人間が摂取する塩は、食卓塩などの塩化ナトリウム100%の塩ではいけません。塩化ナトリウム100%の食卓塩は「人間が食べるべき塩」ではなく、塩化ナトリウム100%という「薬品(化学薬品)」です。
 塩化ナトリウム100%などという物質は、この自然界の中のどこにも存在していません。完全な人工物であり、不自然なのです。これは危険です。海の塩である自然海水塩とはまったくの別物です。人間が摂取する塩は、海の塩である自然海水塩を使いましょう。

 自然海水塩は「
海の精」や「粟国の塩」など、いろいろとあります。好みに応じて、国産(日本の海水が原料)の自然海水塩ならば何でも良いです。我が家では「海の精」や「粟国の塩」を使っています。
 甲田光雄 医学博士の資料から、「人間にとって、塩とは何なのか?」について知るための文献をご紹介します。




■■ 1.塩、砂糖、アルコール

 私たちにとって、塩、砂糖、アルコールはとても身近なものですが、「塩」の重要性については分かっているようで、実はあまり分かっていないように思います。そこで、甲田光雄医師の著書「白砂糖の害は恐ろしい ー これを防ぐために人間医学社)」より、塩の大切さをご紹介したいと思います。


白砂糖の害は恐ろしい ― これを防ぐために  甲田光雄(著)

甘党や辛党は、どうしてできるのか
 昔から食物を腐らさないで長期に保存する方法として、塩漬け、砂糖漬け、アルコール漬け、それに乾燥法や冷蔵法など、いろいろと考案されてきた。近頃は防腐剤という食品添加物を使って長期に保存する方法が普及しているが、これはまぁ外道というべきであろう。それはとも角、われわれの体液は塩漬けの状態で細菌の繁殖を防止しようという仕組みになっていることを知るべきである。
 ところで、われわれが運動したり、労働したりして汗をかくと、汗の中に平均して0.5%の食塩が含まれているから、今もし、1リットルの汗をかけば5gの食塩が失われたことになる。そうするとわれわれの体液は0.85% の生理的食塩濃度を保つことが困難になる。だから汗をかけば、必ずその後で失っただけの食塩を補給するという心掛けが必要である。できれば発汗後二時間半ぐらいの間に補給しておく。しかし、夜間の睡眠中に発汗する者が意外に多いので、このような時は朝起きてから、食塩の補給をしておかねばならぬ(もし朝抜きの昼夕二食主義の習慣がある人は昼食まで待って、そのときに食塩の補給をしてもかまわない)。
 発汗後の食塩補給を怠ると、われわれの体液は生理的食塩濃度を保つことができないから、細菌が繁殖しやすい状態になってしまう。それでは生命の保持が危くなるから、われわれは一時的に砂糖かアルコールを摂取して、体液を砂糖漬け、アルコール漬けにして間に合わせ、これによって防腐の目的を果たそうとする。これがために、われわれは汗をかいた後に砂糖水が欲しくなったり、ビールや酒が飲みたくなるのである。
 だから汗をかいた後に食塩の補給をせずにいて、甘いものをやめようとか、禁酒をやろうとか決心しても、到底成功しない。もし無理に精神力だけで頑張っていると、精神的にイライラして他人に八ツ当たりしたり、女性ならヒステリックになってしまうであろう。それ故、発汗した後で食塩の補給ができないときは、一時的に少量の砂糖水や、アルコール類を摂ることも止むを得ないであろう。
 実際、長湯でびっしょり汗をかいた後の帰り道でつめたく冷やしたビールをグッと一杯ひっかけるあの味は、上戸ならでは味わえぬものである。また猛烈な運動をやって、流れるような汗をかいた後で飲む一杯の砂糖水のうまさは、また格別である。しかし、元来塩漬けであるべき血液を一時的にアルコールや砂糖で補っておくのであるから、後で必ず食塩の補給を忘れてはならないのである。
 それなのに、この一杯の酒や砂糖水の味が忘れられず、ちょいちょいこれをくり返しているうちに、いつとはなしにそれが習慣となり、自分の血液が砂糖漬けになったり、アルコール漬けになってしまって、ずるずると持続してゆく。そして、友は友を呼ぶのたとえどおり、血液中の糖分やアルコールが切れかかると必死になって友を求めることになる。こうして、世にいう甘党や辛党ができ上がるのである。
 このように、もともと塩漬けであるべき体液を砂糖漬け、アルコール漬けにしたものが甘党や辛党であるから、いかにして砂糖を止めようか、またアルコールを止めようかという解決法の一端が自ずと理解されるであろう。


エネルギー源としての砂糖の価値
 前項において、甘党ができる原因はよくわかったと思うが、実際、発汗後にすぐ食塩の補給を心がけている人はほとんど見当たらないといってもよいくらい少ない。だから、甘党や辛党が増えこそすれ、減る傾向はまずあるまい。それどころか、激しい労働にともなう発汗の後に、砂糖水を疲労回復剤として大いに推賞する人々すらあるのだ。
 昔から砂糖有害論に反対して敢然として砂糖擁護運動を起こした人々も少なくない。彼らが主張する砂糖の価値の最大唯一のものは、エネルギー源として迅速な効果を発揮する点にある。すなわち、砂糖は胃の中に入ってから速やかに腸内に送られ、僅か数分にして血液中に吸収されるのであるから、胃腸にかかる負担はきわめて軽くすみ、直ちに疲労を回復することができるのである。
 実際において、競技練習、特にマラソンなどのように猛烈なエネルギーの消耗を伴う運動の際には、砂糖の効果は実に鮮やかで、息切れしている運動家に一杯の砂糖水を与えると速やかに呼吸が楽になってくる。このような激動疲労の極に達した時に与える一杯の砂糖水は、決して生体に害毒を与えるものではなく、むしろ適切な処置であるといって差しつかえない。だが、このような特殊な場合を楯にとって砂糖擁護論をとなえるのは、とんでもない愚かなことである。
 激動疲労の際にも、本来なら食塩の補給を第一として、食塩のないときは自然の糖分である果汁やハチミツ、或いは黒砂糖水を与えておくべきである。白砂糖を与える必要は少しもないのである。それに加えて、読者の皆さんに注意しておきたいことは、砂糖を毎日食べていると、胃腸は楽に栄養を吸収できるので、苦労して働くということをしなくなる。その結果、次第に胃腸は退化してゆき、それが種々の胃腸病の原因になることを知らねばならぬ。
 人間の身体は上手に使えば使うだけ強くなる。鍛錬の意義はそこにある。手足でも骨折してしばらくギブスにはめられているとだんだん痩せてくる。これを「廃用萎縮」というのであるが、長期間はめていたギブスをやっと解かれても、直ぐには歩けないほど痩せ細っているのをだれでもよく知っている。胃腸だってその例外ではない。絶えず砂糖を食って胃腸を働かさずに楽にエネルギーを補給していると、胃腸はだんだん退化して弱くなり、粗食をこなす力がなくなってしまうのである。




  (引用終了)

 身体を鍛錬するには、内臓の健康が何より必要です。
 安易な砂糖水の摂取に走らず、適切な塩の補給を心がけたいものです。





■■ 2.塩と身体

 「塩梅(あんばい)はいかがですか?」という言葉があるように、塩加減はとても難しいもので、自分の身体に今、塩が足りているか、不足しているかが敏感に分かれば、本当に強い身体を得ることができます。
 そこで今回は、甲田光雄医師の著書「「マイナス栄養」のすすめ ー 少食健康講話春秋社)」と「現代医学の盲点をつく ー これで病を防げ西会本部)」から、塩についての概要をまとめてみたいと思います。



マイナス栄養のすすめ ― 少食健康講話  甲田光雄(著)

胸やけと食塩不足
 胸やけは、食塩不足からおこることが多いです。胃を手術した方は胃液が足りなくなります。胸やけするのは、たいていは酸が多いためだと思っているようですが、実は原因は、案外胃酸の足らないことが多いのです。
 胸やけしたら胃酸が多いのだろうと、昔は重そうを飲んで胃酸を中和しようとしてきたものですが、最近わかってきたことは、胃潰瘍になる方の胃液を調べてみると胃酸の少ない人が多い。むしろ胃酸が足らんということです。
 また、ひどくなると無酸の状態の方もあります。こんな方に胸やけがおこるのです。なぜか? 酸が多いということは物が腐らんようになっている。
 ところが、酸が少ないとなると胃の中で物が腐るのです。発酵するのです。発酵すると酪酸やプロピオン酸、吉草酸などが出来てきまして、それらの酸が胸やけの原因になっている。このように胃酸が足らんために物が腐る。殺菌力がないということです。
 だからどうしたらよいか、それには塩をとる。そうしたら胃酸が出来ます。胃酸が足らんのは、塩不足が原因になっていますから、食塩をどっさり補給しますと胃液が出来て胸やけしなくなる。胸やけしたから重そうを飲もうかじゃなくて、飲むとかえって悪くなります。
 酸が足りないのになぜ重そうで中和しないといかんのか、それよりむしろ塩をとって塩酸をつくった方が胸やけがおさまる、こんな場合があることを知らないからです。
 これから夏になってくると汗をかく。汗をかいたら二時間半以内に汗で失った食塩を補給しておかないといかんです。汗の中に塩が入っています。100ccの汗の中に平均0.5gの食塩が入っています。300ccの汗が出たなぁと思ったら1.5gの食塩を補給しておかないといかん。これを補給しないと胃酸が足りなくなる。
 夏汗をかいて食塩の補給をしないと、胃が弱って食欲がなくなり、夏やせする。夏やせの原因はこれです。塩が足りないからです。汗をかいたあと二時間半以内に食塩を補給する。これを守っていると夏やせしない。大事なことです。
 食塩の欠乏で脚気症状もおこってきます。抹消神経炎ですね。夏、足がだるい時は、ビタミンCとかB1の欠乏じゃないかと考える前に、まず、いっぺん塩の補給をやってみるとよい。足のだるいのがとれて足が軽くなることがあります。
 また、食塩の欠乏を放っておくと、秋口になったら目がかすんでくる。目がかすむ場合は硝子体の中にある食塩の欠乏が原因となっていることがしばしばみられます。そんな時は、食塩の補給をしないといかんのです。食塩水に浸したタオルを目の上にはちまきにして補給します。あるいは洗面器に1.5%くらいの食塩水をつくり、それを目に入れてパチパチとやって塩を補給する。できたら、その後ゴマ油を点眼してビタミンAを補給する。そうすると目がよく見えるようになります。このように食塩は非常に大切なものです。
 これからは、汗をかくと食塩の欠乏でいろんな症状が出てきます。赤ちゃんがもし緑色の便を出したら消化不良やなあ。お母ちゃんのおっぱいの中に含まれている塩が足らないからではないかと判断して、お母ちゃんが補給するとお乳の中に塩がたくさん出てくるから、赤ちゃんの緑色の便が治る。
 七・八月に生まれた赤ちゃんはなぜ弱いか、それは、お母ちゃんが汗かいて失った塩を補給しないから、赤ちゃんが消化不良をおこして弱くなるのです。七・八月に生まれた赤ちゃんを健康に育てるためには、お母ちゃんはしっかり塩をとらないかんのです。
 こういうことが現代医学ではわかっていませんから、塩をとらんように、とらんように、一日10gにしようとかいうキャンペーンがはられていますが、これはすごい大きな誤りもあるわけです。何でも一律にやったらあきませんよ。体質によって、塩の逃げやすい方がある。同じ汗をかいても塩辛い汗をかく人と、塩辛くない汗をかく人があります。塩辛い汗をかく人が、そんな少ない塩しかとらなかったらいっぺんに塩が不足します。体質を考えないで、皆一日10gというのは大きな誤りです。

 【参考1】 胃液の材料は食塩
   胃液の材料には、食塩がなくてはならない重要なものなのです。
   即ち、胃液の塩酸 HCl の Cl は、食塩 NaCl の Cl からつくられるのです。
   
(「現代医学の盲点をつく」甲田光雄・著より )

 【参考2】 発汗量について
   ちょっと汗ばむ程度 発汗量  400g    失われる 塩分 2g
   かなり激しい発汗 
発汗量 1000g    失われる 塩分 5g
   猛烈な労働に伴う汗
発汗量 1400g    失われる 塩分 7g





現代医学の盲点をつく  甲田光雄(著)

塩の量と水の量
 塩をたくさんとっているといっても、その人が一日にいくら水を飲んでいるかということが問題になってくるのです。塩をたくさんとっていても、水をたくさん飲むと余分の塩は、全部尿になって出ていってしまいますから心配ない。ところが塩をたくさんとっていても、水もお茶も飲まないような人は塩によって害をうける。だから、その人が塩を何グラムとっているかということと、一日に水やお茶をいくら飲むかということを両方調査しないといかんわけです。ところが塩だけを調べて、水をいくら飲んだかは、全然調査しません。こんな中途半端な調査があるかといいたいですね。
 塩を何グラムとっているかの調査をする時は、必ず水をいくら飲んでいるかの調査もやらないかんわけです。このように今の医学は、厳密に調査されているように見えて抜けとるところがあるんです。

【参考3】
 食事中及び食直後に多量の水やお茶を飲むと、胃の弱い人では胃液を薄め、消化を悪くするから避けるべきです。まして、玄米、菜食、それに海藻類をたくさん食べる人は、繊維が多いので、水やお茶と一緒になって胃の中に長時間滞留しておりますと、絶対といってよいほど胃の壁を荒らしてしまいます。今、入院中の胃潰瘍の患者さんは、食塩の摂る量を少なくしたために、胃を弱らせた上に、食事中でも食直後でも生水をたくさん飲んだのが悪かったのです。その上、さらに悪いことは、生野菜や海藻類は多く食べればなおよいと錯覚を起こして、キャベツでもレタスでもバリバリ噛んで食べる。また、果物もビタミン類の補給によかろうというので、食後モリモリ食べるというようなことをやっておられたのであります。こんな繊維の多い食品ばかり胃に詰め込んで、上から水を飲んで胃液を薄め、肝腎の胃酸の原料となる食塩は少量しか摂らないのですから、これでは豚のような胃の持ち主でない限り、胃を悪くするのが当然であります。玄米や野菜、海藻は繊維が多くて便通をよくするといっても、限度があることを知らねばなりません。


胃弱、胃下垂も塩不足から
 胃の弱い者は、常に食塩を多めにとる。ただし、この場合は腎臓が少し悪くなるのを承知の上でやっているんです。腎臓を犠牲にしてでも胃を守ってやる。反対に腎臓の悪い者はどうするかというと、食塩を極力控える。その時は、胃が犠牲になる。胃を犠牲にしてでも腎臓を守ってやる。このような心得をしないといかんのです。
 それでは、胃も腎臓も悪い時はどうするか? 断食で両方を治してから、正しい食塩の補給をやればいい。胃下垂の人も食塩不足からきますから、食塩の補給を三年間くらい、きっちりやらないかんです。胃下垂の人には食塩の補給は大事なことです。
 胃潰瘍で手術をした人は、とくに食塩の補給をしっかりやらないと、胃酸が足らないためにとった栄養が吸収されない。例えば鉄分をとっても吸収されないので、貧血になりやすい。カルシウムをとっても吸収されないので骨が軟らかくなりやすい。


食塩の欠乏の症状
 食塩の欠乏が起こりますと、まず第一に食欲が減退し、いつものように空腹感を覚えなくなります。「みぞおち」のあたりでチャプチャプ音が鳴るようになれば、相当な食塩の不足です。そして、下腹が張って、便通が思うようにでなくなってしまいます。
 夏のころでありますと、ノドが渇いて水を飲むが、いくら水を飲んでもノドの渇きが止まらないで、胃がチャプチャプ鳴っているのも食塩の欠乏であります。そうして、なんとなく身体がだるく、元気がでない。そして目が奥へ凹んでしまっている。これも食塩欠乏の症状であります。


食塩の取り方
 そこで今度は食塩の補給をやります。食塩の補給には、飯の上にゴマ塩にして振りかけるか、果物か野菜にパラパラと振りかけるのがよろしい。また粥にして、その中に入れて食べてもよろしい。ひどい食塩の欠乏があるとき(汗をたくさんかいたあとなど)には、オブラートに包んで食塩を頓用させることもありますが、このときは、あとでムカツキがきて気持ちが悪くなりますので、注意しなければなりません。
 食塩水にして飲めばどうかという人がありますが、これは食塩の補給にはならず、下痢をしてしまいます。よく便秘症の人が毎朝起き抜けに、塩水を飲んで便通をつけておられるのがそうです。しかし食塩水で便通はつくが、これは腸管を傷つけるので、あまり感心できない方法であるとされております。
 さて、食塩を補給したらどうなるかというと、今までの胃部膨満感はたちまち消失し、今までみぞおちのあたりでチャプチャプ鳴っていたものも、いつの間にかなくなってしまいます。そして、もう翌日から胃のあたりがグーグー鳴って、快適な空腹感が再び戻ってくるでしょう。これはほんとうに不思議なほどです。そして、便秘気味になっていたものも早速便通がよくなり、足も軽くなって、身体に元気が漲ってくるのがよくわかるでしょう。
 このような実験を二、三度やりますと、胃の働きと食塩との関係が、これほどまでに密接なものかということを、いやというほどよく理解できるのであります。




  (引用終了)