日本人の「肉食感覚」についてお話したいと思います。
 おそらく、肉食に対して、このようなことは考えたこともない方が多いことでしょう。
 まずは、「体によい食事 ダメな食事(幕内秀夫・著) 」からの抜粋からです。





 体によい食事 ダメな食事  幕内秀夫 (著)


「全部、丸ごと食べる」がバランスのいい食事です

 現在の食生活では、いろいろな食物が精製されています。別ないい方をすれば、どんな食物であれ、その「一部分」しか食べません。だから、ビタミンやミネラル類などの微量栄養素が不足するのです。よく、「野菜を食べてビタミン、ミネラルをとりましょう」という言葉を耳にします。たしかに、野菜を食べることで、ある種のビタミンやミネラル類はとれるでしょうが、それでは根本的問題は解決しないのです。氷の上で生活するイヌイットの人たちは、基本的に穀類や野菜などを食べないで生きています。 しかし、アザラシやカリブーなどを食べるときには内臓まで食べています。野菜や果物がとれない氷の上では、内臓を食べることでビタミンCを補っているのです。
 また、南米メキシコで、トウモロコシを主食にするインディオの人たちの食生活は、ほぼトウモロコシだけといえるほど、副食の少ないものです。 ただし、彼らはトウモロコシを私たちのようにゆでてかじったりはしません。からからになるまで天日で干して、一粒ずつ手でむしり、それを粉にします。その粉からパンのようなものをつくって食べています。つまり、そのようにすればトウモロコシの胚芽の部分まで全部食べることができるわけです。ゆでてかじると、たいがいは胚芽の部分が芯に残ってしまうものです。
 まさに世界の民族の食生活は、さまざまです。「バランス」などという言葉では理解できないような食生活をしている民族がたくさんいます。 しかし、そこには1つの共通点があるのではないでしょうか。つまり、主となる食物は「全部、丸ごと食べる」という共通点があるようです。



「枝肉しか食べない」―― 日本人の肉の食べ方は異常です

 「全部、丸ごと食べる」―― このことによって、人間は、食生活である程度のバランスをとることが可能なのだと思います。また、肉の大量消費国ドイツには、たくさんの種類のソーセージがあります。材料を見ても枝肉(筋肉部分)だけではなく、血、舌、レバー、腎臓、心臓などを腸に詰めたもの、また、胃袋や膀胱にそれを詰めたものもあります。肉食の歴史の長い国では、まさに「血の一滴もむだにしない」。つまり、頭からしっぽまで食べるのが普通なのです。
 しかし、現在の日本はどうでしょうか。肉屋さんに売っているのは、ロース、ヒレなど枝肉がほとんどです。肉料理といえば、しゃぶしゃぶ、ステーキ、すきやき、焼き肉、ハンバーグ、牛丼など、やはり枝肉を使ったものがほとんどです。世界全体を考えてみれば、日本はきわめて特殊な肉食の国なのです。よく、肉を食べたら野菜を食べてバランスをとりましょう、といいます。それはそれで、まったく意味のないことではないかもしれませんが、肉食の歴史の長い国の食べ方を見ると、牛なら牛1頭をなるべく偏らずに頭からしっぽまで食べる。ステーキだけではなく、内臓なども食べることでバランスをとっていると考えるほうが普通なのではないでしょうか。
 どのような食物であれ、「全部、丸ごと食べる」のは手間がかかり、工夫が必要です。食生活の知恵とは、食べにくいものを、上手に、おいしく食べる工夫が、長年にわたって親から子へと受け継がれてきたものなのです。
 たとえばアイヌの人たちには「鮭は神から人間への贈りもの。食べられるところをすべて食べつくしてはじめて、鮭の魂は神のもとへ帰ることができる。そこで蘇生した鮭は再び神から人間のところへ戻ってくる」という伝説があるといいます。
 そのような教えを「伝統の知恵」というのではないでしょうか。それを忘れさせてしまったのが、戦後の栄養教育であり、「バランス」という言葉ではないでしょうか。つまり、「不完全な食物」でも、組み合わせれば「バランス」がとれるという錯覚をつくり上げてきたのです。その結果、白米、精製した小麦粉、精製塩、白砂糖、油、そして、内臓は捨てられた魚の切り身、ジュース‥‥ 私たちの食生活は、「一部分」しか食べない食物だらけになってしまったのです。



「成長は早いが病気だらけ」の家畜 ―― それを子供が食べているのです

 肉そのものの性質を考えても、私は肉食に否定的にならざるを得ません。畜産関係者にとってもっとも関心が高いのは「飼料要求率」だといいます。その動物の体重を1キログラム増やすのに何キログラムのエサを必要とするかという割合です。少ないエサでどんどん体重が増えてくれれば、それだけコストが安くすむからです。特に最近では大規模な集約農場が増え、ニワトリなどでは何十万羽と飼っているところもありますので、コストに大きく影響します。いかに早く太らせるか。養豚業者にとっても、ブロイラー業者にとっても大切なことになります。そこで多くの業者が密飼いをしているのです。豚、牛、ニワトリなどは、放し飼いをすると運動をするので、せっかくエサを与えてもエネルギーを消耗して肉付きが悪くなります。そこで考え出されたのが、動けないほどぎゅうぎゅうづめで飼うことです。それを密飼いといいます。
 成長を早くするために、エサも現在の配合飼料は高タンパク質でできています。その結果、たしかに成長は早く、飼料要求率もどんどんよくなっています。ただし、それに伴い病気も増えています。食肉検査は、屠殺場にきた牛や豚の内臓や肉に病変があれば、その一部または全部を廃棄処分にします。農水省の出した『家畜衛生統計』(平成14年)によると、屠殺禁止・全部または一部廃棄の牛は約95万頭で全体の76%、豚の場合は約100万頭で全体の66%になります。
 最近では狂牛病が問題になり、牛丼が販売中止になる騒ぎが起きました。あれはおもにアメリカの牛肉の話でしたが、日本でも次々と感染牛が発見されています。起こるべくして起きたと言わざるを得ません。飼料添加物の名で、多種多様な薬がエサに混ぜられているといいます。このような肉を食べることが本当に健康によいといえるのでしょうか。
 そして、高タンパク質・高エネルギーのエサを食べて、成長は早いが病気だらけだという家畜を考えたとき、現在の子供たちの姿と重なって見えてしまうのは私だけでしょうか。



                      





 今、世間でも、肉食をすべきか否かを真剣に考える方々が増えてきているようです。特に獣肉食(四足動物:牛・豚など。私の場合は鶏を含めます)を避ける方々も増えてきました。食学者の先生方々が、上記のような栄養学では絶対に触れてはくれない(教えてはくれない)「食養学の視点」からの「正しい人間の食の在り方(正食)」を、世間に分かりやすく訴えてくださっているお陰でしょう。

 上記の内容を一言で言えば、「一物全体食の大切さ」と「部分食の危険性」を説いてくれています。

 肉食に限らず、人間の食するすべての食物は「一物全体食(食物のすべてを残さずに食べる)」をすべきです。栄養学や調理法では平気で皮をむきますが(部分食)、やはり「全体食」をされたほうが無難です。栄養学でも分析的には「食物の皮や内臓には栄養がたっぷりと詰まっている」とは言っていますが、「全体食の重要性」をあまり説きません。私が「全体食をしたほうが無難」と表現しましたのは、栄養学が分析し切れていないことなど「まだまだ、たくさんある」はずですし、そんな細かなことを言っているよりも、素直に「全体食さえしていれば無難・・・」としたほうが遥かに正常な「食の感覚」だと思うからです。

 「人間は、食物の全体を残さずにすべて食べることによって、体を養うのに必要なものはすべて揃っている」という「一物全体食の概念」はとても自然ですし、「一物全体食」を単純に実行していったほうが遥かに利口だと思います。皮をむいたり、内臓を取ったり、穀物を食べやすくするために精白したり・・・ と、食物に「余計なこと」をするから、それを食べた人間の中にも、色々と「余計な欠陥」が出てくるのです。

 人間は、食物を食べやすくするために「調理によって、食物を欠陥だらけにする」のですね。その「欠陥だらけの食物(部分食)」を人間が食べると、自分の体の中にも長年かけて欠陥が出てくるのです。なぜならば、人間の食行為とは「人間と食物との融合」だからです。「欠陥だらけの食物(部分食)」を食べることは、「欠陥との融合」になるのですね。

 自然界の動物は当然そんなこと(調理による部分食)をできませんから、食物を生のままで、まるごと全部ムシャムシャと食べます。そして、彼らは無病なのです。こういう単純なところを見落としてはいけません・・・。
はっきり言って損です

 日本人のしている肉食は、明らかに「部分食」です。肉食とは「内臓まで食べて」こそ、完成されたな肉食なのです。西欧では「ソーセージ」という形で、自然と「健全な肉食の姿」が現われています。昔のアイヌの人たちだって鮭を丸ごとすべて残さずに食べていましたし、エスキモーだってアザラシをまるごと一頭すべて残さずに食べていますね。これが正しい自然観の残っている「民族の食べ方」なのです。「正しき自然観」から外れてしまった「食の摂り方」「食の在り方」の中には、病理の原因(病気になるリスク)が往々にして潜んでいることを知らねばなりません・・・。

 現代の日本では、まだまだ肉食が絶好調ですが、自分たちが何も知らずにしている「肉食の在り方」を、この「食養学」の視点から、一度、真剣に振り返って頂く機会を得てほしいと思います。
「部分食の害」については肉食だけでなく、穀物、野菜、果物など、すべての食物に当てはまります


 また、今年(2011年)は放射能汚染によって肉牛の出荷が停止され、肉牛農家は困っていましたね。NHKのニュースのインタビューでは、肉牛農家の方が「早く出荷しないと、この肉牛たちは高血圧で死んでしまう・・。早く出荷させてほしい・・・」と言っていました。これは、出荷停止期間が長引けば、牛は死んだり病気になったりするリスクが高まるからです。肉牛は出荷時期に合わせて極限まで太らされ、高血圧、高コレステロール状態になっているわけです。棚倉町の沼野裕一郎さん方では、飼育する和牛200頭のうち20頭が出荷停止中に適齢期を過ぎ、20頭のうち1頭は病気で倒れ、売り物にならなくなったそうです。太った牛の体調管理は難しく、沼野さんも餌の制限やビタミン剤の調整に努めましたが、病気を防げなかったといいます。

 これが、どういうことだか分かりますか?

 これは、上記の資料の最後の項目にある「食用の畜獣は良い育てられ方をされていない」という実情がそのまま現われたことなのです。スーパーで普通に売られている「牛・豚・鶏」の肉は、最悪の健康状態のまま屠殺され、解体されています。その畜獣の肉を、みなさんは何も知らずに食べられているのです。健康的には最悪状態の「不健康な畜獣の肉」を食べることは、食べた側の人間の体に直接影響してきます。出荷時期に合わせて極限まで太らされ、不健康な状態で死ぬ直前にまでなっているような(しかも、抗生物質やビタミン剤などの「化学医薬漬け」にもなっている)畜獣の肉を食べて無問題だと思いますか? 日本人の多くは、食品が放射能に汚染されていると危険であることがよく分かるようですが、上記のような「本当は恐ろしい状態」に汚染されている獣肉の危険性については、どうも気づけないようです。はっきり言って、食べないほうが無難ですし、安全です。

 上記の「高血圧で死んでしまう」という肉牛は、実はお年寄りではありません。人間のように「年を取って高血圧になっている」のではないのです。肉牛の出荷適齢期は24~36ヵ月齢(2~3歳)の成牛です。5歳6ヶ月の肉牛は人間の年齢に換算すると30歳程度と言ますから、本来、元気であるはずの若い盛りの肉牛たちが人間の手によって人為的に高血圧にさせられて(強制的に肥育されて)死にかけている状態です。

 これを人間で言えば、若い盛りに高血圧で死にかけている人ですね。

 この肉牛たち、 人間が安心して食べるべきものなのでしょうか?
 私は「問題、大あり!」だと思うのですが・・・・、いかがでしょう?

 もし、どうしても獣肉を食べたいのであるならば、自然に近い環境(酪農)の中で育てられている「高価な獣肉」を選ばれたほうが安全です。「不健康な食物」を食べると、自分の中(心身)にも「不健康」が生まれてきますよ。

 私の家族は週に一度くらい肉食をしていますが、そのくらいならば、その害はまだ少なくて済むと思います。
私は、もうほとんど肉食をしません・・・。たまに付き合い程度であるくらいです

 でも、毎日のように肉ばかり食べている人は、一度、この「食養学の視点」から肉食(特に獣肉食)というものを見つめられて、真剣に考えてみることも大事だと思います。
 毎日、肉を食べたいのであれば、「魚」を選ばれたほうが良いですし、獣肉食をしても、週に一度くらいにされたほうが良いと思います。




 ちなみに、私はもともと肉(牛肉・豚肉)が大好きで、毎日、肉を食べていました。食事は白飯と焼肉料理さえあれば、それだけで満足なタチでした。ですから、「お肉料理が大好きぃ~」という方の気持ちが痛いほどよく分かります。お肉は美味しいですからね♪ 私など、毎日大量にバク喰いしていましたよ(汗)
 食養学に出会ってからは、だんだんと「一日一食」の「植物食主義」になっていきました。これは自然とそうなっていったのですが、私の意識が食養学を通して「正しき意識に少しずつ変換されていった」からでしょうね。意識の変換によって「行動の変換」に成っていくのです。
 今でも肉料理を食べれば美味しく感じますが、逆に今では、食べてから2~3時間後にくる「体の重苦しさ」が嫌ですね。私のように生菜食中心の食生活を何年も継続していますと、血液が浄化されたためか、肉食後の血液の悪化が強烈に圧し掛かってきます。通常、肉食をしていない綺麗な血液の所有者が、たまに肉食などすると、肉食後の血液の悪化が強烈に体に現われてくるのです。これぇ~が嫌なんですよね・・。はっきり言って、しんどいです(涙)
 しかも、私は一日一食ですから、半断食以上に、毎日が半分断食状態です。なので、たまに肉を食べると、すぐに「肉食後のデトックス臭」が体から出てきます。これは、よく断食をされる方には分かって頂ける感覚だと思います。この「肉食後のデトックス臭」も、嫌ぁ~なんですよね。独特な臭いで、どうも好きになれません。まぁ・・、肉食なんてもうほとんどしないので、別にいいんですけれど(笑)
 肉食などしなくても、体調はとても軽やかです。