名は、サトオさん()、タムラさん(シュロ)、ナリタくん(シュロ)、ニシオくん(パーム)です。

 たわしの硬さは、
 〈〉  サトオさん(  タムラさん(シュロ  ナリタくん(シュロ  ニシオくん(パーム) 〈
 の順になっています。

     サトオさん とても柔らかなサイザル麻を使用した、初心者向けのタワシ
     サトオさん とても柔らかなサイザル麻とシュロを使用したタワシ
     サトオさん 少し硬めのシュロを使用した、ちょっと刺激のあるタワシ
     サトオさん 硬めのホワイトパームを使用した、刺激のあるタワシ


 以下の商品は順番は〈柔らかい硬い〉の順に並べています。
 〈〉  サトオさん(  タムラさん(シュロ  ナリタくん(シュロ  ニシオくん(パーム) 〈〉順。


    片手サイズ

         



    ひも付き (背中が洗えます

         



    おたま

         



    背中洗い用

         



    木柄付 (手で握り持てる柄が付いています二郎くん 柔らかめ太郎くん 硬め

     




 ちなみに、私は本気で「亀の子たわしの強硬摩擦」を継続するつもりだったので、上の商品は「おたま」と「木柄付」以外はすべて揃えて、少しずつ始めました。
 最初はさすがにサトオさん()でも皮膚が痛かったのですが、サトオさん(  タムラさん(シュロ  ナリタくん(シュロ  ニシオくん(パーム)と順序良く進めていくうちに、最終的にはニシオくん(パーム)でも柔らかく感じるようになりました。
 今では上の浴用商品ですと “繊維の質が上質すぎて” どれも柔らかく感じますので、私は次の「鍋釜用の硬いたわし」を使用しています。鍋釜用のタワシは浴用に比べて繊維が上質ではないので、それがかえって硬めに感じて私にはちょうど良いです。


    パームたわし
    私の母が「山本リンダさんがテレビでそれと同じのを使ってたよ♪」と言ってました。
    確かに私も、噂は信じないほうが良いと思います。




    棕櫚たわし
    私は棕櫚の柔軟な硬さが好きです。
    大きさがいろいろありますので、ご自分に合った大きさを選ばれてください。


        




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 では、最後はフォトギャラリーとして、現存する「肥田春充の写真」と、昭和11年に撮影された「肥田春充による肥田式強健術の演武映像(You Tube)」を挙げてみます。参考資料としてご覧ください。





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講演にて講義する肥田春充


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子供たちに指導する肥田春充 ≪ 強健術の稽古風景 ≫


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               ≪左≫ 河合信水(春充の実兄)
               ≪右≫ 肥田春充(肥田家に婿養子に入る前は 河合春充)
               いわゆる、「兄弟の記念写真」ですね






昭和11年 肥田春充による「肥田式強健術」の演舞